NANATETSU ROCK FIREBALL COLUME Vol.305 |
ガラにもなく世間様の風潮、そう「平成の終わり」なんてのを意識して、前回はどうせなら昭和まで遡ってしまえってラジオっつうもんをノスタルジックにちょっぴりセンチメンタルに振り返ってみた。 ロックってのはアッチの音楽だし、ロックと日本の年号って関係ないから、ロックを昭和で括ってみるのは歪な方法かもしれんけど、こっちは日本人なんで日本人特有のロックの取り上げた方をしたっていいじゃないか!せっかくだからもう1、2回はやってみようかのお。 ロックと昭和と言えば、他に「レコード」「カセットテープ」「レコードの帯」「レコード屋さん」「お手紙や電話が題材になったラブソング」とかいくつかのネタが思い浮かんだが、今のところなんかイマイチおもしろくない(笑)この括り方だと、何もロックじゃなくても演歌にも歌謡曲にも腰痛、じゃなくて共通しとるしな。 そこでタリナイ脳みそを絞って考えたのが「オモシロイ、ロックの邦題(日本語タイトル)」じゃ! 何でも近年はロックの楽曲にイーカゲンな邦題を付けて、ファンにイーカゲンなイメージを持たれると困るってことで、ロッカーのマネージメント側から日本の販売元にチェックが入る時代になったらしい。 道理で最近の邦題も見ていても原題のカタカナ表記ばっかりになったわけじゃ。 昔の邦題も原題のカタカナ表記に改編されたりしておる。 ふ~む、イーカゲンな邦題には腹が立ったことも多々あったが、いざ無くなってしまうと案外寂しくなったりする(笑) 例えばレイ・ピーターソンの1960年のヒット曲「ローラに好きだと云ってくれ」のタイトルが、原題通りの「テル・ローラ・アイ・ラブ・ハー」になっちまったら、オールドロック・ファンとしてはちょっと情緒不足じゃよなあ~。 ってワケで、クールなもんもヒデエもんも含めて、昭和のロックのオモシロイ邦題を振り返ってみたい! |
平成の終わりに寄せて~昭和まで振り返ってしまうぞ! Vol. 2 「ドントまずいゼ」から「あの娘におせっかい」まで!嗚呼、懐かしの“お笑い”昭和ロック邦題劇場! |
♪~キング・エルヴィスにはダサイ邦題は付けられなかった(と思ったが・・・) 50~60年代の洋楽、ロックにはかなりの確率で原題とは関係のない、またモロ直訳の「なんだよ、それ~」ってなダッサダサの邦題があった。 まあ海の向こうの音楽を、なんとか日本のファンに馴染んでもらおうとした当時の洋楽販売担当者たちの熱意の現れでもあるんじゃけどな。 しかし、エルヴィスにはテキトー、ダッサダサの邦題は見当たらないんじゃよな、コレが! 「監獄ロック」は許される範疇だし(ちょっと意味ワカンネーけど)、「ラブ・ミー・テンダー」もエルヴィス録音盤だけは「やさしく愛して」とはされんかったし、「ハウンドドッグ」は「俺は吠える犬だ!」ではねえし(笑)、「ホームタウンのストレンジャー」だって「俺は故郷の嫌われ者」ではなかった! もし「レコンシダー・ベイビー」を「考え直してくれ」にされたらわしはレコード会社に殴り込みに行ったであろう!ってハナシがズレてきたが、要するにキングの楽曲に対しては日本のレコード会社も敬意を表しておったってことにしておこう、真相は知らんけど。 それがロックンロール・キングの威光の成せる業じゃろうな。 と信じておったんじゃが、念のためにネットをくぐってチェックした結果、とんでもないダサイ邦題を一つ思い出してしもうた。 「Don't」が「ドントまずいゼ」・・・。これって・・・ひど過ぎではないか? 洋楽邦題史上、最悪じゃ。これ付けた担当者、出てこい!ざけんじゃねーと言いたいところじゃが、あの当時洋楽の邦題命名担当者って結構音楽業界のお偉いさんだったりする。 もしご存命ならばとりあえず理由を伺ってみたい。「ざけんな」ってシャウトするのはそれからにしよう。 もうひとつ。 「We're Gonna Move」が「引っ越しだ!」って・・・もうちょっとヒネッテもよかろう。 例えば「さらばだ」とか。 更に「Such a Night 」が「キッスにしびれた」ってのもヒデーな。 「なんというイカシタ夜なんだ」でもよかったではないか。 