ROCK FIREBALL COLUMN by NANATETSU Vol.71

 THE-KINGの新作ドレスシューズのグレイトな完成度を目の当たりにしたこの七鉄、まだその興奮の余韻に浸っておるところじゃ! 長い冬を耐え忍んでおった甲斐があったってもんじゃ。 ご自慢のアメリカン・ロングコートは次の冬までお役御免とさせていただき、これからはドレスシューズで春の第一歩を踏み出すぞおー! ロックじゃ、シャウトじゃ、酒じゃあ〜。 その昔「帰って来たヨッパライ!」って歌があって、「天国良いとこ一度はおいでえ〜。 サケは美味いし、ネーチャンはキレイだ!」ってフレーズがあったもんじゃが、まっ天国行きはまだご遠慮しておいて、酒も美味いし女性も綺麗に見える春を満喫するのじゃ! わしに続け、諸君!
 ってことで、今回は「女性賛歌のロック・ナンバー」を連発しよう! ロックのエネルギーの基本のひとつは「レディ」じゃよ、諸君! 日本でも新しい恋人ができたら「春がきた!」って冷やかされるではないか! どうじゃ、この時期にピッタリのテーマじゃろう! 一応断っておくが、最近ハヤリの「きみは やっぱり こなかったあ〜」なんつったまどろっこしいのや、「ぼくが まもって あげるよお〜」なんつったムセキニンなのはいらん! ストレートに愛する女性の名前をタイトルに使用したナンバーでいくぞ。


♪〜Oh Pretty woman ! Come back to me〜♪
春爛漫の時期に聞きたい、“愛しいあの娘”の名を呼ぶゴキゲン・ロック集

♪tune-1 ルシール/リトル・リチャード 
♪tune-2 ロング・トール・サリー/リトル・リチャード、ビートルズ

 ノッケから飛ばすぞ! 「ルシール」はもはや古典的なストレート・ラブ・ロックじゃな! 「ルゥシィイイイールッ!」ってわめき散らす、ビッグ・フェイスのリチャード君のお姿だけを見ておるとお笑い寸前なんじゃが、やっぱりサウンドがかっこええ! ギターもベースもドラムもみ〜んなで「ルゥシィイイイールッ!」ってわめいているようで実に爽快じゃ! ヘナヘナどもが集まる「メイド喫茶」のBGMにして奴らの脳みそを活性化させてみたいもんじゃ! 
 「ロング・トール・サリー」の方はイントロ代わりにいきなりリチャードくんご自慢の大シャウトが炸裂しまくる爆発ロックじゃ。 女性からしてみれば、いきなりデカイ顔じゃなくて、デカイ声張り上げられたらドン引きするんじゃないか?と余計な心配をしてしまう(?)ほどハイテンションじゃな。 まあ自分よりも身の丈が大きい女性に求愛するんなら、これぐらいの気合が必要なのかもしれんな!
 その昔、日本に「ミュージックライフ」というロック専門月刊誌があって、新刊を告げるラジオ・コマーシャルのBGMにこのナンバーのビートルズ・ヴァージョンが使われておった。 「よっしゃあー!買ってまえっ!!」って気分にさせたド熱いナンバーじゃ。 もちろんエルヴィスもかましておったな!


♪tune-3 グローリア/ゼム
 60年代にアイルランドから登場した、名シンガーのヴァン・モリソン率いるゼムの大ヒット・ナンバーじゃ。 “グローリア”という年上のセクシーガールに思いを寄せる少年の性的な妄想が、実にリアルに歌われておる。
 歌詞を正確に記述するのはちとヤバイが、大意はこんな感じじゃ。
 「あっグローリアがやってきた! おっこっちきた!! うっ僕の口の中に入ってきた!!! も、もうだめだあ〜、ボクちゃんをメチャクチャにしておくれ、オネガイイ○セテくれグローリアー!!!」 
 曲の動と静とを見事に操るヴァン・モリスンのヴォーカルは絶品であり、60年代末期には数多くのロックバンドがステージでカヴァーしておったもんじゃ。 しかしサウンドはイカしておるのに、ジャケに写るゼムのメンバーはオシャレじゃないのお〜。 THE-KINGのドレスルームに引っ張っていきたいところじゃが・・・。


♪tune-4  愛しのレイラ/デレク・アンド・ザ・ドミノス
 愛する女性の名を絶叫するっつうことでは「ルシール」と双壁を成す、ロック史上に残る名曲じゃ。 ご存じエリック・クラプトンの「れいるわあ〜」なる狂おしいばかりの連呼は、いつ聞いても胸に突き刺さってくるのお〜。(わしに突き刺さっても何もならんが・・・) 友人ジョージ・ハリスンの奥様パティに惚れてしもうた苦しみが生んだ曲じゃが、まさか「パティ〜!」と叫ぶ訳にもいかず代わりに「レイラ」となったんじゃ。
 このレイラとは、中世の悲恋物語「ライラとマジュヌーン」に登場する“ライラ”のことらしい。 物語はライラという美女に激愛して狂人と化してしもうた男マジュヌーンの悲劇じゃが、クラプトンはまさに狂人のごとく愛しい女性の名を叫んだという訳じゃ。 クラプトンの熱過ぎる思慕の念をさらにかきたてるような、デュアン・オールマンのむせび泣くスライドギターも名演じゃ。

