ROCK FIREBALL COLUMN by NANATETSU Vol.74

 チト気が早いが、21世紀になってそろそろ10年を迎えようとしておる。 やはり巷で言われる通り「21世紀は女性の時代」のようじゃのお。 なんつっても「草食系男子」なんて言葉が市民権を得ており、さらに「オトメン」なんて分類のされ方もあり、おとなしくて、キレイ好きで、健康志向の男性をそう呼ぶのだそうじゃ。 彼らは一様に色白、細身、平和主義者、倹約家であり、女性からは“からかい”の対象になっておる。 しかし実は「イケメ〜ン!」「さわやか〜」「やさしそ〜」なんつってチヤホヤされておるのも、この「草食系男子」「オトメン」の連中じゃ。
 う〜ん、その内に「ほうれん草系」とか「大根系」とか「ねぎ、にら系」なんて細分化されていくんじゃあるまいな。 なんだか女性が男性をペットか昆虫扱いをしておるようでどうも釈然とせんぞ!(テメーが言われているんじゃねーんだから、ヤキモチ焼くな!って大きなお世話じゃ)
 よ〜く考えてみるとだな、男性社会の代表みたいなロック界においても「草食系」といえるビジュアルのロッカーは昔っからおったな。 彼らはビールよりオレンジジュースを好んだりとか、若いのに既にベジタリアンであったりとか、ツアーが嫌でバンドを脱退したりとか、ロッカーとしては異色の存在じゃった。 しかし決してペットや昆虫扱いされることはなかったぞ! ロッカーとしての輝くばかりの才能があったからじゃ! ロッカーと呼ぶには女性ホルモンがチト強いものの、み〜んなTHE-KINGブランドで全身キメたらよりグレイトじゃろうな〜。 新作ブルゾンを羽織ったらキマるじゃろうなあ〜と思えるスタイリストをご紹介してしんぜよう! たまには女性的視点からロッカーってもんを眺めてみよう!

ロック史を彩った草食系美男ロッカーたち!
見てくれだけではなく、その才能もまた天下一品!



元祖草食系ロッカーは、才能の塊! 〜ポール・マッカートニー
 ブリティッシュ・ロック界は昔からハンサムなベーシストが多い。 きゃあ〜!かっわいい〜!!のロッカーってのはポール・マッカートニーから始まったのじゃ。 ポールはお生まれになられた時に産婦さんから「この子は将来、世界中の女性を泣かせることになるわ」と予言されたという逸話が残っており、成人してからの半世紀にも及ぶ驚異的な活躍ぶりは今更説明するまでもないじゃろう。
 歌唱力、楽器演奏力、作詞作曲能力、そしてルックス。 どれをとっても万人受けする、いやはや嫉妬する気にもならんほど巨大な才能の持ち主じゃ。 実生活では早くからベジタリアン(菜食主義者)であり、正真正銘の草食ロッカーじゃな。


70年代の英国ロック界を牽引した才色兼備のベーシスト 〜マーティン・ターナー&ジョン・ウェットン
 この人は草食系美男子というよりは、古典的なヤサオトコといったところかのお。 ちょいと二ヒルで甘いマスクのインテリづらは「ロック界のミスター女殺し」と言われたもんじゃった。 見てくれだけではなく、憂いを帯びたハイトーン・ボーカルと古代史をモチーフにした神秘的な詩作能力、更にドライブの効いた特徴あるベースプレイによって男性ファンも実に多かったと記憶しとる。
 何を隠そう、このわしもマーティン観たさに、彼の所属するバンドであるィッシュボーン・アッシュの73年の来日公演に出掛けたもんじゃ。 「ほほぉ〜白人の美男子ってのはこういう男のことを差すんじゃのお〜」とホレボレと見とれてしまった! 唯一の欠点は、ステージでもインタビューでも口数が多過ぎたことで、「男は黙ってサッポロビール・・・」とはいかんかったのお。
 ベーシスト兼シンガー兼コンポーザー(作詞作曲家)の美男子ロッカーとしては、同時期にもう一人ジョン・ウェットンもおった。 ファミリー、ロキシー・ミュージック、キング・クリムゾン、ユーライア・ヒープ、UKといった70年代を代表するブリティッシュ・ロック・バンドを転々としており、80年代はエイジアを結成して世界的な大成功を収めおった。


