ROCK FIREBALL COLUM by NANATETSU Vol.81


 まさか残暑の暑さに浮かれたのではあるまいが、いかしたホットキャットちゃんのアイコンをクリックしおったな! うむ、よかろう。 「ロック的映画」のオハナシ第二弾をはじめるぞ! まずはその前に言っておくが、わしは「ロック・ドキュメンタリー映画」の類は、ほとんどロードショーで鑑賞してきたんじゃ。 「ウッドストック」「モンタレー」「フィルモア最後の日」「レット・イット・ビー」「ラストワルツ」等など。 いやあ〜それにしても、どれもこれもお客さんが全然おらんかったなあ。 深夜映画館でやる時なんざ、わしと酔っ払って寝込んどるオッサンと、イチャイチャしたいだけのアホンダラカップルの3組だけ、なんてのも珍しくなかったもんじゃ。 
 また何の映画だったか忘れたが、日曜日の午後に映画館に入ると館内の売店スペースいっぱいに大きな白い布がかけられていたこともあったな。 「客なんかどうせ来ないから商売中止!」ってことだったんじゃろうが、わしはその白い布がロック映画からの“白旗”に見えてしもうてな。 そん時は上映途中で映写機の熱でフィルムが焼けて、上映が中断されるアクシデントもあったもんで、これから先は「ロック映画」どころか、ロックのレコードすら日本で販売されなくなるんじゃないかと、もう暗澹たる気分で帰宅したもんじゃった。 だから、この企画を書き始めた当初、「果たして喜んでもらえるんじゃろうか?」とかなり不安になってしもうたが、おっと肝心なことを忘れておった。 読んで下さるのはあの頃の日本人じゃなくて、現代のロッカーであり、THE-KINGのファンである諸君じゃった!諸君のグレイトな感性ならノープロブレムじゃな! 新作ペパーミント・ブルゾンの素晴らしさに程よくクールダウンされたグレイトな感性でじっくりと読んでくれ!


研ぎ澄まされた真夏のロックスピリットで観てほしい
クール&ホットな「ロック的映画/ロック映像作品」〜後編



一般映画編 
 今回の後編はかる〜いノリで、一般娯楽映画の部類からスタートしよう。 ロックの威力一発で「名画」となった作品はたくさんあるので、ここでは映画全編の雰囲気がロック的なもんを取り上げるとしよう。

■work-11 デスぺラード
 わしの大好きな俳優アントニオ・バンデラスの出世作となったメキシコが舞台のアクション映画。 ダイアー・ストレイツ、ロス・ロボス、サンタナといったメジャー・バンドから、「誰それ?」ってなマイナー・バンドまで様々なロック・バンドのナンバーがBGMに起用されており、全編に渡ってロック・ギター・サウンドが炸裂! バンデラス君もギタリスト役なので随所にギターそのものが大暴れしとるし、ギターケースからミサイル弾が発射されるシーンはお笑いとしても、ギター好きは目が離せない映画と言えるかもしれんな。 
 バンデラス君はちとマッチョじゃが、目つきや髪型、アウトローの役柄は十分にロッカーしとる。 メキシコの国民的美人女優サルマ・ハエックの若き日のセクシーボディも拝めるゾ! 


■work-12 あの頃ペニーレインと
 新進気鋭の若手ロック・ライターとして、わずか15歳で大物ロックバンドの随行(&おっかけ)を許された少年の熱き日々を描いた作品。 少年少女のロックファンなら、誰でも夢見るような体験のストーリーじゃな。 キャメロン・クロウ監督の実体験にもとづいたオハナシらしい。 バンドのツアーバスに同乗したシーンで流れるエルトン・ジョンの美しいナンバーを全員でハモるシーンは人気じゃったな。
 ロック映画ではなくて、あくまでも娯楽映画じゃからロックは映画の装飾品じゃが、「理屈なんてカンケーネー! 誰がなんと言おうとロックが好きなんだあ〜」というあの頃のピュアな情熱を思い出してしもうて、わしなんか胸が熱くなってしまった! あ〜ロックってもんと出会うことが出来て良かった!としみじみと感じ入る作品じゃ。 


■work-13 ONCE ダブリンの街角で
 ロックのもうひとつの聖地アイルランドが舞台となった、明日の有名ミュージシャンを夢見るカップルのラブ・ストーリー。
 人口の55%が20代の若者であるアイルランドは、またストリート・ミュージシャンのレベルが世界一高いと言われており、街中にヤング・ミュージックが溢れ返っておる。 つ
いでに、わしの親友でもあるギネスビールとアイリッシュ・ウイスキーもな! そんなアイルランドの現状がたっぷりと楽しむことが出来るだけに、ラブ・ストーリーも飽きることなく観ることが出来る。 主演男優は、アイルランドの人気バンドThe Framesのフロントマン、グレン・ハンサード。 役柄はちとムサイが、「ペパーミント・ブルゾン」のラフな着こなしが似合いそうなスタイリッシュなロッカーじゃ。


