NANATETSU ROCK FIREBALL COLUMN Vol.222


■インドシナ半島オススメの嗜好品

 わしの旅も予定の半分の期間九ヶ月が過ぎた。 用事や仕事でタイに潜伏していた以外はインドシナ半島を回遊しておったが、左の地図において、わしが陸路で辿った大都市間のルートを直線で結んでみたのでご確認願いたい。
 この他に大都市周辺への中距離移動、更に飛行機で1回、ハノイG→バンコク@の移動をやっておる。 正確な合計距離は分からんが、概算で北海道の北端から九州は鹿児島の南端までを三往復ぐらいになるじゃろうか。  
 思えば、これだけの移動をする中で、この七鉄コーナーを18回(Vol.204〜)やらせて頂いていたわけであり、わしにとっては大きなメモリーワークになったわい。 The-Kingのボス、ならびに諸君に「お付き合い、ありがとうございます」と御礼申し上げる次第じゃ。
 長かったインドシナ半島の旅もこれにて終了させる予定なんで、ここはひとつ「漫遊記」ならぬ「回遊記」を書かせて頂くことをお許し願おう。

 「回遊記」とは言っても、「〇〇で□□頂いちゃって、超ハッピー!」なんてノーテンキ・パー子日記はでけんので、話題を嗜好品に絞ってご紹介することにする。 というのも、実に15年ぶりのインドシナ半島の旅で、嗜好品のレベルが著しく向上しておることに驚きを隠せない時が結構あって、積極的にトライしておったのじゃ。 いわば、その成果の一部ってのを諸君に教示させて頂こう。
 諸君がいつの日か、タイ、ラオス、カンボジア、ベトナムなどを旅する時が来たら、是非参考資料として頭に入れておいてほしい! (右写真は、ベトナム・ハノイの繁華街)


七鉄の旅土産?! インドシナ半島オススメの
ビール、お酒、タバコ、そしてコーヒー


■ビール■  その1〜ビアラオ(ラオス)

 ラオスの国民的ビール。 個人的には東南アジア産のビールでベスト。 唯一本物のラガービールの味がするからじゃ。 アルコール度数が低くて(表記はなし)スイスイ飲めてしまうから中毒になりそうじゃ。
  隣国のタイ人にもビアラオファンが多く、彼等はラオス人に対して少々の差別意識があるが、ビアラオの美味しさには抗えないようだ。 また外国人旅行者にも人気が高く、ビアラオのロゴ入りTシャツを着た白人さんたちにインドシナ各地でやたらと出会うほどじゃ。
 わしは1998年に初めてラオスに入国した際、ひと気のない国境付近で途方にくれていたら、ビアラオ社のトラックのドライバーに声をかけてもらい、市街地まで乗せて頂いた恩義?もあるので、その時以来贔屓にしておる!
 

その2〜ビアシン/シンハービール(タイ)

 東南アジア産ビールで、世界的知名度がもっとも高い。 以前はアルコール度数が7〜8度ともいわれたヘビー級のビールじゃった。 味も濃厚で“酒ビール”ってなテイストじゃった。 レッド・ツェッペリンのメンバーが休暇でタイを訪れた際にハマッタというエピソードは有名じゃ。
 しかし21世紀に入って、売り上げ低迷を脱するべくライト化してしまい、かつての威厳ある旨さは望むべくもない。 最近では更に「ビアシン・ライト」まで発売されており、かつての「東南アジアNo.1ビール」のプライドを捨ててまで、キョービの女性や若者にアピールし続けておるのがチョット悲しいわい。 それでもワイルドな風味は健在であり、白人さんたちにはいまだに圧倒的な人気を博しておる。

 実は2000年にわしはビアシンの工場を取材したことがあるんじゃよ。 広報部長がやってきて、いきなり搾りたてのビアシンをご馳走になり、その旨さに卒倒しそうになった。
 「タイ人は浮気者だから、今はちょっと妾(他社ビール)にちょっかい出しているだけですよ。 売り上げ低迷なんて気にもしていません! 必ず本妻の方(ビアシン)に戻ってきてくれますから」
 という自信に満ちたコメントが懐かしいが、まさかその後にライト化戦略をとるとはなあ・・・。


