NANATETSU ROCK FIREBALL COLUM Vol.240



■40年前/1976年のロック
 七鉄帰国第一弾のテーマは「40年前/1976年のロック」じゃ。 「って事は、オメエさんが現在の年齢の半分くらいの時だろう」ってヤカマシーワイ! ノッケからそーいうツマラン茶々を入れる輩こそ、まだママのお腹ん中にも宿されておらん頃じゃろうな。 ええか、若輩もんは年寄りの言うことは黙って聞きなはれ! そして男は黙って、The-Kingの新作銀河系超ハイクオリティ・ナッソーを買いなさい! 更に余ったお小遣いで、これからわしが紹介する1976年のロック・アルバムを買いなさい。 その為に出来るだけわかりやす〜く(?)七鉄節を炸裂させながら書かせてもらうぞ。

 さてと、遠回りはこれくらいにしておこう。 1976年に発表されたロックアルバムのリストを見ると、業界のブームとやらが明確に見えてくる。 それはザックリと分けると、「中堅ロッカーたちの重厚な作品」「優れたライブアルバム」、そして「ストリート・ロッカーたちのブレイク」じゃ。 翌年に大爆発するディスコブームとロンドン・パンク・ブームを考えると少々意外じゃが、ディスコとパンクにシーンが塗り替えられる前に新旧の実力派ロッカーたちが優れたアルバム作りに精を出し、その名をシーンに刻そうとする意気込みを「ロックの神様」が後押ししておる感すらある。
 シングル・ヒットチャートだけ思い出してみると、「何だか中途半端な“ポップン・ロール”が多いな」といった印象が先走る1976年じゃが、中堅ロッカーのアルバムにおいては実力とセンスを見せつけた力作が、新進ロッカーにおいては個性ある意欲作が実に多いのじゃ。 そんな1976年のロックアルバムから通例通りに10枚だけセレクトするのは至難の業なんで、今回は上記の3つのブームでカテゴライズして、それぞれに該当するアルバムをシンプルに端的に印象をまとめていくことにする!

2016年ロック回想録B
40年前/1976年のロック
ロックの神様が作り賜うた、「ロックを忘れる前に、
         これだけは聞いておきなさい」作品


■中堅ロッカーたちの重厚な作品■

 「重厚」というカテゴライズを更に分けると、まず「原点回帰に基づいたサウンド志向によって、徹頭徹尾キメまくった作品」じゃ。 まずイギリス勢から。

 
「プレゼンス/レッド・ツェッペリン」
 〜ブルース、R&B志向を全面に押し出し、ハードエッジ極まるテイクのみをつなぎ合わせて完成させた驚異のハード・ロックン・ロール。 ツェッペリンの幅広い音楽の源泉が、ジミー・ペイジの緻密なスタジオワークによって色鮮やかに浮き彫りになった傑作じゃ。

 「虹をかける覇者/リッチー・ブラックモアズ・レインボウ」
   〜リッチー(G)、ロニー(Vo)、コージー(Ds)が、彼らの共通の志向である中世音楽的楽曲の中で格闘技のように豪快に絡みまくる超力作。 アナログではB面に配置された大曲2曲は、ハードロック史上数少ない長尺曲の成功例じゃ! 既に故人となったロニー、コージーにとっては、生涯のベストプレイじゃ!

 「ラン・ウィズ・ザ・パック/バッド・カンパニー」
  〜ブリティッシュ・ブルース・ロックの達人4人が、レイジーなブルース・ロックをハードロック的にキメまくった新境地。 派手さに欠ける楽曲ばかりで評判が芳しくなかったが、「これがブルースロックの達人たちの意地」とわきまえてから聞くと味わいが倍増するぞ。

 
次にアメリカ勢。

 「ロックス/エアロスミス」
  〜まるでコンクリートで覆われた密室で演奏されておるような、異様な反響、残響、効果音で埋め尽くされた逃げ場のないダイナミズムが恐ろしい! プロデューサー、ジャック・ダグラスの最高傑作でもある本作は、エアロスミスを70年代のトップクラスのバンドに押し上げたのじゃ。

 
「地獄の軍団/キッス」
  〜ど派手なメイクの象徴される過剰なエンターテイメント性でシーンを制覇したキッスが、初めて“ミュージシャンとして”楽曲作り、アレンジに知恵を絞ったと言われる作品。 ラフでコケ脅かし的な楽曲がほとんどなく、練りこまれたアレンジによって彼ら特有のポップセンスを磨き上げておる。 ハードロック版モンキーズみたいじゃ。

 「偉大なる15年/ビーチ・ボーイズ」
  〜リーダーのブライアン・ウイルソンの復帰作。60年代ロック・&ポップスのカバーとオリジナル曲半々の構成であり、当時の「60年代追憶ブーム」に上手く乗っかった密室的なポップスセンスが素晴らしい。 そのブームの火付け役は彼ら自身が前年発表したベストアルバム「エンドレス・サマー」。 この2枚を聞けば思い出に酔いしれながら前進出来る意欲が沸いてくるというものだ!

