NANATETSU ROCK FIREBALL COLUMN Vol.246

 え〜諸君、The-Kingのロックンロール・シャツの大連打、迷うことなく大量にカートにブチこんだじゃろうな! よろしい。 ではそんな賢い諸君に、さらにハッピーで滅多にお目にかかれんロックなニュースをお届けしよう。 ひっさびさに本格的ロック映画、いやロック・ドラマが日本に上陸(日本で放送)することになった! アメリカ映画界の巨匠マーティン・スコセッシとミック・ジャガーがタッグを組んで制作された連続TVドラマ「ヴァイナル〜セックス・ドラッグ・R&R・アンド・ニューヨーク」が7月11日より日本でも公開されることになったのじゃ。
 いや〜焦った。 だって鑑賞出来るTVチャンネル「スターチャンネル」のサービスにわしは加入しておらんし、どうやって手続きをしたらええのかサッパリ!「スターチャンネル」ってのは、「BSハイビジョン3チャンネルおよびオンデマンドサービスで映画を配信するプレミアム映画専門チャンネル」だそうで、日本でも観られるなんて知らんかったわい。
 まだまだわしは世の中の進化に追いついておらんな〜ってそんな事はどうでもよくて、はよう手続きを進めにゃいかんって焦っておる。 それに、この番組はとりあえず「シーズン1」と題される全10話が放送されるらしいので、諸君にも是非じっくりとみてもらいたいから、なんか解説めいたことを書きたい!という思いも日に日に強くなるばっかりで、一人で勝手にイライラしとる毎日じゃ。

 これから放送されるもんだから、当然わしはまだ公式ホームページやyou tubeにアップされた短いダイジェスト版しか観ておらんからエラソーなことは言えんが、タイトルから作品のアウトラインは十分に予想出来るし(笑)、英文の批評を読むと「やっぱり!」じゃ〜♪ これは期待し過ぎるぐらい期待してよろしかろう、超エンターテイメントなロックンロール・ライフ・ドラマじゃ!
 諸君がより番組を楽しめるように3つのポイントに絞って、このわしから予備知識的な情報を差し上げることにしよう!


マーティン・スコセッシ&ミック・ジャガーのコラボ作品
本格的ロック・ドラマ「ヴァイナル」日本上陸!
〜乱舞するオリジナル・ロックと最新鋭のカバー・バージョンを満喫しよう!


■「ヴァイナル」あらすじ
 まずは物語の舞台/時代背景について、音楽サイトにきちんとまとめられた文書を借用させてもらうんで、まずは読んでみてくれたまえ。

 〜物語の舞台となるのは、1973年のニューヨーク音楽業界だ。大物バンドがマディソン・スクエア・ガーデンの満員の観衆を熱狂させ、両性具有的なグラム・ロッカーたちの歌声が夜の都会を妖しく彩る一方、街のアンダーグラウンド・シーンでは“誕生前夜”のパンクやヒップホップが着々と戦闘体制を整えはじめている。 ロック・ファンなら誰もがワクワクすること間違いなし、そんな激動の時代を背景に展開していくこの音楽ドラマは、ふだんの戦場こそ違えど、お互いの情熱をリスペクトし合うスコセッシ監督&ミック・ジャガーのふたりが人生を賭けて探究してきた「ロックンロールLove」の結晶でもある〜

 主人公は、かつて大物ロッカーを多数抱えて栄華を誇ったレコード会社の社長。 しかし今では資金繰りに四苦八苦する有様で、会社は倒産寸前。 だから一刻も早く大物ロッカーと新たな契約を果たさなければならず、社長自ら夜のニューヨーク、ロックンロール・コンサートの現場へと足を運び、会社と己の将来を再構築を誓う!という設定らしい。
 ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、そしてエルヴィスまで登場するというキャスティングであり、当時のニューヨークのロックシーンが現代に寸分たがわぬ正確さで再現されておるらしいぞ!