また 「Make me Know it」が「きみの気持ちを教えてね」ってなっちゃったのもあった・・・いやいや、これ以上ネットでキングの邦題を調べるの、や~めた(笑) ♪~ストーンズ、ザ・フー、キンクスの変な邦題 60年代に入ってまず思い出すのがローリングストーンズの「Get off of my cloud」で、原題の意味は「俺の周囲から消え失せろ!」なんじゃけど、邦題は「ひとりぼっちの世界」。 かなりチガウダロー! あえて“ひとり”表記に拘るならば、「ひとりにしてくれ!」「ほっといてくれ!」の方が正しいが、なんかそれもキマッテないがな。 ザ・フーにおいては代表的お笑い邦題は「Subsutitute」。 直訳すれば「代用品」であり、ヨースルニ「俺は所詮彼女の本命(の男)の代用でしかない」って意味なんじゃけど、この邦題が「恋のピンチヒッター」ってなんだそりゃ! ピンチヒッターっつったら、とてもポジティブな意味合いに感じるけど、実際にはネガティブな男の心情のタイトルなんじゃけどな(笑) The Whoでもう一発。 「I'm a Farmer」の邦題が「俺は百姓!」。 「百姓」は今なら差別用語じゃろうからNGじゃ。 曲を聞いても農家賛歌には聞こえんけど、ご丁寧に「!」マークまで付けられておるし、一体何を強調したかったんじゃろう! キンクスにもひとつ「僕はウヌボレ屋」ってのがある。 原題は「I'm Not Like Everybody Else」。“オレ様は他の野郎どもとは違うぜ”がウヌボレ屋さんですか・・・なんでこんなカワイイ言い方を選んだんじゃろう? 「俺はナルシスト」なんて方がロックっぽい!? まあ概して、ここら辺の60sの大物ブリティッシュ・ロッカーの楽曲には、ビートルズ以外は無茶苦茶な邦題は少なったと思われる。 ビートルズに関しては最後に記しておくぞ。 ♪~プログレ全盛とともに意訳邦題も全盛じゃった70年代 カワイイ邦題の時代が終わったのは、プログレバンドが出現した60年代末期から。 唯一の例外というか、お笑い邦題のサイコー傑作と言えるのが、ピンク・フロイドの「エミリーはプレイガール」。 原題「See Emily play」は、「一人で戯れているエミリーちゃんに俺は見惚れている」ってことなんじゃけど、なんでそれがプレイガールになっちまうんだ!プレイ(Play)の意味を取り違い過ぎじゃ。 プログレじゃないが、70年代最低の邦題は、T・レックスの「いやな液体」。 原題「Liquid Gang」は直訳すると「不安定な野郎ども」って感じじゃろうが、これが何で「いやな液体」なんじゃろう??? ウケ狙いだとしてもあまりにも不可解(笑) 一体全体どんな液体なんじゃ、それって! 多分Liquid(リキッド)を単なる液体、Gangを迷惑なヤツって勝手に直訳して合体させた結果なんじゃろうけど、それにしてもセンス無さ過ぎ! 個人的に変な邦題のせいでレコード購買意欲が萎えたのが、ポリスの「高校教師」。 原題は「Don't Stand So Close To Me」で“(悩まし過ぎるから)あんまり近くに居ないでね”っつう女性の魅力を歌った曲。 それがなんで「高校教師」? 歌詞をよく読むと、魅力的な生徒さんがどうのこうのって一説があり、ボーカルのスティングが元高校教師じゃったからこのタイトルが付いたようじゃ。 でも更に歌詞をよく読むとある引用される人物があり、それは高校教師というより、小、中学校の先生の方(笑)。タイトルが「中学教師」じゃキマンネーから「高校教師」になったのか? 取り違いというか、完全に英語の意味を間違えておる代表的邦題がキング・クリムゾンの「ポセイドンのめざめ」。 原題「In the wake of Poseidon」の“wake”は、“目覚め”じゃなくて“足跡”とか“軌跡”であり、壮大なポセイドン・ストーリーがコンセプトになった楽曲のニュアンスを誤訳によって入口からミスってしまっておる。 キング・クリムゾンの邦題といえば代表曲「21世紀の精神異常者」。 