NANATETSU ROCK FIREBALL COLUMN Vol.237

■七鉄のロック回り道紀行〜番外編(バンコク)
 インパクト抜群なナッソージャケット&シャツがThe-Kingより発表されたなあ〜。 諸君が新年に続く“第二弾ロケット”をブチかますタイミングであることを告げるようなアイテムじゃ。 ブラックとレッドの大胆不敵なナッソー、“華やかなシブサ”を追求したシャツ、う〜んアイツラをまとってもう一度世界に旅立ちたい!という願望を抑えるのが大変じゃ(笑) まとうことはもう少しだけ我慢して、今一度旅の決算的な内容をしたためることで帰国の準備をするので、諸君お付き合いヨロピクな!

 日本を出てから一年半の間、旅の中継地点として、また飛び込み仕事の遂行の為にタイ・バンコクに都合4度滞在した。 期間にして合計約5ヶ月、そのバンコク生活においてわしは常に定宿に滞在しておったが、とにかく日本人旅行者が後を絶たないんじゃな。 老若男女ひっきりなしに次々と日本人がやって来る。 
 1998年初めて当地にやって来た時の印象と比べると、日本人旅行者の低年齢化と女性旅行者の増加が顕著であり、その一方で年金生活をされておる老齢者の長期滞在者も俄然増えてきておる。 こりゃ何で日本人はバンコクに惹かれるのかって否応なしに考えさせられてしまうわな。 
 わしは定宿で出来るだけ多くの旅行者とお話するように心がけておるが、割りと長期で滞在しておる方を職業別に見てみると、仲良くして下さる方はお医者さん、看護婦さん、薬剤師さん等の医療関係者が多い。 次にシェフや料理研究家を初めとする食料品関連事業の従事者さん。 その次は接客業者とIT事業関連の方々。 一言で言えば、「皆さん、濃い!」(笑)

 1999年から2006年まで、わしはタイで日本語情報誌の編集、日本料理店のマネージャーをやっとったんで、タイ語と地理感覚はまあ少々。 若干知識は古いが、観光スポットの紹介も出来んことはないから、幾度かマニアックな場所への観光案内を頼まれ、その度にタダビールにありつけた!(笑) なんてことはドーデモヨロシイが、この度の放浪の締めくくりとして、日本人を魅了し続けるバンコクの魅力について総括してみることにした!
 「絶対に行ってみてほしい」ではなく、「一度はオススメする」と言っておきたいバンコク。ガイドブックには書かれていないような部分を強調することを意識したので、のんびりリラックスしながら読み進めてくれたまえ。 バンコクのマイナス6要素、プラス9要素、名づけて「バンコク・ロック(69)比較論」じゃあ〜! 

七鉄のロック回り道紀行〜番外編(タイ・バンコク)
それでも君はバンコクに行きたいか!?
〜プラス、マイナス両面から考えてみる「バンコク・ロック(69)比較論」


バンコク・6ウイークポイント(短所)

■緩和されない渋滞■
 既に30年来の国家的問題になっておるが、バンコクの道路交通渋滞はヒドイもんじゃ。 中心部になると、朝8時くらいから夜8〜9時まで延々と渋滞が続いておる。 これは最初の都市開発計画がいい加減だったことや、鉄道の重要性を軽視し続けてきたことが原因じゃが、ミレニアムから21世紀にかけて高架鉄道と地下鉄が登場したものの、一向に緩和される兆しはない。

排気ガスによる激しい空気汚染■
 交通渋滞が激しい為にバンコクの空気は悪い! 猛暑でかいた顔の汗をハンカチで拭うと、顔の煤けた汚れがべっとり付いてくることもある。 また室外でタバコを吸っているとマズイ! これは周囲の汚れた空気を一緒に吸い込んでおるからじゃ。 もっとも、近年世界的な問題になっておる中国・北京の惨状に比べれば、汚染度は低いことは確かじゃが。

■英語、日本語の通用度は低い■
 バンコクをはじめ、タイ全土において英語はあまり通用しない。 日本語なんて問題外。 タイ人で外国語を話せる者はほんの一部の富裕層か、外国人相手のお客さん商売、ビジネスをされておる方だけ。 だからタイ語が話せないと、地元タイ人とコミュニケーションをとるのは基本的に難しいのじゃ。 「ボク、イングリッシュOKね!」って方も、ほとんど自己流学習者。 その努力に敬意は表するものの、タイ・イングリッシュなんで聞き取りづらい(笑)

