ROCK FIREBALL COLUM by NANATETSU Vol.63

 急激に冷え込んできた今日この頃じゃが、地域や都市の名がタイトルになった曲名から諸君の想像力に熱く火を付けて、いまだ見ぬ世界の都市へ思いを馳せてほしいこの企画、第二弾はお待ちかねのロックとポップスの大国アメリカじゃ。  アメリカはとにかくドデカイ。 ビッグシティもぎょうさんあるので、地方、州、都市、ストリートがテーマになった曲なんざ、それほど星の数ほどあるのじゃ。 だからテーマや切り口を設定して絞り込みをせんといかん。 じゃが、そのテーマだってまた死ぬほどあるから困る・・・。 
 アメリカン・ミュージックとなりゃあ、「わが愛しのジョージア」「テネシーワルツ」あたりのクラシック・ポップスから攻めたり、ルート66に沿って行ったりするのが筋とも言えるが、それをやると先が長いにもかかわらずノッケからバーボンがハイピッチになってしまいそうじゃ。 
 仕方ない! 今回もわしの行ったことのある場所にしぼるとするかの〜オッホン♪ 今だに尾を引くギックリ腰を耐え忍びながらお送りするので、ごきげんにミステリートレインに乗った気分で楽しんでくれ〜い。 とりあえず今回は西海岸と中央アメリカの一部までじゃ。 円高ブームに乗じて海外旅行を計画している方がいらっしゃるなら、是非とも参考にしてくれ。 もちろん、旅の前にTHE-KINGのアイテムで旅の装いをキメることも忘れんようにな!


ロック曲名世界旅/ロックとポップスに描かれた世界の都市〜その2 アメリカ編(前編)
 

♪tune-1 L.A.ウーマン/ドアーズ
♪tune-2 ロサンジェルスにやって来て/アーロ・ガスリー
 まずは西海岸随一の大都市、ロサンジェルスからいこうかのお。 大都会と大自然とエンターテイメントのメッカ、ハリウッドが共存する未曽有の地域じゃが、ロックに取り上げられた回数は案外少ないのじゃ。
 まずドアーズのナンバー。 人間社会の天国と地獄とが背中合わせになったロサンジェルを、男を狂わす魅惑的な女性にたとえながら、「オレはお前にオサラバしないと、次の人生がはじまらねえんだ!」とガナり立てる惜別のナンバーじゃ。 都市を取り上げた曲のほとんどは、どこかメランコリックで郷愁を誘うものじゃが、この曲は自分と都市との絶望的な関わり合いを呪い、そしてあざけるっつう、どこまでもへヴィーな内容じゃ
 この曲が発表された71年は、奇しくも「ニューヨーク・シティ、お前は女さ/アル・クーパー」という同類の曲も東海岸から登場。 東西それぞれの大都市を擬人化(人にたとえた)したロックの名曲が同時に生まれたのじゃ。
 
 一方アーロ・ガスリーじゃが、こやつはアメリカン・フォーク界の伝説的巨人ウディ・ガスリーの実息。 旅をテーマにした幾多の曲が60年代の大学生たちにやたらと人気があったのお。 この曲は田舎もんが大都市に憧れて着の身着のままで上京してくる心境が、「おら東京さいくだ!」とは似ても似つかないほどカッコ良く歌われておる。 さすがはウディの息子!ってな出来栄えじゃった。
 カレッジ・ヒーローだったアーロも今や60過ぎ。 最近はナイスなオシャレおじさんになってステージに立ち続けておるそうじゃが、かつてのヒッピーファッションをナッソーやたまむしシャツに代えておるかもしれんな!


♪tune-3 花のサンフランシスコ/スコット・マッケンジー
♪tune-4 サンフランシスコ・ベイ・ブルース/フィービー・スノウ

 西海岸きっての平和の街として栄えてきたサンフランシスコ。 60年代中期にはこの地でヒッピー文化が花開き、ベトナム戦争に深入りするアメリカ政府の国策に異を唱え、「戦争のない平和な世界」を声高に掲げる若者たちが大勢集まってきおった。 そしてシスコはお花と“おクスリ”とヒッピーに溢れ返ったのじゃ。 そんなノンキなシスコの光景を唄ったのが「花のサンフランシスコ」じゃ。 ♪〜サンフランシスコに行くんだったら、髪に花を飾っておいき〜♪ってな具合じゃ。

