ROCK FIREBALL COLUMN by NANATETSU Vol.73

 我らがSAMURAIジャパンの優勝で、少しはにっぽんも元気を取り戻したようじゃな。 うむ、やっぱり若者も年寄りも、男も女も、み〜んなががひとつになって熱狂するってのはええもんじゃ! 世紀の一戦と言われた決勝戦の興奮がクールダウンしたある日、野球好きの若者に「ワールド・ベースボール・クラシックのクラシックってどういう意味ですか?」と聞かれた。 ほほぉ〜グッド・クエスチョンじゃのお〜。 諸君は知っておるか?
 イベントをクラシックと表現する言語感覚は日本人には薄いのお。 アメリカではスポーツの大きなイベント、特に歴史的に古く、または末永く大衆に愛されてほしいと願う大会には「クラシック」(古典)というネーミングが使われるんじゃ。 代表的なのは「フォール・クラシック」であり、これはメジャーリーグの秋のメイン・イベント「ワールド・シリーズ」のことじゃが、庶民の間では「フォール・クラシック」の方がイキな表現として好んで使われておる。 
 一方、ベースボール同様にアメリカで生まれたロックの世界においては、こうした特例はあまりないもんじゃ。 それどころか、和製英語ともいうべき、ロックの本場においてあんまり通用しない表現が、この日本では当たり前の顔をして一般的にはびこっておる。 いつまでもこんな状態では本場の真のROCKフィーリングを味わえんぞ! それに、ここんとこ、円高に乗じて海外旅行を計画しておる輩が結構おると聞いておるので、現地で通用しない和製英語の正しい使い方をこのわしがレクチャーしてしんぜよう。 なあ〜に、基本中の基本だけじゃ。 諸君、外国語なんざ恐るに足らんぞ! 基本的なトコを正しく使えれば、あとはノリでええんじゃ、ノリで! 新作「50s コイン・ローファー」をゲットしたなら、知識やセンスのロック的オシャレもしてしまおう!


〜七鉄のROCK英語基本講座〜
ROCK英語の正しい知識とセンスを身につけて、本場のROCK 'N' ROLLを堪能しよう!


本題に入る前に一応断っておこう。 上部の肖像画は決してわしではないぞ! なに〜わしそのものがクラシックじゃとう〜?大きなお世話じゃ、ダアホッ! わしはまだしっかり髪の毛は残っとるわい! これは大亜米利加音楽研究協会理事長のイシアタマ教授とでもしておこう。 教授の威厳をお借りして、今回の講座に箔をつけようとしたまでじゃ!

■Lesson-1 ROCK じゃなくて、海外では ROCK ’N’ROLL

 まずは基本中の基本からいくぞ。 なにはともあれ「ROCK」という音楽ジャンルの言い方じゃが、実はアメリカではあまりROCKと言われてはおらん。 「ROCK’'N’ROLL(ロックン・ロール)」の方が断然ポピュラーなんじゃ。 
 まあどうせ我々日本人は英語ちゃんを正確に発音できないんじゃから、ROCKっつっても、岩(ROCK)か鍵(LOCK)に聞こえてしまっても仕方がないんで、海外ではROCK ’N’ROLLって言い方でキメてしまおう。 ロッカーのインタビューをぎょうさん聞いてきたわしも、彼らが自分たちの音楽を「ROCK」と言っているのを聞いた覚えがほとんどない。 ベテランから新人まで、みんな「ROCK’N’ROLL」と言っておる!


■Lesson-2 LIVE というよりは CONCERT、STAGE
 「LIVE」(ライブ)という言い方も「ROCK」と並んで意外と通用しない言葉なんじゃよ。 これはCONCERT(コンサート)、またはSTAGE(ステージ)の方が適切じゃ。 それとSHOW(ショー)とも言うぞ。 LIVEとは、観客の前で演奏をする行為そのもののことで、「演奏会」「音楽会」になるとCONCERTになるらしい。
 ただしライブ盤のタイトルには、ロックの場合は迫力をつけるために「LIVE」が好んで付けられるらしい。 クラシックの実況録音盤のタイトルにおいてLIVEとネーミングされることはまずないのじゃ。
 ちなみに具体的なコンサート会場の名を付ける場合は、会場名の前にIN ではなくてATを付けよう。 INはその会場のある都市や州、また国の名前まで付ける場合の定冠詞じゃ。