■衰退する屋台文化■
 かつて多くの旅行者たちは「路上の屋台飯を食べると東南アジアに来たことを実感する」と言っておったもんじゃ。 しかし東南アジアで屋台がもっとも充実しておったバンコクから、今や屋台が消えつつある。 土地の利権争い再開発計画、更に屋台規制が激しく敷かれたからじゃ。 最盛期に比べれば、屋台の数は既に三分の一ほどで、昨年末から今年にかけて、わしの定宿近くの有名な屋台街が2つも撤去された。 安くてそこそこ美味い屋台飯の大幅減少は、出費を抑えたい旅行者や、現地で採用された(給与所得の低い)外国人就職者にとっては大打撃なのじゃ。


■耳に馴染みにくいタイ・ミュージック■
 タイ版歌謡曲(もしくは演歌)と言われるモーラムやルークトゥンは、その独特の節回しやリズム、歌手の周囲で踊るダンサーたちの振り付けは慣れると心地よいものじゃが、J.POPや欧米のロックンロールに親しんでおる日本人の耳にはどうにもヘ・ン・ナ・カ・ン・ジ。 日本人とタイ人との人間性、精神性の違いを感じさせられてしまう! タイ旅行初心者で、モーラムやルークトゥンのCDをお土産に買っていく人は稀じゃろう。
 タイ・ポップスってのもあるが、これは明らかにJ.POPの影響を受けているので難なく聞き流せるものの、本家本元が日本にあるので触手は伸びんじゃろう。

■安くはなくなってきた物価■
 日本国内のタイの評判において、「タイの物価は日本の1/4から1/3」というのが定説じゃ、わしがバンコクで仕事をしておった2000年前後は確かにそうじゃった。 しかし昨今の円安傾向もあり、今回の度重なる滞在においての実感は、「当時の倍の価格」になってきたということじゃ。 ほとんど変わりがないのは先述のタイ・マッサージの代金ぐらい。 格安航空券で入国したはいいものの、「思っていた以上に金がかかった」という声はよく聞くもんじゃ。 特に各種イベントの入場料、飲食店での飲み食い代、夜遊び代の価格上昇は著しいことをどうかお忘れなきよう!

以上を踏まえてもなお、日本人はバンコクに行きたがるのじゃ。 バンコクの魅力や如何に!


バンコク9ストロング・ポイント(長所)

■格安航空券でお気軽海外旅行!■

 バンコクへの旅行者が激増した理由は、何はともあれエア・アジアやジェット・スター航空に代表される格安航空券の登場じゃ。 値段が常に昇降していて、フライト日間近には投げ売りのようにプライス・ダウンがされるこのシステムにおいて、例えば東京・成田/バンコク間の往復で3万円台前半(片道約6時間)なんてこともある。 パスポートさえあれば気楽に買えてしまう金額じゃよな。 「今度の連休に有給をくっつけて、ちょっくら海外でも行ってくるか!」なんて場合に最適じゃ。
 わしの知り合いのタイ料理研究家は、金曜日に仕事を終えた後にバンコク行き深夜便に飛び乗り、日曜日深夜便で帰国して、そのまま月曜日朝に職場に向かうなんてことを年に何度もやっておる。

■初心者に優しいバンコク人■
 英語があまり通じなくても、日本語自体が無用であっても、バンコクの地元タイ人と接しておるとイライラ度が低い。 これは東南アジア各都市を訪れてから気がついたのじゃが、バンコクのタイ人たちは、言葉が通じなくても相手が伝えたいことを一生懸命に理解しようとしてくれる方が多いのじゃ。 またわしのような発音の悪い“なんちゃってタイ語”も推察しながら相手をしてくれるのじゃ。 この点に関しては間違いなく東南アジアでバンコクはダントツじゃ。

 わしは日本人観光客相手のガイドをやっておるタイ人を何人か知っておるが、彼等の細やかな心配りには感心する。 日本人のバンコク・ガイドさんたちの、マニュアル通りの決まりきった仕事ぶりよりもはるかに温かいもんじゃ。
 “夜のオネーサン”たちも、言葉の通じないお客さんに対しては母親やお姉さんの様にとても親切じゃ。 それを「ボッタクろうとしている!」って端から警戒する向きも強いが、そこは少し大人になって考えてみよう。
 相手だって言葉の障害を越えて楽しんでもらうために努力しておるんじゃから、少々のチップは差し上げて当然じゃよ。 と考えられるようになるまでは、わしも時間がかかったがな〜(笑) 以上、総じてバンコクのタイ人たちは、タイ初心者にとても優しいということじゃ!  