なんかわしの時速250キロ!の剛速球ばりのラブ・ソングばっかりで攻めてきたので、ここらでちょいと緩急(?)を使って諸君のロックン・ロール・ハートを手玉にとってみようかのお。。

♪tune-5 ローラに好きだと言ってくれ/レイ・ピーターソン
 諸事情により、エルヴィスがロックをお休みしておった60年代初頭、ミュージック・シーンは何故かハンサムな白人男性が女性に媚びるベタベタアマアマのポップスが大流行! その時期の代表曲がこれじゃな。
 「好きだと言ってくれ」だとお〜? バカモノッ!んなもんテメーで言え!と一喝してやりたいところじゃが、この曲、出だしはエルヴィスのしっとり系ラブ・ソング特有の雰囲気のマルコピ状態であり、エルヴィスの歌心をそれなりに研究しとるということで許してやるか。 まあ、最近のヘナヘナ・ラブソングのはしりってなナンバーじゃが、ピーターソン君はこの一曲だけで今でも飯を食えとるそうじゃ。


♪tune-6 ジョリーン/オリヴィア・ニュートン・ジョン
 清楚なお嬢様シンガーとして、70年代前半に日本で大人気を博したオリヴィア。 耳に心地よいクリスタル・ヴォイスで数多くの美しいお歌を歌っておったが、唯一(?)ロックンロール調の軽快なナンバーがコレじゃ。
 「ジョリーン、ジョリーン、ジョリイイイイイイイン!」って女性の名をしつこいぐらいに連発しとる! ジョリーンという自分より美しい女性に、大事な大事な彼氏を横取りされそうになるのを「お願いだから、止めて!」って懇願しとるようじゃ。 が、実はレズビアン・ソングなんじゃないか?とも噂されておったな。


♪tune-7 シー・エミリー・プレイ/ピンク・フロイド
 ロック史の中でもっとも奇妙で病的に狂ったラブ・ソングはこれじゃろうな。 エミリーという消えてしまいそうな儚い美しさをまとった女性を遠くから眺めて、妄想と狂気に落ちていく男の物語じゃ。
 60年代末期特有のサイケデリック・サウンドをグニャグニャにしたようなサウンドが、更に男の狂気の模様を強調する・・・ってもう止めておこう。 惚れた女にゃ、ストレートに行け! さもなくばこうなってしまうぞ、という反面教師的なラブ・ソングじゃ。 ちなみに発表当初(67年)の邦題は笑えたな。 「エミリーはプレイガール」って、全然違うじゃろう!


♪tune-8 キャロル/チャック・ベリー、ローリング・ストーンズ
 
ここら辺でアソビは止めて、本道に戻るぞ!
 チャック・ベリー・おじちゃまは、同じゴッド・オブ・ロックでも、リトル・リチャードとは違うて、女性の名をわめき散らしたりはしとらんな。 キーになる言葉としてサウンドの中に見事に溶け込ませるとでもいうか、意外と(?)お上品に取り扱っており、リチャードとのロック・センスの違いが分かるってもんじゃな。 やっぱりこの偉大なるロックおじちゃまはギタリストなんじゃのお〜。
 そう言えば、68年だったか69年だったか、このナンバーを見事にカヴァーしてライブで披露するローリング・ストーンズを観たおじちゃまは、キース・リチャーズに言ったそうじゃ。「若いの、なかなかやるのお。 どうじゃ、レコードでも吹き込んでみんか?」ってな!


♪tune-9 アンナ/ビートルズ
 私的な体験談で恐縮じゃが、ロックもエルヴィスもまるっきり興味の無いわしの姉貴殿が、その昔ロックで唯一印象に残っている曲と話しておったのがこの曲じゃ。
 どこでどのように聞いたのか、姉貴殿はまるっきり覚えておらんらしいが、「ア〜ンナッ!」っつうジョン・レノンのビミョ〜に甘ったるく、どこか醒めたような歌い回しが何故かハートから離れんかったらしい。 女ごころを掴むとはこういうことを言うんじゃろうな。 ニクイねえ〜、ジョン・レノン君! ドレスシューズを履いてアンナさんに歌えば、口説きはパーフェクトじゃ!! オリジナルは、ブラック・ソウル界の巨人アーサー・アレキサンダーじゃ。


tune-10 スージーQ/クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル
 CCRは、60年代末期にカントリー・ミュージックを極限までロック調にかっこよくアレンジして暴れまくっとった我が愛しのバンドのひとつじゃ。
 このナンバー、ラブ・ソングっつうもんは、愛する女性の名前を絶叫したり、連呼するだけが能じゃない!ってことを証明した(?)不思議な人気ナンバー。 「おぉスージーQ、おぉスージーQ
・・・オマエサンって女は・・・ふぅ〜愛してるゼ」と静かに訥々と歌っており、ちょっと不気味でもあるが、こんな落ち着き払った口説き方にコロッと参ってしまう女性もおるじゃろうから、諸君も参考にするようにな!


