「少なくとも私が知っている猫好きの方の中でも、管理人さんが一番猫を可愛がっていますね」

先日お宿にお泊り頂いた女性の方にかように言われちゃって、嬉しいやら恥ずかしいやら！そんな二匹の猫たちとの日々ももうすぐ終わり。お宿のオーナーが二年半ぶりにバンコクに戻っていらしたので、わしの管理人代理業務もお役御免となったばかり。途端に強烈な虚脱状態に陥ってしまい、さらに熱まで出て一週間ぐらい寝込んでしまったわい。
元来、責任感とか緊張感とかって「何それ？」ってな鈍感な人間なんで、ただいまのヘナヘナぶりが自分でも意外！でも「このわしにも、遅ればせながら仕事人としての最低の意識がいつの間にか備わっていたんじゃな」って苦笑するしかないわい！

その昔、バンコクで日本語情報誌の制作をしていた頃、初めてタイで就職したという方々によく聞かれた。
「タイって、どんな国なんですか？仕事をするって大変ですか？」
細かく説明するのは面倒臭いので、ズバリと本音で返答しておった。
「今までやったこともないような業務や、忘れかけていた体験が何の前触れもなく突然降りかかってきてアタフタしますよ」
宿泊施設業務なんて、アルバイトでも経験は無かった仕事だし、飼い猫のお世話も20年ぶり。よお～く考えてみたら、かつてタイ・ビギナーさんに予測して差し上げていた境遇に自分自身があらためて入り込んでいたってわけじゃ。

2020年の8月、ロックダウンで静まり返ったバンコクの街中を暇つぶしにほっつき歩いていた時、偶然にもお宿のオーナーと再会した。そのハプニングが無ければ、後日管理人代行業務を依頼されることもなかった。今や懐かしい日本語情報紙の仕事も、アジア放浪中にひょんなことから編集長と巡り合った事がきっかけじゃった。
♪～あの日 あの時 あの場所で　君に会えなかったら～♪ってのは小田和正のお歌の歌詞じゃが、またいつか「タイってどんな国？」って聞かれることがあったら、今度は「あの日あの時」を歌って差し上げようかのお(笑)

そろそろ新居を決め、引っ越しの準備にとりかからんといかんので、まずは部屋中にとっちらかった物の整理から始めとるが、そんな事をやっとる時に限って、その様子を観察しとる猫たちの視線を感じる。猫って、環境や状況の変化にとても敏感じゃ。わしがもうすぐお宿から出ていくことを察しておるに違ない。親離れ子離れならぬ猫離れをするためにもまずは引っ越しだ！
引っ越しだ！ってエルヴィスの曲の邦題（原題"We gonna move"）であったな！（笑）映画「ラブ・ミー・テンダー」にも使われた地味だけど軽快なノリのナンバーじゃったんで、あれをBGMにして引っ越しの準備を本格的にスタートすることにしよう。ではまたご機嫌ようじゃ！