NANATETSU ROCK FIREBALL COLUMN Vol.244

 今回のわしのコラムは、「男のロック道を極める」The-Kingブランドに相応しくないテーマで迫ってみるぞ! ひょっとして、ボスからハリセンで後頭部を思いっきりひっぱたかれるかもしれんが、ある理由からやってみたいのじゃ!
 実はな、4月からメデタク復帰させて頂いておる職場(の一部)に不穏な動きが!? 「七鉄のヤロウ、一年半も世界をほっつき歩いた挙句に悠長にカムバックってザケンナ!」と七鉄排斥運動が・・・のワケネーじゃろう。 マジメ〜に平身低頭で働かせてもろうておるわい!
 そうじゃなくて、わしの居ぬ間にアイドル好きの従業員が増えておって、AKB総選挙に向けて盛り上がっておるのじゃ。 一人はアイドル系メディアの元フリーライターとかで、彼を中心にしてマニアックな話題が飛び交っておるのじゃ。
 う〜ん、別に仲間に入りたいとは思わんが、アラフォーのおっさんたちが“まゆゆ”“ぱるる”“こじはる”とかアイドルを愛称で呼びながら人気投票の予想解析をしとる様子は、活き活きしとるものの・・・ちとブキミじゃ。

 わしは少年時代からアイドルには無関心な方であり、むしろセックス・シンボルびいきじゃった(笑) アイドルとセックス・シンボルの正確な違いはよく分からんけど、女性スターに対して、“妹系”よりも“いい女”を演じてもらいたいって感じじゃな。 まあそんなわしとAKBオヤジ連中とが話が合うわけもねーが、なんだか彼らに影響されて!?わしも女性スターのご贔屓ランキングをやってみたくなってきた! 歌、パフォーマンスを越えて、わしが“一人の女性として意識したくなった”女性スターたちのベスト10をやるから、「コイツ、バカじゃねーの!」って呆れながら読んでくれたまえ。 おっと、10人じゃシツコイと思われるので8人にしておくぞ。 この手の話題はチョット控えめがよろしかろう(笑)
 ただし“旬が80年代まで”の女性スターに限定するぞ。 アラフィー、アラフォーの男のアイドル(セックス・シンボル)感情論や応援記って“キモチワリー”からじゃ。 だからわしが年齢的に“かろうじて若者”じゃった80年代までの嗜好と感性を思い出してそのまま書いてみることにした!


アイドルを探せ!硬派な七鉄が胸キュンした、洋楽アイドル・ベスト8


♪第8位〜ヴィッキー(ギリシャ)
  もふもふロングヘアーが魅力的じゃった褐色の天使


 日本ではファーストネームの“ヴィッキー”のみの表記じゃったが、欧米ではヴィッキー・ディアンドロスのフルネームで活躍しておった。 60年代末期にポール・モリア作の「恋は水色」、メアリー・ホプキンの「悲しき天使」のカヴァーを立て続けに大ヒットさせて日本でもたいそう人気があったな。 「恋は水色」はヴィッキーのお蔭で日本での知名度が爆発して、日本語バージョンを吹き込む女性歌手も続出。 「悲しき天使」は本家のメアリー・バージョンを食ってしまうほどのメランコリックな情感溢れる出来じゃったな。
 特別にアイドル的な容姿とは思わないし、当時も「タヌキねーちゃんじゃな〜」と見ておった(笑) でもポイントは、彼女の髪の毛。 わしは貧乏性 なのか!?女性のボリュームのあるロングヘアーに弱くてな〜。 ブラック、ブラウン、ブロンド、赤毛、色はこだわらんがボリュームに胸キュンなんじゃな〜。
 昨年年末にわしはヴィッキー嬢の故郷ギリシャにおったが、その時初めて気が付いた。 ヴィッキー嬢の容姿ってとてもギリシャ的(って当たり前じゃけどな)白人とアジア人との混血って感じであり、エキゾチックでありながら人当たりの良さそうな風貌じゃ。 旅行者、放浪者にはギリシャ人ってのはとても親切じゃし、良い思い出ばっかりじゃったので、わしは碧いエーゲ海を目の前にして、若き日のヴィッキー嬢を思い描きながら「恋は水色」をハミングしてしまったわい(笑)