 「S・F・ベイ・ブルース」は、シスコとお隣のオークランドまで含めた通称「ベイエリア」の情景を歌ったウエストコースト・ブルースの歴史を代表するナンバー。 ベイエリアを往来する人々の心情をすくい上げた名曲じゃ! 
 エリック・クラプトンが「アンプラグド」で歌ったバージョンもよかったが、 わしとしてはこちらのオリジナルを聞いてもらいたい。 真夜中に街の灯りでも観ながら一人シンミリと飲む時は何故か聞きたくなるんじゃよ!。 映像は同じ西海岸出身の兄弟分、ピーター・ポール・アンド・マリーのヴァージョンしか見当たらないので、そちらで楽しんでくれ
 ちなみにスコットもフィーヴィーも、この一曲だけのいわゆる“一発屋”で終わってしもうたが、両曲は永遠にベイエリアで聞き継がれて行くに違いないじゃろう。


♪tune-5 夢のカリフォルニア/ママス・アンド・パパス
 こちらは「花のS・F」「S・Fベイブルース」両曲で歌われた、ロスもシスコも含めたこの地域全体の魅力をぜ〜んぶひっくるめて、「カリフォルニアにおいでやすぅ〜」ってステキなコーラスでキメた曲。 確かに行きたくなるんじゃ、この曲聞いたらな! ちょっとやそっとのポップスなんざにゃあ騙されんわしも、この曲がアピールする西海岸幻想にはノックアウトされた! ズバリ、名曲じゃ。
 とにかくシスコを中心としたカリフォルニアってとこは、人の気分を開放的にさせてくれるんじゃな。 なんせみんな思い思いの自由なファッションをしとるのがええな。 諸君もカリフォルニア巻とか訳のわからん寿司なんざ食ってる暇があったら(?)、是非ナッソーを羽織ってカリフォルニアに行ってみてくれたまえ!


♪tune-6  さよならハリウッド/ビリー・ジョエル
 そろそろ西海岸に別れを告げて大アメリカ大陸を横断していきたいのじゃが、その前にオワカレの曲を一曲
 生粋のニューヨーカーであるビリー・ジョエルが唄ったハリウッドへの惜別の曲じゃ。 「♪〜夢を求めてここにきたけど、やっぱアカンかった。 どこか別のトコへ行かにゃならんが、でもココが忘れらんのお〜♪」とまあ、フツーのブルース調の歌詞じゃが、曲調がエエな、これは。 ミディアムテンポで程よい哀愁が漂っておる。 ビリーがまだマイナーだった頃に書いた曲じゃが、潔さと未練がましさをゼツミョ〜にミックス出来るセンスが、後の名曲「ストレンジャー」や「ニューヨーク物語」を生んだのかもしれんな。



♪tune-7 カンサスシティー/リトル・リチャード
 西海岸の次は、日本人には馴染みの薄い大陸中央のカントリーエリアであるカンサス州じゃ。 ここはアメリカの代表的な農業、畜産州であり、なんでもアメリカで“田舎モン”というとこのカンサス州出身者のことらしいぞ。 それだけカントリーサイドってことなんじゃろうが、カンサスシティーとはカンサス州第二の都市で、我らが野茂英雄投手のメジャーリーガーとしての最後の土地でもあるな。
 まあカンサスと言ったら、ロック史上最大のビッグマウス(大口叩くヤツ)であるリトル・リチャード(だ、誰じゃ!顔のデカさ世界選手権優勝者と言ったのは!)の問答無用の名曲「カンサス・シティー」でキマリじゃ。 リトル・リチャードってのは、やれ「エルヴィスはオレ様を尊敬しなきゃいかん!」とか、やれ「ジミ・ヘンドリックスの音楽の原点はオレ様だ」とか、まあ言いたい放題言っておるが、わしとしてはこの曲のサイコーのノリとハウリング・ヴォイスによって、ヤツのビッグマウスぶりも放免しておるという訳じゃ。 ヤツはこの曲を歌うと興奮し過ぎたようで、「ヘイ・ヘイ・ヘイ」つう即興的ナンバーをメドレーで必ず歌い継ぐ形式を貫いておる。 その抑えきれない気持ちもよ〜く分かる!


