ROCK FIREBALL COLUM by NANATETSU Vol.46
先日アメリカのメジャーリーグ・ベースボール機構が編集した4種類のヒストリー映像集をたて続けに観ておったところ、アメリカでは有名らしいアナウンサーがこんなコメントを寄せておった。 「50年代ぐらいまでのスーパースターたちの素晴らしさというのは、それぞれが確立したプレースタイルにおいては、後に彼らを凌ぐプレイヤーが出ていないことだ」と。 確かにその通りかもしれんな〜。 昔はお手本が少なかっただけに、どんなモンでもブレイクした時はおいそれとマネの出来ないほどのオリジナリティが確立されておったもんじゃ。 THE-KINGが現代に再現することに心血を注いでおるフィフティーズ・ファッションのスタイルだって、永遠に色あせないもんじゃしのお〜。 まあわしも多少は回顧趣味が入っとるのかもしれんが、かつてはメジャーリーガーに限らず、存在そのものがデカい男がいろんなエンターテイメントの世界にいたもんじゃ、としばし遠い昔に思いを巡らせてみた。 その時わしの脳裏に即座に浮かんできたフィフティーズ・ヒーローたちをこの際だからご紹介してしんぜよう。 アメリカン・ヒーローズ列伝 ロックンロール・スターにバトンを渡した多彩なフィフティーズ・ヒーローたち |
え〜最初にタネ明かしをするようじゃが、これからピックアップするヒーローたちは、偶然にもエルヴィスのメジャー・デビュー直前、直後に現役を退いておったのじゃ。 つまり「後はお前さんたちに任せた!」とばかりにエルヴィスをはじめとするロックン・ロール・スターたちに、ヒーローという名のバトンを渡した者たちだったのじゃ。 真のヒーローとは、その登場はもとより、その見事な引き際まで神様によってコントロールされているってことなんじゃろうか。 ではロックン・ロール・スターたちはどんなバトンを受け取り、どんなスピリッツを受け継いだのじゃろうか? そんな視点をもって読んで頂けるとありがたい。 【メジャーリーグ界編】 ★アメリカン・ブラックたちの不滅のヒーロー★ 〜黒人初のメジャー・リーガー、ジャッキー・ロビンソン 50年代のメジャー・リーグは、ワールドシリーズ5連覇を達成したニューヨーク・ヤンキースの天下であり、最大のスターは主砲ミッキー・マントルじゃった。 しかしわしはあえて言おう。 50年代最大のベースボールヒーローは、黒人初のメジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソン(ドジャース)であると! 1947年にジャッキーがメジャーに昇格した当時は、まだまだアメリカ全土に人種差別の風潮が強く残っており、ジャッキーに対する世間のブーイングはすさまじかったのじゃ。 遠征先のホテルで一人だけ宿泊を断られるなんてのは当たり前であり、球場のスタンドからはあらゆる暴言と凶器が飛んできたそうじゃ。 時には相手チームに対戦を断られたり、試合が行われても故意のブラッシュボール、スパイク、体当たり・・・とジャッキーへの攻撃は後を絶たなかった。 ここら辺の状況は、“悪魔の申し子”と大人たちから袋叩きにあって、レコードを焼打ちされたりした初期のエルヴィスと似ておるな。 しかしジャッキーはキレることなくじっと耐えた。 その強靭な精神力で常に紳士的な態度を崩さず、闘志あふれる鮮烈なプレイで心ない白人たちの偏見に対して勇気ある返答を続けたのじゃ。 そして49年からは6年連続で3割をマークしてオールスター・ゲームの常連となったのじゃ。 そんなジャッキーの偉大なる活躍が、黒人選手たちにメジャーリーグへの重い重〜い門戸をこじ開けたのじゃ。 只今アメリカではオバマ大統領候補が「黒人初の大統領になるか?」と大いに注目されておるが、全ての黒人たちの尊敬の念はまだまだジャッキーの足元にも及ばない。 現在メジャー30球団すべてに共通の永久欠番がある。 それはジャッキーの背負っていた42番じゃ! 【ボクシング界編】 ★無敗のまま引退した伝説のへヴィー級チャンピオン★ 〜喧嘩ボクシングで世界を制したロッキー・マルシアーノ シルベスター・スタローンが演じた映画「ロッキー」のモデルであり、46勝無敗(43KO)でリングを去ったアメリカのボクシング史上最強のチャンピオンじゃ。 諸君の中では、最強のボクサーはマイク・タイソンやモハメド・アリであると思っておる方も多いじゃろうが、ロッキーのスゴサとは、ひたすら前に突進して殴り合うというストリートファイターのスタイルそのものだったってことじゃ。 