♪第7位〜オリヴィア・ニュートン・ジョン(イギリス)
 ポップス版イギリス平和大使な清純派シンガー

 当時は一切口外しなかったものの、わし、1976年のオリヴィアの日本公演にこっそり行ったんじゃ(笑) そんな事をもし口走ってみい。 その瞬間からわしは周囲のロック・フレンドたちからバカにされるどころか、一生笑い者にされるってあの頃は信じておった(笑)
 オリヴィア・ニュートン・ジョンって、アイドル的でもセックス・シンボル的でもなく、いわゆる清純派女性シンガーの代表、好感度No.1女性歌手みたいじゃった。(後にセクシー路線に突然変身したがな) 本来わしにとってはどうでもいいタイプのシンガーなんじゃけど、「たそがれの恋/Don't Stop Believing」のたった1曲で参ってしまった(笑)
 何故この曲にイレコンデしまったのかがまったく記憶にない。 初めて聞いた時の周囲の状況や自分の気分が曲の雰囲気とピッタリ一致したんじゃろうけどな。 オリヴィア云々よりも、イントロのギター・トーンの虜になった。 原題や歌の内容とはまったく関係ない邦題は、多分このイントロの雰囲気から付けられたんじゃと思う。
 んで、この曲をどうしても生で聞きたいが為、ただそれだけでコンサートに出かけたんじゃ。 忘れられない、封印しておいた青春の思い出じゃ。 後日TVでこのコンサートが録画放送された時は嬉しかったもんじゃ〜。 今回の機会にyou tube検索してみたら、そのTV放送がアップされておって涙が出そうになったわい。 でもオリヴィア嬢には申し訳ないけど、他の曲ってほとんど知らないんじゃ。 昔も今も「Don't Stop Believing」のみじゃが、オバサンになったオリヴィア嬢が歌うこの曲も聞いてみたいから、やっぱり彼女はわしのアイドルなんじゃろう。


♪第6位〜ネーナ(ドイツ)
 ブルースロック・フリーク同士が、ライブ会場で鉢合わせした不思議なアイドル!?

 本名をガブリエレ・ズザンネ・ケルナーというってそんな事どーでもネーナ!とかダジャレかましていてもしょうがネーナってシツコイ!(失礼〜笑) 83年に同名のロックバンドを率いて「ロックバルーンは99」っつう世界的ヒット曲をかましおったが、いわゆる一発屋で終わったな。
 何の気の迷いか、わしはネーナちゃんが気に入って、日本公演に行ってしもうたんじゃ! 客のノリが悪くて「みんな眠いの?オネガイ起きて」とか、「持ち歌がまだ少ないから、また同じ曲やっちゃうけど、聞いてくれる?(ここで歓声がわき)ありがとう。 みんな優しいのね」とか、ま〜カワイカッタのお(笑)
 前述のオリヴィア・ニュートン・ジョンと同様、1曲だけやたらと気に入った曲があり(「水平線は知っている」っつう曲)、まあそれを聞きに行ったようなもんかのお。 つぶらでタレ気味の瞳をもった子猫ちゃんみたいなキャラで、多分わしはヘラヘラ、ニタニタしながらネーナちゃんのお姿を追っていたに違いない!
 会場でサプライズがひとつ。 当時バイト先で顔を合わすたびにブルースロック論を激しく戦わせておったダチ公とバッタリ! お互いに「お、お、お前、何でこんなところにいるんだ!」って唖然としておったわい(笑) コンサート後は二人で飲みに行ったが、さすがにこの日はブルースロック論にならんかったな〜。 人間は誰しも、人には言えん嗜好性ってもんがあるんじゃよ!

♪第5位〜リンジー・ディ・ポール(イギリス)
 御伽の国からやってきたセクシー・アイドル

 何度も「七鉄コラム」にご登場頂いておる、70年代の人気ポップシンガー。 顔はケバクてセクシー系。 歌はアイドルっぽい超ポップソング!? そのギャップがよかったのかどうかは分からんけど、ジャケ写を見ながらレコードを聞いておると、「この女って、本当に現実の人なんじゃろうか?」「ファンの夢の中の世界だけに出てくるんじゃないか?」ってミステリアスな魔力があったな。 だから、確か1974年頃に来日してラジオ番組に出演した時も、「ラジオ局側の架空の演出なんじゃねーかな?」って思えたもんじゃ。
 でもそんな「お伽噺のお姫様作戦」なんかは長くは続かず、70年代後半は元々の容姿通りのセクシー路線に完全シフトチェンジ。  高級キャバレーに出演する人気歌手みたいな、超B級なゴージャスさを振りまいておった。 昔からのファンは変身したリンゼイ嬢に手厳しかったが、わしは“これも悪かねーな”と(笑) っつうのも、変身リンゼイ嬢の歌には高級ブランデー/スコッチの香りがよく合ったからじゃ〜♪ 酒を美味しくさせてくれるお嬢様には、今も昔も文句は言えんわな〜。


