NANATETSU ROCK FIREBALL COLUMN VOL.186

2014年のThe-Kingのスタートは、「ホースシュー・リング・シルバー・バージョン」じゃ。 “ロックンロールの復権”を高らかに宣言しておるようで、ニューイヤー・アイテムとしてコーフン度200%じゃな。 ここんところ、大物ロッカーの来日公演が続くが、こいつはホースシュー・リングとしての究極のスタイルだけに、「これがエルヴィス2014年日本公演記念アイテムだったらなら〜」なんてありえない幻想まで抱いてしまうな!

 現実の日本のロックライブ・イベント・シーンにおいては、来月のローリング・ストーンズ公演が迫っておるな。 「世界最強(最高)のロックン・ロール・バンド」っつった形容詞をこれからマスコミさんが乱発するんじゃろう。 思い返してみれば、ストーンズに「これ以上褒めようがない」讃辞が定着したのは、エルヴィスの死後4〜5年が経過した80年代からじゃろう。 ビートルズの解散からも10年以上が経っておったしな。 だからもう30年も「世界最高」って呼ばれておるんじゃな。 ツアーの度にその呼称を汚すことない評価と収益を上げておるんじゃから、ローリング・ストーンズ様、誠にご苦労様でございます!

 既に何度か書かせて頂いとるが、わしは今回のストーンズ来日公演は行きません。 その意志は固いものの、諸君の中でも大勢チケットを買った方もいらっしゃるじゃろう。 オネゲーですからお土産のTシャツ買って来て下され!じゃなくてだな、「実はさあ、オレ、ストーンズってあんまり聴いた事がないんだ」って方のために、予習のためのライブ映像をピックアップしておくぞ。
 先日も「何故、あなたがストーンズ行くの?」って中年女性から「何を聴いておけばいいかしら?」って原始人的な質問されて参ったな。 まさかデビュー盤から順繰りに聴いていけ!とは言えん。 そんな事をやっていたら来日公演までとても間に合わん! 
 そんな超ストーンズ・ビギナーの方も含めて、ストーンズをあまり知らんものの、世界有数のビッグ・ロックンロール・ショウにお出かけになる方々にむけて、とりあえずオフィシャルのライブ映像集の中でわしのおススメをピックアップしておく。 「You Tubeで○○の頃を検索して〜」なんてのは、アナログ世代のわしらしくもないからのお〜。 七鉄オススメのオフィシャル映像をチェックして、出来る限り気持ちを高揚させてお出かけなされ!


♪祝2014年ローリング・ストーンズ日本公演!
「ストーンズって、あまり知らないの。何を聴いておけばいいかしら?」というアナタに送る、ローリング・ストーンズ傑作映像セレクション


 
21世紀型ストーンズが100%セットされた4枚組 DVD-BOX

♪〜フォー・フリックス

 今から10年前、結成40周年記念としてベスト盤「フォーティ・リックス」が発表され、併せて敢行されたワールドツアーの模様が収録された豪華4枚組(定価18000円)の映像集じゃ。 ノッケから高価なモンを出してしまい恐縮じゃが、その時のワールドツアーの中には日本公演も含まれており(残念ながら、当作品には収録されておらん)、The-Kingのボスと一緒に東京ドームに観に行った思い出もあるのでセレクトしておくぞ。

 余談ながら、ドームの中でボスとビールを買いに行く途中、何人かの白人がボスを指さして「Oh〜ELVIS!」って唸っていたのをよぉ覚えておる! そりゃもう、見事なリーゼントじゃったからのお〜。 またわしらの斜め前の席にミック・ジャガーにクリソツの白人がおり(誰だったんじゃろう?)、彼の取り巻きの女性陣が彼ではなくてボスの方ばっかり気にしておってウラヤマシ〜かった思い出もある!