ハンサム・ベーシスト系譜の極めつけ! 〜ジョン・テイラー
 80年代でもっとも女性ロックファンに騒がれたバンド、デュラン・デュランの中でもひときわ輝いておったヤツじゃ。 それにしても甘すぎるぞ、このマスクは! 「いつまでの女性に騒がれることは重要なことなんだ」とよくもまあ、このガキはヌケヌケと! 他のヤローが言ったらブッ飛ばしもんじゃが、彼に言われてしまっては敵わんわい!
 おとなしくベース弾いとるだけでもガッポリ稼げたのに、時の寵児ナイル・ロジャース(シックのプロデューサー&ベーシスト)を口説き落として、別プロジェクトのパワー・ステーションを発足してもうひと山当てたり、ソロアルバムにはワールドミュージックのリズムに挑戦して話題を呼んだり、約束された成功に満足しないミュージシャンとしての積極果敢な姿勢は素晴らしかったのお。



天国にも地獄にも行ったロック界のマーク・レスター 〜ピーター・フランプトン

 マーク・レスターとは、映画「小さな恋のメロディ」で一世を風靡した美少年俳優じゃが、そんなたとえをされるほどの美貌が話題になっておったロッカーがピーター君じゃ。 ギターは上手いわ、歌は上手いわ、顔はカワユイわ、70年代初頭はグラビア・ロッカーじゃったな! しかしその話題性がレコードセールスに結びつかず、バンドメンバーやレコード会社とのイザコザも続き、美しいお顔は苦痛で歪んでおったそうな。
 そんな長年のうっぷんを一気に晴らしたのが、1975年に発表した「フランプトン・カムズ・アライブ」じゃった。 世界中で1,000万枚以上の巨大なセールスを記録して、彼はあっという間にロックスターダムの頂点まで上り詰めてしまった! しかしその後は何をやってもまったくダメオ君。 ロックの神様が用意したあまりにも両極端な結果に翻弄されてしまった訳じゃが、後年彼は「僕が体験したことこそ、ロックの世界ってもんだろう」と潔く語っておったな。


インテリに黄色い声はいらない・・・ 〜デヴィッド・シルヴィアン
 70年代後半の日本のロックグラビア誌のページを独占しておった美青年バンド・ジャパンのリーダーじゃ。 メンバー全員が妖艶なメイクアップをしていたジャパンは今で言うビジュアル系バンドのハシリであり、日本の女の子たちはそりゃもう大変な騒ぎ! 中でもシルビアン殿下の人気は絶大じゃった。 しかしジャパンのサウンドは完全な反ポップスであり、現代社会の廃墟や人間の精神的な暗部をえぐり出した歌詞を、頽廃的なサウンドにのっけて、シルビアン殿下はうめく様に歌っておった。
 その華やかなルックス故、音楽性がまったく理解されなかったことに業を煮やしたか、シルビアン殿下はジャパン解散後、坂本龍一をはじめとするクラシック系、ワールドミュージック系音楽家との交流を図ったとった。 発表したソロワークの数々からは、ロック界の狂騒から身を引き、自分の美意識に静かに没頭するピュアな姿勢を感じることが出来る。


王子様はロックン・ローラー! 〜ロジャー・テイラー
 まるで少女漫画の世界から飛び出してきた様な、おめめパッチリの金髪王子様ルックスを誇ったクイーンのドラマー、ロジャー様。 そのお上品なお顔を初めて音楽雑誌で拝見した時、「ロッカーの顔つきも変わったのお」とつくづく感じ入ったもんじゃった。
 一方、パワフルで手数の多いドラミング、ハスキーヴォイスでシャウトを連発するヴォーカルは、古典的なロックンローラーの系譜を受け継いだスタイルであり、ライブではロジャー・テイラーというロッカーの真髄をまざまざと見せつけておった。 激しいパフォーマンスの後に見せる涼しげな表情もまた女性ファンを狂喜させるだけの魅力十分! どっかの国のアイドル・ドラマーのように、プレイ直後に気絶してみせるなんつうクサイ演技はせんかったぞ!