「西暦2112年/ラッシュ」
  〜当時からトリオによる演奏力はロック界随一!のカナダのバンド。よりスペーシーに、よりドラマチックに作りこまれた壮大なハードロック組曲集。 ラッシュは日本では今でもほとんど無名に近いが、聞く機会があれば本作からスタートしてみてくれ! ギター、ベース、ドラムの高度なテクニックの品評会を爽快に味わえる!


次に「新しいサウンド志向と従来の持ち味を巧みにミックスして新境地を開こうとした作品」じゃ。 イギリス勢は下記の通り。

 
「ワイアード/ジェフ・ベック」
 〜ロックとフュージョンのエネルギッシュな融合! 「ギター・インスト」の傑作である前作(「ブロウ・バイ・ブロウ」)より、更に前進した孤高のギタリストが奏でる新境地じゃ。 ヤン・ハンマー(シンセ)とジェフの絡みは、それまでのロックにはなかった異次元のコラボじゃ。 故ジョージ・マーティンが出がけた傑作のひとつであることをお忘れなく!
 
「ステイション・トゥ・ステイション/デヴィッド・ボウイ」
 〜東ヨーロッパの「デカダンス」と「アメリカン・オールド・ポップ」の融合を試みた、ボウイ史上有数の実験作にして傑作。 ヴォーカリストとしてのボウイの力量を世に知らしめた作品でもある。 シリアスでありながらユーモアもあり、メランコリックでありながらオポチュニティックでもあり、ボウイの70年代型の才能が本作に凝縮されておるじゃろう。

 「ブラック・アンド・ブルー/ローリング・ストーンズ」
 〜レゲエのねっちゃねっちゃしたリズムの導入を初めて公にしたアルバム!? その一方で傑作のバラードもあったりする、ストーンズらしからぬアンバランスさが却って魅力。 本作から加入したロン・ウッドは目立った活躍はしとらんが、サウンドの間口を広げる効果をもたらしたと言うべきかもしれん。 ストーンズの隠れた名盤じゃ。
 
「銀河系よりの使者/T.レックス」
 〜グラムロックの寵児マーク・ボランが、十八番のブギーをやや封印し、ゴスペル、R&B等の黒人音楽を独特の大げさなセンスで導入。 結果、異次元のエクスタシーに到達せんとするボランの新時代が垣間見える。 翌年、エルヴィスの死の一週間後にこの世を去るボランじゃが、次作(遺作)と併せて精力的なアプローチをこの世の最後の仕事としておる事は、今一度見直されるべきじゃろう。

 「ノーリズン・トゥ・クライ/エリック・クラプトン」
 〜ストーンズより一足早くレゲエに別れを告げ始め、そろそろブルース・ロッカーに回帰し始めたクラプトンがここにおる。 レゲエの安寧効果?とブルースのニヒリズムとの融合なのかもしれんが、それがウケタところがクラプトンのスゴサ! 70年代は情緒不安定で作品の出来不出来の落差が激しかったクラプトンのじゃが、本作がもっとも冴えておったことは間違いないじゃろう。

 「華麗なるレース/クイーン」
 〜クラシック的重奏かつ長尺な効果を「三分間ロック」へ変換しようとした意欲作。 元々のパワーポップ志向がストレートに露になっただけに、ファンには極めて好評じゃった。 彼らの第一次黄金時代の終焉の作品。 因みに日本での人気は当時異常であり、日本語が挿入される「Teo Toriatte(手をとりあって)」なんつう曲もあった。 こういうサービスは結構笑える場合が多いんじゃが、クイーンはばっちりキメテおった。


次にアメリカ勢。

 「ホテル・カリフォルニア/イーグルス」
 〜カントリー色を踏襲しながら、一気にドラマチック・ロックになだれ込むタイミングがあまりにも素晴らしかったアルバム。 アメリカ建国200周年に合わせたメランコリックなニヒリズムがロマンチックな論調で評価され続ける作品じゃけど、懐かしい60年代カントリー・ロックのフレーバーと、来たる80年代のブームを想定したような起承転結性を巧妙にミックスした奇跡的なセンスがこの名作の真骨頂じゃとわしは思うな! ロックがロックらしかった最後の時代そのものが作り上げたマスターピースじゃ。

