NANATETSU ROCK FIREBALL COLUMN Vol.234

■七鉄のロック回り道紀行〜番外編
 2016年を迎え、「今年は一丁旅にでも出てみるか!」とプランニングしておる方がいるか、いないかは知らんけど、年初に当たって何か諸君に新しいアドバイス出来るとすれば、昨年一年間敢行して身に付いた長旅の知恵じゃ。 The-Kingを支えて下さっておる諸君は、みんな生活も仕事も堅実であり、「長旅のアドバイス」なんざ無用じゃろうけど、人生、何が起こるかわからんぞ。 人間、何を思いついて実行するかわからんぞ!(笑) ましてや、新作ショートコートを羽織れば気分は大空を舞うがごとく雄大になるもんじゃ〜。 ここはひとつ、わしの小さな旅の知恵を授けておこうぞ。 かさばらない、重たくない、高くない、長旅(貧乏旅)に必携の小物セレクション15品じゃ。

 日本で普通に生活している場合になくてはならないものを、いかに少量で的確な品揃えで持参するかが旅の準備の最重要課題じゃが、これらの品々は、長旅に持ってきてつくづく良かった、もしくはどうしても必要になって旅先で買ったものばかり。 これさえ揃っておれば、あとはパスポートとスマホと国際キャッシュカード、それに衣類のスペアがあれば、基本的に不自由なくスマートな気分で長旅は出来るって判断してくれ。
 年頭から余計なお世話かもしれんが、案外日常生活のいろんな場面においても役に立つ必携かもしれんので、「あぁ、そうかもしれないな」程度に気軽に読んでくれたまえ。 (上写真〜エーゲ海エジナ島にあるアフェア神殿の日の出)


七鉄のロック回り道紀行〜番外編
かさばらない、重たくない、高くない
長旅(貧乏旅)に必携の小物セレクション15品!


■電子タバコ■

 これは愛煙家に絶対必携! 喫煙所のない空港、ドミトリー部屋、禁煙ホテル、禁煙推進地域などでとにかく役立ったわい。 本物のタバコほどうまくはないが、とにかくコイツをもっておるだけで「禁煙」規則が怖くない! わしは禁煙のホテルで何度も吸ったが、一度もバレなかった、というかお咎めはなかった。一年間でリキッド10本ほど用意して旅立ったが、なんとか帰国まで持ちそうじゃ。
 ただし注意したいのは、発展途上国ではまだまだ知れ渡っておらず、空港の税関員の中にも存在を知らない輩がおるので、
空路移動の場合は受託荷物の中に入れておくこと。手荷物に入れると、リキッドを没収される可能性が無きにしも非ず。


携帯用灰皿■
 これは現地でも割と手に入りやすい部類の品じゃが、日本では100円程度で気軽に買えるので買っておこう。 こいつの効果は、とにかく灰皿のない場所で誰かと“連れモク”しとる場合に、相手から感心されることじゃ(笑) わしは白人さんから、「オマエはジェントルマンだな〜。 日本人の喫煙者はみんなそうなのか!」と何度も褒められたわい。 旅行者って、意外とこれを持っておらんのじゃ。 まあ東欧、東南アジアなんかではタバコのポイ捨てが当たり前だから尚更驚かれたもんじゃ。
 ストリートバーで使っていたら、オネエサマに「なんて綺麗好きなんでしょう」ってモテモテになる!かどうかは知らんけど、紳士たる者の隠れた身だしなみじゃわい(笑)


■小型ポータブル電源(携帯バッテリー)2個

 スマホ類のバッテリー切れって、どういうわけか旅人にとってもっとも必要な時に襲ってくる! それはGPSマップ機能を使いっぱなしにしておくとバッテリーの消耗度が激しいからじゃろうが、これはもう形態用バッテリーを複数持って対処するしかない。
 最近は一度フルチャージすると一週間ぐらい使える充電容量のバカデカイバッテリーもあるが、今のところアレはやたらと重い! 持ち歩くのに億劫だし、フルチャージに丸一日かかるようじゃ。 やはり軽量のバッテリーを複数持つのが得策じゃ。


■小型外付けハードディスク■

  写真の保存の為に必携。旅中は普段よりも写真撮影の機会がべらぼうに多いので、写真の保存データ量はハンパない。 こまめに移動保存しておけば、万が一カメラやスマホが機能停止したり盗難に遭っても、データは手元に残ってくれるのじゃ。
 まあ現代のデジタル社会に生きておる方々にとっては当たり前の品なんじゃろうけど、旅先に持ってきてはいても意外とデータ移動を面倒臭がってやっておらん輩は多い。そういう輩のところに、デジカメやスマホの故障や盗難が襲ってくるものなのじゃ。 「持つ」というよりも「データ移動の習慣付け」が必要と言った方が正解じゃろうな。