 アリーナ(超大型)、スタジアム(大型〜中型)、シアター(小型)公演の3種類のライブが全5時間、50曲以上に渡って楽しむことができる本セットは、「近年のストーンズを知る最適の1枚を選べ」と言われりゃ、4枚(組)じゃがこれになるじゃろう。 
 主にアリーナ型ライブでは、現在ストーンズがライブをやるとどうなるか? 会場はどんな事になっちまうのか? そのケタハズレな異様なライブ会場の雰囲気を堪能出来る。 21世紀型ローリング・ストーンズ流コンサート・ワールドそのものが見事にパッケージされとる。 はっきり言うと、もうロック・ライブでもロックンロール・ショウでもない。 「シルク・ド・ソレイユ」ばりの、ローリング・ストーンズという名の大規模な奇術ショー、マジック・ワールドを観ておるようなものじゃ。
 純粋にストーンズの演奏力とか方向性を感じてみたいならば、シアター型の映像もある。 4枚組に相応しい至れり尽くせりの重厚な内容じゃ。


ロックンロールがロックになった、歴代最高のパフォーマンスを凝縮した名盤


レディース&ジェントルメン
 長年のストーンズ・フリークの中では、「70年代中盤あたりのストーンズが歴代最強だ!」という方が実に多い。 何をもって彼らは“最強”と言っておるのかっつうことがこの映像集に収められておる! 1972年当時のライブが収録されており、ロックンロール・バンドとしての狂気的なビジュアルのカッコよさ、エンターテイナーとしての質の高さ、そして圧倒的なグルーブ感がさく裂する演奏力、ライブ・バンドとしてのストーンズが最初の頂点に達した頃の魅力がつまっておる。
 元々ライブ映画として発表される予定が何故か中止になり、長らくブートレッグでしか観れんかったが、2011年に晴れてオフィシャル盤としてリリース。 武道館で「フィルムコンサート」なんて名目で上映されたほど素晴らしい映像集でもある。

 端的に魅力を言えば、ルーズなキース・リチャーズと、キメまくるミック・テイラーの2本のギターの絡みが素晴らしい! これは演奏力偏重傾向にあった70年代中期のロック・シーンへのストーンズ流の解答であり、60年代のテキトーなライブ演奏を考えると驚くべき進化じゃ。 “ロックンロールがロックに変貌する”身震いする様な壮絶なライブじゃよ。
 とにかくカッコいい!の一言に尽きる。 これがロックンロール・バンドの究極の姿と言ってもいい。 「もうこんなバンド、二度と現れないじゃろう」とまで感じられる奇跡的なストーンズの雄姿じゃ。 この映像をブートレッグで観て「日本のストーンズになろう」としたに違いない有名な連中がすぐに分かるぞ。 でも言っちゃ悪いが、彼らはモノマネにもなっておらんかった事もよく分かる!

 じゃがな、これはあくまでも40年前の映像じゃ。 こいつに感激して、その幻想に浮かれて来月のライブに行ったらズッコケルからな! 


時代がどうした、流行がどうした! 最高に“トンガッタ”ストーンズを観るならコッチだ!!

♪〜レッツ・スペンド・ナイト・トゥゲザー
 「レディース〜」から約10年、1981年の北米ツアーの模様が収録された作品。 映画として上映され、まだ生のストーンズを観た事がなかった日本のファンにとっては宝物の様な映画じゃったな。 なんつったって、“動くストーンズ”が存分に観れたんじゃから。 映画館の中でスクリーンに向かって「ミ〜クッ!」「キース!」なんて掛け声かけたヤツもおったなあ〜(笑)
 なんて昔バナシはどーでもいいが、わしにとって今でもストーンズの最高映像集はコレなのじゃ。 傑作「レディース〜」に比べると、演奏がルーズで音が“ザラっぽい”ことこの上ないが、そこがたまらんのじゃ。 綺麗に聴きやすく編集されておらん、生のライブ・サウンドのダイナミズムがビンビンに伝わってくる! もっと万人向けの演奏もあったろうに、プレイミスもなんのその!で突っ走る40歳代のストーンズが全編で暴れまくっておる。

 この映画の3〜4年前にレッド・ツェッペリンが一足早くライブ映画(「永遠の詩」)を発表したが、そいつもサウンド的には同様であり、演奏の完成度に拘るツェッペリン・ファンには不評じゃったが、ストーンズも同じスタンスのライブ映像の公開に踏み切ったわけじゃ。 あえて“がさつ”なヴァージョンで勝負をかけたのは、当時のツェッペリンやストーンズのロックンロール・バンドとしてのダンディズムじゃろう!
 映像作品の方ばかり話題になったが、当作品のサントラ盤ともいうべきCD「スティル・ライフ」もある。 収録バージョンは映画とは全然違うが、演奏の凄味という点ではこのサントラ盤の方がより優れておる曲もある!


