NANATETSU ROCK FIREBALL COLUMN Vol.114


ロバート・ジョンソン生誕100周年に送る 「キング・オブ・デルタ・ブルース」の基礎知識 Volume 2 
ロバート・ジョンソンの「超モテモテ伝説」に迫る!


「とにかく女とウイスキーに目が無い男でね。 
  それさえホドホドだったらイイヤツだったのに」 (ジョニー・シャインズ)
 
「よりによって、出演するクラブのオーナーの女房にまで手を出しやがった。
  髪の長いイイ女だったけどな」 (ハニー・ボーイ・エドワーズ)

「そりゃもう、たいそうイイオトコだったわ。 アタシャ大好きだったよ」 
  (ウイリー・メイ・パウエル/ロバートの彼女さんの一人)
 

 伝説のブルースマン、ロバート・ジョンソン基礎知識講座第2回目は、一人でも多くの輩に興味をもってもらうためにも、すべての男性が大いに気になるロバートのパーソナリティを少々「かる~い♪ノリ」でいってみたい。 そこで「ロバート・ジョンソンは、なんで女にモテたんだろう?」っつうトコをわしなりに紐といてしんぜよ~♪
 ロバート・ジョンソンの生涯を詳しく知ろうとしても、現在日本語に翻訳されている伝記は2冊だけ。 関係者、研究者の証言をまとめたドキュメンタリー映像作品はDVD1本のみ。 その他ブルース関連書の中の数冊に詳しい記述が発見できるものの、その数はネーム・バリューの大きさに比べたら驚くほど少ないのじゃ。 でもその少ない資料全部の、そして細部にまで染み渡っている「絶対的な真実」のひとつが「ロバートは超モテモテ男だった」ってことじゃ。

 諸君の中には「有名ミュージシャンならモテないはずがないだろう!」とおっしゃる方もおるじゃろうな。 確かに、余程の不潔男かドケチ野郎でもない限り、ナリはカッコワル~でも名の知れたミュージシャンなら多少なりともモテるな。 しかし、ロバート・ジョンソンは生前は全然有名ではなかったのじゃよ。 LPレコードが発売されたのは死後23年も経ってからであり、生前は他のブルースマンと同様に、貧乏演奏旅行を繰り返しておった。 ってことは特別に「羽振りがよかった」ってワケでもなかろう。 「女に手が早かった」って証言も多いが、ブルースマンなんてのはみんなそうじゃよ! 人生のお楽しみは酒と女と博打だけじゃからな。 「二枚目」とされておるマスクも、残された2枚の写真からではわしら日本人はよお分からんな。
 このように、「ロバート・ジョンソン・モテモテ伝説」は、フツーに考えたら「?」だらけなんじゃ。 そこでこの七鉄が、長く険しい“山あり谷あり”の人生!?(谷ばっかという噂もあるが・・・)の中で会得した「モテモテ術」とロバート・ジョンソンの人生とを参照しながら、その真実に迫ってみようぞ! 新春一発目のイタリアン・カラーシャツで「モテ度」のアップが約束されておる諸君! 嬉しい現実を更に確実にするために!?しっかりモテ男のポイントっつうのをメモっとくようにな!



◆Point-1 黒人の運命を拒否した非常識なヤツ

 まずロバート・ジョンソンが成人期を送った1920~30年代の一般的黒人男性像はこんなもんじゃ。 当時の黒人の一般的な現金収入は、綿花畑での綿摘み作業。 灼熱の太陽の下、1日9~10時間、週5~6日の宇宙にでも逃げ出したくなるような重労働じゃ。 誰もがかろうじて雨風をしのげる掘っ立て小屋に寝泊りしながら、“背骨が折れるまで”綿を摘み続けなければならなかった。 お楽しみは週末のジューク・ジョイント(安酒場)での、酒と女と博打。 酒っつったって、禁酒法時代じゃから、ムーンシャイン(密造酒)じゃ。 こんな時代背景、生活環境で育った男ならば、目つきの鋭い悪漢ヅラが、骨太でゴツゴツした身体にのっかってるってのが若者の風体の相場じゃろう。