■プラスチック製小型電気ケトル(小型湯沸かし器)

 当初日本の旅行用品専門から通販で買う予定じゃったが、レビューを読んでみたら「耐久性がない」「すぐに水漏れする」「割れやすい」等とあまりにも評判が悪いので購入見送り。 試しにタイで現地製品を買ってみたらなかなかのスグレモノで、一年経過しても故障や劣化がない。 日本製でも探せば必ず良品があるんじゃろうが。
 少々かさばるものの、これがあると実に便利。 生水が飲めない地域でも、電源が確保できれば飲み水が作れるし、種類によっては直にお茶やコーヒーを温められたり、インスタント麺の調理程度の煮炊き料理も出来る。


■保温保冷タンブラー■

 これは東南アジア製で何度か失敗したので、日本の旅行用品専門店で買った方がよろしい。 それも出来るだけ大きめの物を。 クソ暑い東南アジアでの外出に必要なのは、水よりも氷! 氷を出来るだけ詰め込むには大きめの物じゃ。 わしの経験上、大きめのサイズの方が、氷保管用としての保温機能が優れておると思う。 優れ物になると、炎天下で氷だけ詰め込んだ場合には数時間も氷がほとんど溶けない状態じゃ。
 ということは逆に熱湯の保温機能にも優れておるということであり、現在重宝しとるブツは東欧の氷点下近くの気温の下でも充分にあったかいコーヒーが飲めたわい。 良い物に当たるために何度満足できない経験をするじゃろうが、まずはケチラズに、少々高値の物を買うべきじゃろうな。猛暑だろうが激寒だろうか、誠に力強い味方になってくれるはずじゃ。


■スキットル■
 
これはブリキ製(アルミ製)のミニ・ウイスキー・ボトル。 酒を飲まない方には要らん物じゃが、酒飲みの長旅には必携じゃ。 というのも、ドミトリー生活では、よほどの無法者でもない限り、共同生活のお部屋の中であからさまに酒を飲むのは御法度であることを心得ておる。 早めに就寝する方もおれば、おとなしく本なんか読んでおる方もおる。 その周囲でグビグビってわけにもいかんじゃろう〜。 ドミ生活ってのは、とにかく周囲に気を使うんじゃよ〜。
 そこでコイツに入れ換えたウイスキーなんかをサラリとやる分には、飲んでおるこっちも気が楽じゃ。  それにウイスキーってのは不思議なもんで、隠れるようにして飲むとまた美味いのじゃ〜。 市販のミニボトルって方法も当然あるけど、あれは中身が割高になるんじゃよ(笑)


★★ ちょっとブレイクタイム★★

 右写真は、東欧最終地ギリシャ・アテネの古代オリンピア劇場でわしをアテンドしてくれた野良猫。 とても人懐っこくて、広大な劇場敷地内の半分ぐらいはわしについて回っておったというか、案内してくれよった。 別れ際にはコートの中に入って来ちゃってな! もうお別れするのが辛かったわい。 わしが出口に向かう途中も、座っていたベンチの上から動かずに、お見送りをしてくれたんじゃよ。 「たくさんのお客さん、ヨロピク!」だったんじゃろうな!


■アーミーナイフ■

 これは日本で買い忘れて、適正価格品の現地入手に苦労したわい。 いわゆる小型のナイフ、栓抜き、コルク抜き、ナイフ、ハサミ等が一同に揃った物であり、スゲー高いか、安物はどれかのパーツが不良だったり、満足いくブツを買うまで4回も買い直したわい。
 こういう小型で手の込んだ品物の精度は、やはり日本製か日本の息のかかった品物が一番じゃ。 安宿の中には、キッチンもなくその類の器具を一切揃えていな気のきかない所もあるので、こいつはとにかく重宝するのじゃ!
 せっかくハンガリーで良い品をゲット出来たのに、うっかり手荷物の中にいれたまま空港に行ってしまい、税関で没収されたこともあった。 全パーツ収納すると超小型になるのでついつい手荷物に放り込んでしまうので、空路移動の際は注意されたし。