■ポイント1〜1970年代初頭のニューヨーク・ロック・シーンについて

 世界のエンターテイメントのメッカと言われるニューヨークにおいて、意外と思われるかもしれんが、ロックは極めて遅れてやってきた。 60年代に成功した大規模なロック・コンサートといえば、ビートルズのシェア・スタジアム公演くらい。 アメリカでのロックと言えば、ロスやシスコを中心とした西海岸ウエストコーストがメインであったのじゃ。
 これはニューヨークの独特の土地柄じゃと思うが、おいそれと新しい文化が歓迎されないのがニューヨークじゃ。 当時のニューヨークにおけるミュージック・カルチャーのメインは、ロックよりも遥かに長い歴史を誇るジャズでありソウルでありミュージカルじゃった。
 もっとも、ビジネスとして恐ろしいスピードで巨大化していたロック・コンサートを開催出来るドデカイ会場がなかったことも、ロックのニューヨークへの大々的な進出を拒んでおった理由でもある。 60年代末期になってマディソン・スクエア・ガーデンが大幅に改築されて、ロックミュージックに対しても門戸を開いたことにより、ようやくロックはニューヨークでも認知されることになったのじゃ。 もちろんそれは、エルヴィス、ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリンがマディソン・スクエア・ガーデンでのコンサートを大盛況のうちに終わらせることができたという華々しい実績を作ったからにほかならない。

 もうお分かり頂けたと思うが、ニューヨークにおけるロッカーの役目とは、それなりの歳月の間アンダーグラウンドでキャリアを積むことなどは許されず、いきなりマディソン・スクエア・ガーデンを熱狂させることのできる巨大なエンターテイメント性と豊穣な音楽性、もしくはその可能性を見せつけなければならんかったのじゃ。 それが当時のニューヨークのロックシーンで華々しく生きていくための絶対条件じゃったのじゃ。 それが出来なければ、待っているのはドラッグ地獄!?
 ビッグなロッカーもまだ発展途上のロッカーも、根城をニューヨークにするのであれば、あまりにも非日常的な成果をもたらすためにとてつもなくハードでキチガイじみた生活を強いられることになるのじゃ。 それは、彼らを取り扱うレコード会社をはじめとするプロモーター側にも言えることじゃ。 「ヴァイナル」は、そんなロッカーとプロモート側の異常な日常が克明に描かれた番組であるに違いないのじゃ。 だからサブ・タイトル「セックス・ドラッグ・R&R・アンド・ニューヨーク」は、興味本位に付けられたのではなくて、番組の核心が的確に表現されておるのじゃ!


■ポイント2 〜オリジナルにカバーに新曲。 ニューヨークを彩ったロックンロールが炸裂!

 「ヴァイナル」の番組の中では、ロック、ブルース、ソウルがガンガンに使用されており、番組放送に先駆けて、サウンドトラック盤も発売された。 その他にも番組の公式ホームページとネット上のデジタル・コンテンツにおいて番組内で使用された楽曲を聴くことができる。
 ところが、この3つのメディアにアップされた楽曲のリストが全然異なっておるんじゃな。その真意は不明じゃけど、事前により多くの楽曲のリストが分かるというのは予備知識を得る上では有難いことじゃ。 そのリストの中からロックン・ロールをピックアップして、「オリジナル・バージョン」と新進のアーティストによる「カヴァー・バージョン」に分けて紹介してみよう。 いずれも1973年当時ニューヨークで喝采を浴びておった連中とそのサウンドじゃ。

「オリジナル・バージョン」

♪〜モット・ザ・フープル/All The Way From Memphis
 70年代のグラムロックシーンを飾ったバンド。 デヴィッド・ボウイやマーク・ボランほどのスター性はなかったが、R&Rとフォークと奇妙なポップセンスが綯い交ぜになったスノッブなバンドであり、ニューヨーカーにもミョーな人気があったもんじゃ。 自分たちのセンスを持て余し気味じゃったが、デヴィッド・ボウイがプロデュースしたアルバム『すべての若き野郎ども』で大ブレイク。 この曲はスコセッシ監督の作品「アリスの恋」(1975年、日本で初めて公開されたスコセッシの作品)のオープニングBGMにも使用されておった。

♪〜フォガット/I Just Want To Make Love To You
 70年代初頭にイギリスからデビューしたブルースロックバンド。ブギーのノリとブルースのヘヴィさを巧みに操作するライブが名高いバンドじゃったが、本格的なブルースが好きなわしはイマイチじゃった。 このマディー・ウォータースのカバーでも顕著じゃが、なんかラジオで流されることを前提としたようなブルースのポップな加工具合が気に障っていたもんじゃ(笑) でも、白人がブルースをやる滑稽さ、無邪気さを包み隠さず出しちゃうところが、逆にニューヨークのブルース好きな白人にウケたんじゃろう。

♪〜ハンブルパイ/Black Coffee
 元スモール・フェイセスの名シンガー、スティーブ・マリオットが率いた、60〜70年代のブリティッシュ・ブルース・ロックを代表するバンド。 ストーンズやツェッペリンほどのメガトン級の成功には届かなかったが、もっとも本格的にブルースロックをやりながら立派に飯を食っておった質実剛健なバンドじゃったな〜。
 この曲は、黒人女性コーラスも参加した『イート・イット』に収録された1曲。シビレル様なスティーブのブルース唱法が聴ける!さしものミック・ジャガーも「ここまでは歌えなかったぜ」と甲を脱いでいた証としての収録か!?(笑)