わしは20年ほど前にロッキーの試合のモノクロ映像をアメリカのテレビで観たことがあるが、その攻撃オンリーのボクシング・スタイルは狂気、いや凶器そのものじゃったよ。 恐ろしくなってバーボンの酔いがすっかり醒めてしまったもんじゃった。 イタリア移民の子供として貧しい少年時代を送ったロッキーは、長年に亘ってビルの解体工事をやっとったことで化け物のような腕力と体力を身に付け、正規のトレーニングを受けたボクサーたちを次々とマットに沈めてチャンピオンの座をつかんだ。 しかしロッキーは「チャンプとはなるもの。 とどまるものではない」という名言を残して、キャリアの絶頂期に悠然と引退してしもうたんじゃよ。 同じイタリア移民のフランク・シナトラとは極めて懇意にしており、水と油のようなキャラの二人の交流はロッキーが死ぬまで続いていたそうじゃ。 【映画界編】 ★マネーパワーで時代を圧倒した悪名高きイベント・プロデューサー★ 〜デカイこと、ド派手なこと、そして美女ゲットに徹っしたマイク・トッド フィフティーズ・カルチャーの原動力はヤングパワーじゃ。 若者たちの新しいパワーとアイディアが時代を作り上げていったことは諸君もよおご存じのことじゃろう。 しかしそんな時代の中で、叩き上げの根性とエグイ商魂で映画界を牛耳っていたスゴイ中年男がいた。 ハリウッドのギャンブラー的プロデューサー、マイク・トッドじゃ。 有名スターを一度に何十人も口説き落としながら、とにかくド派手でスケールのバカでかい映画を作り上げることがマイクの真骨頂であり、 「これがシネラマだ!」「オクラホマ!」「80日間世界一周」といった空前のスケールで展開される映画をたて続けに完成させて全米中の度肝を抜いた! 当時マイクの作る映画1本の予算で50本の映画が作れるとまで噂されたほど金をかけまくってビッグスケールを追及したんじゃ。 当然懐に入るギャラの額もハンパではなく、当時のトップスターをはるかにしのぐ大金持ちになったマイクは、金の力を駆使して大女優たちを高価なプレゼント攻めにしては次々とモノにしていき、ついには世紀の大女優エリザベス・テイラーと結婚してしまったのである! 「ヤングパワーだと? 寝ぼけたことヌカすなボケッ! 男の力とはゼニよ。 ゼニが世界を動かし、女がひれ伏すもんじゃ!」と公言してはばからず、見るからにエラソーで強欲なその風貌も相まって、社交界からは「下品な成金野郎」と陰口を叩かれておった。 じゃが映画スターたちの影が薄くなるほどの空前絶後のビッグマンだったことは間違いない。 案外パーカー大佐の憧れの男だったんじゃないか、とわしはヨンデおる! 【ショウダンス界編】 ★“裸一貫”から全米のヒロインとなったストリッパー★ 〜永遠の裸のヴィーナス、ジプシー・ローズ・リー さてここで諸君のお待ちかね?である、好例の紅一点のご登場じゃ! 50年代最大のヒロインはマリリン・モンローじゃが、銀幕のスクリーンではなくて街中のナイトクラブで“生身の女性”として絶大な人気を誇っていたのが、クラブの出し物であるストリップ・ショウの華、ジプシー・ローズ・リーじゃ。 ストリップというとどこか淫靡で胡散臭いイメージがあるが、現在のトップレスショウのような過激なステージではなく、ストリップ(脱ぐ)というよりはティーズ(じらす)であり、1回のステージが20〜30分ほどのかわいいセクシーショウじゃった。 じゃが彼女の容姿そのものがあまりにもエロティックだっただけに、興行の先々でとんでもない旋風を巻き起こした。 “裸のヴィーナス”と讃えられた芸術品のような肢体美、華やかなお色気、輝く太陽のような笑顔を観るために、男たちは夜な夜な彼女の出演するナイトクラブに殺到する日々が続いたのじゃ。 そしてついにはマジソン・スクエア・ガーデンにおいてショウが開催されるまでのトップ・エンターテイナーにまで登りつめてしもうた! 若者たちが彼女のショウを拝める機会は少なかったこともあり、やがてハリウッドから映画出演の依頼も殺到。 しかし公開寸前でお偉いさんからクレームがつき、有名な芸名をクレジット出来なかったことで興行は大成功とはいかんかった。 しかし本当のクレームの原因は「エロティック過ぎるからスクリーンに出すな!」ってことだったらしい。 いやはや、モンローも真っ青の仰天エピソードじゃのお。 