その3〜アンコール・ビア(カンボジア)

 カンボジアのNo.1ビール。 レッド&ゴールドを基調とした缶のデザインが何故だか旅行者に好評であり、飲み干した空の缶を潰さずにテーブルの上に沢山並べている旅行者を観光地でしょっちゅう見かける。
 わしにとってはビール味の炭酸飲料といったところで、一缶なんかものの1〜2分で空になってしまう困ったちゃんビール(笑) まあカンボジアは、高品質のドリンク・ウオーターの方がはるかに単価が高いので、まさに水代わり!
 あんまり味を気にして飲んだ記憶がないが、瓶入りだと旨さが倍増して、しっかりラガービールになっておる。 日本流に味わって飲むなら絶対瓶がオススメ。 って事をプノンペンの酒屋の主人に言ったら、ニヤリと笑って握手されたんで、あながち間違ってはいないだろう(笑)
 二番手として「カンボジア・ビール」ってのがあるが、飲み比べてみると日本における「ビールと発泡酒」ぐらいの差があることが分かる!


その4〜サイゴン・ビア(ベトナム)

 ベトナム国内の人気ビールは大きく分けると、北部が「ハノイ・ビア」、中部が「ファーラー・ビア」、南部が「サイゴン・ビア」。 それにベトナム全土の飲み屋で出される一杯35円ぐらいの生ビール「ビア・ホイ」。 「ビア・ホイ」はそれこそホイホイ飲めてしまうし、東南アジアでもっとも安いビールと思われるから安心のクオリティと言いたいとこじゃが、実はキンキンに冷えてなければマズイ。 
 まあ数あるブランド全てのビールのレベルがキンキンに冷えてないとダメ。 ビールは味よりもまずは価格ってのが庶民の需要であるとしか思えんな。 文明レベルや文化意識は東南アジアでトップのベトナムじゃが、ビールのレベルは(笑)
 わしにとって例外のビールが「サイゴン・ビア」(右写真)。 他は日本基準で言えば第3、いや第4のビールってとこじゃが、サイゴンビアだけは、外国人のビール党を満足させられる、デンマークのカールスバーグをライトに した感覚のお味。

 また「ファーラー・ビア」(写真左)は、実際にベトナム中部の都市フエにおいて、白人女性たちが「美味しい!」を連発しておったのでピックアップしておこう。 わしにとってはライト過ぎたが、白人のお嬢さんに言われちゃあ〜な〜。 「ラベルもビールらしくなくてステキ」なんだそーです(笑)
 因みにベトナム女性は、お酒や煙草をたしなむ事は美しくないと教育されているらしく、確かに飲んだり吸ったりしとる女性を滅多に見かけない。 だから、ベトナム賛美の外交辞令として、「サイゴン・ビールはとても美味しいですね」とか女性に言っても、「あっそっ」 ぐらいの反応しか返ってこんかったわい(笑)


■ウイスキー■  ブレンド285(タイ) 

 タイ・ウイスキーのクオリティはひと昔前に比べればかなり向上したが、まだまだ欧米や日本には比べるべくもない。 唯一オススメ出来るのが、タイ人が親しみを込めて「 ソン・ペー・ハー」( タイ語で285の意味)と呼んでいるコレ。
 わしの経験上、かなり飲んでも悪酔い、二日酔いしない優れたタイの安ウイスキー。 長期滞在していた安宿の沈没組・酒好きの日本人たちに紹介したらやたらと評判がよくて、皆が買い出し始めたもんじゃった。 またわしが誰かさんのアテンドをしたりした時は、皆コイツのボトルをお礼代わりに下さったもんじゃ。 味は正確に表現出来ないが、イメージとしてはマイルドなサントリー角瓶かのう。


■ 焼酎 ■ その1〜バンギーカン(タイ)