 「欲望/ボブ・ディラン」
 〜フォーク・ロック史上もっとも過激な曲「ハリケーン」で幕を開ける本作は、時代の節目に真面目に迷走するシンガーのかっこよさが詰まった作品じゃ! 俺はなぜ急ぐ?なぜ叫ぶ?なぜジタバタする?終着点の見えない苛立ちが演奏の凄みに直結し、そして完結しておることに恐れ入る! これが天才の成せる業ってもんじゃろう。 はちゃめちゃな衣装を着てスッキリした笑顔のディランをしらったジャケ写真も秀逸じゃ。

 「ビューティフル・ノイズ/ニール・ダイヤモンド」
 〜ティン・パン・アレイ畑の個性的なフォークシンガーであり、モンキーズの「デイ・ドリーム・ビリーバー」の作曲者としても名高いニール。 ちょっと柔らかめのフォーク・ロッカーのイメージが強いが、ザ・バンドのロビー・ロバートソンがプロデュースした本作は別格。 己の軌跡を映画風に展開させていくバラエティに富んだ構成であり、ロック的でダイナミックなリリシズムが横溢! いまひとつキャラの立たなかったニールのロッカーとしての輪郭が露わになった記念作じゃ。



■傑作ライブ・アルバム■

 
70年代も中期に入ると、「聞きやすい」ライブ・アルバムが続出するようになったんじゃ。 とりもなおさず、コンサートの録音技術が格段に進歩したってことじゃろうが、またスタジオでの“後付け技術”も進歩したってのも大きい! 「それでは正式なライブ・アルバムじゃねーだろう!」って声は多かったが、これもまたアルバムをたくさん売る為の避けられない現実であり、まあわしなんかは比較的好意的に受け止めておったがな。
 当時はライブ映像なんか滅多に見れん時代じゃったから、ライブアルバムは生のロッカー様に触れることのできる貴重なブツじゃ。 実際のライブ会場では、生音をクリアに聞かせようとエンジニアたちが出力機材の調整に苦労してんだから、スタジオでの少々の手直しもまたええではないか!(笑) まあ、わしを初めとして(?)、耳のスルドイファンってのは、「この部分は“後付け”だな」なんて気づいておったもんじゃよ! 
 
 「フランプトンズ・カムズ・アライブ/ピーター・フランプトン」
 〜600万枚だか700万枚だか覚えておらんが、とにかく異常に売れまくったロック・ライブ・アルバムの金字塔! スタジオ・テイクが平凡な出来でも、このアルバムのライブテイクだと名曲になっておるもんが多過ぎる! “ショー・ミー・ザ・ウェイ”“紫の夜明け”がシングルカットされてこれも大ヒット。 ライブ・テイクのヒット曲のはしりでもある!

 「ワン・モア・フロム・ザ・ロード/レイナード・スキナード」
 〜当時アメリカでもっともライブ集客力のあったレイナード。 翌年飛行機事故で主要メンバーたちが命を落とすという、彼等の短くも激しく燃えたライブ・サーキット・ライフの一部始終がパッケージされた名盤じゃ。 録音状態は上質には聞こえんが、一陣の風が吹き抜けていくような各曲のプレイは全て爽快じゃ! 取立ててポップでもオールドスタイルでもなく、演奏力も標準並じゃったが、観客の心情を情感豊かにすくい上げながらハッピーエンドへと突っ走るセンスは抜群!

 
「ビバ!ロキシー・ミュージック/ロキシー・ミュージック」
 〜ライブ・バンドとして云々されることはなかったバンドだけに、本作の発表は楽みじゃったな。 “オシャレ”“ダンディ”“スノッブ”が常套表現だったが、ライブは演奏能力の高いメンバーたちの極上のR&R! ロック・ライブにありがちなプレイヤーの自己陶酔も少なく、観客との掛け合いでプレイのテンションを上げていく様はお見事。 時折フューチャーされる美しいエフェクター・ギターや幻想的なエレクトリック・バイオリンの調べなど、ソロパートの聴きどころも多彩じゃ。
 
「ウイングス・オーバー・ザ・アメリカ/ウイングス」
 〜これ、確かアナログ3枚組でエライ高価じゃったな!(笑) でも、ビートルズナンバーを含む演奏曲目も、演奏状態も録音状態もサイコー。 ビートルズの復権にも大いに貢献したはずじゃ! 本作発表時がウイングス人気のピークであり、ビートルズでは中途半端に終わったポール・マッカートニーのバンド指揮力のスゴサってもんを、まさに嫌というほど味わえる。