■食べ物が種類豊富、世界各国の料理が集結■
 
タイ料理ってのは“辛い、甘い、酸っぱい”が代表的なイメージじゃが、実はタイ料理ほど食材や味付けの種類が豊富なお国料理はそうはない。 注意深く観察しておると、胃袋にやさしいマイルドなメニューもたくさんある。 偏食気味な方でも食べ物には困らないはずじゃ。 
 またバンコクには、タイ全土の地方料理店、さらに世界中の料理店が揃っておる。 21世紀初め頃までは“なんちゃって”レベルの店が多かったが、世界中の旅行者が集まるようになった近年では本国のシェフやコックが増えたのでレベルがぐう〜んと上昇! 日本の寿司や刺身や天ぷら、広東料理、韓国焼肉、インド・カレー、フレンチ&イタリアン、アラブ料理などの本格的なお味が存分に楽しめるようになっておるぞ。

■環境の異なる周辺都市が点在■
 バンコク周辺には、趣きの異なった別の都市、リゾートがいくつかある。 欧米人たちの植民地のようなビーチ・リゾートのパタヤ。 日本人勤務者が多く、日本人街が形成されている静かなビーチ・タウンのシーラチャー。  野菜や果物の名産地である山岳リゾートのカオヤイ。 遺跡で名高いアユタヤ。 これらの地域はいずれもバンコクからバスで2〜3時間の距離じゃ。 短いタイ滞在期間中にちょっとバンコクとは嗜好を変えた環境を楽しみたい場合にはこんな選択肢も可能なのじゃ。
 また近年タイ国内航空の充実も著しく、バンコクから約800キロ離れたタイ北部の古都チェンマイへも、1時間程度のフライト(往復約7000円)で行けるようになった!

■リーズナブルなブティック・ホテル
 四つ星、五つ星の高級ホテルには事欠かない大都市バンコクじゃが、近年ではこじんまりとした中級ホテルが随分と増えたのじゃ。 日本風に言うと「ブティック・ホテル」というヤツで、少々オシャレな内装でプライベート感覚と清潔感を重視した造りになっておる。 交通の便の良い中心部にありながら、お値段は一泊5〜6,000円程度。 日本のビジネスホテルよりも安価でオシャレな落ち着いた宿泊環境を確保できるのじゃ。
 わしがタイで働いておった頃にもバンコク中心部の中級ホテルは多かったが、室内清掃や室内設備に難が多かった記憶が強い。 それらのホテルは現在続々と閉館、もしくはブティック・ホテルへの衣替えが続いておる最中じゃ。

■マッサージ天国■
 タイが誇る世界的に有名な「タイ・マッサージ」。 東欧諸国のほとんどの大都市にまで店舗が存在していたものじゃ。 似たようなスタイルのマッサージはタイ周辺諸国にもあるが、その効能、施術者の平均技術レベル、CPにおいてはタイマッサージにはまったく適わない! 日本では1時間6,000円、2時間10,000円ぐらいが相場じゃが、バンコクでは施術者へのチップ込で1時間400バーツ(約1500円)、2時間600バーツ(約2200円)と超格安なお店が腐るほどあるのじゃ!
 大体の店は表通りから店内の様子が見える造りになっておるので、お客さんがたくさん入っとるお店ならアタリの確率は90%じゃ。 若いカワイコちゃんの施術者がたくさんおる店は、まずヘタクソだらけなんで要注意(笑) また体調不良や満腹の時はタイ・マッサージは避けるようにって事は、どこのガイドブックにも書かれていないので覚えておくようにな!
 最近では乱立する状況の中で差別化をはかるべく、内装を豪華にした一種スパ的なマッサージ店が続出しておるが、こちらは値段が3倍以上に跳ね上がるが、施術者のレベルは3倍増しでは決してない(笑) 「内装を豪華にすれば客が増える」という安易な発想は、バンコクで商売をする者の間違った認識の代表例なのじゃ。

