NANATETSU ROCK FIREBALL COLUMN Vol.354

 2021年新年明けまして、というよりも単に“明けたので”おめでとうございますと言った方がよろしいようなご時世じゃな。
ええいっ、落ち込んどったってショーガネーんで、空元気・七鉄でいくぞ!

 とはいえ、この老兵が諸君に何が出来るかって考えてみたところ、昨年から既に17回連載しとる「原宿ロックンロールドリーム」の続編よりも、「元気の出るロック」のセレクトの方が年頭に相応しいんでソイツをかますぞことにした!

 抜群の歌唱力、流麗なギターソロ、怒涛のドラムソロなんかがベースになった名曲集をやったって今更元気がでるかどうか分らんから、とにかく前向きに「Go(行く)」って言葉がタイトルに入ったポジティブ極まりない曲をセレクトしてしんぜよう。
 英語の「Go」は日本語で言う「行く」以外に本人の意志をより強調する場合に使われるんで、メロディーやノリさえ気に入ってもらえれば元気が出る可能性は高い!と信じてやるぞ。

 「ジジイうるせえぞ!さっさとGo to sleep!(寝床へ行って寝なさい)って言われちゃいそうなので、ベスト20はやめてベスト15、ひかえめ~にしとくわい(笑)この一年The-Kingの前進を支えてくれる諸君の健康とご多幸を祈ってやらせて頂きやす!


コロナをぶっ飛ばせ!~行け、元気の出るロック15選!!

♪~tune1 : Go Johnny Go / Chuck Berry

 何はともあれコレじゃ!正確には「Go Johnny Go 」ってのは同1959年公開の同名の映画のタイトルじゃし、チャックベリーがオープニング演奏しとる曲のタイトルは「Johnny B Good」なんじゃけど、you tubeで検索しても「Go Johnny Go 」でヒットするし、1曲の歌詞の中で「Go」が登場する回数がもっとも多いロック(多分!)なんで、これでエエ!
 映像にはチャックベリーは元より、リッチー・バレンツやコクラン、さらに当時の大人気ロックンロールDJじゃったアラン・フリードも登場!気分が盛り上がること間違いない!

♪~tune2 : Let Yourself Go /Elvis Presley

 映画「Speedway」挿入曲じゃ。エルヴィスの60年代主演映画は完全大衆娯楽作品なんで、実はわしはエルヴィスが歌うシーンしか興味がない。その点においては、ビートルズがエルヴィスに初めて会った時に「どうして映画ばっかりで、ロックンロールはやらないんでしょうか?」って尋ねた気持ちと同じじゃ。
 でも映画中のこの曲の挿入部分は、エルヴィスの歌唱力が凄過ぎて映画の雰囲気が激変するところがグレイト!カムバックスペシャル68の中でも歌われておるが、セクシーレディたちに囲まれたエルヴィスがこの曲をブチかますシーンもええな!モノホのロックンロール・ソウルのチラリズムにシビレルわい!

♪~tune3 : Going To A Go-Go / Smokey Robinson & The Miracles

スモーキーロビンソンはやっぱり何をいつ聞いてもドギモを抜かれるわい!エルヴィスとともに、一度でいいから生で聞いてみたかったシンガーじゃ。
この曲は80年代後半にローリングストーンズがカヴァーしてヒットさせたが、まあオリジナルに比べるとチャラかったなあ~。
1965年にこの曲が大ヒットしたことにより、「ゴーゴークラブ」が全米中に広がるきっかけとなったのじゃ!

♪~tune4 : Here We Go Again / Ray Charles

 冒頭で「抜群の歌唱力の名曲なんかじゃツマラン~」なんて言っておきながら、やっぱりスゲーシンガーの曲ばっかりでスタートしてしまった!この曲は数々の名カバーがあるが、レイ・チャールズ・バージョンにはどれも適わない。ジョン・レノンがレイの名唱の足元にも及べないことを悟ったかのように淡々と歌い始めるバージョンも捨て難いが。
 「Here We Go Again」(さあ、もう一度出直そうじゃないか」ってエエタイトルじゃ。コロナ終息の記念ソングとして世界中で歌って頂きたい、聞いて頂きたい!