 「メイド・イン・ヨーロッパ/ディープ・パープル」
 〜パープルの予定調和的楽曲構成が苦手なわしも、これはよお聞いた! 名盤「メイド・イン・ジャパン」よりもR&Bに根ざしたプレイが多く、中でもコンパクトにまとまった楽曲の中でのリッチー(G)のはっちゃけぶりが痛快。 二人のボーカリストというハードロックバンドの中では変則的なスタイルも何ら違和感なく、逆にサウンドのスケールアップに充分に繋がっておる。 「パープル=ハイウェイ・スター」という黄金則を覆すだけのパワーを持った作品じゃ。

 「激しい雨/ボブ・ディラン」
 〜ディランがもっともロックに近づいた、いやロックそのものをやっていたローリン・サンダー・レビューの時期のライブ。 当時はまだまだ“フォーク・ディラン”のレッテルが強かっただけに賛否両論じゃったが、ロックファンは「これならディランもイケル!」と飛びついた(はず)。 強いて難点を挙げれば、バックを務める布陣がロッカーじゃねーってことかのお!当のディランもその点を踏まえて、自分一人で過剰にロッカーを演じながら熱唱しておる。 そのスタイルは実にロック的じゃ!
 


■頭角を表してきたストリート・ロッカー、
    更に将来の巨星たちも続々覚醒!■


ラモーンズの激情/ラモーンズ
 終始一貫して「3分間」、いや「2分間ロックンロール!」で後に伝説的なバンドとして名を成すラモーンズのデビュー作。 その内に飽きる。 でもその内にまた聴きたくなる! 彼等をニューヨーク・パンクと位置付けする向きは強いが、パンクというよりシンプル・ロックンロールの権化じゃな。 大層な理屈やポリシーよりも、ただただロックンロールを楽しみたい!と言うのは簡単、やり続けるのは至極困難! 回り道しないのが実はもっとも遠い! 全てのロッカーがやりたくても出来なかった方法論の全てが本作に詰まっておるぞ!

妖女ブロンディ/ブロンディ
 冷め切った美貌と金属的な囁き唱法。 ロック史上希な個性を携えた妖女デボラ・ハリー率いるブロンディのデビュー作。 チープで工夫することを拒否した様な無機質な演奏に被さってくる彼女のパーソナリティこそ、新しいニューヨーク・パンクのスタイル。 これが後に昇華して全米で受け入れられたことは、アメリカという国の懐の深さを物語ってはいまいか? デカダンと呼ぶには鋭く、セクシーと呼ぶには切ないブロンディ・サウンドがついにベールを脱いだのじゃ。

ラジオ・エチオピア(ストリート・パンクの女王)/パティ・スミス
 デボラ・ハリーよりも一足早く注目されていたパティ。 彼女の“タチ”&“ネコ”の特異なキャラは、名プロデューサー、ジャック・ダグラスが手がけた本作によってその全貌が明らかになった。 表現者としてのパティは詩人でありロックンローラーであり、そしてストリート・パフォーマー。 ある意味でインテリジェンス・ロッカーとして理想的な複合センスをもった才媛だったのじゃ!

スモール・チェンジ/トム・ウェイツ
 名もないストリートの足跡やゴミ屑にもロマンがあることを歌う奇才ロッカー、トム・ウェイツのメジャーへのブレイク作。 そんな作品のタイトルが「些細な変革」ってステキじゃ! 直訳だと「小さな両替」になるらしいが、それもまた妙味じゃな〜。 ブレイクしたのは単なるタイミングじゃろう。 以前との差異をあえて探れば、彼の視線が路上から路上を抜けていく風の織り成す情景に移ったといったところか。

ニューヨーク物語/ビリー・ジョエル
 場末のピアノ・マンから、後にミスター・ニューヨークに登りつめるビリー・ジョエルのブレイクもこの年から。 大傑作の次作「ストレンジャー」を完成させた様々なパーツが散らばっており、その美しさの煩雑ぶりがロック的でタマランな! 成功の為に忘れることを強いられる、恋や思い出や仲間への鎮魂歌の数々に胸を締め付けられる思いがする。 スター・ビリー・ジョエルの唯一の掛け値なしのリアリズムでいっぱいじゃ。