■マネークリップ
 旅行中もっとも気を遣うのが、パスポート、カード類、そして現金の管理。 意外と役に立ったと思われるのがマネークリップ。 路上の屋台やストリートバー等、見知らぬ者が数多く行き交う場所で支払いをする時、財布を取り出して更に現金を引っ張り出そうとする行為は、あたかも周囲に向かって「ここに現金があります!」ってアピールしておるようなもんじゃ。
 わしはポケットからクリップに挟んだ紙幣をさりげなく出してさっと支払う!もちろん、大枚だけは財布に入れておいて、おいそれとは出さんようにしておけばよい。
 このマネークリップは旅仲間になかなか好評であり、何人かが現地で探し回っていたが、結局見つからなかったようじゃ! わしが持っとるのは、確か新発売のタバコのプロモ・グッズかなんかじゃったと思う。 実際にお店で売られておるのは見たことがない。諸君も機会があれば通販で買っておいた方が、日本の生活でも即役に立つかも知れないぞ。


■小銭入れ■

 日本と違って、諸外国の小銭は以外と厚くて重い場合が多い。 現地通貨に慣れていない内は、面倒なんで紙幣払いばかりやってあっという間に小銭が溜まって鉛のように重くなる。 パンツのポケットに入れておくと不快極まりない。 小銭入れを持っておれば整理しやすく、支払いの際の出し入れも楽。
 諸外国のスーパーのレジでは小銭を含めた支払いは歓迎され、小銭入れから手のひらに一気に小銭を出して見せると、その中から必要な小銭を親切にピックアップしてくれる! わしは、随分昔にThe-Kingがプレゼント用に製作した小銭入れをずっと愛用しておったぞ!


■日本製蚊取り線香■

 これは日本製でないと絶対にダメ。 東南アジアの現地製はあんまり効果がない! 蚊を殺さずに一時的に寄せ付けないだけとか、気絶させるだけの物が多いし、中にはお香の香りがするだけの紛い物もある。 随分と昔から東南アジア製は役に立たないという噂は強かったが、現在でもクオリティは同じじゃ。
 日本製は鼻を突く独特の匂いがするので、白人さん等慣れていない人種の方々からは最初は迷惑がられる場合もあるが、きちんと効力を説明してあげよう!ちなみに、わしは使ったことがないが、電気製のベープマットは東南アジア製でも効果があるらしい。


■ボラギノール、アンスノール■
 お薬についても触れておこう。 お医者様から処方された以外の薬は人それぞれじゃろうが、万人向けでわしがオススメのヤツを二つ。
 まず痔のお薬ボラギノール。 何処に行っても日本食とは違う物を食べるわけじゃから、お腹を壊すことも珍しくないし、排泄の具合も異なってくる。 おしりの状態が悪くなってくるのは避けられない。そこでボラギノール系の軟膏は持っておきたい。 日本製のこの類の市販薬は効果絶大なんで、お忘れなきよう。
 もうひとつは、いびき防止用の、鼻の穴にシュッとやる噴射液薬。 いびきがスゴイととにかくドミ部屋で周囲に迷惑をかける。 旅人にとって眠りはとにかく大事なので、それを妨げられると不愉快になり、悪気はなくともそいつに対してつっけんどんになってしまったりする。 周囲への気遣い、ドミ生活のエチケットとしてアンスノール系いびき予防薬はもっておくべきとわしは思うておる。


■垢すりタオル■
 
 これは様々な形態の物が各国にあるが、やはり日本人は国内の一般型であるタオル型の物を使いたい。 100均で買える生地の薄い物でも、タオル型の方がもっとも垢がとれる(気がする)。 背中をもっとも洗うことが出来る(と思う)。 それに諸外国では、コイツがシャンプーよりも高かったりする場合が多いぞ!
 注意点としては、水切りするためにバスルームに置きっぱなしにするだけに、チェックアウトの際にどうしても置き忘れやすい。 また何故か置き忘れを気がつきにくい品なのじゃ。わしはもう5枚も置き忘れた!


■針金ハンガー■ 
 日本でもそうじゃが、売られ方はチト数が多すぎるセットじゃ。海外でも同じなんで、かさばらない程度の数で持っていこう。 針金ハンガーは洗濯物の乾燥に使う他、意外と役に立つのが、排水の悪い安宿のシャワールームの排水口掃除!また部屋の電源スイッチをいれる際、ルームキーに付いたプラスチック板を所定の電源位置に突っ込む場合、針金ハンガーを同等の大きさに折り曲げて代用することもできる。 これならクソ暑い東南アジアで外出する場合も、冷房をつけっぱなしにしておける!帰ってきてもお部屋の温度は快適じゃ(笑) まあカンボジアの宿ではバレてしまって、「電気代がもったいないから止めてくれ」って言われたがな!!


