一体どこのどいつが言ったのか「微笑みの国タイランド」。総じて外国人にはとても居心地がいい国、それがタイランドってことなんじゃろう。当らずも遠からずじゃが、それはあくまでも短期滞在者のオハナシ。長く居過ぎると先進国ではアリエナイようなトラブルに遭遇する。わしも久しぶりに食らった！

　実は昨年12月から今年1月までの約二ヶ月間、手元にパスポートが無かったのじゃ。長期滞在ビザの更新手続きの為に専門業者に高い手数料を払ってパスポートを預けておったのじゃが、更新期日が過ぎても「更新手続き完了」の報告もなくパスポートも戻ってこない。海外在住者にとってパスポートは「命」「お金」の次に大切であり、手元に無いのは実に不安なのじゃ。

　何度も業者を問いただしたものの、「ご安心下さい。〇日までには」「只今、在住外国人管理局が混雑してまして～」の繰り返し。そんな曖昧な返答が一ヶ月以上も続いたので、さすがに普段は温厚な紳士（？）のわしも「いい加減にしろ！金を返せ、さもなくば～」とブチギレテしまった。「パスポートが返ってこない理由だけでも正直に話せ！」と詰め寄ったところ、その返答に唖然したわい。
　要するに約一年前に取得した長期滞在ビザが現在「無効」扱いになっていて、当然更新も出来ずにパスポートは在住外国人管理局でほったらかされておったのじゃ。何故無効になったのかを書くと長くなるのでここでは割愛するが、どうやら業者も面倒臭くてわしにテキトーな返答を続けてウヤムヤにしていたのじゃ。

　わしの怒りにビビったのか、業者はトラブル解決に本腰を上げ、更新期日から一ヶ月遅れで新しいビザが発行されてパスポートも返却された。滞在期限超過料金も移民局への賄賂も無しで事態はようやく収まった。パスポート返却の際は業者の代表者が菓子折り持参で謝罪に来たが、それでも腹の虫が収まらないわしは「菓子なんざ要らんわい。酒持ってこんかい！」ではなくて、前金で全額支払っていたビザ更新代の約30％をその場で返金させた。「どんなトラブルが起こっても、タイ人相手に怒ってはダメ」ってのは外国人居住者の鉄則じゃが、やはり何事にも限度があることを痛感したわい。

　海外で生活していく上でのこうした現地人の怠慢によるトラブルって、読んだり聞いたりしている分には興味がそそられるかもしれんが、被害者当人はたまったもんじゃあない！無効になっていた旧ビザを発行した在住外国人管理局は只今大問題になっておるようで、わし同様に迷惑を被っておる外国人はたくさんおる模様。タイは「微笑みの国」なのかもしれんが、決してこの世の浄土ではないのじゃよ。