 

ロック伝記映画編
 80年代に公開されたジャニス・ジョプリンがモデルになった「ローズ」、また「シド&ナンシー」の好評がロック伝記映画の質の分岐点となったようで、以後ドキュメンタリーものも含めて、ジョン・レノン、ドアーズ、マドンナ、ジミ・ヘンドリックス、最近のジョニー・キャッシュなど、ロッカーの伝記映画の出来栄えは進化し続けて、日本でもそこそこの興行成績を上げられるようになったもんじゃ。 そんな伝記映画の中で、まさに「迫真!」の二作を選んだぞ。


■work-14 レイ

 筋金入りのフィフティーズ・ファンの諸君なら、近年の作品においては「ウォーク・ザ・ライン」とくるじゃろう。 わしもそうしたいところじゃが、あえてチョイと外れてレイ・チャールズのこっちでいこう。 ミュージシャンの伝記映画において、主役を演じた俳優さんの演技力ではこのジェイミー・フォックスがナンバーワン!というのがわしの評価じゃ。
 レイ・チャールズ本人や関係者に片っ端から逢いまくり、それこそレイのキャラクターの裏側のそのまた裏側までを知るためにジェイミー自らが取材をしまくったらしい。 成り切ることに全身全霊を傾けて演技に臨んだだけに、まさにレイ・チャールズがもう一人いた!ってな名演であり、アカデミー賞受賞も当然じゃな! 伝記映画にありがちな、せわしなく生涯を追う“急ぎ足”的な展開もなく、実にスムーズにレイ・チャールズの生涯を楽しめる脚本も見事じゃ。 では、映画とは関係ないが、この映画をより楽しむため(?)の一杯をおいしくするために、レイ本人が出演した懐かしいウイスキーのCMをどうぞ!また諸君が好む50'sファッションもバッチリご登場で同時に堪能できるってなわけじゃ。


■work-15 ドアーズ
 ジェイミー・フォックスの「レイ」に次ぐのが、ドアーズのジム・モリソンを演じた名優ヴァル・キルマーが暴れまくったこれじゃ。 監督のオリヴァー・ストーンは、アメリカの近代史の重大テーマを映画化するための長期プロジェクトとして、ケネディ大統領を描いた「JFK」、愛国精神に翻弄されたベトナム戦争の兵士の「7月4日に生まれて」、そしてこの作品を三部作構成で製作したという話じゃ。
 何故ドアーズ&ジム・モリソンが題材だったのじゃろう? 恐らく、国家と文化と若者とが「一直線」で繋がっていた唯一の時代(60年代末期)のシンボルがドアーズ&ジム・モリソンであると、ストーン監督はみておったのじゃろう。 ロック伝記映画として以上に、そうした視点で観るとこの作品の味わいも変わってくるじゃろう。


ライブ・ドキュメント編
 この類の映像は、DVDが普及した20世紀終わりから続々と世に出回っておるので、さすがのわしもそのうちの何パーセントをチェックしておるのか分からん! しかもやたらと「未発表映像」が付加されて高値にされとるし、困ったもんじゃ。 そこで「映画」として作品化されたもんに絞ってみよう。

■work-16 フェスティバル・エクスプレス
 1970年にアメリカとカナダの有名ロッカーが集まったジョイント・ツアーの模様を収録した幻の映画じゃ。 カナダから列車を借り切ってロードサーキットをするという前代未聞、空前絶後の超珍イベントであり、ステージはもとより、バックステージ、移動中のオフの映像までをミックスして編集されたが、何故か公開されることなくお蔵入り。 そして長らく行方不明になっておった映像フィルムが33年経って(03年)偶然発見され、昨年ようやくDVD化されたので、このわしも狂喜した!
 移動中のロッカーたちの会話やラフ・セッションの様子や「フリーにしろ!」と要求する観客とのやりとりなど、当時のロックシーンを取り巻く雰囲気や状況、ロッカーたちの実像の一部を拝見できる興味深い作品じゃ。 「ロックで世界が変わる!」この時代のロッカーたちがロックに託した「夢」ってもんが、どれだけデカくて美しくて、そして儚かったか、この作品がバッチリ物語っておる。 ジャニス・ジョプリン、ザ・バンド、グレイトフル・デッド、バディ・ガイらが出演しとるぞ。


