NANATETSU ROCK FIREBALL COLUMN VOL.161
今年のクリスマスは、いかが過ごされたかの、諸君!
ご自分の一年の頑張りのご褒美として、愛しい方への忠誠の証としてThe-Kingのアイテムをお買い上げいただいたじゃろうな。 万が一、「まだ」っつうお方がいらしても、The-Kingはいつでもリクエストに出来る限りの誠意を尽くすので急ぎご連絡なされ!新作の「ダブル・ボタン・ジャケ」「ブラッドレッドナッソー」をゲットして2012年を華麗に〆てくれ〜い♪ 毎年クリスマス時期になると、必ずやってみたくなるのが「七鉄のオススメのクリスマス・ロックソング」なんじゃが、いつも企画倒れで終わっちまうのじゃよ。 「『ホワイト・クリスマス』やエルヴィスのクリスマス・ソングは絶対外せんしなあ」〜から始まって、結局はアメリカのロック専門ラジオ局と大差ないようなソングリストになってしまうのじゃ。 巷で流れておる飽き飽きした定番クリスマスソングに、「たまには違うのないのか!」と異議を唱えておるものの、己の選曲センスも決して個性的ではないことに気がついてしまう。 もしくは「2008年に出たブライアン・セッツァー・オーケストラのクリスマスアルバムの決定盤『クリスマス・ロックス』でノープロブレムじゃろう!」と開き直ってしまっておる。 やっぱりクリスマスってのは、どんな偏屈で頑固な人間をも当たり前のロマンチスト、正直者に変えてしまうマジックがあるんじゃろうな。 ってことで今年も独自のソングリストを諦めてかけておったが、The-Kingの今年最後の新作発表日がクリスマス1日遅れの12月26日。 この日付がわしにちょっとした閃きを下さった。 それほど有名ではないが、ロックファンとして聞いておいて損は無いクリスマス・ソング集をやってみようと。 定番ソングのオーラには到底適わんし、クリスマス当日のメインソングにはならんかもしれんが、クリスマスの余韻を楽しむためには悪くない作品じゃ。 思えば、2007年の年末に「七鉄おススメのクリスマス用ロック・アルバム」(Vol.40)なんてのをかましたことがあった。 5年経っても相変わらずわしの趣味丸出しで恐縮じゃが、今回はアルバムではなくて楽しい楽曲を集めたつもりであり、5年前より少しは謙虚に紹介出来るようになったと思うんで!?それに免じて読んでみて頂きたい。 アフター・クリスマスにオススメしたい、 ちょいと“レア〜”なクリスマス・ロック集〜2012年度版 |
♪〜Do They Know It's Christmas /バンドエイド ノッケは超有名曲で申し訳ないが、まあ読んでくれ。 先日忘年会の二次会になったコリアン・パブで飲んでおったら、店内BGMのK-POP有線でこの曲の韓国人カヴァーが流れてきた。 わしが意外な顔をしたんじゃろうな。 オネーサマが「オニイサン、ドシタノ?」と。 よせばいいのに、わしはこの曲の詳細を述べてしまったのじゃ。 そうしたら、それまでわしのブラピンのナッソー姿にうっとりしておったオネーサマが、突然納得のいかんような“ふくれっつら”になった。 どうやら韓国人のオリジナル・ソングと思っていたらしい。 これだもんな、また・・・。 よいではないか、誰がオリジナルだって。 要は作品の真意を理解することなんじゃがな〜。 事実を明かしてしまった代償として、お勘定の過剰請求を覚悟したが、さすがにそれはなかった!(苦笑) さてオネーサマを不機嫌にさせたこの曲の真意じゃが、まず80年代のイギリスのビッグロッカーたちが集められて歌われ、演奏されたエイドものの“はしり”として名高いことは諸君もご存知じゃろう。 そして歌われている内容が実にレア〜であることもご承知か? 通常クリスマス・ソングってのは、自分と恋人、友人、家族とのクリスマスタイムを祝福する、多かれ少なかれ浮かれた曲ばかりじゃ。 広義に受け取っても、自分をとりまく環境、国家、つまり自分と繋がっておる世界までが視点じゃな。 しかしこの曲に至っては、「彼らは(時が)クリスマスであることを知っているのだろうか?」じゃ。 彼らとは飢餓で苦しむアフリカ・エチオピア難民であり、クリスマスを祝うことのできない悲惨な人々の状況を憂い、「彼らに食糧を!」っつう曲なのじゃ。 