NANATETSU ROCK FIREBALL COLUM Vol.231



■七鉄のロック回り道紀行〜七鉄の旅・失態編
 わしの旅も1年を越え、東欧諸国周遊のスケジュールも後半に入った。 「七鉄め、一体何がおもしろくて、飽きもせずあっちゃこっちゃほっつき歩いているのか?」と感じておる方が多いと存ずるが、まあ大きな病気、怪我もなく無事に旅をこなしておることを「旅の神様」に感謝せんといかん。
 それでも一年ともなれば、まさに山あり谷あり。全てが順風満帆、極楽お気楽というわけにはいかない。風邪もひいたし、腹も下したし、二日酔いも数知れず(笑)。 日本で普通に生活しとる時と同じような起伏が旅の日々にもあるんじゃ。
 あらためて振り返ってみると、長期旅行者が遭遇してしまう代表的なトラブルは、このわしもいくつかくらっておるのじゃ。 大概は自分の不注意、経験不足が招いた失態であり、まだヤラレテいないのは「現金、カード、パスポートの盗難」と「美人局」ぐらいじゃろうか。 「旅の恥はかき捨て」と言うし、ここらで一丁東南アジア、東欧まとめて「七鉄の旅・失態編」を披露してしまおう! 諸君もいつの日か“大きく気が変わって”、長期一人旅をすることがあったら、是非とも参考にしてくれたまえ!




七鉄のロック回り道紀行〜東欧編 Vol.5 旅の失敗/失態集  
 避けられなかった旅のトラブル。
          便利と危険は背中合わせ 



Episode-1 キャッシュカードATM機飲み込まれ事件/タイ:チェンマイ
 まず最初のこのトラブルをくらったのはタイじゃったが、旅のスケジュールの最初が東欧であっても遭遇した可能性は高いかもしれんのでご紹介しておこう。
 日本を出国して丁度一ヶ月後、今回の旅でもっとも真っ青!焦りまくった!!トラブルにいきなり遭った。タイ北部チェンマイの町はずれで、深夜に国際キャッシュカードでキャッシングをしようとしたら、カードがATMに挿入されたままでATM画面はフリーズ状態に! 現金は出てこないし、キャンセルボタンを押し続けても何の反応なし。 手持ちの円キャッシュを使い切った直後であり、キャッシュカードはこの1種類しか持っていなかったので、マジで慌ててしもうた!
 ATM機に記載されてある緊急トラブルの際の連絡先に電話したら、運良く日本語堪能な係員が出てくれて安心したのも束の間、彼女は「キャッシュカードの再発行手続きをするしかありません」「再発行カードは日本国内への発送しかできません」の一点張り。 まあマニュアル通りの対応しかしてくれんのじゃ。

 さあ困った。 手持ちはキャッシング機能無しのクレジットカードのみ。これだけで長期の旅を続けるのはまず不可能。 深夜のATMの前でへなへなと座り込んでしまって一時間ぐらい動けなくなってしもうた。
 そこでフト思い出したのが旅仲間の体験談。中国の営業時間外の銀行内のATM機で同様のトラブルに巻き込まれた時、とにかく「大変だ大変だ」と大声で喚き散らして、警備員から銀行に連絡をとらせて強引にATM機を開けさせたハナシじゃ。もうこれしかない! もう一度緊急トラブル連絡先に電話して、「現金もない、クレジットカードもない、友達もいない、タイ語も英語も全然出来ない、どうにもならないぞ、おい!ヘルプ・ミーじゃっ」「四の五の言わずにとにかくATM機を開けてカードを返せ!」を大連発したところ、杓子定規の対応しかせんかった担当の女性も諦めて特別配慮に転じてくれた。 結果、翌朝9時に男性係員がやって来て、わしのカードを飲み込んだままのATM機を開けてくれて、無事カードを取り出して返却してもらえたのじゃ!