■Lesson-3 ENCOLE はダメ。 強いて言うなら CURTAIN CALL
 既に20〜30年も前から言われ続けておるものの、日本の中で一向に直っておらんのが、これじゃ。 ライブで出演者の再登場を願う時の掛声じゃが、日本人は「アンコールッ!アンコールッ!」って叫んでおるが、あれは欧米人にはまったく意味不明なのじゃ。 本場では出演者の名前を連呼するだけで充分であり、「アンコール」とは絶対に言わんのじゃよ。 再登場!という意味においては「カーテン・コール」が正確な言葉じゃが、これも掛声に使われることはまずない。 
 おもしろいのは、辞書で「ENCOLE」と調べると、日本人が知っている意味がしっかりと表記されておる。 じゃあなぜ通じないのかというと、お相手に対してある行為を促す場合には、英語圏では名詞形の言葉は使われない、という言葉の習慣の違いじゃ。


■Lesson-4 ROCKER は存在証明用語、ROCK ’N’ROLLER は職業用語
 ROCKERとROCK ’N’ROLLERとの区別は、正確にはわしもよお分からん。 じゃが現地のロック評論文なんかを読んでみると、どうやらROCKERとは、音楽活動をしている、していないに関わらず、人生や生活そのものがROCKしている人間のことのようじゃ。
 一方ROCK ’N’ROLLERとは、ロックをプレイすることを職業としている者全員を言うようじゃ。 銀行員をBANKER、運転手をDRIVERと呼ぶのと同じ感覚じゃよ。 ROCK ’N’ROLLERの中でも、私生活は一般人と同じようなスタイルの者は、あまりROCKERとは言わんようじゃな。 ということは、わしも諸君もROCKERじゃな!


■Lesson-5 JAM は遊び、真剣なセッションは INTER PLAY

 日本では、気の合う者同士がスタジオに集まってセッションすることを十把一絡(じゅっぱひとからげ)に「ジャム」(もしくはジャム・セッション)と呼んでおる。 じゃがJAMというのはお遊びのセッションのこと。 真剣なセッションはINTER PLAY(インタープレイ)じゃ。 即興演奏のニュアンスを強くするためにはINPROVISATION(インプロビゼーション)じゃ。


■Lesson-6 BLUESの発音は「ブルーズ」
 音楽ジャンル上の「BLUES」という言葉は、ブルースと発音してしまったら通じないぞ。 これは「ス」の部分をやや小さく飲みこむような感じで「ズ」といったらバッチリ。 発音に自信のない方じゃったら、「ブルーズミュージック」と続ければ言い易いぞ。
 「BLUES」とはその綴りからもわかるように、「BLUE」(青)の複数形であり、ブルースと言ってしまうと単なる青の複数になってしまうのじゃ。


■Lesson-7 GUITALIST は GUITAR MAN の方がロック的
 元々GUITALIST(ギタリスト)という言い方はクラシック音楽の世界で使われていたお上品な表現らしく、それに対抗するべく(?)、ジャズやブルースが発祥した当時から、ポピュラー音楽サイドでは「GUITAR MAN(ギターマン)」と呼ばれておったそうじゃ。
 なんだか「ミラーマン」みたいでイカさない、プロっぽくないというのは日本人のセンスであり、こっちの方がロックンロールのギター弾きとして相応しい呼び方ってのが本場のセンス。 エルヴィスのアルバム・タイトルでもあるではないか! 同様にベーシストはベースマン、ピアニストはピアノマンの方がええ。


■Lesson-8 DRUMMER は PERCUSSIONIST でいこう

 「ギタリストがギターマンだから、ドラマーはドラーマンだな!」なんつって早トチリせんようにな! それじゃまるでマズイお饅頭みたいじゃ。 ここはPERCUSSIONIST(パーカショニスト)とスマートに言うように!
 ドラマーってのは、スリム・ジム様のような超イカすお方は別として、バンドプレイヤーの中では目立つ機会の少ない立場にあるが、そんなドラマーたちの立場を少しでも持ち上げてあげるために、打楽器の総称であるパーカッションを文字ってこういう言い方になったという説がある。 要するに太鼓類だけではなく、打楽器類を幅広くカバーできるヤツってことじゃ。 古いロックン・ロール・アルバムのメンバー表記をみると、ドラマーの担当楽器表記が「Drums and Percussions」となっとるのがたまにあるが、これもドラマーの担当パートを少しでも広く見せようとする同様の心づかいじゃ。


