ROCK FIREBALL COLUM by NANATETSU Vol.48


 新入社員諸君がご登場の季節になったのお〜。 初々しい彼らを見ていると、社会人1年目はフツーの会社員をやっていた遠い昔の自分を思い出してしまうわしじゃ。 そして、つい人生そのものを振り返ってみたくなるんじゃな。 こんな複雑な気分を払拭するにはロック・ヒーローたちの輝かしい生涯をつづった伝記映画に骨の髄まで浸るのが一番じゃ。 「そうそう。 先の短い人生なんだから、もっとイカシタ来世でも想像しなさい」って大きなお世話じゃ、ドアホッ!
 近年のロックヒーロー映画は観応え充分になってきおった。 ジョニー・キャッシュの生涯がモデルとなった「君に続く道」なんかはイイ線いっとるのお。 じゃが総じてロックヒーローの映画は、まだまだ他のアートジャンルのヒーロー映画と比べると内容に物足りなさを感じるのじゃ。 愛と憎しみ、友情と裏切り、幸運と悲運っつう、伝記映画の定番構成は、ロッカーを飛躍させる原動力の描写には欠かせないものの、わしはそれ以前の、なぜ表現に向かうのか? なぜ酒を飲むのか? ってトコをどうしても観たいのじゃ。
 「そんなコムズカシイことを知りたけりゃ、伝記を読みゃあいいじゃないか」と言われそうじゃが、冗談じゃない! 映画は20世紀が生んだ偉大なる芸術のひとつじゃ。 アーティストの根源的な部分を描写出来なくてどうする!と一人いきり立っても仕方ないので、ここは他のアートジャンルのヒーローたちの優れた伝記映画を引き合いに出してみて、ロックヒーロー映画のツッコミの甘さをチョイと検討してみよう。 グレイトなロックヒーローの伝記映画は、もっともっとクオリティーの高い作品になるはずじゃ!



一度は観るべし、 高い完成度を誇るアート・ヒーロー映画

  
ロックヒーロー映画もかくあるべき! 
    〜アーティストの根源に迫った伝記映画の力作〜
  


■ クラシック音楽家編その1〜「パガニーニ」 
 クラシック史上最強のバイオリニスト・・・というより、悪魔の化身とまで称された18世紀のヴァイオリンの鬼才二コロ・パガニーニの伝記映画。
 パガニーニの頭ん中には常に嵐の様なすさまじいフレーズが鳴り響いており、それをヴァイオリンで再現せんと発狂しちまうんで演奏を続けていたという。 いわば音楽の神様(死神?)からの狂気的な脅迫から逃れるために四六時中演奏しとった訳じゃ。 当然酒と女と旅っつう新しい刺激を自分自身に与え続けながら頭ん中の悪魔と死闘を繰り広げることとなり、そんなパガニーニのすさまじい日々がよお描かれた映画じゃ。
 空前絶後とまで評された超人的な演奏シーン、破天荒な毎日と血涙の鍛練、スターダムへのプレッシャー、蟻のように群がってくる守銭奴どもとの限りなき戦いなど、現代のロックスターの世界に通じる部分が多く、諸君のような筋金入りのロックファンなら結構楽しめる作品と思うぞ。
 それにしても、馬車を乗継ぎながら旅を続け、見知らぬ土地の街頭に立ちはだかって独奏をスタートするパガニーニは、これぞミュージシャンの原点!って感じで実に粋じゃ。 フラップシューズで足元をキメておったらもっと人気が出ていたかもしれん!と思うのはわしだけじゃないじゃろう。(笑)



