久しぶりに洋楽の最新状況を把握するために、様々な関連サイトをチェックしまくっていたら、日本の代表的ロック雑誌「ロッキング・オン」殿が創刊50周年を迎えたことを知った。すげえ～1972年から50年間も発行し続けたんじゃな。
　1970年代における日本で発行部数No.1のロック雑誌は「ミュージック・ライフ」であり、ほぼ市場独占状態じゃった。そんな状況に堂々と殴り込みをかけてきたのが「ロッキング・オン」じゃった。創刊当時はペラペラの同人誌同然の定期刊行物じゃったが、編集方針が衝撃的であり、わしはミュージックライフとロッキングオンの2冊は90年代初頭まで毎月欠かさず買っておった。ロック知識蓄積の為に長い間大変お世話になったロッキング・オン殿に、ささやかながら「50周年おめでとうございます」と言いたいわい。

　ロッキング・オン殿の編集方針は一貫して明確じゃった。それは簡単に言うと「海の向こうから聞こえて来る音楽（ロック）や巻き起こっているブームを紹介するだけではダメ。しっかりとした批評精神を持って報道しなければいけない」「批評精神がなければ、真に良質なロッカーたちを見殺しにしてしまう」といったところじゃろうか。だから毒舌、ならぬ“毒筆”的なレコードレビューや、もてはやされているブームをぶった切るような痛快な評論文が珍しくなく、しかも基本的な筆力が高いライターが起用されておるので、天の邪鬼のわしなんかオモシロクテ仕方が無かった。
　その反面、1970年代当時は珍しかったカラーグラビアの方は旬のアーティスト（＆アイドル）が多かったので、女子学生たちも結構購読していた記憶がある。この一見アンバランスな冊子構成は、恐らく初代編集長兼社長の方針じゃろう。「どんなに立派でエラソーな評論文を掲載していても、実際に雑誌が売れていなければ何の価値もない」と公言しておったもんな。

　10年ほど前に、知人を介してロッキングオン創刊当時の関係者M氏と知り合い、その後何度か酒を飲んだことがある。酒がまわるとM氏は必ず同じ昔ばなしをしておった。「創刊からしばらくは経営的に大変だったみたいだけれど、ロッキング・オンで感心していたのは社員への給料遅配とか、外注ライターさんへの原稿料未払いとか踏み倒しが（自分が知っている限り）ただの一度も無かったことだよ。大喧嘩して自分から辞めていった社員にも払うものはきっちり払っていた。これって、いい加減な経営者が多い音楽業界では珍しいことだよね。だからいいライターさんが継続して集まってくるんだよ」。わしも昔は給料遅配、原稿料未払いの類の被害を随分と被ったので、M氏の言うロッキング・オン殿の経営マナーには感服したものじゃ。
　ちなみにわしの七鉄コーナーは15年以上続いておるが、The-Kingからのギャラ遅配、未払いは一度もない！願わくば、連載300回記念の時のギャラがハーレーだったので、今年の年末に迎える400回記念の時はピンクのキャデラックにして頂きたい（笑）