「なんと幸せなクリスマス! ベイビー・アイ・ラブ・ユー」「あぁ神様、今年もクリスマスをむかえられたことを感謝します」等とは一切歌われておらん。 こんなクリスマス・ソングは他には無いじゃろう。 また自分自身を救うために歌われてきたロックン・ロールの歴史に新たなる1ページが加えられた記念すべき1曲と言えるじゃろう。 あまりにも神聖なこの曲のスピリットを記憶しておいて頂きたい。 提唱者のボブ・ゲルドフ(ブームタウン・ラッツ)は、後にこのプロジェクトを「UAS・フォー・アフリカ」や「ライブ・エイド」にまで発展させて、やがてノーベル平和賞にノミネートされたもんじゃ。 ♪〜Christmas Time(Is Here Again)/ビートルズ ♪〜ラン・ルドルフ・ラン/キース・リチャーズ イギリスの3大バンド、ビートルズ、ローリング・ストーンズ、ザ・フーには公式発表されたクリスマス・ソングは無い。 これはあらためて不思議に感じてしまうが、例外ともいうべきナンバーをご紹介しておこう。 まずビートルズ。 彼らは毎年クリスマスシーズンになると、ファン・クラブ会員限定盤として、クリスマス・ソングのカバー演奏を録音しておったが、1967年盤はオリジナル・クリスマス・ソング「Christmas Time(Is Here Again)」が登場。 簡単なコード進行の上で、メンバー4人が歌(コーラス)というよりも掛け声や各々のメッセージで囃し立てる様なあくまでもお遊び的なナンバーじゃ。 作者クレジットはメンバー4人になっとるが、マニアに言わせるとジョージ・ハリスンの作品らしい。 この曲はどういう訳じゃか、オルジナル・アルバムはおろか、数多いビートルズの編集アルバム(ベスト盤)にすらも収録されたことがない。 つうか、売り物にされたことが一度もない幻のビートルズ・ソングじゃ。 ストーンズには、上記のビートルズのような幻のクリスマス・ソングすらないが、メンバーのソロ活動ではキースが1曲だけ発表しておる。 1979年12月発表の「ラン・ルドルフ・ラン」。 ご存知の通りチャック・ベリーのカバーじゃ。 当時のキースは麻薬刑を赦免される代わりに、チャリティーコンサートをこなす義務を裁判所から課せられており、このクリスマス・ソングの意図も「世のため、人のため」っつう事情があったのもかもしれん。 しかしノッケからキースの音程が外れそうなボーカルがさく裂して、トナカイさんもずっこけそうなノリで笑ってしまうがな〜♪ やっぱりガラじゃねえな、キース! でもロッカー為のクリスマスソング、いや酔いどれ新年会ロックじゃな! キースよ、サイコーじゃ! なお、ザ・フーにもクリスマス・ソングは無いが、「クリスマス」と題された一曲がある。 三重苦の少年がピンボールの魔術師として活躍する物語を描いた大作「トミー」に収録されておったが、あくまでも物語の主人公(トミー)のクリスマスタイムが歌われたものじゃ。 1969年8月の「ウッドストック・フェス」出演時にも演奏されておるので、世間に向けたクリスマス・ソングではないことは明白じゃ。 ♪〜A Merry Jingle /Greedies ♪〜Merry Christmas “I Don't Want To Fight Tonight” /Joey Ramon クリスマス・ソングがもっとも似合わないロッカーは誰じゃ? それはオマエだろうって黙らっしゃい! そうじゃなくてパンク・ロッカーじゃろう。 ヤツラがクリスマスだけはおとなしゅ〜なって、カノジョさんやファミリーと七面鳥やケーキなんぞ食っとるとは思えんな! 確かに元祖パンクロッカーのクリスマス・ソングはしばらくなかったが、改めて調べている内に、1970年代後半のパンク発祥期において、1曲だけ“らしき”ナンバーがあったのを思い出した! 何と!セックス・ピストルズのギタリストとドラマーが、当時アイルランドの国民的バンドとして人気を博しておったシン・リジーとジョイントした企画物バンド、グリーディーズでやっておった! クリスマス・ソング独特の厳か(おごそか)な雰囲気は無いが、サンタさんが乗るトナカイさんのソリの滑りを煽るような楽しいロックン・ロールに仕上がっておる! が、ほとんどシン・リジーの音しか聞こえんぞー! ピストルズ君たち、テメーら何しに来た!って演奏もご愛敬じゃ。 