 この事件以降、深夜や、繁華街以外でのキャッシングは止め、同様のトラブルがあってもすぐに対応してもらえるように、出来るだけ銀行や両替所に併設されておるATMを利用するように心がけておる。それでも、しばらくの間はピンク色のATM機を見かけるとぞぉ〜としたもんじゃ(笑)


Episode-2 抱きつきスリ事件/チェコ・プラハ

 一人旅の最中に盗難にあわずに済むことはなかなか難しいようで、わしの周囲でもよおやられておる。 ひったくり、置き引き、睡眠薬強盗、バックパック切り裂き強盗等手口は様々。 わしがやられたのは「抱きつきスリ」。 これもよくある手口らしいが、わしの場合はチトパターンが異なったので、まんまと引っかかってしもうた!
 犯人は同じ宿に宿泊しておった(自称)トルコ人女性じゃ。 「インターネットの操作の仕方を教えてほしい」と宿の共有スペースのPCの前で彼女から声をかけられたわしは、世間話もしながら彼女と少しだけ仲良くなったんじゃ。 それから二時間後、プラハのショッピングセンターの前、たくさんの人通りのある場所で写真撮影をしておったわしは、彼女に再び声を掛けられた。
 ところが今度は様子が全然違う! 彼女は「ユー! アイム・ロンリー セッ○ス セッ○ス」と叫びながらわしに抱き着いてきて、天下の往来のど真ん中で「セッ〇ス」を連呼されたのじゃ。 人目が気になる場所だけにわしも気が動転してしまった。 「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくれ。 みんな見てるじゃないか!」って彼女を必死になだめたわい。 
 彼女の抱きつきは時間にして数分程度じゃったと思う。 やがて彼女は何事もなかったようにおとなしくなり、「ソーリー、ちょっと寂しかったの」と言い残して人ごみの中に消えていったが、彼女がわしの視界から消えた瞬間に気が付いた。 コートのポケットからi-podが抜き取られておった・・・当然彼女は、その晩宿に戻ってこなかったわい。
 予め顔見知りになっておいてから、人通りの多いところであえて恥ずかしい事をやってスル! コレ、女性スリの新手の手口なんじゃろう。 自分のガードの甘さが情けなく、また新手のスリの実験台にされたような悔しい気分になって、その晩は眠れんかったわい。



■Episode-3 トラブル続出のバス会社「オレンジウエイ」

  ヨーロッパ内を縦横無尽に走り回るバスの代表は「ユーロライン」。 大概のルートを走っておるものの、その隙間を縫うようなルートや時間帯にバスを走らせておるのが「オレンジウエイ」。 わしは何度か利用する事になったものの、とにかくトラブルが多いことで旅行者の間で評判が悪い。 わしも例外ではなく、しっかりオレンジウエイ関連のトラブルに関わってしまった。

@発車前日に運行休止! 
 〜一応運行中止の案内がメールで送信されてきた。 ネットで申し込んだカード払いの料金も払い戻しはしてくれるものの、そのバスの時間に合わせて目的地の宿を予約しておったので、宿のキャンセル料を払う羽目になったのじゃ。 オレンジウエイではそこまでは保証してくれんのじゃ。

Aブダペストの出発地が非常に分かりにくい 
 〜チケットに記載されているバスターミナルからの出発ではなくて、その近くの異なるストリートに出発地があり、これはまず分からない。 夜遅い時間でバスターミナルの係員もおらず、バス待ちの客に片っ端から聞きまくり、出発10分前にようやく場所を探し当てた始末。

Bバスターミナルの出発ゲートが直前まで未定&行き先の表示ミス
 〜「オレンジウエイ」は「ユーロライン」の様な大手バス会社ではないので、バスターミナルのその時々に空いているゲートから出発することも多く、直前までゲートナンバーが分からない。 おまけにポーランド・クラクフではゲートの掲示板の行き先表示が間違っており、わしは出発時間になっても該当バスを見つけられず仕舞。 同じ出発時間に発車した別のバス(と思った)を慌てて止めて確認したら、そいつが該当バスじゃった。
 これはバスターミナルの掲示板の単なる表記ミスじゃが、外国人旅行者には見抜けないヤツもいるに違いない。 オレンジウエイのバスにはだと何かと不測の事態が起きるのじゃ。
 AとBに対する対策としては、出発時間の最低1時間前には到着して不測の事態に備えることしかないじゃろう。

Cハタ迷惑な早めの到着
 〜「オレンジウエイ」のバスはよく到着予定時間よりも早く着く。まあ有難いことではあるが、場合によっては大きな迷惑なのじゃ。 早朝着のバスが1時間も早く到着すると、まだバスターミナル内の屋内待合所が開いてない! ポーランドのワルシャワに早朝3時半に着いてしまった時は、氷点下のバスターミナルでブルブル震えながら屋内待合室が開くまで1時間半も待たされたもんじゃ。