原題「21st Century Schizoid Man」の直訳として間違ってはおらんけど、この邦題がレコード制作基準倫理委員会(レコ倫)基準の変化によって原題のカタカナ表記「21世紀のスキッツォイド・マン」に近年改められたのは、“スキッツォイド”っつう英単語が日本人にはなじみ薄なだけに、迫力不足でちょっとズッコケ(笑)世知辛い世の中になったもんじゃ。 荘厳な意訳邦題がまかり通っておったプログレだが、中でも凄かったのがジェネシスのファースト。 全13曲の邦題が全て原題の直訳か意訳!「僕はいけないことを?」「涙が蜜に変わる時」「荒野に呼ばわる声」「その日のために夢をもとう」「心の窓に見えるものは」等など、もう「そこまで直訳、意訳しちゃのか!ってレコード会社の変な熱意に感心したもんじゃった(笑) 「エミリーはプレイガール」で思いっきり笑かしてくれたピンク・フロイドじゃったが、その後の「Atom Heart Mother」が「原子心母」、「The Dark Side of the Moon」が「狂気」、「The Great Gig in the Sky」が「虚空のスキャット」、「Fat Old Sun」が「デブでよろよろの太陽 」、「I Wish You Are Here」が「炎~あなたにここにいて欲しい」、「One Of These Days」が「吹けよ風、呼べよ嵐」(プロレスラーのアブトラーザ・ブッチャーのテーマ曲)等など。 直訳、意訳、造語、曲の雰囲気やジャケットのデザインだけで命名等、ロックの邦題の付け方の方法論がすべて駆使されたような傑作邦題が目白押しじゃったな。 「この邦題曲、一体どんな曲なんだ?」って興味持って、ピンク・プロイドなんて全然知らなくてもついついアルバムを買ってしまったヤツも大勢おったろうな! 何を隠そう、その一人がこのわしじゃ!(笑) 60年代末期~70年代のハードロック系は、そのイメージとは裏腹に?変な邦題は少なかった。 例外的じゃったのがエリック・クラプトンが在籍した伝説のハードロックグループ・クリームで、意味は間違っちゃあいないがズッコケ邦題が多かったな。 「Wrapping Paper」はそのまんまの「包装紙」(爆)、アルバート・キングのカバー「Born Under Bad Sign」は「悪い星の下に」、「We're Going Wrong」は「間違いそうだ」って、ギリ許されるセンス。 だけど、「White Room」は「白い部屋」じゃないし(原題のカタカナ表記)、「Sunshine of Your Love」は「君の愛は太陽」でもない!?(「サンシャイン・ラブ」っつう省略型) まあ直訳に徹底出来なかったわけじゃが、当時の日本のレコ―ド会社の販売担当者の一時の気紛れで曲によって思い付いたもんだけ邦題にしたってトコじゃろうな。 “三大ギタリスト”繋がりで行ってみると、レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジの邦題パターンは「I Can't Quite you」が「君から離れられない」、「Whole Lotta Love」が「胸いっぱいの愛を」、「Your Time Has Gone」が「時は来たりて」、「Dazed And Confused」が「幻惑されて」、「Achilles Last Stand」が「アキレス最後の戦い」って、良い着地点を見つけた訳でクラプトンとは正反対。 「Tea for One」が「一人でお茶を」っつうのはちょっと笑えるが悪くない! ジェフ・ベックも「Cause We've Ended As Lovers」が「哀しみの恋人たち」、「You Know What I Mean 」が「分かってくれるかい」って結構センスええわい! もしジェフ・ベック・グループの邦題担当者がクリームの担当者だったら、「I've been Drining」が「酔っ払った」とか、「Got the Feeling」が「サイコーだ」になっていたんじゃないかのお~♪ 少なくとも邦題に関しては、ペイジもベックもクラプトンよりかは恵まれておったってことじゃな。 |
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