一方アメリカン・パンクでは、ラモーンズが1997年になってアルバム「ブレイン・ドレイン」の中で“メリークリスマス”ってのをやっておる。 サブタイトルが「今夜は喧嘩したくねーよ」じゃ。 「ほぉ、そうかい。 ならパンクロッカーの看板を外したらどうじゃ!」ってな、アルバムもこの曲も完全に商業化したパンクでおもしろくネー! じゃが、2001年リーダーのジョーイ・ラモーンの死後に発表されたソロ・アルバムに同曲の別ヴァージョンが入っており、これはパンクロッカーとしてのスピリットを極めた様な雰囲気があって実にヨロシ! パンクロッカーの夢見た独自のクリスマス!?ってのに思いを馳せるべし! 。 |
♪〜I Believe in Father Christmas/Greg Lake パンクロッカーの次にクリスマス・ソングが似合わないのは、へヴィメタ連中かプログレ連中じゃろう。 へヴィメタの方は2008年に企画版「鋼鉄の聖餐」(なんちゅ〜邦題じゃ!)が出て、ついに長年の禁が破られてもうた! ドクロをサンタに仕立てたジャケはあまりに予定調和過ぎてもう笑うしかなかった! 一方プログレ連中じゃが、プログレ全盛時代のイメージは“哲学者”“求道者”であり、クリスマスだろうがニューイヤーだろうが、家族をほったらかしてスタジオで機材をいじくっておる感じであり、クリスマス商戦とは無縁の雰囲気じゃった。 さてその現実はどうだったかっつうと、キング・クリムゾン、ピンク・フロイド、イエス、エマーソン・レイク&パーマー(EL&P)の四大バンドの中では、EL&Pのヴォーカルのグレッグ・レイクがソロ・シングルで発表しただけ! やはり、己の美学の為には家族も犠牲にする薄情な連中じゃな〜。 じゃが、この曲はエエ!音楽的な素養や知識の質が極めて高いプログレロッカーらしく、そんじょそこらにはない崇高なクリスマス・ソングに仕上げておる。 ちなみにキング・クリムゾンとピンク・フロイドは無し(と思う)。 イエスでは80年代になって、ヴォーカルのジョン・アンダーソンとベースのクリス・スクワイアが発表しとるが、時既にバンドはプログレではなくなっておったので、詳細は割愛じゃ。 ♪〜にぎわう街角で(プリティ・ペイパー)/ロイ・オービソン、ウィリー・ネルソン わしが知りうる限り、悲しいクリスマス・ソングとしてもっとも古いナンバーじゃ。 作者はウイリー・ネルソンじゃが、ご本人は歌わず、ロイ・オービソンが1963年のクリスマス・ソングとして発表。 クリスマスでごった返すダウンタウンの街角で、物乞いに身を落とした男が、かつての恋人に向かって「クリスマスに、どうか僕を見過ごさないでほしい」と願う、書いているだけで涙が出てくるような一曲じゃ。 欧米人にとって、クリスマスというひと時がどれだけ大切であるかを、若き七鉄くんが思い知らされた忘れ難き一曲じゃ。 ウィリー・ネルソンのご本人バージョンは1979年になってようやく発表。 情感豊かなオービソン・ヴァージョンとは異なり、抑制を効かせてシブメに歌われるところが真に迫った説得力を醸し出しており、カントリーソングの持つ奥深さを味わえるバージョンになっておる。 しかしなあ〜こういう心境にだけは、死ぬまでなりとうない。 が、現実は「明日は我が身か!?」 って、ジョーダンじゃねー。 明日も働くぞー! 明日も生きるぞー!! ♪〜Aria From Bach's Christmas Oratorio/Keith Emerson ジャンルも時代も飛びまくりで、やっとるうちに着地点が見えんようになってしもうたが、〆はコレでいこう。 先述したプログレ・バンドのEL&Pのキーボードのキース・エマーソンが、音楽の父バッハ様の荘厳なるクリスマス楽曲郡に取り組んで1988年に発表した「The Christmas Album」からの一曲じゃ。 当時のキース・エマーソンは、かつての栄光も廃れた不遇の時代にあり、このアルバムは自主製作盤として発表されたんじゃ。 だからいまだに超マイナーな作品じゃし、You Tubeにもアップされとらん。 しかし熱心なファンがブログで紹介しており、そこからmp3で聴くことが出来るので、どうかご賞味あれ! キース・エマーソンは大酒のみでバイク・クレイジーな生粋のロックン・ローラー気質ながら、出身はクラシック畑という特異な存在だっただけに、どうか諸君、良しな頼むぞ! 