♪~tune5 : Go / Asia

 ここからは、思い出した順にアトランダムに行くぞ!
 80年代初頭にイギリスのプログレ連中が集まって全米ヒットチャートを席捲した奇跡のバンド、エイジア。彼らの3枚目のアルバム「アストラ」のオープニングナンバー。全米での成功を強固にするために、「やるぞ!アメリカ完全制覇」みたいな意気込みの溢れる曲じゃ。
 エイジアは個人的にはあんまり興味の無いバンドじゃったが、たまたまこのアルバムから参加したニューギタリスト、マンディ・メイヤーのマニアックなファンだったんで、アルバムを買ったわい!「Go!」-シンプルで説得力抜群のええフレーズじゃ。

♪~tune6 : Come on, Let's Go / Los Lobos

 舌を噛みそうな♪~ララララララバンバ~♪ あれ?“ラ”の回数間違ってないか?って、まあそんな楽しいノリが真骨頂のロスロボス。どの曲も基本的に“ラララ~”じゃ!この生粋の楽天家なノリがわしは若い頃にはどうにも苦手で、この曲のタイトルだって「何考えてんだ、コイツラ!」って思ったおったもんじゃが、まさか今になって求める気分になるとはなあ~。
 ロスロボスって今だからこそ再ブレイクしてほしいバンドじゃ。そう言えば、「ラバンバ」や「ランバダ」っつう南米系音楽って突然世界中を虜にするが、その昔タイで知り合ったブラジル人に言われたことがある。「タイ人ってどうしてあんなに暗いの?」タイ人が暗いなんて信じられん感じ方じゃったが、やっぱり今こそ南米の底抜けに明るいノリが必要じゃ!

♪~tune7 : Let Me Go / Heaven 17

 このバンドは70年代の末期、イギリスのエレクトロニック・ポップ創世期に出て来たユニット。活動結果はこの曲のみの一発屋。でも「俺を行かせてくれ!」って切実な爆発欲求が実によく表れておって、七鉄青年オキニの一曲じゃった。PVに出て来るロンドンボーイたちの襟幅の広いロングコートの着こなしも「かっこええなあ~」と見とれておったもんじゃ。まあロングコートそのものはThe-Kingのアメリカンロングコートほどの完成度じゃねーけどな!
 70年代末期に初めてイギリスに行く前、わしのロックの先生とも言うべき高校時代の友人が急遽ロンドンで流行りのロックを集めたテープを送ってくれたんじゃが、その中でピカ一の印象度があった個人的に忘れ難い一曲なのじゃ。

♪~tune8 : Prince & The Revolution / Let's Go Crazy

 そのエグイビジュアル故に日本では人気が爆発しなかったプリンスじゃけど、久しぶりにこの曲のPVを観たら「スゲエセンスの塊じゃ!間違いなく天才!!」って唸ってしまったわい。
 タイトルは「さあ、メチャクチャやっちまおうぜ!」ってトコじゃが、メチャクチャやっているのに信じられないサウンドの整合感!多彩なジャンルの音楽もブチこまれておって唖然としたわい。プリンスも亡くなってしまったが、このご時世にデビューしていたら、果たしてどんな音楽を作り上げるのだろう?

♪~tune9 : Go Now / Moody Blues

 ムーディーブルースって、60年代中期にデビューしたイギリスのコーラスバンドじゃったけど、じわじわとプログレ寄りに変化していったミョウチクリンなバンド!?でも何故かこの曲が蘇って来た!アメリカのコーラスバンドよりも聖歌隊に近い透明感があり、曲調は品のあるポップス。
 この曲では後にポール・マッカートニーの片腕となるデニーレインも参加しておる。ホント、当時のロックシーンには色んな個性、音楽性をもったバンドがごちゃまんとおったもんじゃ。60年代のちょっとメランコリックで透明感のあるブリティッシュポップに触れてみたい方にオススメかのう。

♪~tune10 : Here I Go / Syd Barrett

 気分が少々60年代になったところで、変わったロッカーをお一人紹介しておこう。故シド・バレット。ピンク・フロイド結成当時のリーダー、ギタリスト、コンポーザー。2枚目のアルバム制作中に神経に異常をきたして脱退。その後意味不明のソロアルバムを2枚だけ発表。彼の精神の異常はその後治癒することなく、2006年に死去。
 ピンクフロイドの後の名曲「狂ったダイアモンド」のモデルにもなった人物であり、この曲はソロアルバムの中に収録された、我々一般人でも近づける希少な一曲。ロックが嫌いな少女と、ギターの演奏を通して仲良しになっていく少年の物語。こんなささやかな「Go」があってもいい。