■work-17 レッツ・スペンド・ナイト・トゥゲザー/ローリング・ストーンズ
 マジなハナシ、20世紀の日本において、ロック映画で客が入った最初で最後の作品じゃろうな、これは。 ストーンズ81年の北米ライブの模様が十二分に堪能できた、当時の日本のロック・ファンには忘れ難き作品じゃ。 というのもまだストーンズの来日公演が実現していなかったから、“動くストーンズ”観たさにロックファンは映画館に足を運んだもんじゃった。
 TVでも大々的に宣伝されており、そん時の「悪魔たちはセクシーだった!」っつうコピーに、日本のロックファンは胸を躍らせたもんじゃった。 フットボール・ファッションで歌いまくるミックやヨタヨタ・アクションがイカしたキースも、悪ガキ・ロッカー風のロニーや仕事人チャーリー、みんなみんな確かにセクシーじゃったのお〜。



■work-18 永遠の詩/レッド・ツェッペリン狂熱のライブ
 映画として「名作」なのかどうかは判断しかねる・・・。 しかし60〜70年代のロッカーにとって成功の図式とは、「全米ツアー成功」→「ツアー専用飛行機所持」→「自社レーベル設立」→「ライブ映画製作」であり、唯一そのすべてを一気に手にしてしまったモンスター・バンドがレッド・ツェッペリンなので、成功の終着点の作品としての本作もピックアップしておこう。
 この映画用のライブは70年代前半のステージじゃ。 同時期、エルヴィスは“ラスベガス色”を益々強くしてエンターテイメントの大権威に変貌していったことを考え併せると、あくまでもハードロック・バンドに徹するツェッペリンにひたすら熱狂しまくるアメリカの観客は恐ろしいほど異様じゃな。 ツェッペリンの演奏はかなり荒っぽいし、大音量と自己満足の頂点のような長尺の即興演奏は、エルヴィスとは対極の次元にあって、到底大衆的とは言い難いからじゃ。 まさにロック・サクセス・ストーリーの奇跡の終着点が映像化されておる。



ドキュメンタリー編
 正直なところ、「エルヴィス'56」の完成度に迫る名作は、今のところない!が、ロッカー本人像、作品、歴史等への深い愛情と、それを後世に正しく伝えていこうとする信念に基づいて誠実に製作された作品ならいくつかわしも知っとる。 老人が孫に「昔はこんなスゴイお人や作品があってのお〜」ってな淡々としたノリながらも、決して聞き逃せないような、そんな感じのもんじゃ。 そろそろわしの出番もくるか?!

■work-19 ドリーミング・マイ・ドリームス/マリアンヌ・フェイスフル
 60年代後半はお姫様シンガー、ドラッグ廃人歴を突き抜けた70年代後半からはダミ声の酔いどれブルース・シンガー。 このご婦人の人生こそ、映画以上に映画的なんじゃが、そんなシンジラレナ〜イ生涯を追った作品がこれじゃ。
 わしは93年の日本公演を前から5番目の席で観たが、かつてのお姫様はシワだらけのおデブなオバサンになっておったが、毅然とした態度と内から溢れ出る上品さは誰にも真似の出来ない個性であり、「新しいブルースじゃな」と感心したもんじゃった。 天国と地獄に行った末に現実に戻ってきた者だけが放つ威光ともでもいうべきか・・・とにかくこの作品を観ればその凄さが分かる!

■work-20 フィルモア最後の日
 前々回のわしのコラムで紹介した、アメリカのキング・オブ・ロック・プロモーター、ビル・グレアムが経営していたライブ劇場「フィルモア」のラスト・ディを中心に編集された映画。
 フィルモアの閉鎖を惜しむロッカーたちの演奏シーンも貴重じゃが、ビル・グレアムが出演者側と電話で真剣勝負する交渉シーン、また場外で長蛇の列を作って入場を待つ観客に丁寧に愛想を振りまいていくシーン(これは予告編だけじゃったかな?)は、わしとしてはミモノじゃった。 両方ともにまさに“デキル男の仕事現場”そのものであり、ロッカーの演奏よりもアグレッシブで胸に突き刺さってくるようなシーンじゃった。 ビッグビジネスを“マネーゲーム”なんてホザイテおる現代アメリカの大社長とやらに見せてやりたい!
 残念ながら現在のところ日本語字幕の入った日本盤DVDは出ていないが、ロック・ビジネスに命を張っていたビル・グレアムの一端を堪能できるぞ。


■work-21 ロック・クラシック/メイキング・オブ〜シリーズ
 1999年よりシリーズ化されて企画されとる、「いかにしてこの名盤は作られたか?」に迫るシリーズ。 まるで「ロックお勉強シリーズ」みたいじゃが、レコーディングしたロッカー本人はもとより、多数の製作関係者からも製作当時の知られざる様々なエピソードが聞き出されており、秘蔵映像などもミックスされた構成は見応え充分じゃ。 いつの日かTHE-KINGからも、「名アイテム誕生の軌跡」なんつう映像集出んかな〜!
 「キー・オブ・ライフ/スティーヴィー・ワンダー」「ジョンの魂/ジョン・レノン」「ザ・バンド・セカンド」「エレクトリック・レディ・ランド/ジミ・ヘンドリックス」「噂/フリードウッド・マック」「ザ・フー/フーズ・ネクスト」「ドアーズ・ファースト」「キャッチ・ザ・ファイヤー/ボブ・マーリー」など、そのラインナップには一貫性はないが(多分肖像権や著作権のカラミじゃろう)、それまでありそうで無かった企画だけに、興味のあるアルバムは是非チェックするべし。