大バッハ様の元々の楽曲の素晴らしさもさることながら、これがロックンローラーの演奏か!って驚くような心が洗われるような名演じゃ。 ふ〜む。 やはり音楽の道に迷ったなら(どこが!?)、偉大なる父バッハ様にかしづけば道は開けて、最後を〆られるな! 以上8曲9バージョンが、諸君の2012年度のアフター・クリスマスをささやかながら彩ってくれることを心よりお祈り申す! なんて、なあ〜んだかガラにもなく穏やかなエピローグとなったが、今回ご紹介の楽曲で心を清らかにして、新作「ダブルボタン・ジャケット」をゲットしてから「AKB版紅白歌合戦」、じゃなくて、「除夜の鐘」を待つようにな! アフター・クリスマス・ロックも、カウントダウン用ロック・ファッションも揃った! 慌てず騒がず、新しき年を迎えようぞ! 七鉄の酔眼雑記 〜「喜びの歌」は「酔っぱらいの歌」!? 一体いつから日本ではクリスマスが「恋人たちの日」になっちまったんじゃろうか。 恋人のいる方は一年でもっともロマンチックな気分になるんじゃろうが、いない方は惨めな気分になっちゃうしなあ。 わしなんかはこの歳になれば恋人がいようがいまいが、クリスマスに特別な気分になることはもはやない!って声を大にすることのほどでもないが、今年に限っては七鉄流「クリスマス・ロック集」なんてのをやらせてもろうたけどな。 やっぱりわしも、ロマンチックな聖夜を心のどこかで望んでおるんじゃろうか!? 「クリスマス・ソング」といやあ、わしも若かりし時にカノジョさんがいた場合には、一緒にベートーベンの「第九〜喜びの歌」を何度か聞きに行ったもんじゃ。 時々サラリと語らせてもろうておるが、わし、ベートーベンって昔っから大好きなんじゃよ。 それに「きっとキミは来ない〜一人きりのクリスマスイブゥ〜♪」なんて世間様がざあ〜とらしくクリスマスを甘ったるく染め上げている中、「者ども! ズが高い!! 聖夜じゃ、ひかえい〜」なんて感じの、大上段に振りかぶった「第九」の凄まじい仰々しさがタマランかった!って、つくづ女性にモテないタイプじゃな〜わしは! でもクリスマスの第九の演奏に「感動したあ〜」っつう思い出はないんじゃよ。 1984年の12月25日の「第九」なんかヒドカッタ。 指揮者名や楽団名は忘れてしもうたが、「オメーラ全員、前日(イブ)に飲み過ぎたんじゃねーのか!」ってなヨッタヨタの演奏じゃったよ。 「何が『喜びの歌』じゃ。 『酔っ払いの歌』じゃねーか!」っつったらカノジョさんも同意していたんで、わしの耳は正しかったんじゃ。 しかし待てよ。 前日に飲み過ぎたのはわしじゃったかな? 当時のわしにとっては超高級酒じゃったジャック・ダニエルズのボトルをイブにプレゼントされて驚喜しながら一晩で空けてしま・・・いやそこら辺の記憶は曖昧じゃが、素晴らしい演奏だったなら、二日酔いも吹っ飛んでいたはずじゃ〜ってことにしておこう。 この悲惨な「クリスマス第九」に懲りもせず、約二ヵ月後のバレンタインデーには「バレンタイン・パイプオルガンの調べ」とかにも行ってしまい、今度は演奏が難解なプログレみたいだったんで寝ちまったわい。 ところが後ろの席のババアがペンでわしのこめかみを突っついて起こしやがった! キサマ、ニワトリかコノヤロー!! あのババアのイジワルソ〜な厚化粧のツラは一生忘れんぞ!!! そう言えば、クリスマスといやあ、東南アジア諸国はええな。 仏教国、イスラム教国らしく、あまり「クリスマス、クリスマス」って騒がんから気楽にスルー出来るのじゃ。 大げさな飾りつけもタイの大手デパートぐらい。 でもオネーサマのいる飲み屋さんはどの国でもしっかりクリスマス料金だったのはなんでじゃー! どいつもこいつも、ちゃっかりしてやがるぜ、まったく! とかなんとか、今年も最後まで悪態ついて、言いたい事を言って終わった感じじゃが、わしがこうして意気軒高に年を越すことが出来るのも、The-Kingと諸君のお蔭じゃ。 来年こそはもう少し口を慎み、行動を慎み・・・って、もはや誰も信用しとらんことは分かっておるが、「The-Kingの暴走老人」呼ばわりされんようにせんとな。 来年こそは、諸君にとってもっと実のあるコラムを書かせてもらう所存なんで、引き続きお付き合いの程を。 本年もお世話になりました! 心から御礼申し上げます!! GO TO TOP |