ROCK FIREBALL COLUM by NANATETSU Vol.33

 2007年も後半に突入! 勢いあまってエネルギッシュなキャット・アイコンをクリックしおったな! 今年のスパートの前の大切なイヴェント、エルヴィスの30回忌はどうされておったのかのお。 世界各地で盛り上がっとって、諸君もそれぞれの思いをこめてキング・オブ・ロックンロールを偲んだことじゃろう・・・とまるで他人事のようにミョーに冷静に切り出したわしじゃが、30回忌の当日のわしは普段と変わらん一日を過ごしておったのだ。
 実はな、何年か前からは尊敬する偉大なるロッカーの命日、誕生日といった記念日はあまり意識せんようにしておるんじゃ。 いつも大義名分を探して酒宴を楽しむわしにも、こーいう穏やかな一面もあるのじゃぞ。 その詳しい理由は「酔眼雑記」の方で述べるとするが、そんなわしの真意なんぞ関係なしに、やっぱり命日近くになると「30回目だぞ」「30回忌ですね」といった連絡がぎょうさん入ってきよった。 それから旧友と久しぶりのロック談義に花が咲くんじゃが、諸君もそれなりにお歳をめされるとロックや好きなロッカーに対するスタンスや追求するスタイルがどんどん“ガンコ七鉄”になっていってオモシロイ!
 今回は、トビキリのオリジナリティなスタイルでエルヴィスを愛し続けるわしの友人、知人を何人か紹介してみよう。 「ほほお〜、そーいうファンというのもいるのか」と感心したり、「ホンマかいな?」と呆れたりしながら、諸君も独自の「エルヴィス愛」の追求に磨きをかけてくれ〜い。
 

エルヴィス30回忌に寄せて
エルヴィス・フリーク紳士録〜それぞれの“わが心のキング”

 
●A氏〜全部知りたくない派●
 エルヴィスには世界中でものすごい数の編集盤やベスト盤があるので、エルヴィスの音関連のコレクター諸氏はそれぞれに独自の“線引き”をしておられることじゃろう。 このA氏においては、アメリカ盤と日本盤、しかも70年代までに発売されたものしか買わんし、聞かないそうじゃ。 
 「亡くなった後になって、あれもあった、これもあったって発掘されたものは、貴重なものもある反面、ひょっとしたらエルヴィスが発表されることを嫌がっていたものもあるかもしれない。 それにエルヴィスのことを全部知りたいとは思わないですよ。 ここはどうだったのかなあ〜などと思いを巡らせ続けることが、エルヴィスと僕をより深く結びつけることになると思うんですよ」。 う〜ん、愛のかたちってのはいろいろありますなあ〜。
 とはいいつつも、どーしても自分の中のルールを破ってまでも欲しくなるブツもあるらしい。 そういう時は持っているヤツに好きなだけ解説してもらうと気持ちが落ち着くらしい。 昔のファンってのは「少欲知足」(少しの物で満足することを知る)というか、純粋ですなあ〜。

 ●B氏〜晩年のエルヴィス・アイテム限定派●
 このお方は、晩年のエルヴィスに関するブツに的を絞った情報収集やコレクションをしておる。 
 理由がまた独特じゃ。 「エルヴィスは77年に死んだのに、僕の中のエルヴィスは今だに死んでいないんです。 エルヴィスと同じ時代を生きたファンとしてこれほど辛いことはないんですよ。 だから僕は、エルヴィスはもういないんだって事実を認め、前向きになるために、最晩年のエルヴィスしか意識しないようにしています。 いつの日か僕の中のエルヴィスが死んだ時、エルヴィスは僕だけのエルヴィスになるんです」。
 ・・・わしのノーテンキな脳ミソでは付いていけんような超文学的なお方じゃのお〜。 でもエルヴィスが死んだことを今だに認められないお気持ち、認めた時が自分だけのエルヴィスになるというお気持ち・・・分かる、実によ〜く分かる、ような気もするのお〜。