 日本人のタイ酒通から教えてもらった雑穀焼酎。 ストレートで飲むと“ザ・アルコール!”ってな匂いとキツさに圧倒されてしまうが、これがレモンの濃縮ジュースを1〜2滴たらすと一気にマイルドになってスイスイいける。 レモンジュースとの相性の良さは、二日酔い防止にも繋がる。 
 わしは焼酎は「麦派」なんじゃが、東南アジア産のエセ?麦焼酎は美味しくなく、日本の輸入ものはバカ高い。 もう諦めかけていた時にコイツを教えてもらって、麦焼酎代わりに大いに活躍して頂いた(笑)
 何故か酒店に置いてなくて、大型スーパー(それも一部の店舗)でしか取り扱っていない。 値段は150バーツ程度(約550円)と大変お手頃じゃ。


その2〜ネップモイ(ベトナム)

 コイツは、つい先日ベトナムのハイフォンという街のビアガーデンで隣り合わせたベトナム人集団に紹介されたばかりの、もち米から作られた焼酎。 「ライス(米)、ライス」って言われたんで日本の米焼酎を連想したが、ココナッツ・ジュースでほんのり甘味付けされており、シナモンの香りもするなかなかオシャレな焼酎じゃ。
 ビアガーデンのベトナム人たちは、わしに「ベトナム・サケ!」って言いながら、ショットグラスに注がれたヤツをテキーラのように一気飲みしており、それが女にモテル粋な飲み方なんだそうじゃ(笑) だけど、口当たりが良すぎるので「飲みすぎキケン」に違いない!


■コーヒー■
 日本人は、別にコーヒー党でなくても、豆の種類や缶コーヒーのブランドの名前を多少は知っておるが、東南アジアの方々は一般的にはまず無頓着。 その代わり、ベトナムとラオスのカフェには独特のスタイルが存在するのでご紹介しよう。

その1〜ベトナム・コーヒー

 先述の通り、ベトナムのビールはマダマダじゃが、コーヒー文化はダントツじゃ。 さすがは元フランス統治下の国だけあって、エスプレッソ文化がしっかりと継承されておる。
 おフランスのおコーヒーの場合は、胃がびっくりする濃厚なエスプレッソで押し捲るが、ベトナム流はチト違う。 ホットでオーダーすると、ご覧の通り(左写真)ブリキのフタ付きサーバーでドリップ途中のままのエスプレッソが運ばれくる。 同時にウイスキーのロックグラスの様なグラスに氷が3〜4個入って出てくる。 ホットが冷めてしまったらアイスでってことじゃ!

 ブラック党の方は、ノーミルク、ノーシュガーでオーダーすればええ。 ノーシュガーでもベトナムコーヒーは、ほんのりビターチョコのようなアダルトな甘さがある。 日本ではまず味わえない絶妙な甘さを擁するコーヒーじゃ。
 ベトナムコーヒーの魅力にハマッタ当初は、あまりの味わいの良さに、タバコを吸いたい気分にならんかったわい。 エスプレッソなのに、食後のアメリカンの様な口直しの効果もあるのじゃ。

その2〜ラオス・コーヒー

 徐々に習慣が消えつつあるラオスのコーヒースタイルじゃが、大きめのティーグラスに、底から三分の一ほどコンデンスミルクが入れられ、その上からやや濃い目のレギュラーコーヒーが注がれている。 そいつを長めのティースプーンで一気にかき混ぜて頂だくのじゃ。
 最初はあまりの甘さと濃さに驚いたものの、この味に慣れると不思議な落ち着きを覚えるもんじゃ。 なんつうかな、ラオスののんびりした雰囲気と暑さと相待って、もう悩んだり、焦ったりする事がアホらしくなってしまう! 一種の精神的鎮痛作用とでもいうかのお。
 コーヒーそのものは、トラジャコーヒーの様な原初的なワイルドな味わいが魅力じゃったが、この度飲んでみたらモカの様なマイルドなコーヒー豆が使われておった。 コーヒーはブラック党で押し通してきたわしを、ラオス滞在中のみ嗜好を変えさせおったスタイルじゃ。 なお口直し用のお茶が同時に運ばれてくる。 純然たるラオス・スタイルのコーヒーではなく、ベトナム・スタイルの影響から生まれた飲み方らしい。