 わしがかつてロードショーで体験したヤツは、未発表映像とかを加えて豪華BOX入りDVD云枚組とかになって、結構な高値で一般発売される時代になった。 貴重な映像資料として特別扱いされるのは悪くはないが、何かが違う気がしてならんな。 そう、マニアが自宅の中でこじんまりと観るのは、ロック映画には似つかわしくないんじゃ。 映画館のデカいスクリーンで迫力満点で観るロック映像の方がカッコよく観えるってもんじゃ。 それにシャレこんだ上に大切な人と一緒に観たりすれば、より特別な体験として脳みそに強烈にインプットされるんじゃ。 諸君にも、昔の熱きロックを身体全体で感じる体験をしてもらいたいもんじゃのお。
 わしが何処かの古くてシブ〜イ映画館でも買収出来たら、「ロック映画専門シアター」をやって、諸君にそんな体験の場を提供したいもんじゃ! そんな夢が叶ったら、諸君よ、必ず来るんじゃ!七鉄お手製のプログラムやポスターを無料配布するぞ! 併設ショップでは、赤ジュータンをひき、勿論THE-KINGアイテムの独占展示販売をするぞ! 館内の売店では酒と肴しか売らん!! そしてパーキングは50's carの嵐じゃ! まいったか!!

 まあこんな楽しい夢をふくらませることが出来るのも、毎度素晴らしい新作を発表するTHE-KINGブランドのパワーのお陰じゃ! 諸君も夢へのリスタートとして、「ブルゾン」「ホワイトナッソースーツ」「カスリ調パンツ」すべてしっかりゲットして、次の季節のオシャレ準備をおこたらんようにな!






七鉄の酔眼雑記
 〜ひえー!終の住処だとお〜?

  チト堅苦しいオハナシになるが、過日本年度の「芥川賞」と「直木賞」が発表されたのお。 知っとるよな。 日本文学界の最高栄誉の賞じゃ。 そんで「芥川賞」受賞作品のタイトルが「終の住処(ついのすみか)」じゃ。 わしはまだ読んでおらんが、何でも44歳のサラリーマン作家によって書かれた、長年の会社勤めと家族生活の果てに辿り着いた「人生終焉の地」の物語らしい。 このご時勢、ご家族をもったサラリーマン諸氏は大変な苦労をされており、そんな彼らの心情に訴え、新しい希望と勇気を与える・・・とかなんとかが、受賞のポイントになったらしい。
 このタイトルと作家殿の年齢を見て、わしは久しぶりにドキッとしてしもうたわい。 「“終の住処”ってえのは、つまり死に場所ってことか? しかもわずか44歳でそんなことを考えて書けるのか!」 いやあ〜恥ずかしながら、わしは44歳どころか、プラス云十年経った今でも、そんなことは一度も頭をかすめたことがなかったわい。 世の中ってえのは、わしが考える以上に真面目に人生に取り組んでコツコツと努力しておるお人が多いんじゃなあ〜と、反省はしておらんが、そういった方々の健闘をあらためてお祈りする気持ちになったもんじゃ。
 「芥川賞」といえば思い出されるのは、1976年の受賞作品「限りなく透明に近いブルー」(村上龍著)じゃ。 芥川賞史上最大の衝撃的作品と評され、受賞の理由が「とにかく日本文学史にまったくないストーリー」。 70年代当時のロック的若者の荒涼とした生態を露わにした作品であり、後に映画にもなったのお。 若者たちは「やっとオレたちの気持ちを代弁してくれる同世代の作家が現れた!」となって大変な騒ぎになったもんじゃ。

 「ブルー」と「終の住処」との間には33年もの隔たりがある。 時代は確かに変わったが、芥川賞も変わったのか・・・? でも「ブルー」の中で描かれていた若者は、ロックとドラッグとセックスに瞬時の“終の住処”を求めていたと読めなくもない。 それは幻想であると分かってはいても、延々と求めて続けてしまう。 やがて“終の住処”を求め続けることにも疲れ果てて、人生の迷路を自ら複雑にしてしまう、といった雰囲気で「ブルー」は終わっておった。 あの時熱狂的に「ブルー」を読んだ連中は、「終の住処」をどう感じておるのじゃろう。 わしも久しぶりに文学ジジイしてみるかのお。

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