●C氏〜レコードサウンド派(っつうかCDサウンド拒絶派)●
 このお方はエルヴィスに限らず、古い音源のCD化を絶対に認めない古風な職人的リスナーじゃ。 かつてレコードで聞いていた音楽をCDで聴くと、必ず「嘘つけっ!」って感じるらしい。 だからいまだにエルヴィスはレコードでしか聞かないらしい。 
 「デジタルリミックスとかなんとかいいやがって、CDなんてのはあとから元々は入ってなかった音をかぶせたりなんかしているに違いないんですよ」とくる。 わしなんかは「ぉおっ!こんなところにこんな音が入っとったんか!」なんつって単純にCDを喜んで聞いてしまうクチじゃが、わしは貧乏性なのかのお〜。
 「完全レコード・サウンドによるエルヴィス追悼祭だったら参加してみたい」というC氏は、ちなみにレコードサイズでデザインされていたジャケットが、CDサイズに縮小されることも「不自然だ。キモチ悪いっ」ってなるらしい〜。 いやはや、まるで若いモンの顔を見ただけでひっぱたこうとする(?!)頑固ジジイ顔負けのこだわりようじゃのお〜。


●D氏〜ミーハー路線貫徹派●
 スターに対しては徹底してミーハー路線を貫くという、いつまで〜も若いお方。 このD氏のミーハー路線の原点とは「なりたい願望とヒット曲重視」であり、とにもかくにもエルヴィスと同じようなファッションを生涯に渡って求め続けることだそうじゃ。
 でもそれはステージ衣装ではなく、自分の日常ファッションとエルヴィスのオフタイム・ファッションの共通点を追求していくことだそうじゃ。 それが彼流の「なりたい願望」とか。  
 「音の方を追求していると研究者っぽくなっちゃうでしょう? 僕はそんなタイプじゃないんですよ。 エルヴィスのファッションって、オフタイムの時もキマッテいるし、しかもいつの時代のものでも、ヤングにもオールドにも着たくなる独特のセンスがある。 それをいつまでも楽しく追っかけたいんですよ! THE-KINGさん、よろしくお願いしますっ!!」ということだそうじゃ。
 そして音の方は「年代別シングル・コレクション」的なブツをそろえるだけで充分らしい。 それもまたヨロシッ! エルヴィスはシングル中心の時代のスターじゃしな。 これもまた正しくユニークな姿勢じゃ!

 
●E氏〜カヴァーヴァージョン探索派●
 このお方のカヴァーヴァージョンとは、他のロッカーがエルヴィスの歌った曲をカヴァーをしていることで、ベテランだろうが新人だろうが見つけたら即買い!らしい。 「ロックは今を生きるための音楽。 エルヴィスが現在のミュージックシーンにどんな影響を及ぼしているかを知りたい!」そうじゃ。
 E氏の真意をさらに代弁すれば、「エルヴィスの前にエルヴィス無し。 エルヴィスの後にもエルヴィス無し。 だけどその困難な作業に挑戦する新進ロッカーの勇気ある姿勢がロックの新しい歴史を作っていくのであ〜る」っつうことなんじゃろうな。
 因みにこのお方、音ばかりでなく、エルヴィスをはじめとするフィフティーズ・ロック・ファッションの現代への影響力の方もしっかりチェックしておるらしい。 「素晴らしい音楽とファッションは、脈々と受け継がれていき、現代でもしっかり息づいているんですよ」ときたっ!エライッ! キミは世の中をよく分かっていらっしゃる!! これからもしっかりTHE-KINGのHP、ついでにわしのこのコーナーもチェックしてくれ〜い。



 いやあ〜、同じエルヴィス・ファンとはいえ、色々といらっしゃいますなあ〜。 それだけキング・エルヴィスが人々の心の深〜いトコに住み着いて離れないってことじゃろう。 まさに「エルヴィス死すとも、ロックは死なず!」ってヤツじゃな。
 オリジナリティをもってエルヴィスを愛し続けるってことはスバラシイ〜。 わしの場合は、「酔っ払った時に聞きたくなるであろうエルヴィス・ナンバーのセレクト」だけは何年も続けており、自作のCDROMを作ったりしておるが、皆様に比べると芸がないのお〜。 おみそれいたしましたっ!
 