■あらゆる物資が豊富■
 バンコクへの旅行は、基本的に手ぶら同然であっても何ら問題なし。 あっ最近の方々はスマホが必需品じゃったか! とにかくバンコクの大型スーパーやショッピングセンターに行けば、必要なものは何でも揃う。
 長期滞在の場合は、体調不良を想定せにゃいかんが、薬屋さんもたくさんあって、薬事法が日本よりはるかにユルイので色んな即効薬が安く手に入るから心配なし。 抗生物質まで買えるのじゃ。 パソコントラブルの場合も、日本人業者がいくつかあり、パソコンショップも多いから対処の方法はいくらでもあるぞ。

■鉄道の路線拡張、地下鉄の開通■
 前述の通りバンコクは交通渋滞が激しいので、出来るだけ車移動は避けたいところ。 近年では高架鉄道の路線が大幅拡張され、さらに開通してまだ10年弱の地下鉄も稼働本数が増えたので、大体の主要地域にはこれらの交通機関を利用すれば問題なく到達できる。
 近距離移動の場合は、バイクタクシーの利用が賢明。 渋滞する道路にひしめく車の間をスルスルと抜けていくことが出来る。 慣れるまではチト怖いかもしれんが、時間を大切にする方にはオススメ。

■タイ中の美人が集結!■
 さて最後にご紹介しておきたいのは、やはり男性諸氏にとって最大のバンコクの魅力、それは美人さん、カワイコちゃんが多いことじゃな、やっぱり! 多民族国家のタイにはいろんなタイプの美人さんがおるから目の保養には事欠かない。
 いつの時代も、どこの国でも、女性にとって「容姿の美しさ」は最大の武器。 タイ中の美人さんたちが、より豊かな生活を夢見てバンコクにやって来る。 もちろん夜の街に出ても、選択に困るほど豪華絢爛じゃ〜って最近わしは行っとらんけど、以前と変わってないと思うぞ。(思うとは白々しいな!)

 更に最近のタイ女性の間ではプチ整形手術が大ブームなんで、ホント困ったもんじゃ(笑) ちなみに某国の女性の様に、整形によって別人になってしまうほどの変貌は少なく、素の部分は充分に残っておる程度の整形じゃ。 もちろん例外もおるがな!
 またタイトな白いワイシャツと黒のロングスカートで統一された制服を着た女子大生たちも外国人旅行者たちに人気! タイの女子大生たちの制服は全部同じであり、大学によってシャツに付けるバッヂの種類を分けておるんじゃよ。
 いろんなタイプの美人さんがいて、“微笑みの国”といわれるタイの魅力の象徴である彼女たちの存在は、昔も今もわしら外国人旅行者たちを魅了して止まないのであ〜る!


 わしはバンコク初心者に対して、よく使う言葉があるんじゃ。 それは「バンコクはタイの首都というよりも、バンコクというひとつの国家だと思ってほしい」じゃ。 シンガポールのように大都市そのものが独立した国家の様に成立しておるということであり、タイの都市の中でバンコクのみが格段に都市化、国際化が進んでおるということでもある。 あらゆる種類の人と物で溢れ返り、それぞれの異なった美意識と価値観がいがみ合うことなく雑然と共存しておる「超極彩色国際都市」がバンコクなのじゃ。
 
 オススメする滞在スタイルは、初心者の間は滞在期間と費用をキッチリと決め、スパッ!と遊んでスパッ!と帰国すること。 ある程度のお金を使わないと楽しくないのがバンコク旅行であ〜る!
 何もせず安宿でずぅ〜とダラダラしておる方を見かけるが、いろんな快楽と誘惑が至るところで口を開けておるバンコクにおいては、娯楽費用を使わないで滞在することはストレスが溜まって、本末転倒の旅行になってしまうのじゃ。 逆に言えば、日本よりは安い価格で思いっ切りストレス解消が出来るのがバンコクじゃ。
 ただしハメを外すと「ストレス解消」が「快楽追求」にすぐに直結してしまうのもバンコクの偽らざる実態じゃ。 もしバンコクに行ってみたいと思っておる方がいらしたら、その辺の事情を充分に把握した上で計画を立てて頂きたい! グッドラックじゃ!!


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