コニー・アイランド・ベイビー/ルー・リード
 新進のストリート・ロッカーがブレイクすれば、老舗のこの方もまた名作を発表しておる。 本音か建前か分からんが、ニューヨーク・パンク界の闇の帝王が歌うヒューマニズムは限りなく優しい。 持って生まれた憂いのある歌声に騙されている気もするが、小さな幸せを噛みしめることは大きな困難を克服するってことを思い知らされるような静かなる熱唱が素晴らしい・・・。


幻想飛行/ボストン
 ストリート・ロッカーとは正反対に、完璧なサウンドで時代を越えて大衆に愛され続けたバンドもこの年デビュー! まずはボストン。 マサチューセッツ工科大学出身という超エリートなギタリスト、トム・ショルツの創出したサウンドは極限まで多重録音を繰り返した果てにたどりついた新ロック宇宙! それでいて極上のポップ・フィーリング!! 21世紀でも色褪せないその完成度は驚異的じゃ。

ドリームボート・アニー/ハート
 アン&ナンシーの美人姉妹をフロントにしたハートのデビュー作。 後にMTVブームにも乗って80年代のアメリカン・ロック界を象徴するゴージャスなバンドに成長したが、本作発表当時は多少乙女チックなフォーク感覚と、ツェッペリンばりのハードロック・センスが同居した超個性派じゃったけど、話題の焦点は姉妹の美貌ばかり。 美しいメロディとパワフルなグルーブ感はもっと評価されても良かったが、ルックスの話題に甘んずることなく、音楽性を強調していたことが後のドでかい輝きをもたらしたのであろう!


 調子に乗って書きまくっていたらアルバム数が30枚にもなってしもうた!まあほとんど箇条書きだし、たまにはこんなノリもええじゃろう。更にもう1枚最重要アルバムがあって、それは「酔眼雑記」の方に書かせてもろうておるんで、忘れずに目を通すようにな!



七鉄の酔眼雑記 〜サン・セッションズ/エルヴィス・プレスリー

 1976年といえば、エルヴィスが亡くなる1年前。 翌年から、それまでのロックが、“まるでなかったかのように”吹き荒れることになるディスコとパンクの歴史的ハリケーンの前夜、実はロックの王者エルヴィスのスゴイアルバムが発表されておる。
 それは新作ではなく、SUNレコード時代の録音を集めた「サン・セッションズ」じゃ。 もちろん、エルヴィス自身が直接リリースに関わっておるわけではないが、ロックン・ロールの正真正銘の原点ともいうべき録音の(ある程度の)真実が明らかになるアルバムがこの年に世に出たということは、これもまたロックの神様の仕業としか思えないような事実じゃな。 「ディスコもパンクも結構。 でもロックを忘れてしまう前に、これを聞いておきないさい!」ってなわけじゃ!

 オリジナルのアナログ盤はとっくの昔に手元から消えておるので聞き直すことはできないけど、記憶は強烈じゃ。 ヤスリで削れられてマイルドにされる以前のロックンロール、いやロックンロールというよりもロカビリーの凄みってもんが詰まった作品じゃったな。 ロックの過去、現在、未来全てを構築する要素が、既に「サン・セッションズ」の中にブチまけられておるような感じじゃった。
 エルヴィスがスゴイのは当たり前じゃけど、スコッティ・ムーアもスゴイ。 それをお膳立てしたサム・フィリップスの感性が偉大過ぎる!ってことじゃな! そして「こんなサウンドに夢中になっていたら、人生とんでもねーことになるぞ」といった危険な香りも充満しておった。パワフルでデンジャラス、まさにロックンロールじゃったよ。
 今では「サン・セッションズ」の改訂版みたいなアルバムがたくさん出ておるようじゃけど、1976年当時は、ビッグ・ロッカーの貴重かつ傑作の「未発表集」が発売されるなんてことはまずなかった。 いわば、このアルバムは「コレクターズ・アイテム」のはしりでもあったのじゃ。 たった10曲だけじゃったが、10曲でも充分過ぎるほどの衝撃じゃったな〜。 なんかジャケットがタイトルに合ってないと思えたが、そんなこともやがて気にならなくなったもんじゃ!

 残念なことに、当時のエルヴィスはすっかり太ってしまい、キング・オブ・ロックンロールでも、アメリカン・ヒーローでもなくなってしまっておった。 というか、その病的な変貌ぶりから、わしはエルヴィス自らがキングやヒーローの座を拒否しておるような冷たすぎるオーラを感じ取ったものじゃった。 「サン・セッションズ」の突然の発売は、ロックファンだけではなくて、ロックの神様が変わり果ててしまったエルヴィスへ向けた「カムバック祈願」だったのかもしれない。



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