♪〜エドガー・ウインター・グループ/Frankenstein
 エドガーは兄貴のジョニーとともに70年代のアメリカンブルースロックシーンを妖しく彩ったアルビノのキーボードプレイヤー。彼のバンドはもうひとりのフロントマンであるギタリストのリック・デリンジャーとともに、ファンキーでちょっとアーバンなブルースを演っておって、何故かアイドル的な人気もあった(笑)
 この曲はアルバム『ンリー・カム・アウト・アット・ナイト』のラストを飾る9分強のインストナンバーであり、映像でも分かるように全編でエドガーのショルキー(ショルダーキーボード)が暴れまくる異質のオリジナル・ブルース。 まあ、ブルースとはいえ、ロックンロールのように楽しくやろうぜ!ってノリが全開じゃな。 夜のニューヨークの現地レポートに向かうレポーター映像のBGMにピッタリじゃな。 

♪〜デヴィッド・ヨハンセン/Personality Crisis

 
ニューヨーク・パンクの元祖、ニューヨーク・ドールズのボーカリストであり、ニューヨークのミック・ジャガーと謳われた伝説的シンガーじゃ。
NYパンクのゴッドファーザーとして、今もカリスマ的人気を誇っており、「ヴァイナル」には必須のキャラクターじゃ。デヴィッド・ヨハンセンが煽り立てるドールズの原始的なロックサウンドは、まさに“早すぎたパンク”であり、“未来のないことが俺たちの未来”といったニューヨークパンクの原初的なイメージを良きにつけ悪しきにつけ増幅させた功罪はとてつもなくデカイ!
 ドールズ解散後は突如ポップ路線に走ったりとファンを唖然とさせたもんじゃが、この曲は78年に発表された『Live At Bunkey's』に収録されたドールズ・スピリット健在!というよりもロンドン・パンクにも通じる“ザ・ワールド・パンク”ってな1曲じゃ!

♪〜イギー・ポップ I dig your mind
 パンク界のゴッドファーザーであり、ロック界最後の大物ビートニクとして今も健在なイギー・ポップ。 「ヴァイナル」の為にこの度新たに1曲吹き込んだ! それが ナーヴァス・ブレイクダウンのこの曲。 ナーヴァス・ブレイクダウンというバンドはわしもよお知らんが、昔持っていた60年代のガレージロックのオムニバスアルバムの中にこの曲が収録されておった(気がする)。 あらためて調べてみたが、そのオムニバスアルバムの発表が1967年という他は分からんかったので悪しからず!?
 アニマルズを彷彿とさせるオルガンプレイに乗っかったマイナーブルース調の佳曲であり、いかにもイギーが取り上げそうな感じ! 「ヴァイナル」の舞台は72〜74年じゃが、その当時のイギーはバンド・ストゥージーズのレコードがまったく売れず、レコード会社2社からことごとく契約解除をくらい、自身もヘロイン中毒という最悪状態。 この曲の録音を「ヴァイナル」に捧げた心境や如何に?


「カバー・バージョン」


♪〜ベルベット・アンダーグラウンド/ラン・ラン・ラン毛皮のヴィーナス
   (演奏:ジュリアン・カサブランカス)
 ニューヨークとロックと言えば、まずはベルベット・アンダーグラウンド。御多分に漏れず2曲がカバーされておる。 オリジナルはどちらもバナナのジャケットで超名高いファーストアルバムに収録されておった。 そういえば、ドアーズのジム・モリスンの生涯を描いた映画「ドアーズ」のワンシーンで、バンドがニューヨークのアンディ・ウォホールのパーティに参加する場面があり、この時のBGMはドアーズ・ナンバーではなくてベルベットだったので驚いた!曲はやはり「毛皮のヴィーナス」じゃった。(もう1曲は「ヘロイン」) やはりニューヨークとベルベットは切り離せないんじゃろうな。
 もっとも73年当時はベルベットは解散しており、リーダーのルー・リードがソロ活動を精力的にこなしておる最中じゃったな。ベルベット同様、ルーのソロ活動も大きな成功とは無縁ではあったが、あの当時もルーはニューヨークのアンダーグラウンド・シーンでは不可欠な存在であったのじゃろう。



♪〜デヴィッド・ボウイ火星の生活  (演奏:トレイ・ソングス)
 