 ちなみにわしは最近興味深い現象に気が付いたぞ。 有名ロックスターの命日や何十回忌という記念日近くになると、わが日本ではどーいう訳だか、文化人と称されるどこかのおエライ様が突然メディアに招聘されてきよる。
 そしてファンの真意とはかけ離れた見当ハズレな持論をエラソーにかますことが多かったんじゃが、エルヴィス追悼の時だけはそうしたイーカゲンな報道がめっきり少なくなった。 ようやく、メディアのビジネス戦略に惑わされることなく、ファンの一人一人が真っ直ぐにエルヴィスと向かい合うことのできる時代がやって来たのじゃ。 ブラボー! そして、フォーエヴァー・エルヴィス!!





七鉄の酔眼雑記  巨星! 西洋狂気音楽=ELVIS PRESLEY!! 

 冒頭で述べた通り、わしはエルヴィス30回忌の祭事にも行かんかったし、特別な酒宴も用意せんかった。 わしの心の中にはたくさんの今は亡き偉大なるロッカーの魂が宿っておるが、律儀に全員の命日の儀式をやるってのは、毎月お通夜をやるようなもんじゃ。 そんな習慣を続けとったら「ロックはもう死んでしもうた」なんて沈んだ気分になってしまうからじゃよ。 今年はキングの記念すべき30回忌じゃが、昨年「ロック誕生50周年」って大いに盛り上がってエルヴィス登場を讃えたばっかりじゃしな。 誕生を祝った翌年に今度は死を愛惜するってのは、どうも・・・。 
 さらに月によっては某ロッカーの誕生日の翌日に別のロッカーの命日がきたりして、喜んでいいのか悲しんでいいのか、何だかよく分からんようになってしまう。 ということで、偉大なるロッカーの魂は、毎年お盆にご先祖様にお祈りを捧げた後日、1日限定で全員まとめて弔い酒をすることにしておるんじゃ。

 そうは言っても、心のどこかで「エルヴィス30回忌」を気にかけながら8月16日を過ごしておったら、長らく台湾で仕事をしていた知人から「帰国したから飲もう」って連絡が来たので、ヤッパシ、チャッカシ酒場に出かけるハメになった。 その知人は「オメエさんは50年代のアルバムは持ってるだろうからこっちにした」と、60年代以降に発表されたロック・アルバムの台湾盤CDを土産で持参してくれたのじゃが、これがケッサクじゃった。
 台湾語(北京語)表記のオビが付いていて、ビートルズが「兜虫合唱団」、ストーンズが「転石合唱団」、イーグルスが「老鷹合唱団」、クイーンが「皇后合唱団」じゃ。 一番ウケタのはザ・フーの「誰合唱団」じゃった。
 しばし8月16日であることを忘れて、 「じゃあブルーキャップスは青色帽子合唱団で、ストレイキャッツなんかは放浪猫合唱団かいのお〜」なんつって友人と二人でひとしきりバカ笑いをしてしまった。 そういえば、わしが20年ほど前に台湾のレコードショップに入った時、確かエルヴィスのキャッチコピーが「巨星!西洋狂気音楽」とかなんとか表記されていて吹き出したことがあったのお〜。 ちなみに、エルヴィスの名前表記にはテキトーな漢字が当てられておったが、日本語と台湾語とは同じ漢字でも読み方が違うので今ひとつピンとこんかった。 
 
 こんな8月16日をおくっとったわしはエルヴィス・フリークとして不謹慎じゃろうか? エルヴィス信望者の方々、こんなバチあたりのようなわしをどうかお許し下され。 酒とロックと笑いはわしの不老長寿の特効薬じゃっ!


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