♪~tune11 : The Kinks / Life Goes On

 「君が死んだ後も人生は続く~何も分かっていない時にこそ大切な事が起きているんだ~つまらない事が多いから人生は続くのだetc」とまあ、励まされているのか落とし込まれているのかよおワカランけど、なんか心に染みる一曲。
 PVではリーダーのレイ・デイヴィスが観客に手拍子を促しておるけれど、この曲で手拍子出来ちゃうから欧米人ってスゲーとは思わん!(笑)でもそんな境地に一時的に達してみたいとは思う。金太郎飴みたいな長い人生に小さな一石を投じてくれるような曲じゃ。
 
♪~tune12 : I Go to Extremes / Billy Joel

 記憶にあるビリー・ジョエルの最後のビッグヒット曲。ロカビリー調じゃけど、やっぱりビリー節ってとこがスゲエ。絶望を美しく歌うことでのし上がってきたロッカーというのは、ビッグになってからが大変じゃ。お金持ちになった身分を隠さずに、それでいて生きる為の新しい苦悩を新しい美しさで歌うこと。ビリー・ジョエルはそれが出来たんじゃろうなあって納得させられるような一曲じゃ。

♪~tune13 : I Go Wild / Rolling Stones

 1990年代のストーンズナンバーの中ではトビキリにエネルギッシュなロックンロール。当時既に60歳近かったストーンズじゃが、永遠のロックンロール・ボーイとして突っ走ろうとするミックジャガーの生命力がほとばしっておるな!
 この手のノリの曲になると、途端にキース・リチャーズのノリが少々控え目になるのがオモシロイ!「またあのヤロウ(ミック)、若づくりしてどーしよもうねえぜ」って苦笑しながらギターを弾いておるんじゃろうな。それにしても、中年の開き直り感が凄まじい曲じゃけど、今では老人の開き直りになっとるから参るな、このバンド!開き直っても「老害」「老醜」になっとらん秘訣を、わしも探らんといかんな!

♪~tune14 : The Pretty Things Are Going to Hell / David Bowie

 あまり話題に上らないというか、ほとんど無視されておるが、わしは1990年代のデヴィッド・ボウイのアルバムは結構贔屓にしておる。80年代のディスコポップ、ティンマシーンでのメタル路線よりもボウイらしさが出て非常に優雅じゃ。ボウイらしさってのは、サウンドの焦点が一点に定まってなくてゴッタ煮をボウイのオリジナルソースで見事に味付けしてモダンに仕上げることろじゃ。
 まあ80年代のポップとメタル路線とを昇華させて融合しとるのが90年代のボウイ。決して過去は無駄ではないということをこの頃のボウイが教えてくれるのじゃ。この曲はその典型か!?タイトルは深読みすすれば「カワイコちゃんも化ける」ってこと?いいね、人間いつまでも化けてみたいものじゃ!

♪~tune15 : Go Insane / Lindsey Buckingham

 リンジー・バッキンガムとは、1970年代のアメリカンチャートを暴れまくったフリートウッド・マックのギタリスト。過度のドラッグの影響もあってジイサン、バアサンになっちまった他のメンバーとは違っていい歳の取り方をしておる!タイトルは「狂え!」ってことじゃが、若気の至りへの懺悔と永遠の真理への憧憬のダブルミーニングじゃろうな。
 最初はソロで発表して永遠の真理を、後ほどフリートフッドマック・バージョン(アコギ・バージョン)で再録して、若気の至りへの懺悔、そのようなアレンジにそれぞれなっとります!ズバリ、隠れた名曲。ひとつの作品をアプローチによって別の作品に仕立て上げるセンス、これも歳を取らにゃ出来ん技じゃし、冷却期間がないとアリエナイ芸当じゃ。


以上、遠慮して15曲に留め置くぞ(笑)
ちなみにベスト20から15へ段階での選モレは下記の通り。

♪~Letting Go / Paul McCartney & Wings
♪~Here I Go Again (Original Version) / Whitesnake
♪~I Will not Go Quietly / Don Henley
♪~Go Through It / Blondie
♪~Why Go / Peal Jam

ではでは皆の衆、コロナなんて吹き飛ばして「Go」!
2021年もヨロシューな。



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