エレクトリック・プリンスの名を地で行った天才バイオリニスト 〜エディ・ジョブソン

 ロジャー・テイラーが王子様なら、こちらは貴公子!(どこがどう違うのかよお分からんが) バイオリンとキーボードを自在に弾きこなすエディ君は、70年代のプログレ系のビッグバンドのあちこちから声をかけられる実力派アイドル・ロッカーの代表選手じゃった。
 ブラック系のタイトなシャツに白いベストを羽織り、なが〜い足をスリムのブルージーンズで包みながら透明のバイオリンと多数のキーボードを弾きまくるお姿は、まさにこの世の者とは思えんほど美しかったのお。 ちなみに80年代後半からは、表舞台には一切登場しなくなった。 クラシック・ミュージシャンを目指しているとか、スタジオ・エンジニアとしての勉学に没頭しているとか、その真相は定かではない・・・。


華やかさを誇示しなかった慎ましやかな職人ギタリスト 〜スコット・ゴーハム
 「コイツ、ギターの練習より、リンスや顔パックしている時間の方が長いんじゃねえのか?」と男性ロックファンから嫉まれた(?)、美しいロンゲと育ちの良さそうなマスクがトレードマークだったシンリジ―のセカンドギタリスト。 こう言ってはなんじゃが、リードギタリストの方が“ドラ猫ズラ”のブライアン・ロバートソンか、“ブルドック・フェイス”のゲイリー・ムーアだっただけに、スコット坊やの華やかさはより一層引き立っておった!
 わしはこの目で確かに見たのじゃが、スコット君はやろうと思えばリード・ギタリスト同等のプレイが出来るのじゃ。 それでもいつも控え目な姿勢を変えようとしなかったこの人は、ロック界では珍しい人格者だったに違いない!


花の命は短くて・・・ 〜ランディ・ローズ
 ラストは若くしてこの世を去った美男子ロッカーじゃ。 ランディ様は、汗臭くて暴走族上がりのような輩が多いへヴィ・メタル界において、まるで天使のようなまばゆいルックスをしておったな。 飛行機事故によって僅か25歳でこの世を去った時、「ランディは本当の天使になったんだ」とファンは哀しみの涙にくれたという。
 クラシック・ギターのスタイルを本格的にロックに導入した最初のギタリストとしても有名であり、この人があと5年長く生きていたら、へヴィメタルは世間からもうちょっとまともな評価を受けることができたに違いないと語り継がれておるな。

 
 やれやれ、年甲斐もなく、まるで乙女のように胸キュンしてしもうたわい! 一応断ってはおくが、わしは“そっち系”の趣味はないぞ。 ロッカーとしての才能を磨いておったもんしか、わしはその美しさを認めておらんからな!
 時代は変わり、人々の価値観も変わり、男性が化粧品を買うのが当たり前になり、鏡を見る時間が長くなってきたらしいが、それもよし! ただし女の子ちゃんじゃないんだから、ロッカーを自負しとるもんはまずロッカーとしての本道を踏み外さんようにな。 音楽もファッションもゴールデン・フィフティーズ・スタイルからじゃ。 今日もしっかりTHE-KINGブランドのラインナップをチェックすることをおこたらず、新作ブルゾンを今すぐに注文してロッカーとしての正しい身だしなみを追及することを忘れんようにな!
 美男ロッカーも結構じゃが、ただひとつ彼らに欠けていたのはだな、THE-KINGのファッションで身を固めていないことであ〜る! 
 





七鉄の酔眼雑記
 

 春らんまん!の季節になって、その有難味を充分に味おうとるわしじゃが、やはり楽しいことばかりじゃないのお、人生ってやつは。 春は「出会いと別れの季節」でもあり、今年は別れが多かったんじゃよグスン。 わしの友人、知人の間で転職、転居が続いてしもうて、送別会を何回もやったんじゃ。
 日本に本帰国してからこの3年あまりの間は、わしの人生の中でも有数の有意義な出会いがたくさん続いたもんじゃったが、旧友ではのうて、その新しき友人たちが次々と遠くへ行ってしもうた。 出会いの有難さを噛みしめておる間にお別れになるってのは、やっぱり切ないもんじゃのお。
 
 唯一の救いは、転職、転居していった彼らのほとんどが、自らの意志によって人生の新しいステージに向けて旅立っていったことじゃ。 不景気の波にのみ込まれたり、家庭の事情とかで、泣く泣く転身を余儀なくされた訳ではないことじゃな。 春の陽光を浴びて、新しい可能性を信じて旅立って行った彼らの姿には、おいぼれとはいえ、このわしも前向きに生きる勇気ってもんを確かに分けて頂いた気もする。
 
 さあてちょっとシンミリもしたお春さんが去れば、ビールの美味いお夏さんがやって来る。 同時に、あの胡散臭くてやかましいビール、発泡酒のCM戦争が始まるな! 「うまさド真ん中」とか「素直に美味いって言えばいいじゃない!」なんつう末期的コピーが既にはびこっており、この夏はどうなるのやら・・・。 マツザカ君、あんなCMに出てバカズラこいて笑っとるから肩を壊すんじゃ、ドアホッ!

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