■粉末昆布出汁、ラーメンスープ■

長旅、長距離移動の疲れを癒すのは、まず熱いシャワーと清潔なベッドシーツ。 その次は日本の味!とはいっても、日本食レストランが簡単に見つからない場合もあり、現地食食堂よりも当然高値じゃ。 そこで手っ取り早く味方になってくれるのが、昆布出汁! (もちろん、出汁元ならなんでもええ) 自炊が出来る宿ならば、さっと振りかけて調理するだけで、また塩と一緒にお湯に溶かしてスープにしてもいい。これだけで懐かしい日本の味が蘇って活力が湧いてくるものなのじゃ! 100均とか売っている小型スティック状の物で充分!もちろんラーメンスープでも効果は同じじゃ。
 どこの国でも日本、韓国、中国の食材を扱う食料品店があり、昆布出汁スティックやラーメンスープを売ってはいるが、日本では100円で買えるものが10〜20倍ぐらいするから、とても買う気にならん!是非日本で買っておくべきじゃ。


 以上、長旅の際には出来るだけ揃えたし!小さな知恵じゃが、諸君にお伝えして気分はスッキリ。これからバンコクに戻って、一昨年までのロックモードへとスムーズにスイッチを切り替えられそうじゃ。
 そう言えばホーチミンはバンコク経由で来たが、フライト出発までの空き時間に入ったバーで「ホースシュー・ビール」のポスターを見つけた! これから新規入荷予定でポスターPRしておるのか、ただ単にオーナーがポスターを気に入っておるのかは知らんが、何はともあれバンコクで再スタートを切ろうとしておるわしにとっては、なかなか縁起のええポスター。
 ビールの名前は「Rubber Beer」。 調べたら1912年から続く、イギリス・グラストンベリーのビール会社じゃ。グラストンベリーといえば、夏には大規模なロック・フェスが行われる所でもあり、やっぱりわしにはラッキーポスターじゃな〜。 悪くない!Here I Go Again七鉄じゃ!!!


七鉄の酔眼雑記 〜 旅の終わりに
 
 今回は大きなお世話な!旅行ガイドみたいな事を書いてしまったが、考えてみればこの一年間、旅をしている間にまったくと言っていいほどロックやファッションについて何も書いておらんな。 The-Kingから原稿依頼を頂いておる身としては我ながらケシカラン!とは思うが、特にロックについて書くとどうしても思い出話が主体となってしまうので、いつも現実を書いてみたいと思っておったので、ダラダラ続けてしまった旅の体験記をどうか許したまえ。 これでも、今回を含めて、いつか諸君が長期海外旅行をする時がきたら何かしら役に立ってもらいたいという願いを込めて書かせてもろうておる。 長年、このコラムを続けさせてもろうとる者のひとときの“わがまま”だと笑ってやり過ごしてほしいわい!

 旅に出る前に、i-podにCD400枚分くらいブチ込んできたが、旅が長引くにつれて段々とロック観賞とは無縁になってきたのは事実じゃ。 特に後半の約四ヶ月、東欧を周遊しておる期間は本当に聞かなくなっておった。 ロックファンとして正しいのかどうかは分からんが、未知の文化、美意識を体験することに夢中になっておったので、ひとときロックがわしの魂の奥底に潜り込んで休眠状態になっておったのじゃ。
 だからってワケでもないが、チェコのプラハでi-podを抱きつきスリに盗まれた時も、機器自体の劣化状態もあってあまりショックを受けなかった。 「あんなポンコツ、くれてやるわい」「今はロックがなくても大丈夫」って早めに諦めがついたもんじゃ。 データはPCの中に入っておるしな。

 わしが東南アジア周遊をしておる頃は雨季。 東欧周遊は晩秋から冬。 つまり観光客が比較的少ない時期じゃ。 オフシーズンだけに航空運賃も安く、宿は空き部屋が多くて、宿泊費を低めに抑えておる所が多いことがこの時期を選んだ理由でもあるが、やはり日本人旅行者(貧乏旅行者!)の数は多くはなく、一ヶ月近く日本語を話す機会がなかったこともしばしば。
 それでも一年間で3人も筋金入りのロックファンと宿で同室、もしくは隣室になったものじゃ。 しかもそのうちの一人は、昔わしが勤めていた会社のお客さんでもあったのじゃ。 今更ながら世界は狭い、ロックの神様は粋なことをすると感動したものじゃ。 ロックから一時的に離れてはおるものの、やはりわしは生涯ロック・フリークのと看板をしょって生きていくしかなさそうじゃ(笑)

ベトナム・ホーチミンにて、この度の放浪に一旦ピリオドを打ったので、次回からは久しぶりにロック・ネタでガンガン攻めまくる予定なので、どーぞよろしゅ〜♪



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