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ROCK FIREBALL COLUM by NANATETSU Vol.168 |
![]() しかしこの度、そのドキドキをひと時だけ忘れてしまった! WBC侍ジャパンの無念を吹き飛ばしてくれたようなダルビッシュ君の快投じゃ! 完全試合一歩手前とは、誠にオ・ソ・レ・イ・リ・マ・シ・タ。 ところで、あの試合のTV放送を観ていた人の中には、試合の行方とは別に「へえ〜」って驚いた方もいらしたと思う。 ヒューストン・アストロズのホームスタジアム「ミニッツメイド・スタジアム」じゃが、センターのフェンス手前数メートルからフェンスまでが緩やかな坂になっておることじゃ。 坂の天辺あたりにはフラッグポールも立てられておった。 大きなセンターフライが上がると、中堅手(センター守備者)は、この坂を登りながら打球処理に務めることになり、場合によってはこのポールに打球ないし中堅手自身がブチ当ってしまうこともあるわけじゃ。 日本の球場のグラウンドにこんなモンを作ったら、「守備の邪魔」とか「センターが怪我をする」とかって非難ごうごうじゃろうな。 大体「何でそんなモンが必要なんだよ!」ってなるじゃろう。 でもアメリカではこんな事はどぅ〜てことない!んじゃよ。 アメリカは「個性大国」ってよく言われるが、それはちょっとでも他者とは違う特徴を大事にするってことであり、ベースボールのスタジアム造りにも如実に現れておるんじゃよ。 今回 ![]() なお1956年という年は、ロックにとってエルヴィスがメジャーシーンにデビューした史上最大の記念イヤーじゃが、メジャーリーグにとっても忘れ難き年じゃ。 ダルビッシュ君が逃がした完全試合が、こともあろうにワールド・シリーズという大舞台において史上唯一達成されたのじゃ。 (写真右。 1956年10月8日、投手ドン・ラーセン/NY・ヤンキース、対ブルックリン・ドジャース第6戦) 素晴らしきメジャーリーグ・ベースボールの世界! ゴールデンフィフティーズ当時に存在した 変形、アイディア・スタジアムが物語る「アメリカの個性」 |
21世紀はモダン・クラシカル・スタイル![]() さて、その坂とポールじゃが、これは1960年代までシンチナチに存在した「クロスリー・フィールド」の坂と、デトロイトの「タイガー・スタジアム」のフラッグ・ポールを模したと言われておる。 坂とポールはそれぞれ当時の両スタジアムの名物であり、それを「ミニッツメイド・スタジアム」が採用したわけじゃが、懐かしい名物であれば、時と場所を隔てて別個に再現したっていいではないか!ってのが発想じゃ。 これを「図々しい」とか「何の意味があるのか?」なんて言ってしまったら小日本人じゃよ! 実際「ミニッツメイド・スタジアム」の坂付近の座席は、外野席でもっとも人気を呼んでおるらしい。 洪水の残置物を名物にしてしまった“ザ・テラス” ■クロスリー・フィールド(シンシナチ・レッズ本拠地) ![]() これは1937年にスタジアム周辺を襲った大洪水の際に大量の土砂がグラウンド内に流れ込み、水が引いた後に出来た突起(坂)部分を「これはオモシロイ!」って、その上にも芝生を張ってスタジアムの名物にしたのじゃ。 「え?何がオモシロイの?」って言われそうじゃが、「他には何処にも無い!」ってことじゃ。 こういう無邪気な発想が名物ってもんを生むんじゃ。 土地買収劇がもたらしたジグザグ・フェンス ■グリフィス・スタジアム(ワシントン・セネタース本拠地) センター付近の芝生の凸凹ラインを見てくれ。 このラインに平行して外野フェンスがあり、不格好なまでにジグザグになっとったんじゃ。 これはスタジアム建設の際、センター周辺の5件の家屋が土地買収に応じなかった為 ![]() さしずめ日本人の建築感覚ならば、ゆったりとカーブを描くフェンスを前面に立てて見栄えをよくする(凸凹を無くす)ところじゃが、当スタジアムは凸凹をそのままにしたんじゃな。 フェンスが飛び出した部分に打球が当たると、予測不可能な跳ね返り方をして外野手はてんてこ舞いしていたらしいが、それもまたこのスタジアムの名物、特徴ってことでファンに親しまれたらしい。 野球の打球をパチンコ玉扱いしとるようじゃが、それもまた楽しいではないか! スリリングではないか!! ベースボールとは太陽の下でプレイするものだ!? ■リグレー・フィールド(シカゴ・カブス本拠地) ![]() これは「ベースボールとは常に明るい太陽の下でプレイするものだ!」というオーナーのリグレー氏の意向ってのが定説じゃが、事実はチト違う。 実際は1941年に照明灯の設置工事を開始した直後に太平洋戦争が勃発して、鉄を供出しなくてはならないために工事が中止になったこと ![]() またこのスタジアムにはもうひとつの名物があり、それは外野フェンス全てを覆うツタの葉じゃ。 これが季節ごとに様々な色合いを見せてファンを楽しませたことから、スタジアムの近代化ブームが押し寄せてもツタが取り払われることがなく、「メジャーリーグ一美しいグランド」として不滅の名物になっておる。 このツタの中に打球が潜り込んでしまったら、「エンタイトル・ツーベース」ってな特別ルールもあるのじゃ! ワールドシリーズ初の“劇弾”が吸い込まれた森林の外野 ■フォーブス・フィールド(ピッツバーグ・パイレーツ本拠地) ![]() 1950年代当時のスタジアムで、もっとも外野後方の風景を大切にして建築されていたと思われるスタジアムがコレじゃ。 無粋な外野スタンドで美しい緑の木々、牧歌的雰囲気を損なうことなく、周囲との調和が重視されとるのが分かるな。 その分内野スタンドは重層、重厚な造りにするために、1909年の建築当時はメジャーリーグのスタジアムの中で2番目の鉄筋コンクリート造りによって完成に至っておる。 1960年のワールドシリーズにおいて、このスタジアムで歴史的なホームランが生まれた。 ワールドシリーズ史上初のサヨナラホームランによる優勝決定じゃ。 打ったのは地元パイレーツのビル・マゼロスキー。 ビルの打球は外野フェンスのツタをかすめるようにオーバーフェンスしながら、このスタジアム名物である緑豊かな森林の中に消えていったのじゃ! 数々のホームラン逸話を演出したニューヨークの2大変形スタジアム ■ポロ・グラウンズ(ニューヨーク・ジャイアンツ本拠地) |