♪第4位〜諏訪根自子(日本)
 第二次世界大戦前後に花咲いた、伝説的美少女バイオリニスト


 “洋楽アイドル”の中に日本人がいたっていいじゃないか。 まっ洋楽とはいえ、クラシック音楽の方のお方じゃが。 このお方、音楽教育を受けたのも、若き日に活動をしていたのもいずれもヨーロッパなんで「洋楽扱い」させてもらうぞ。
 諏訪根自子(すわねじこ)嬢は大正末期にお生まれになったバイオリニスト。 第二次世界大戦の時期を挟んで、ヨーロッパへ音楽留学をされ、その才能はクラシック音楽の本場ヨーロッパにおいて大絶賛されたのじゃ。
 時代が時代だけに、彼女の若き日の演奏はSP盤にしか残されておらず、もちろん現在は入手困難。 でもyou tubeにはしっかりアップされておるので、後ほど彼女の麗しき音色をじっくり聞いてみてほしい。
 戦前の女学生時代から天才少女の名をほしいままにしていたそうで、一見アイドル的な容姿じゃけど、芯の強い聡明な美しさを湛えておるな。 セーラー服で演奏する写真も残されておるが、その凛としたオーラは男どもにゲスで低俗な幻想なんざを抱かせない神聖さがある。 もう決して出現することは無いであろう、日本の正当的な“美少女アーティスト”じゃな。
 この方の存在を知ったのは、わしの大学生時代。 レッド・ツェッペリンのニューアルバムを、何故かクラシック好きの友達の家のステレオで聞くために友人宅へ行ったところ、たまたま友人の親戚の男性が来ており、やはりクラシックファンのその親戚から諏訪根自子の名前を聞いた。 彼の熱弁によりその名がアタマから離れなかったんじゃが、何年か後に婦人雑誌で初めて写真に出くわして驚いた。 彼の説明通りの“聖・美少女”じゃった!

♪第3位〜ケイト・ブッシュ(イギリス)
 容姿も才能も人間離れしていた、ロック史に残る美しきモンスター


 唯一わしが自分の部屋に大型ポスターを貼った女性シンガーじゃ(笑) 超ハイトーン・ヴォイスと本格的なパントマイム・パフォーマンス、更に前例が無いとまで言われた超個性的なオリジナル曲など、70年代後半から80年代にかけて多彩な才能を振りまいた恐るべき才媛じゃ。
 日本のセイコーのコマーシャルに出演した時に初めて彼女のパフォーマンスを見たが、「これは人間じゃない!」って心臓が止まりそうになったわい。 宇宙人が創り出した、草食動物と肉食植物とのハイブリッドみたいだったからじゃ(笑) 美しいとか、かわいいとか、セクシーとか、コケティッシュとか、およそ人間が考え出した女性の美を讃える表現のどれも当てはまらないんじゃな。 ただただその異様な存在感に圧倒されて、いつまでも観ていたかった!
 正直なところ彼女の楽曲は、ファーストアルバム以外はわしの感性にいまひとつフィットせずに理解に苦しんだものじゃが、アルバムは買い続けたんじゃ。 理由はただひとつ。 1枚でも多く新しい写真を目にしたかったからじゃ! もし「ケイト・ブッシュ握手会」があったら、多分行ったじゃろうな〜(笑)
 ケイト・ブッシュの衝撃のデビュー以来、奇抜なファッションに身を固めて“ミステリアル・ガール”“アバンギャルド・ネーチャン”のキャラを打ち出した女性シンガーが続々と出てきたもんじゃが、誰もケイトの足元にも及ばなかったなあ〜。 ブームを作り上げたトップリーダーに後発組がまったく追いつけなかった結果を残した事は、彼女のロックシーンにおける隠れた勲章じゃないかのお〜。


♪第2位〜リッキー・リー・ジョーンズ(アメリカ)
 彼女なら、バカでかいハンバーガーやステーキばっかり食ってたって許す!


 70〜80年代にシブく活躍しておったフォーク&ブルース・シンガーじゃが、ひと目ジャケを見て「何てカッコイイ女なんじゃろう!」とハートを射抜かれた〜(笑) ロングヘアーを揺らし、ジーンズに包まれた長い美脚を組みながら笑顔でカウンターバーでバーボンのオンザロックを飲むイメージが一発で出来上がってもうた!
 そのバーは小さなライブハウスでもあり、彼女は程よく酔いが回るとステージに上がりかる〜く二、三曲かましてくれる。 「今夜はリッキーが来てくれたんだ。 ちょいとイカすトーンでも出してみようじゃないか!」って、バンドマンたちもご機嫌!ってな感じな妄想が止まらんな〜♪ しかし実際そんなシンガーじゃったらしいぜ、おい!
 ファースト・アルバムのジャケ写は“アンニュイ”満点でチト写りが良過ぎ(笑) 本物のリッキー嬢はどっちかというとお猿さん顔で、決して美人じゃないが、バーボンが飲みたい夜にはどうしても傍に居てほしいような、痩せぎすながら温か味溢れるオーラがあってタマラン! 
 恋愛に関しても、すげえイケメンや金持ちが言い寄っても、自分のフィーリングに合わなければサラリとかわしてしまう、そんなタイプじゃろうな〜。 ちなみに遠い昔、デビュー間もない頃のトム・ウエイツの彼女じゃったらしく、トムの傑作アルバム『ブルー・バレンタイン』の裏ジャケにも登場しておる。 間違いなく、男を見る目もありそうじゃ!


