あちこちの洋楽／洋画サイトで映画「エルヴィス」の様々な論評を探っていたある日、忘れかけていたかつての歌姫の訃報を見つけた。オリヴィア・ニュートン・ジョンが8月8日に73歳で亡くなられたそうじゃ。

　この方はわしの青春時代の洋楽シーンを代表する人気女性シンガーじゃった。身銭を切って買ったレコードはシングル盤1枚だけだったと思うが、当時もっとも聴いたというか、色んな楽曲が自然と耳に入って来て基本情報は全て知っておった女性シンガーじゃった。それだけラジオで年中オンエアされていて、また彼女の話題が音楽仲間の間で飛び交い、レコードを貸してくれた友人が何人もいたってことじゃ。特にオリビアのビジュアルに惹かれていたわけでもなく、ヒット曲の全てが好きだったわけでもない。ポスターを部屋の壁に貼った記憶もない。オリヴィアはわしにとって愛するアイドルでもなく、尊敬するアーティストでもなかったが、それでも1976年の初来日公演の際はチケットを買って、誰に告げることもなく一人でこっそりと観に行ったもんじゃ（笑）

　ジジイの思い出話になっちまうが、ネットもyou tubeもビデオテープすらも一般的ではない時代、洋楽の美人女性シンガーは雲の上というか、別世界に生きるお姫様じゃった。洋画の女優さんならば、まだスクリーンで動いていおるお姿を拝見出来るが、女性シンガーはレコードで聞ける歌声と数少ない写真から実体を想像するしかない。だからファンの想像力は膨らむばかり。オリヴィアはお顔もファッションも歌声も清楚そのもの。ファンの無垢な想像力によって、イメージがより美化されていくようなシンガーじゃったなあ～。

　そんな清純そのもののイメージが一変したのが映画「グリース」における、アグレッシブでキュートな50sレディー役。その頃はわしも大人の男になっておったこともあり、彼女の変身ぶりにはあんまり興味が湧かんかった（笑）ネットで晩年の写真を何枚か見かけたが、1970年代の清純なイメージがぶち壊されることのない、非情に上品なお歳の召し方をされておった（笑）かつて唯一買ったシングル盤ナンバー「たそがれの恋／Don't Stop Believin'」を歌い出しても充分に鑑賞させて頂けるようなステキなおばあ様姿であり、彼女の隠れた強いプロ意識が伺い知れた気がしたもんじゃ。オリヴィア様、ご冥福をお祈りいたします。