■ タバコ ■

 喫煙者の居場所がどんどん無くなっていく日本じゃが、その点東南アジアはタイ、シンガポール以外は割と寛容なんで吸いやすい。 ただし、現地産のブランドが少なく、海外銘柄は倍以上の価格がする。 現地ブランドに慣れるしかないのじゃが、わしが美味いと思った銘柄は次の二つじゃ。

その1〜アラ(カンボジア)

 カンボジア唯一?の正規国産ブランド。 赤がレギュラー、ゴールドがライト、グリーンがメンソール。 値段も一箱約55円と破格(笑) マルボロライトのような、ほんのりとした洋モクの味が外国人たちにも好評じゃ。
 余談じゃが、ARAファンのわしの旅仲間が、10カートンもタイに持ちこもうとして税関で見つかり、ガッツリ罰金取られたらしい。 東南アジアを旅する愛煙家にとってARAは数少ない有難い存在なので気持ちは分かるが、最近杓子定規になってきたタイの税関は国外タバコの持ち込みにやてらと目くじらを立てているので、タイに行かれる愛煙家は要注意じゃ。

その2〜ビナタバ、タンロン(ベトナム)

 「ビナタバ」(左写真右側)は、ベトナムで人気ナンバーワンのタバコ。 日本の「メビウス・シリーズ」にも通じる、軽くて品のあるお味。 わしのようなヘビースモーカーにはもってこいのタバコかもしれん。 インドシナ地域のタバコはフィルターの接合がヤワで、吸っている途中でポキンと折れてしまうことが多いが、「ビナタバ」はその点も優秀。
 一方「タンロン」は、「ビナタバ」の半額で買える安タバコじゃが、他国の安タバコに比べればお味は上等! 「ビナタバ」より強めのテイストなんで、お酒を飲んでおる時の喫煙用はこっちじゃ。
 ちなみに、ベトナムはまだまだフランス統治下時代の文化が残っているので、ひょっとしたらジタンやゴロワースといったフランス・タバコに似たブランドがあるのでは?と期待していたが、その点はアテが外れたわい。

 上写真の両方のタバコのパッケージは、上半分に気持ち悪い写真が貼り付けてあるが、これはベトナムとタイのタバコで見られる「吸い過ぎは肺がんの元」の警告用じゃ。
 

 あらためてピックアップした銘柄を振り返ると、割と無難なヤツに終始しておって、マニアックなモンがない。 わしらしくないな〜(苦笑) 七鉄なら、なんかとんでもなくレア〜でウマイのを探し出したんじゃないか?って期待した方がいらしたら、申し訳ないのお〜(笑) まあ若かりし日は、音楽でも何でも、メジャーを無視していきなりマニアックな方向へ突っ走っておったが、今では、まずはじっくりとメジャー、正規品を吟味してからのマニアック路線への変更を心がけて?おるんで、そーいうヤツはまた機会をあらためて。 

 今回は、ある意味で「全編が“酔眼雑記”(このコーナーの番外編)」みたいなラフなフィーリングでまとめてみたので、「酔眼〜」の方は割愛させていただくわい。 リラックス、とにかくリラックスを求めてのインドシナ半島の嗜好品の数々じゃが、酒やコーヒーなどは日本の輸入品店やアジア・フェスティバルなんかでお目にかかる機会もあると思うので、日頃の嗜好品にちょっと飽きておる場合はトライしてみてくれ!
 まあロックンロール・ライフ一直線の諸君は、嗜好品も欧米志向であることは重々承知しておるが、たまには別の地域のテイストってヤツも味わってフィーリングの幅を広げてみてくれ! ちょっとした生活のスパイスになることを願っておるぞ。 (右写真は、ベトナム・ハイフォン付近のカフェ)

 上記の品のほとんどはメジャー路線じゃが、、受け売り情報ではなくてわしが実際に吟味した結果のセレクトなんで、個人差はしょうがないとしても、間違ってはいない生の情報なんで、その点は信用してくれ! 

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