エルヴィスもビートルズも進めなかった道へ

♪〜アット・ザ・マックス

 1991年の初来日公演を含む「スティール・ホイールス/アーバン・ジャングル・ツアー」から、前年のロンドン公演を中心に編集された“再結成ストーンズ”のライブ映像集。 当時はまだバリバリの現役だったストーンズも数年間にわたって新作を出さず、ミックやキースがソロを発表したりして「開店休業状態」だっただけに、このツアーは実質的な「再結成ツアー」じゃった。
 そんな当時の事情もあったのか、この作品で観るストーンズは「レディース〜」や「レッツ・スペンド〜」に比べるとやたらと和気あいあいに見える(?)のはわしだけか? なんか久しぶりに気心の知れた旧友たちとの演奏を楽しんでおるようで、従ってサウンドもとてもジェントルでマイルドな感触じゃ。 そこが当時のわしとしてはオモシロクナカッタ!
 
 が、あらためてチェックし直してみると、「ヘイ・ボーイ! 60年代も70年代も既に遠い昔だ。 俺たち、成長しようぜ。 それが生き続けるってことだ!」と諭されておるような気になってくるな(笑) 
 ストーンズが大人のロックバンドへと脱皮し、現在のスタイルへと繋がっていく道程のスタートとなったツアーであることが良く分かる。 お行儀良く演奏し過ぎ!なのかもしれないが、これはロックン・ローラーとしてエルヴィスもビートルズも誰も足を踏み入れていない未知の領域に入り、本当の孤高の道を歩み始めたストーンズの崇高な姿勢を楽しむ作品じゃ。


もはや人間国宝の域に昇華した、無敵のロックンロール・アウトローたち!

♪〜シャイン・ア・ライト

 2008年公開された、巨匠マーティン・スコセッシによるライブ映画であり、06年初冬のニューヨーク・ビーコン・シアターでの演奏じゃ。 「さすがはスコセッシ!」 いや、「さすがはストーンズ!」と言うべき、数あるロック・ライブ映画の中では大傑作じゃろう。 映画製作を前提としたパフォーマンスとはいえ、ストーンズがやってみせたのは70年代後半から80年代初頭のパンクやディスコ・ブームをブッタ斬ってみせた荒々しいライブ・スタイルじゃ。 ブルースのエッセンスを強引にストーンズ流に改造してロックンロールとして成立させてしまう、その素晴らしき傍若無人ぶりのカブリツキ映像を堪能できるぞ!

 映画として永久保存されるんだから、もっとエレガントに、もっとアダルトに、もっと大衆迎合的な演奏をしてもいいのに、あえてバンドの原点に立ち戻るようなスタイルで臨んだ気概はまったくもって驚愕じゃった。 60〜70歳のオールド・ロッカーは、歳を取り過ぎちゃったからなのか、意外と原点回帰がキマラナイものじゃが、それが出来るのがローリング・ストーンズの凄みなのじゃ。
 バディ・ガイをゲストに迎え、マディ・ウォータースのカヴァーをスタートさせた途端に、ストーンズの演奏が60年代にまで戻った様に瑞々しく変貌する場面は、ストーンズが“どこから来てどこへ行こうとしていたのか”、また活動50年を越えても、方向性がブレていない驚くべき頑固なロッカーであることを雄弁に物語っておる!

 少さなホール(収容人員2800人)で本当のファンだけを相手にした希少なライブだからこそ成しえた、マンモス会場では絶対に聴く事、見る事の出来ない、真実のローリング・ストーンズがこの映画の中におるぞ! こういうライブなら、わしは例えチケットが10万円でも行きたい!

【追記】 つい最近までは当作品がストーンズの最新映像じゃったが、昨年11月に「“スウィート・サマー・サン" ストーンズ・ライヴ・イン・ロンドン・ハイド・パーク 2013」が発売となった。 わしはまだ観ておらんが、どうしても最新映像に拘る方は、こちらをチェックなされ。
 