■ 文学者編〜「ランボー/地獄の季節」 
 若干17歳で詩作の極みに到達し、その後は創作活動を放棄してしまった19世紀の伝説的詩人アルチュール(アル中ではないぞ)・ランボーの伝記映画。
 その生涯を知る資料も乏しく、ましてや17歳で表現の限界を見た天才の頭ン中を理解することなんぞ、到底他人に出来るはずもない。 そこで映画のストーリーは、大胆にも(無謀にも)ランボーが詩作を捨てた後の生涯が基軸になっておる。
 回想形式で幻想的に描かれる若き天才詩人の奇抜な行動の数々と、およそ詩人の末路とは思えない数奇な放浪生活となった第二の人生とをオーバーラップさせることにより、ランボーだけが見ていた現実と理想を何とか視聴者に伝えようとする製作者の切望感を感じることが出来るのじゃ。
 天才を安易に扱ってはならん。 映画製作側の常識を越えた必死の創意工夫があってこそはじめて視聴者に紹介することができるということか。 ちなみに、今をときめくレオナルド・デカプリオ主演の「太陽と月に背いて」もランボーを題材とした映画であり、結構な好評を博したようじゃが、わしとしてはこちらをおススメしたい。



■ 映画俳優編〜
「サイレント・フルート」 ■
 正確に言うと、これは伝記映画ではないんじゃ。 カンフー映画の英雄であるブルース・リーが、主演ではなくて、脚本と制作を担当し、少林寺拳法の極みに達するための厳しい精神修行の道程を描いた異色のカルトムービーじゃ。
 道を極めることと引き換えに友人や愛しい女を失って行く残酷なシーンは目をそむけたくなるほどで、「自分は到底ストイックな人間にはなれない・・・」と凡人宣言をしたくなるようなキビシー映画じゃ。
 事実少林寺拳法の達人だったブルース・リーが、十八番であるスーパーアクションを封印して、黒子に徹してまでこんなシビアな映画を作ったということはじゃな、カンフー映画を物珍しいアクション映画としか扱おうとしなかったハリウッド映画界へのアンチテーゼであったことと同時に、アクション・スターではなくて、武術家としての自らのプロフィールの披瀝だったと思うぞ。 ブルース・リーの伝記映画は別に存在するが、武術家としてのブルース・リーの真髄を知るためにはこちらの作品の方が相応しい!




■ クラシック音楽家編その2〜「ベートーヴェン/不滅の恋」 ■
 諸君の中にはガッコの卒業式でベートーヴェンの「喜びの歌」を歌ったことのある方がおるじゃろう。 またクリスマスや大晦日によお聞いた方もいらっしゃるじゃろう。 そんな祝賀ムードを彩る以上に、この歌には人生や男と女との間の不条理を吹き飛ばして、崇高な精神境地に導くパワーがあることを伝える映画がこれじゃ。 ひとつの作品を通してアーティストの真髄を探るというシナリオは伝記映画の中では異色じゃ。
 愛する人に去られ、音楽家としては致命的な聴覚障害に陥ってもなお、ベートーヴェンは音楽を捨てず、(愛飲のワインも捨てなかったそうじゃ・・・同感!)人生の最後の最後で「喜びの歌」を書き上げることで、自分を取り巻くすべての誤解と悪評を一掃するっつう描写に、純粋な音楽とは神様からの贈り物であることを改めて教えられるぞ。
 ところでだな、丈の長いモーニングスタイルのブラックスーツを颯爽と着こなす当時のクラシック・ミュージシャンのファッション・センスっつうもんもなかなかのもんじゃのう。 礼服ナッソーだったらなお良かったのにのお〜。



■ 画家編〜「モンパルナスの灯」 ■
 この映画に関しては、当コラムVol.24にて詳しく紹介しておるので、ぜひそちらをご覧あれ
 20世紀初頭の巨匠モディリアー二の短い生涯を描いた映画であり、貧困と不遇のどん底にありながらも、画家としての自らのアイデンティティーを貫き通した、悲劇的ながらもカッコ良すぎたモディリアー二のすさまじい情熱の真実をあますことなく伝えておるぞ。