演劇とファッション・ショーとロックンロールとが一体になったデヴィッド・ボウイ型「グラム・ロック」のパターンは、やはりニューヨーカーにも歓迎されておったようで、ボウイの「ヴァイナル“出演”」は当然じゃ。 でもこの曲はグラムロッカーとして大活躍する前のボウイが歌ったナンバーじゃ。リック・ウエイクマンというロック史上有名なピアニストの美しい鍵盤さばきにのってボウイは聴く者を異次元に誘うかのようにブリリアントに歌っておる。 狂乱のニューヨーク・エンターテイメントのひとときのやすらぎを象徴する選曲なんじゃろうか。
 ちなみに原題「Life on mars?」を「火星の生活」とした邦題は誤訳らしい。正確には「火星における人生」となるらしい。いずれにせよ、美しくも妖しい異星人を演じておった当時のボウイのテーマソング、登場のテーマとしては最適ではあるがな〜


♪〜ラズベリーズ/明日を生きよう (演奏:ネイト・レイス)
 
アメリカン・パワーポップの黎明期を代表する存在がラズベリーズ。 エリック・カルメンのパワフルなヴォーカルは、まさに“パワーポップ”そのものじゃった。 「ヴァイナル」の舞台の時がラズベリーズ解散前の大繁盛期と記憶しとるが、彼らはニューヨークでも人気だったんじゃな。 まあエリックのとてつもない歌唱力ならマディソン・スクエア・ガーデンを客無しでも揺るがせることがきたじゃろう! ちょっとスコセッシやミック・ジャガーのセンスとは違う選曲とは思うが、ラズベリーズのような健全路線でさえも、本物の実力があればニューヨークで歓迎されていたっつう意味合いがあることのかもしれん。

♪〜ストゥージーズ
ノー・ファン(演奏:チャーリーXCX)
 言わずと知れた、ベルベット・アンダーグラウンドと並ぶアメリカン・パンクの元祖。 わしはサウンド的にストゥージーズに惹かれた事は一度もなかったが、「反ポップ・ロックを徹底的にやるなら、衝撃的なパフォーマンスを徹底的にやる!」っつったイギー・ポップ&ストゥージーズのライブにおけるスピリットは賞賛する。 たとえ、それが単なるショウマンシップの塊で精神性がない、としてもじゃ! つまり、客を喜ばせることができるならばどんなショウでも歓迎するといった当時のニューヨークのキチガイじみたエンターテイメント界の志向の原点でもあるからじゃ。 
 まあ、ガラスの破片をばら撒いてその上を転げまわったり、体中に異物を塗りまくって狂気性をヒートアップさせたりするイギーはやり過ぎではあるが、「誰もできない命懸けのパフォーマー」としてイギーはニューヨークで恐れられておったに違いない。 やはり「ヴァイナル」にはなくてはならん存在じゃな。


 その他の「オリジナル・バージョン」としては、オーティス・レディング「Mr. Pitiful」やジェリー・リー・ルイス「Breathless」もある! 女性シンガーの選曲もシブイ。50年代のB級?女性R&Bシンガーの大物ラス・ブラウン「Mama He Treats Your Daughter Mean」、ディオンヌ・ワーウィックの妹であり、大きすぎる姉の存在のお陰でついに光が当たらなかったディー・ディー・ワーウィック「Suspicious Minds」(もちろんエルヴィスのカバー)が聴きどころじゃ。

 そしてわしとしては、ベテランシンガーのオリジナルや彼らのカバー以上に聞いて欲しいのが、現在若手ブルースロックバンドとして大成功を収めておるヴィンテージ・トラブルの黒人シンガー、タイ・タイラーが「ヴァイナル」のために新録で2曲も披露しておるナンバーじゃ。 特に「ザ・ワールド・イズ・ユアーズ」の熱唱は驚くなかれエルヴィスばり! かねてよりその絶対的な歌唱力にわしは参っておったが、タイラーはついにロックンロールの高みに到達した!とコーフンしてしまったわい。 ど〜ぞヨロシクじゃ。
 もう一人の注目の若手は、ミック・ジャガーの実息、ジェームス・ジャガー!「ほ〜さすがのミックの親バカぶり発揮じゃのお〜」と舐めてかかっておったが(笑)、ミックとの共作曲を番組用のバンド・ナスティー・バイツのシンガーとして歌っておる。その楽曲「Rotten Apple」も聞き逃しのないように!