■Lesson-9 FUCK は褒め言葉としてもOK!
 これはアメリカ帰りの若者から仕入れたネタじゃが、最近では「FUCK」という表現は褒め言葉に使われておるらしいんじゃな。 80年代ぐらいまでは放送禁止用語だったのに、時代が変われば言葉の意味も変わるということか?! 最近日本でも「イカレタ」つう表現が「気ちがい」ではなく、「超クール!」という意味合いになってきているようじゃのお。
 例えば日本で言うところの超イケメンは「ファッキン・クール・マン」とか、サイコーのライブを「ファッキン・グレイト・パフォーマンス」とか言うらしい。 ただし日常的にはまだそのような使われ方はされていないようであり、コンサートとかスポーツ・イベントなどで熱狂的な声援や讃辞を送る場合に登場するらしい。 ニュアンスとしては「もうこれ以上の素晴らしいモンはねえぞっ!」って、褒め言葉がみつからないほどスゴイ場合の究極の表現らしい。


 どうじゃ。 ROCK英語講座とはいっても、極めて簡単だったじゃろう。 何事も基本を知っておれば恥をかくことはないんじゃ。 逆に言えばだな、ROCK英語においては、その基本すら教えられていない場合が多いのじゃ、この日本っつう国は。
 9つのレッスンでは“怖いものなし!”とはもちろんいかんが、最低でもこの9つを押さえておいて、あとは英会話は実践あるのみじゃ! ロックの本場のファンと出会ったならば、知っておるロッカー名や作品名を連発しながら、グレイトとかクールとかをテキトーに織り交ぜていけば、結構会話が成立するもんじゃ! おっと、グレイト&クールなTHE-KINGブランドの話題も忘れんようにな! 「コインローファー」を1秒でも早くゲットして、全身THE-KINGブランドでキメておけば、究極のロック・ボディラングエイジが可能じゃ! イカしたロック・ファッション・アイテムこそ世界共通語であ〜る!  
 





七鉄の酔眼雑記
 

 世の中は空前の不景気だというのに、その一方では異常な円高とドルショックによる燃料費の下落で、この夏の海外旅行者が激増するのは間違いなさそうじゃ。 わしの知り合いで旅行代理店勤めのモンがおるが、オーダーの殺到を見込んでおる会社の企画室は連日連夜の大激務状態らしい。 やっぱり、いつの世も“泣くか笑うかのどっちか”ってのは本当のようじゃ。
 諸君の中にも円高ブームに乗じて海外旅行を計画しとるお方も多いことじゃろう。 ここはミスター・トラベラーのわしから、とっておきの情報を提供したいところじゃが、羽振りのいい輩の陰で泣いておる輩の心中をおもんぱかるとして、ここはひとつ浮かれ過ぎないよう、旅行者への苦言を呈しておこう。

 ええか諸君、どんなに外国語が達者でも、どんなにお金を持っていようと、海外で現地人に受け入れてもらえるか、否かはマナーの良し悪しじゃ。 それは別の国で生活させていただいている、旅をさせていただいている、という謙虚な姿勢をもって行動することじゃ。
 日本人をはじめとする、中国人、韓国人、台湾人らの旅行者の評判を知っとるか? どこの国の国民でも口をそろえて言っとるのが、アジア人の旅行者にはこの謙虚な姿勢が無さすぎるってことじゃ。 この点をしっかり認識して海外旅行へ出かけてほしいもんじゃ。 どうか現地の人々に迷惑をかける行為は慎んでいただきたい。
 特に発展途上国に行ったら、必ず先進国日本の国民であるというプライドが首をもたげてくるので、より謙虚になるべし。 円高という一時的な現象による特権で旅行が出来ているんじゃから、なおさらデカイ顔をせんようにな。 「能ある鷹は爪を隠す」じゃぞ。
 それから海外旅行初心者にも一言、旅行の日程が半分過ぎたあたりから日本人は必ず「ああ、日本食が食べたい!」から端を発して、現地の悪口を言いだすもんじゃ。 この点も要注意じゃぞ。 「文句があるならオレたちの国に来るな!」ってのが現地人の言い分じゃ。

 さて、わしも気を付けねばならんな。 海外に行くとどうしても酒量が増えてしまうからのお。 普段飲みつけていない酒も、その生産国に行って飲むとうまい!から困ってしまうんじゃ。 日本におる時からのトレーニングが必要じゃな、って酒ネタになるとオチがいつもしょーもない! 「気をつけよう、旅先の誘惑と現地の酒」じゃ。


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