マンハッタンやビバリーヒルズに豪邸を構えるほど大成功した彼女だったが、晩年はベトナム戦争部隊への慰問などの奉仕活動にも積極的であり、生涯に亘りその存在はアメリカの男性にとって女神そのものだったのじゃ。 冒頭でも述べた通り、以上のヒーロー&ヒロイン4人は「エルヴィス・ブレイク!」の前後にヒーローとしてのお役目を終えておる。 ジャッキー・ロビンソンもロッキー・マルシアーノも56年に現役引退。 ジプシー・ローズ・リーは55年にステージを降りた。 マイク・トッドは57年に飛行機事故で突然この世を去った・・・あまりにも出来すぎておるというか、神様の仕業としか思えんヒーロー交代のシナリオじゃ。 う〜ん、わしが筆を置いたら誰が登場してくるのかのお〜って、その前にもっとマトモな事を書けってか! まあまあ、マトモでありがた〜いオハナシは8鉄先生にお任せして、わしは諸君の好奇心をあおり立てる脇役に徹するとしよう。 諸君においては、一杯やりながらロック・ファッション界の雄であるTHE-KINGのアイテム・チェックを今後も怠らんようにな! そしてビシッとオーダーをするように! 【特別編〜文学界編】 ★“星の群をよぎる蜘蛛のように、炸裂する花火のように”生きたボヘミアン作家★ 〜若者たちが夢見たロマンチックな放浪者ジャック・ケルアック 50年代の終盤において、若者たちの人気をエルヴィスと二分していたのは、コクラン、ヴィンセントというよりも、実はこの男、作家ジャック・ケルアックじゃ。 エルヴィスとともにフィフティーズ・ヒーローの栄光のバトンを最初に託された男なので、彼にも特別に登場していただこう。 全米中をヒッチハイクしながら旅を続けた体験を元に執筆した小説「路上」は爆発的に売れて、ケルアックの後を追うように放浪に出る若者が続出したほどのセンセーションを巻き起こしたのじゃ。 「路上」の主人公ディーン・モリアーティの、既成の価値観にとらわれない自由奔放な行動と思考は、エルヴィスのロックと同じぐらい衝撃的だったのじゃ。 ロッカーの中にも「路上」を愛読書に上げる者は実に多く、「路上」を読まなかったらロックに走ることはなかったとまで断言するロッカーもいる。 良識派を気取る大人たちは、若者を無意味で怠惰な放浪生活に駆り立てる“悪の書”として「路上」とケルアックを攻撃し続けたが、そんな境遇もまたロックやエルヴィスと同じであり、叩かれれば叩かれるほど「路上」は若者たちに売れ続けて、今では紀行小説の古典的名作としての地位を確立しとる。 ちなみにアタマのコピーに使った「星の群を・・・」ってフレーズは、「路上」の中で記述されておるジャックのポリシーじゃ。 「路上」愛読者の一人として有名なデヴィッド・ボウイは70年のバンド結成にあたり、このフレーズをヒントにしてバンド名「スパイダース・フロム・マース」を考案したそうじゃ。 |
七鉄の酔眼雑記 タバコを1,000円にしてしまえ!という動きが強くなっとるそうじゃ。 政財界の中枢にいらっしゃる某お偉いさんが声を大にして主張しているらしい。 また5月からは、自動販売機でタバコを買うためには、タスポとかいう成人認識カードが必要になるらしい。 ますます愛煙家は追い詰められ、タバコが吸いにくい、買いにくい時代になってきおった・・・。 1,000円になってもタバコを買うか?ってよく聞かれるが、「そんなこと、1,000円になったら考えるわい」としか答えようがないな。 予想できるわしの行動は、旧価格の期間中に大量の買いだめをすることじゃ。 そして在庫を吸い終わったら、タバコから葉巻にチェンジするってことも現在検討中じゃ。 タバコと葉巻では効用が全然違うが、まあ年齢だけは葉巻の似合うわしだけに、なんとかして煙のある生活を守ろうとしている訳じゃ。 どうしてそこまでして煙にこだわるのかって、それは聞くだけヤボってもんじゃよ。 一方的に虐げられりゃあ余計に愛おしくなるもんだし、第一わしの場合、アルコールやコーヒーと煙との相性が抜群なのじゃ。 相性が抜群の関係を引き裂くことなどわしには到底できんな。 諸君とロック、諸君とTHE-KINGの関係と同じじゃよ。 まあ、世の中のクリーン化、人類の健康健全化のための動きを止めることはできないが、そこまでタバコに目くじらを立てる前に、他にもやることがあんじゃないの?ってことは言っておきたい。 それは平然と市場に出回っておる人気ブランドを装った安価な偽酒の摘発じゃ。 タバコより偽酒の方がはるかに身体に悪いぞ。 タバコ排斥運動には我慢してやるので、偽酒摘発をもっと真剣にやってくれい! |