♪第1位〜シルヴィ・バルタン(フランス)
 “アイドルという職業はない”と言い切った、元祖フレンチ・アイドルにして知性派シンガー!


 欧米から日本に渡来した最初の洋楽アイドルじゃろう。 アラフィー以上の方は、好き嫌いに関係なく、彼女の名前に懐かしさを感じるに違いない! 何と言っても、スーパーヒット曲「アイドルを探せ La plus belle pour aller danser」1曲だけでヨーロッパ、そしてアメリカまで制覇しちゃったんだから、その人気の爆発度は世界のアイドル史上ダントツで最大じゃろうな。
 日本では“かわいいおフランスのお嬢ちゃん”としてお人形スターの様な取り扱われ方じゃった。 でもわしは「やたらと冷たそうで、上から目線でSっぽい女じゃのお〜」って、アイドル視は出来んかった。
 「アイドルを探せ」っつう日本語タイトルもよく分からんかったので、フランス語堪能な姉貴殿に歌詞の大意を聞いたら、ビックリ! 「あなたの愛のお蔭で、今夜ダンスに行く女の子の中では私が一番カワイイ!」を堂々と誇示する自信満々なお歌であり、アメリカン・ポップスとは一味違うフェミニズムみたいなもんが気に入って、わしはシルヴィびいきになった !
 久しぶりに映像をチェックしてみたが、周囲の異様な熱気をよそに、冷めた表情にテノールで歌うシルヴィの姿は、大人たちの作り上げた芸能界という虚構の世界に閉じ込められることを嫌う反逆的少女のオーラがある。 クール・ビューティーじゃな。



 思春期の頃から今に至るまで、巡り合って仲が良くなった友人たちに言われ続けておることがひとつある。 それは「ホント、テメーは女の趣味のストライク・ゾーンが狭いな!」ってことじゃ(笑) わしに言わせれば、「テメーらのストライクゾーンが広すぎるんじゃ。 節操無さ過ぎじゃろう!」なんじゃが、彼らが上記のセレクト、ランキングを見たら驚くじゃろうな! 全員が音楽の世界で生きた方々であり、やっぱり自分の性に合った仕事をやっとる女性は輝いており、単なる容姿やキャラの好き嫌いを超えた次元で惹かれてしまうってこと、にしておこう〜♪

 なお、惜しくもこの度のランキングを逃した方々は(笑)、マドンナ、マリアンヌ・フェイスフル、ジョーン・ジェット、スザンヌ・ヴェガ、エミリュー・ハリス、クラシック界の美貌ピアニストであるマルタ・アルゲリッチ(左写真)、フランス・シャンソン界の元祖アイドルじゃったジュリエット・グレコ(右下写真)等。
 特にアルゲリッチとグレコは、共にブラック・ファッションとロングヘアーが似合うビジュアル性ドンピシャの女性アーティストであり、若かりし頃の彼女たちはロッカー的な迫力も兼ね備えており、わしは長らく夢中になったもんじゃ。 でもアイドル呼ばわりすると「二度と口を聞いてもらえない」ような気高さがあるので、この度のランクインは控えさせてもらった、って一度も会ったことはねーけどな!(笑)
 あ〜〜〜でも楽しいのお〜女性のオハナシってのは! だからもう、これぐらいにしておこう。 ジジイが女云々ってキモイゼ!って言われる前に退散じゃ。 この続きは、諸君の誰かさんとThe-Kingオフィスで幸運にもお会いできたとして、その後の赤提灯でやらせて頂きやす!

 最近のアイドルちゃんたちは、つくづく神秘性が無くなったもんじゃ。 仕方がない。 ライブやCDの評判以上に、ツイッターとかフェイスブックなんかのコミュニケーション・ツールがファンを拡大する重要な手段なんじゃから。 アイドルちゃんたちが自分たちの日常性をファンと共有せにゃいかん時代じゃから、神秘性なんかお呼びじゃないわけじゃ。 大体AKBちゃんだって、「会いにいけるアイドル」ってのが結成当初からの最大のセールス手段じゃし。 おいそれと会いにいけないからアイドルでありスターなのだっつっても、所詮ジジイの小言と笑われてしまうしなあ〜(笑)
 まっ、アイドルたちが多少のベールに隠されていて、ファンたちが勝手に“あーでもない、こーでもない”って自由に妄想を膨らませることができた古き良き時代の天使たちに乾杯!ってことで締めさせていただきやす!


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