■Episode−4 難敵南京虫出現の悲劇/ハンガリー:ブダペスト

 ビンボー旅行者にとって、パスポートや金品の盗難の次に怖いのが、実は安宿に巣食う「南京虫」。 噛まれた人の体質にもよるらしいが、すさまじい痒みと、大きな傷跡が残る非常に厄介な害虫じゃ。 一度発生してしまうと完全に駆除することが難しい場合もあるようで、南京虫によって廃業に追い込まれた宿もあるほどじゃ。

 わしはコイツの被害を避けるために、料金が最低レベルの安宿や、風通しの悪い窓なしの部屋に宿泊することはしなかった。 ところがつい最近、東欧のある宿でヤラレタ!それまで旅行者の評判が高く、ネットのレビューでも優秀な宿だっただけに「まさか!」の事件じゃったな。 わしは痒みの出ない体質だったようじゃが、二日間で両手数箇所をヤラレタのですぐに宿を退去。 衣類全部に熱湯をかけてから洗濯し、カバンも内側外側両方から入念に掃除機をかけるなどの大騒ぎ。 後ほどネット情報をアトランダムに確認してみたら、今年の8月からその宿に南京虫が出るという確かな情報が出回っておった。 



■Episode−5 アジア人に対する人種差別/ウクライナ:キエフ

 アジア人が欧米人に意味もなくコバカにされる、いわゆる人種差別的行為。 日本から出たことのない今時の若者には信じられないハナシじゃろうが、わしは1回だけこの屈辱を味わった。 ウクライナのキエフの某宿。 8人ひと部屋のドミトリーにチェックインすると、わしの他は全員白人さん。 アメリカ人、ロシア人、南アフリカ人、イギリス人。老若男女様々じゃったが、入室直後からなんかミョ〜な不穏な空気を感じた。
 彼等の嫌がらせはすぐに始まった。 「もしミソスープを持ってるなら、クサイからこの宿で飲むな」を皮切りに、「昨晩キッチン汚したのはオマエだろう」「喫煙所だろうがタバコ吸うな」「ガスレンジ用のライターが無くなったが、オマエの仕業か?」など、まあ言いがかりばっかり。 しかし彼等は思わぬところでヘマをしでかした(笑)

 リーダー格だったアメリカ人のオッサンが酔っ払って、「俺はオマエよりも日本の武道に詳しいぜ!」とか言いながら柔道の投げ技のポーズをやり始めた。 わしを脅かすつもりだったんじゃろうが、どっこい!わしのオヤジは柔道三段。 わしも一応初段! 「下手くそ。 なんだそのへっぴり腰は。 わしのファーザーはジュードー・マスターじゃぞ!」といって、ヤツの襟首を掴み、昔わしが得意じゃった大外狩り&払い越しの複合技をかける真似をしてやったら野郎どもビックリ仰天!
 それからヤツラの嫌がらせ、言いがかりはなくなった。 ありがとうオヤジ! ありがとうジュードー(笑) 偶然なのか何なのか、そのアメリカ人は翌日チェックアウトした。 ザマァミヤガレ! 身から出た錆とはキサマのことじゃ。ケツの穴の小さい野郎じゃったのお〜♪



■Episode−6 宿代のダブル請求、デボジット返金無し/あちこち!

 宿代のダブル請求は、現在多発しておるようなので要注意。 わしは実害は無いが、何度か間違い?請求された。 宿のチェックイン時とチェックアウト時のレセプションが別人の場合によく起こるのじゃ。 「払った」「いや、もらってない」の押し問答になる。 大概宿泊者はチェックアウトの後の予定が詰まっておるために気分が焦り、相手に悪意がある場合は泣く泣く支払う羽目になるらしい。
 わしは絶対に支払い時に「領収書」を貰うようにしておるのでまだ被害はない。 ダブル請求してきたレセプションに領収書を見せると、その顔は「チッ、しっかりしてやがる」にも見えるし、「あ〜こちらの間違いですね」にも見える(笑)