 噂によると、2014年のストーンズ来日公演における、ゴールデンサークル席と呼ばれる特等席8万円のチケットは飛ぶように売れておるという! 「ストーンズの最後の雄姿を瞼に焼き付けておきたい」という往年のファンがいかに多いかっちゅうことかもしれん。 恐らくは、遠い昔にこのわしを“ロック小僧”呼ばわりしていた!?業界の超有名なアイツとかアノヤローとかも大勢陣取るんじゃろうなあ〜なんてことはドーデモヨロシー。
 諸君、特にストーンズ初心者の方においては、どうかライブ会場の異常な熱狂に巻き込まれて終わってしまった!なんてことにならないようにな! 
 出来ればだな、不意に大声援が聞こえなくなってストーンズの演奏だけが耳に入ってくる時がやって来る事をわしは願っておるぞ。 その時こそ、このバンドでしか絶対に出し得ない、他のいかなるバンドからも聴くことのできない“ストーンズ・トーン”がキャッチ出来るチャンスじゃ。 そいつが半世紀以上もの長きにわたってストーンズを根底から支えてきた“心臓の音”なのじゃ。 もし、それが聞こえたならば、その日のストーンズの演奏は絶好調!ってことであり、初心者にしてストーンズの絶対的な魅力に触れることができた素晴らしきライブ体験となるじゃろう。 幸運を祈る! The-Kingのシルバー製「ホースシュー・リング」を身につけて行けば、そんな幸運を体験出来るかもしれんな!

七鉄の酔眼雑記  〜愛しの“ストーンズ・ガール”たちよ!
 
 ヒジョ〜にヒジョ〜シキ!なハナシでキョ〜シュクじゃが(本当にハズカシ〜からカタカナ連発してます!)、わしはこの度のストーンズの日本公演には行かないものの、ひとつだけライブ会場で確認したいことがあるんじゃよ。 それはですな、会場にたくさん集まるであろう中年女性ファンのお姿を見たいんじゃよ!(わしは熟女好きではないぞ!)
 その理由を申し上げますとだなあ〜、その昔ストーンズ専門店「ギミー・シェルター」を任されておった頃、わし好みの“イイ女”のお客様が結構いらしておったから、「女性ストーンズ・ファンにはいい女が多い」ってイメージが強いからじゃ〜。 容姿云々というよりも、女の感性で人生を切り開いていくような男とは別種の力強さを感じておったんじゃよ。
 「“イイ女”のお客様には、こちらからは絶対に声をかけてはならん。 何か聞かれたら明瞭に即答せよ!」って自分に言い聞かせておったなあ〜(笑) あの時お店にいらして下さった“イイ女”たち、どんな風にお年を召されたのかな〜って純粋に興味があるだけじゃ!(何が純粋じゃバカモノ!)
 
 “イイ女”と言えば、わしの「ギミーシェルター」在任中、一ヶ月だけ高級クラブのホステスさんみたいな場違いな女性が研修スタッフとして在籍していたことがあった。 彼女曰く「ビートルズ・ファンって、汗臭いワ! ストーンズ・ファンは酒臭いワ!!」 スイマセン。 法律を無視してキース愛飲のバーボンの大量在庫買占め計画をしていたのは、このわしですじゃのうて(笑)、「いい女ってのはやっぱり感性が違うなあ〜」なんてアホみたいな感心の仕方をしておった。 そして試しに「じゃ、このわしは?」って訊いてみたら、「そうねえ〜、アナタは男クサイわ」だって(笑) ほほぉ〜切り返しもうまいのお〜ってまたまた感心! ちなみに彼女自体は、汗臭くも酒臭くもなかったが、毎日化粧臭かったぞ(笑)

「私たち、子供がいないから夫婦二人でストーンズ楽しんじゃっているのよ!」っておっしゃっていた奥様。
「ブライアン・ジョーンズって天才だったんでしょ? 今のストーンズをどう思うかしら?」とラリッタ瞳で訴えかけて来たパツキン女性。
「Tシャツ多過ぎ! もっと音関係を充実させてよ」ってスルドイ指摘をされたOLさん。
「ねえ、1969年のハイドパークのコンサートでミックが朗読した詩、あれ何だか知ってる?」ってインテリジェンス溢れるツッコミをしてきた大学生風おねえさん。
ストーンズゆかりの地を訪ねたイギリス旅行の写真をプレゼントしてくれた、アラレちゃんみたいな愛らしいお嬢さん。

 みんな、みんな、あの時の“いい女”たちはこの度のストーンズ公演、行くんじゃろうなあ〜。 彼女たちのみならず、誰も今回の来日公演が“最後になる”とは信じたくはないはずじゃ。 みんな、前進し続けるストーンズを観たい、聴きたいはずじゃ。 彼女たちを“いい女”にしていたのは紛れもなく“転がり続ける”ストーンズであり、2014年のストーンズにも、彼女たちのこれからの“女磨き”の特効薬になるようなスゴイ演奏をしてほしいものじゃ。


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