♪tune-11 マリア/ゴッズ
 シメはなんにするか悩んだが、地球上のすべての女性に敬意を表するために、聖母マリア様にご登場いただきたい!ところじゃが、マリア様の名をストレートに呼ぶロック・ナンバーはなんて・・・と思うとったが、思い出した!
 「ゴッズ/神々たち」と命名されたこのバンド、ビッグロッカーたちが集まったスーパーバンドではない。 70年代前半に突然百花繚乱状態を迎えたキーボード・ロック・ブームをけん引しておった一人、ケン・ヘンズレー(ユーライア・ヒープ)がマイナー時代に結成していたバンドじゃ。 教会音楽(?)とロックとの融合を模索しているような実験音楽集団であり、「マアリイ〜アア〜」と聖歌隊のように神妙に歌うのであ〜る!
 ちなみに、妖艶な女性シンガーとして80年代に人気を博したデボラ・ハリー(ブロンディ)が歌った「マリア」の方は大ヒットしたが、あちらさんはどうも聖母マリア様のことではないようじゃ。

 この他に有名どころでは、ミック・ジャガーがデヴィッド・ボウィの奥方アンジーを横恋慕しようと歌った「アンジー」、ダリル・ホール&ジョン・オーツの出世曲「サラ・スマイル」、バディー・ホリー先生の「ペギー・スー」なんかがあるが、どうもわしの春の酒宴のBGMとしてはフィットしないので詳細はカット。(笑) なお諸君からはストレイキャッツの「ジーナ」が何故ないんだ、ドアホッ!とかまされそうじゃが、まあまあ。
 リトル・リチャードの爆発ラブ・ロックでスタートした割にはしっとりとエンディングを迎えた訳じゃが、はしゃぎまわるだけではレディに相手にされんぞ! 冷静さを取り戻して「フィフティーズ・コンビ・ドレスシューズ」をしかとゲットして、愛するレディのもとへ突っ走れ!





七鉄の酔眼雑記
 求めよ、されば報われん!

 諸君、いい出会いをしとるか? MIXYとかなんとかサイトもええが、やっぱり人との出会いってのは、偶然が一番楽しいし、ありがたい。 わしはつい最近、偶然にして有益な出会いがあったので、ちょっと語らせてもらうぞ。
 先日のある深夜、地元の24時間営業のレンタルDVD屋さんに出かけた時のこと。 目的のDVDが見当たらないフラストレーションから、猛烈にウィスキーが飲みたくなったんじゃ。 不覚にも自宅にウィスキーを切らしており、こうなったら深夜営業のバーを探すしかない。 しかしわしの地元は静かな下町であり、深夜営業のバーなんざ、和風カラオケスナックの類しかない。 「さて、どうしたもんか」と思案しとったところ、レンタル屋さんと大通りを挟んだ向かいのビルの3Fに小さな灯りを見つけ、店内からジャックダニエルのネオン菅が光っておるのを発見した。 おぉ灯台もと暗し! なんという素晴らしき偶然!! 最近老眼の症状にイラついていたとはいえ、異常に強い遠視力だけは今だに健在なのじゃ!

 とまあ、ここまではラッキーな酔っ払い談話じゃが、ここからがオモシロイ。 オキニのウィスキーをダブルで3杯ひっかけて一息付いたその時、カウンターの右端のさりげなく置いてあるボトルにわしは驚いてしもうた。 それは「マリアッチ」という名の、日本の酒場ではあまり見かけないメキシコ産テキーラのボトルだったのじゃ!

 実はわしは今、未だ足を踏み入れたことのない中南米地域、メキシコ、プエルトリコ、キューバあたりの旅を計画しており、その情報を収集するべく、当日の夜も中南米関連の映画を探しにレンタル屋に来たのじゃ。 また当然のごとく、中南米の酒や音楽にも片っ端からトライしておるのじゃ。 中南米の酒なんてドデカイ酒専門店にしかないので、下町の深夜バーで出会えるとは感激したのじゃ。 そしてわしの驚きをすばやく察知したマスターが話しかけてきて、なんとそのマスターは旅行はメキシコしか行ったことがないという素晴らしき偏屈モンということが判明!
 書籍やネットではなく、体験者の生の声による中南米情報を聞きたかっただけに、予期せぬ所で求めるべき人物に出会うことが出来たというわけである。 それからは時間があれば、メキシコ話を聞くためにそのバーに通っておるという訳じゃ。 旅の神様、酒の神様サンキュー・ベリイマッチ!


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