 疑ったらキリがないが、もっともタチが悪いと思ったセレプションは、「領収書」に該当する英語「レシート」「チェック」を「何のことだか分からない」と突っぱねて領収書を発行しようとしなかった時じゃ。 そんな時の為に予め用意しておった他の宿の領収書を見せたらやっと納得。 渋々書いておったな(笑)
 旅人は見知らぬ街で無事チェックインできた時がもっともガードが甘くなり、安宿の会計は金額を電子計算機で提示されて支払うだけという単純極まりない。だからつい領収書をもらい忘れるので、そこをついてくるのか!
 また部屋やロッカーの鍵を無くした場合の保証金(デポジット)を宿代1泊分くらい預かる宿があるが、これも要注意。早朝チェックアウトの時などはレセプション不在で返金してもらえない事も。この対策のためにチェックアウト前夜中に鍵を返却して返金してもらうしか対策はないのじゃ。



■Episode−7 寒暖差30度との闘い!?
 

 東南アジアや南インドなどから東欧に移動してきた場合、季節によっては気温の寒暖差は30度にもなる。一日で真夏から真冬になったようなもんで、世界旅行をしとらん限りはそんな体験はまず出来んわな。 まあ大概の者は風邪をひいてしまうもんであり、ご多分に漏れずわしも一発で風邪をひいた。
 またこれは個人差があるのじゃが、風邪と同時に食欲も酒欲も減退してしまう。 この身に何が起ころうとも、食欲と酒欲が落ちることのないわしじゃが、まさか風邪ごときで食べたくない、飲みたくないになるとはなあ〜。 日本の風邪とは風邪菌の種類が違うんじゃろうとしか思えんな。

 現地の風邪には現地の風邪薬が一番効くようじゃが、困ったことに東欧の風邪薬はなかなかアジア人に対して効果を発揮してくれない、なんて事があるのかどうかは医学的には不明じゃけど、わしの場合はそうじゃった。
 飲み続けて一週間は悪化しないだけ。 結局二度かかってしまった東欧の風邪はいずれも完治するまで二週間あまりを要したもんじゃ。 まあこの「寒暖差30度との闘い」に旅行者が勝つ方法はまだ聞いたことがない!? そんな寒暖差になる季節に移動しなければいい、だけのハナシじゃがな。


 各種交通機関や宿の予約はネットで簡単に出来てしまい、スマホにはGPS機能があるから知らない街で迷子になることも少ない。日本人旅行者も少なくないのでよほどの僻地でもない限り日本人に会える可能性もある。 場所によっては日本料理屋もある。 LCC(格安航空券)も数多く出回っているから飛行機による長距離移動も簡単じゃ。 ほんの20年前に比べて、バックパックの旅は格段に便利な時代になった。
 しかし、考えてみると、トラブルの種類は20年前よりも増えておる。 旅行者の数が格段に増えたから被害件数も当然多くなっておる! 便利になればなるほど、その陰には様々な危険が潜んでおるということを旅をしながらあらためて教えてもらったわい。
 
 長期旅行にトラブルは付き物であり、トラブルにあった時はとにもかくに慌てないこと。 冷静になるように努めること。 そして、基本的にはあっさりと諦めない事じゃ。 長期旅行の鉄人、バックパッカーの達人と呼ぶに相応しい方に何人かお会いしたが、彼らも「それしかないんだよ!」と強調しておった。 「冷静になって、トラブル解決の可能性を探す」しか方法がないっつうことじゃ。
 高いお金を出して、上げ膳下げ膳のツアーによる旅行がいいか。 経費を節約しながら危険と背中合わせながらも一人で気ままにいきたい所へ行く旅行がいいか。 時々、いい加減前者の方の旅をしてみたいと思うこともあるがな(笑) でもトラブル話が多い旅のハナシの方が聞いてて読んでて印象に残りやすいじゃろう!
 とりあえず「トラブルバナシ」はこの程度にしておいて、近いうちに「一人旅ならでは!のお楽しみ」についても書いてみよう。旅の神様に愛されておるんじゃな〜とジワ〜ンと実感した瞬間なんかを書くぞ〜♪ まあそれまで諸君は、新作ナッソーでジワ〜ンとした感動を味わいながら、2015年のフィナーレを飾ってくれたまえ! 今回はエピソード集、ネタの欠片を集めた回だったので「酔眼雑記」の方の余談は割愛させて頂きます!ではでは、良い12月を!



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