NANATETSU ROCK FIREBALL COLUM Vol.302 |
つい先日、わしは出張で14年ぶりにシンガポールへ行ってきた。 シンガポールは63の島からなり、もっとも大きな島はシンガポール島(東西42km、南北23km)。 他の島はいずれも小さく、44の島は面積が1平方kmを下回る。
国土面積は東京23区とほぼ同じであり、人口密度は世界第2位じゃ(第1位はモナコ公国)。 GNPは世界第3位であり、世界一物価の高い国として知られておる。 実は行く前は、行きたくなくてしょうがなかったんじゃ! とにかく物価が高くて、何をするにもお財布と相談しなければならんし、食事をする毎に、酒を飲む毎に首を絞められるような思いをするからじゃ。 14年前でさえ物価高だったのに、現在は更に値上げしとるわけじゃし、旅先としてはまず選ぶことのない国じゃ。 今回は仕事での訪問なんで、飛行機代とホテル代は会社持ちじゃから「しゃーねーな、ちょっくら行ってやっか!」ってな気分じゃった(笑) まあ実際に行ってみて、これが意外と14年前ほどの嫌悪感(シンガポールの人、御免なさい!)を抱くことなく割とおだやか~な気分でタイへ戻ってきた。 シンガポールの何がわしの印象を変えてくれたんじゃろうか、その辺を実例をあげながら、シンガポールっつう国の一端を諸君に紹介してみようと思う。 |
七鉄のロック回り道紀行~Vol.29 アジア最先端のハイテク国家シンガポールへの違和感と最新の雑感 |
■ 14年前の記憶が・・・無い!? ■ まず14年前のシンガポール滞在なんじゃが、実は初めて訪れた19年前と同様に、何故シンガポールに行ったのか、何処に泊まったのか、何処を観光したのか、何をやっておったのか・・・具体的な記憶がほとんど無いんじゃよ。 14年前はデジカメを持っておったんじゃが、撮影をした記憶もデータも一切ない。 「好きか嫌いか」の曖昧な印象しか残っておらんのじゃよ。 旅が長く続くと、「記憶のエアポケット」とでもいうか、たまにこういう事が起こるのじゃ。 20年前のインドの旅では後半に急性食あたりで死にかけたんで、それ以降のインドの思い出が吹っ飛んでしまったし、19年前のラオスの旅ではギックリ腰をやってしもうて、マリファナ吸って痛みを消して動き回ったものの、マリファナの世話になっておった一週間の記憶がない。 要するに体調を激しく崩すとわしの記憶力は著しく低下するようなのじゃ(笑) 「それって先天性健忘症なんじゃねーか!」「20年前からボケが始まっていたんだろう」ってヤカマシーワイ! 19年前、14年前のシンガポールでわしに何が起こっておったのじゃろう? ■ 「計算し尽くされた超近代都市に絶句! ■ わしの記憶を消し去るほどのシンガポール・ショック、その原因はどう考えてもたったひとつしかない。 街の隅々まで計算し尽くされた建築、整備された超近代都市への激しい違和感じゃ! 「有るべき所に有るべき物が100%ある」というか、国土が小さいだけに無意味、無駄なスペースが街中にまったくない。 遊び心のスペースが無いとでもいうか。 560万人の人民を収容する為の高層アパートが、明らかに居住者たちの日照権を確保する為に絶妙の距離感で建ち並んでおる。 道路はまるで雑巾がけでもしているようにキレイ。 比較的安い飯屋、飲み屋は一画に集められておる場合が多いから、街中を徘徊しておっても“意外な発見”ってもんがほとんどない。 オーチャード通りというシンガポールでもっとも煌びやかなショッピングストリートの横断歩道の前で長い信号待ちをしている時、ぐるりと周囲を見渡すとビルとビルとの間に大きなヤシの木が目に入る様にセットされており、その当たり前すぎる絵に描いた様な都市開発模様に異常に腹が立った! 何だかわしのようなイーカゲンな人間にとっては息が詰まりそうな「理想的なモデル都市」であり、確か2泊目ぐらいから「ゴジラにでもなって破壊したい!」ってな衝動に駆られたことだけをよお~く覚えておる。 そう言えば、今思い出した! あれは17年前じゃったか、当時バンコクで編集者として働いておった時、製作していた新聞に広告を載せて頂いておったシンガポールの某会社から“お誘い”があった。 給料は日本並みで(タイの3倍!)で住居も提供して頂けるという垂涎の好条件だったにもかかわらずお断りをした。 当時のかわいい部下たちを見捨てることは出来ないってことを除けば(笑)理由はただ一つ、「わしはシンガポールには住めない!」。 ■ 入口はMRTで快適 ■ 今回のシンガポール出張、まずはチャンギ―国際空港から市街地中心までMRT(地下鉄)で移動。 約25分の乗車で運賃はたった約200円(2.5シンガポール・ドル)。 このMRTは市街地内をほぼ網羅しておる路線を誇り、運賃は遠距離でも250円以内であり、物価の高い国とはいえ、主要交通機関の運賃の安さは特筆ものじゃ。 何でもかんでも高い日本とは違う! 外地における入口の快適さは外国人にとっては重要なポイントであり、このMRTの完成のお陰でわしのシンガポールへの心象が随分と変わった! いやあ~駅構内も車内も清潔じゃ。 セックス・ピストルズのジョニー・ライドンの言葉を思い出す。 「日本の地下鉄ってのは、座って飯が食えるぐらいに綺麗だな」シンガポールのMRTも日本の地下鉄とまったく一緒じゃ。 そして国際空港から市街地への移動の便利さ、安さにおいては東南アジアではシンガポールが随一じゃ。 ■ 市街地に食べ物の匂いがしない ■ タイ・バンコク、ベトナム・ホーチミン&ハノイ、カンボジア・プノンペン、ミャンマー・ヤンゴン、マレーシア・クアラルンプール、ここ2~3年で訪れた東南アジア各国の大都市の共通しておる部分とは何だかお分かりか? それは市街地に入るとどこにおっても何となく食べ物の匂いが漂っておることじゃ。 それは「食べる事が人生最大の楽しみ」という東南アジア人特有の地域民制、路上屋台&路上カフェの存在によるものじゃが、シンガポールには路上屋台は無く、食処が点在していないので、食べ物の匂いがしない所が多い!(笑)これは先進国、先進国の都市である為の必須条件ともいえるじゃろう。 「路上でむしゃむしゃ、職場でもぱかすか」っつう東南アジア特有の習慣がシンガポール人には希薄である証拠じゃな。 「飲食は決められた時間に、決められた場所で」これが生活習慣としてシンガポールに根付いておることに気が付いた時、またまた心象がアップした次第(笑) (右写真~シンガポールの代表的(?)ローカルフード。名前を忘れてもうたんで“何でも色々ぶっかけセット”とでも呼ぼう。 気のせいか、ローカル料理の大半は、どこか中華風、どこかインド風、どこかタイ風の味がする!) ■ オカネワ タクサン オロシナサイ ■ GNPが世界第3位とはいえ、人口が僅か560万人なので1億人越えの日本と単純に比較はできないものの、シンガポールがお金持ちの国であることには変わりはない。 だからなのか、国民の顔つきがとても穏やか(笑) こう言っては何だが、物欲しそうなお顔の方が多い東南アジアの中にずっとおると、シンガポールでは落ち着くわい(笑) ヨースルニダ、ぼったくられる心配が無いっつうこっちゃ! まあぼったくられない代わりに、ほとんどの物価が日本と同じじゃけどな! ちなみにタバコは安くても12ドル(約1000円)で日本の倍以上。 ビールは国産タイガービールの大瓶が7ドル(約560円)じゃ。 タイでギャラを頂いておる身分としてはシンガポールの物価は結構きついが、まだ少しだけ日本の貯金もあるし、先日The-Kingから「七鉄コーナー300回記念特別ボーナス」が支給されたんで(笑)、今回は何とか! ゼニのハナシついでに書いておくが、「あるべき所にあるべき物が100%ある」シンガポールにおいて、「意外と少ないのお」と思ったのが街中のATM。 日本ではショッピングセンターやコンビニの中に「これでもか!」っつうぐらいATMがあるが、わしが泊ったホテル界隈では探すのに割と苦労したわい。 これは盗難予防なんじゃろうか? それに驚いたのが、ほとんどのATMで50シンガポール・ドル(約4,000円)以下の金額は下ろせないのじゃ。 わしはシンガポール到着直後に空港で200ドルを引き出した際に50ドル札4枚が出て来たので、細かい金額の紙幣が欲しくて40ドル(10ドル札4枚が出て来る予想)を再度引き出そうとしたが、どのATMでも「50ドル以下はダメ」って表示で唖然とした。 (右写真の様に、100ドルからしかおろせないATMもある) 「さすがはお金持ちの国は違うわい」と思いつつも、何だか「貧乏人はシンガポールに来るべからず」って言われている気がして(笑)、「テメエ二 イワレル スジアイ ジャネエ。 イワレタトオリ オロセ」ってインプットしたくなったわい! それに、外貨引き出し手数料が1回10シンガポール・ドル(約800円)っつうのにも参った・・・まあタイでも高くなって1回220バーツ(約700円)じゃがな。 |
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