♪tune-8 ネブラスカ/ブルース・スプリングスティーン
 アメリカ編前編ラストは、カンサス州の南隣ネブラスカ州じゃ。 カンサス州同様の大カントリー州の名前をタイトルにしたこの曲、実は当地の大自然やのんびりとした土地柄を唄った訳ではなく、50年代末期に起きた忌まわしい事件がモチーフになっておる。
 19歳の少年と13歳の少女とが恋の逃避行の際にネブラスカ州ではかった連続射殺事件が歌われており、若い二人の凶悪犯への鎮魂歌ともいえる異色の曲じゃ。 この事件は後に「地獄の逃避行」という映画にもなっておる。
 80年代に入る頃には「よっ!次期アメリカ大統領候補!!」とまで言われるほど大スターになっていたスプリングスティーンは、自分の感性の原点に戻るために少年時代の記憶を辿る方法を選び、それで浮かんできたのがこの「ネブラスカ事件」だったんだそうじゃ。 〆としては何とも暗くて血生臭い選曲になってしもうたが、ロック界の大スターってのは、「大スター病」に陥らないように、時々このような極端な方法を選んで前進しようとするものなんじゃ。 リトルおじさま、その辺を見習うように!
 この曲が収録された同名のアルバムはほとんどアコギ一本でレコーディングされており、後の「アンプラグド」等の一大アコースティック・ブームの呼び水となったアルバムでもあることも付け加えておくぞ。


 アメリカ大陸の中央を南北に縦断する大平原地帯グレートプレーンのほぼ中央に位置するネブラスカ州でとりあえず一旦ブレイクじゃ。 大平原と大農場が地平線の彼方、そのまた彼方まで続く、まあ日本人の想像を絶するスケールのカントリーエリアじゃ。 この際じゃから、余計な事なんざ忘れて大草原で寝そべって流れゆく雲の流れをぼや〜と眺めておる自分の姿を想像してみてはいかがかな? そうやって頭ん中がクリアになったらTHE-KINGへビシッとオーダーをキメてしまおう!
 カンサス&ネブラスカ州は、その土地柄からステーキやトウモロコシは死ぬほどあるし、車を5〜6時間ぶっ飛ばせば、アメリカ最大のビール工場のあるウイスコンシン州ミルウォーキーじゃし、ビール飲むにも事欠かん場所じゃ! 今のわしが行ったら「メタボ、成人病一直線」になってしまうが、熱いロックハートを持った活動的な諸君なら、エネルギーの補給にはもってこいのエリアじゃ! では次回は東海岸へ向けてテキサスあたりからリスタートするので、それまでよ〜く充電しておくようにな。 長旅になるぞ!




七鉄の酔眼雑記 
 
  

 諸君は読書はお好きか? わしは職業柄「読まざるをえない」立場におるが、何を隠そう、少年時代は本を読むことが大嫌いだったんじゃ。 親父殿やお袋さんからよく言われたもんじゃ。 「本を読まないとロクな大人にならんゾ」と。 その予言は当たってなくもないが(?)、涙ぐましい努力の甲斐あって、高校生になる頃にはある程度は活字に抵抗がなくなったんじゃ。
 じゃが長編だけはいつまでたってもダメじゃったな。 大好きな旅の関連小説でも、長編というだけですぐに瞼がおも〜くなるんじゃ。 あのズッシリとした物量感と、ビッシリとつまった小さな文字がいかん。 もう最初からプレッシャーをかけられているようじゃ。 そんな長編アレルギーを克服するキッカケとなった一冊をご紹介しよう。 20年ほど前に出版された故・景山民夫のアメリカ大陸横断紀行&ニューヨーク奮闘記「転がる石のように」じゃ。

 この本自体は長編ではないが、これを読んで旅の小説、紀行書にハマったことで読書そのもののヴォルテージが爆発し、気がついてみたら長編アレルギーから多少は解放されるようになったんじゃ。 コンプレックスの克服って、何がキッカケになるか分からんもんじゃな。
 「転がる石のように」は、ほとんど著者の実体験に基づいた内容であり、50年代のアメリカ文化に影響を受けて育った日本人少年が、自分のスピリットの原点を探るべく単身アメリカ大陸横断の旅を決行するんじゃ。 そして終着地ニューヨークで、ギターの弾き語りをやりながら食いつなぎ、内なるアメリカン・カルチャーと真っ正面から対決するっつう内容じゃ。 今回のわしのコーナーではアメリカ大陸想像の旅をやっとるので、その気分にも合う内容でもあるので紹介しておこう! フィスティーズ好き、アメリカン・ミュージック好き、旅好きを十分に楽しませてくれるはずじゃ。 小説といっても「文学」ではないので、どうか安心して読んでみてくれ!

 

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