コロナ騒動によって、ついにベトナム、タイでは「外食禁止令」が敷かれてしまったわい。すったもんだの挙句ベトナム・ホーチミンからタイ・バンコクへ移動できたものの（その顛末は「番外編」参照）、食事は外食店からテイクアウト、もしくは自炊を強いられることになった。まあ自炊には抵抗が無いんでどぅってことはないが、いざ「外食はダメ」となると旅の楽しみが大幅に奪われた気分になるわい。

何が悲しいかっちゅうと、「人と人との交流禁止」ってことじゃ。何とかバンコクに入れたものの、空港から宿へのタクシーの中で、いきなり運転手に喧嘩を売られた？わい。
運転手：「オマエは日本人か？日本から来たのか？日本人はコロナにやられた者が多いんだろう？」
わし　：「わしは日本人だけど、日本から来たんじゃない、ベトナムからじゃ」
運転手：「ったく俺たちタイ人はいい迷惑だ。いろんな外国人がタイに来るからな」
わし　：「わしはコロナに感染していないから、タイに入国出来たんじゃ」
運転手：「空港で2時間も客待ちしていて、やっとオマエが乗ったんだ。商売あがったりだ！」

　運転手の言っとることは滅茶苦茶じゃ。外国人旅行者は迷惑だと八つ当たりしているくせに、旅行者が少ないから稼ぎにならないって・・・。彼らの心もすさんでいて、客に対してもどう対応したらいいのか分からないんじゃろうな。ふざけた運転手だと思いつつ、降車時にはチップをはずんでやったが笑顔なし。こんな時はしょうがない。

　ホーチミンでも宿にこもるしかやることがない日々を送っておったが、ひとつだけ嬉しい体験があった。ホーチミンでもマスクを買うのはひと苦労であり、しかもマスクをしていないと空港も立ち入り禁止なんじゃけど、ベトナムを出国する前日にいつもタバコをまとめ買いしている小さな雑貨屋のオバサンの親切心に救われた。
　オバサンは身振り手振りで「あなたマスクしてないの？それダメよ。持ってないの？じゃ、ウチのを分けてあげる」って未開封の3個を下さったのじゃ。まったく言葉が通じない相手、人との交流が出来ない時期だけに殊更嬉しかったものじゃ。

　アジア各国が外国、外国人旅行者に対してどんな悪評を垂れ流しているのかは知らんけど、今はただただ「滞在させて頂いているだけでも有難い」と感謝するしかないわい。こんな旅の体験なんかこの先アリエナイ（と思いたい）から、日々の些細な出来事もしっかりと記憶に留めておこうと思っておるわい。