■ポイント3 〜「ヴァイナル」時代の派生効果を知る

 ポイント2で取り上げた楽曲を一覧すると、当時のニューヨークにおいて堅苦しい音楽のジャンル分け、聞き分けなんか必要がなかったことがわかるじゃろう。 いい音楽であれば問題なし!そこに大衆を狂乱させられる可能性があれば!!
 さてもうワンポイントは、これはロックのお勉強意欲が旺盛な方に是非ともススメテおきたいサイトをみつけたので、どうか覗いてみてほしい。 昨年末に残念ながら閉刊してしもうたが、長きにわたりニューヨークのカルチャーを紹介してきた現地の名高きフリーペーパー「ヴィレッジ・ボイス」の閉刊前の特別企画「ニューヨークを知る音楽アルバム100選」じゃ。 そのベスト50の中にロックのアルバムが、下記の通り多数ランクされておる。

No. 5 Patti Smith - Horses (1975)
No. 7 Velvet Underground - The Velvet Underground and Nico (1967)
No. 8 James Brown - Live at the Apollo (1963)
No.10 Television - Marquee Moon (1977)
No.11 Blondie - Parallel Lines (1978)
No.13 The Ramones - The Ramones (1976)
No.14 Rolling Stones - Some Girls (1978)
No.15 The Strokes - Is This It? (2001)
No.16 Madonna - Like a Virgin (1984)
No.18 Sonic Youth - Goo (1990)
No.19 Lou Reed and John Cale - Songs for Drella (1990)
No.22 Cro-Mags - Age of Quarrel (1986)
No.25 New York Dolls - New York Dolls (1973)
No.32 John Lennon and Yoko Ono - Double Fantasy (1980)
No.35 Lady Gaga - The Fame (2008)
No.37 Billy Joel - 52nd Street (1978)
No.38 Richard Hell and the Voidoids - Blank Generation (1977)
No.40 Bob Dylan - The Freewheelin' Bob Dylan (1963)
No.41 Mountain - Climbing (1970)
No.42 Simon and Garfunkel - Bridge Over Troubled Water (1970)

 各タイトルの末尾の数字は発表された年じゃ。 そのほとんどが「ヴァイナル」の時代設定(1973〜74年)の後であるんじゃな。 まあこれは偶然じゃけれどつまり上記のアルバムのほとんどは、「ニューヨーク音楽狂乱時代」がもたらしたロックの名盤ばかりなのである。 本当はこれらのアルバムの解説もやっていきたいところじゃが、それをやるととんでもない長さになってまうんで、それはまたの機会に。 とりあえずホームページ内でアルバムの主要曲をダイジェストで聴くことができるので、かたっぱしからトライしてみてくれ。 「ヴァイナル」時代がもたらしたロックの歴史上の効果ってもんを手っ取り早く聴くことができるぞ。
 ちなみにわしは、No.22 Cro-Mags - Age of Quarrel (1986) と、No.35 Lady Gaga - The Fame (2008)以外は全部聞いたおっただけに、頭の中にとっちらかっているニューヨーク・ロックの流れを体系的にまとめるためにも、是非とも「ヴァイナル」の鑑賞は必要であると思うておる!

 なお、「ニューヨークを知る音楽アルバム100選」において、上記のロック系アルバム以外のほとんどは「ラップ」「ヒップホップ」系のアルバ厶ばかり。 こちらはわしの専門外であるのでコメントは不可能じゃけど、職場に「ヒップホップ・マニア」がおり、しかも彼はアメリア留学経験があるんであの“言葉の連射”も大体分かるそう。 だから彼から諸君に紹介できるコメントをゲットできたら、そいつもいつか披露しよう。

 ニューヨークは別名「ビッグ・アップル」と言うな。 1930年の大恐慌時代、何故かニューヨーク周辺の農場でリンゴが大量に取れて、食べ物に飢えたニューヨーカーたちはリンゴを食べまくって空腹を満たしたという伝説が残っておる。やがてニューヨークがエンターテイメントのメッカに大成長を遂げた時、ニューヨーカーは苦しい時代を振り返りながら愛すべきニューヨークを「ビッグ・アップル」と呼ぶようになったらしい。
 「ヴァイナル」が設定した時代は、ニューヨークのリンゴとはまさしく禁断の果物 「セックス・ドラッグ・R&R」じゃ。 それを食べてしまったら、もうあとには引けない。 快感を貪りながらロックンロールで行き着くとこまで行くしかないクレイジーワールドが待っておるだけじゃ! ひょっとしたら、現在のニューヨークではそんな習慣は薄れておるのかもしれんが、ロックが過剰に輝き、異様なまでに流派を生み出したニューヨーク・ロックンロール・ワールドの実態ってやつを、是非とも「ヴァイナル」で楽しんでもらいたい!



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