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 もし諸君にこの中の1本でも観てもらえたならば、ぎょうさんあるロック・ヒーロー映画の未完成具合ってもんを分かってもらえると思うぞ。 
 要するにロックヒーロー映画のほとんどは、ロックヒーローを取り巻くファンの熱狂をはじめとしたすさまじい外的状況の描写が多すぎて、ロッカーのパーソナリティの掘り下げ方が不十分な作品が多いのじゃ。 外的状況の非現実的な激しさはロックヒーロー特有のものであり、避けることのできない部分ではあるものの、このワンパターンぶりはなんとかならんかのお〜。
 それに巨大な才能に恵まれたロック・アーティストの作品づくりの視点を、彼らの身の回りのわずか半径何メートルか程度に設定して、「ヒーローもみんなと同じ一人の人間なのだ」なんつうチンケなオチには閉口してしまうのお。 視聴者の共感を得るってことは、そーいうことではないんと違うか? ロック特有の宇宙的なダイナミズムを発散させることのできたビッグロッカーの人間性と才能の本質が再考され、21世紀に素晴らしいロックヒーロー映画が発表されることを期待したい。 

 わしの方はオリジナル・フィフティーズ・ファッションと、そのモダン・ヴァージョンでもあるTHE-KINGをフューチャーした映画「ロック・ファッション・ヒストリー」のシナリオをこの世の置き土産として書いてみたいもんじゃ。 映画製作が実現したら、諸君の中からキャスティングすることを約束しよう! そのオーディションのために今からしっかりTHE-KINGアイテムをゲットして、レジェンダリー(伝統的)でありながらオリジナルの着こなしをしっかりと研究しておくようにな。 とりあえずキメこんだ写真をわし宛てに添付しておくように! わしからのホウビがあるかもしれんぞ!!




七鉄の酔眼雑記 〜08年初めての海外の旅を終えて   

 つい先日、今年初の海外旅行から帰国した。 今回はわずか二週間ばかりの短い旅路じゃったが、3〜4年前までは、旅の途中で金が無くなったら旅先で仕事して、金が出来たらまた旅に出るっつう、自由気ままな人生を送っておったわしじゃ。
 本帰国してからは、「どこが一番楽しかったですか?」と聞かれることが少なくない。 国や都市によって風土も習慣も食べ物も違うから、単純な比較はできんが、強く印象に残っておるのは、やはり現地で築いた人間関係の良かった場所じゃな。

 数年前のこと。 ミョーな縁というか、トンデモネー展開によって、カンボジアとタイとの国境付近にある小さな村でわしは金を稼いでおった。 仕事は日本食レストランのマネージャーじゃ。 その村の近くには、日本車の部品を製造する工場があって、技術指導者として派遣されてきた日本人が50〜60人ほど働いており、彼ら相手の和食と酒の提供をやっておった訳じゃ。
 大都市でもリトル・トーキョーでもなく、世界地図にも載っていないその小さな村のわずかな日本人集団の中になんと!わしの中学校と高校の先輩方が3人もおったからビックリこいた!!
 奇遇、偶然なんざを越えて、これは奇跡に近い!っつうことで、彼らは喜々として毎晩のようにわしの店に足を運んで下さり、しかもたくさんの現地従業員もお連れ下さり、大変有り難くも楽しい思い出を作ってくれたんじゃ。 これはわしの長い旅の中での最大級のハプニング、サプライズじゃった。

 旅の最大の醍醐味はハプニングじゃ。 ガイドブックにも紀行書にも載っていない、ましてや日本では到底体験することのない出来事こそ、その人の旅に永遠に褪せることのない色を添えてくれるのじゃ。 
 諸君の中でこれから旅人生を送ろうと思っておる輩がおったら、決して旅先の予定調和を期待しないようにな。 必要以上の情報収集は禁物じゃ。 インターネットやガイドブックから離れられない旅人には、決して嬉しいハプニングやサプライズは起こらんぞ!


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