 そこでロバート・ジョンソンじゃが、あれは30年ぐらい前じゃったが、わしは初めて発見されたという彼の写真をみた時の第一印象はだな、「ふ~む、これがキング・オブ・ブルースか!」っつった深~い感慨は別として、正直なところ「コヤツ、多分畑仕事をサボっとったな!」じゃった!?ってのもまず目に飛び込んできたのは“蜘蛛のように長~く美しい指”じゃ。 どう見たって畑の土や作物をいじっていた指ではないわな。 わしは自分の指が短くて色々と苦労してきた(?)んで、人様の長い指にはソッコーで反応してしまうのじゃ。
 「畑仕事が大嫌い」というわしの直感は、数々の文献を読むと見事に当たっておった!ってことはだな、いかつく無骨な容姿の一般的黒人男性とはかけ離れた、少年のようなしなやかさがそのまま成長したシルエットの美しい白人的な華奢な身体じゃったに違いない。


◆Point-2 コンプレックスを魅力に変えた異端者
 
  二枚目かどうかは分からんが、お次は「お顔」に着目してみよう。 ロバートは左目がちっちゃい。 これは生まれつき説と事故説があるが、まあどっちでもいいわな、ここでは。 で、ロバートはこれをコンプレックスにしていたようで、成人してからは左目を隠すように斜めにトップハットを被っていることが多かったそうじゃ。
 黒人はえてして帽子好きが多いが、それは農作業中の直射日光を避けるのと、髪の毛が伸びずに祖形丸出しの頭をカモフラージュするためとされており、みんな目や眉毛に平行にチョンと乗せるだけのドテ被りじゃ。 しかしロバートは被り方にひと工夫を加えたことで、コンプレックスをパーソナリティに変えておったに違いない。 確かに斜め被りをすると、黒人としては珍しいロバートの細面を増長することにもなる。 わしも細面じゃったからよお分かる! 斜めに走るハットのツバの奥から、半分閉じたような瞳が光る! こりゃ、二枚目だろうがなかろうが、魅力的に見えてこないこともないな。

  まあこうしてロバート・ジョンソンの身体と顔の特徴を挙げてみると、少なくとも当時の黒人男性にはまずいなかったであろう“中性的”な雰囲気を持っていたことが想像できるのお。 それは女性にしてみたら、鎖のように続く退屈でムサイ世界に、突如異文化圏からやって来たプリンスのように見えたのかもしれんな。


◆Point-3 ファッション、清潔感に気を配るコマシ屋

 容姿のお次はファッションといきたいところじゃが、残された写真が2枚しかないので、どんな服を着ていたかは分からん。 ただし貴重な証言がひとつある。 旅芸人だった当時のブルースマンたちは、非衛生的な貨物列車に乗り込み、埃まみれで無賃乗車をしながら演奏旅行を繰り返しておったんじゃが、ロバートはいつも丁寧に折りたたんで袋に入れた、プレスを効かせたジャケットとパンツを持参していたそうじゃ。 いつも“シャキッ!”とした装いで颯爽と新しい土地の第一歩を踏み出したという。 ロバートと一緒に旅をすることが多かったブルースマンのジョニー・シャインは、このことを「ロバートの忘れがたき個性」として強調しておった。
 旅先でロバートが最初にしたことは、その土地で身を寄せることのできる女の物色じゃ。 だから女の気をひくためには「まず第一印象が大事!」ってことで、「正装」と「清潔感」が身上だったんじゃろう。 時代やお国柄は違っても、この部分は同じじゃな! そしてロバートはその土地を去る時、きっと世話になった女に正装着のプレスと袋詰めをさせていたんじゃろうな。 そして次の土地でそれを着て新しい女を・・・罪なヤツじゃ、まったくうらやましい~♪
 で、もうひとつ。 ロバートのガール・ハント術の中にはオモロイ特徴があるのじゃ。 ロバートは旅先で女をゲットする際、必ず“ブス子ちゃん”から近づいたらしい。 これは「元来は内向的で、酒が入らないと大胆になれない」というロバートの性格のせいだとされておるが、わしは違うと思う。 “ブス子ちゃん”はロバート様がお声をかけて下さったんで、そりゃもう感激して一生懸命にロバート様の身の回りの世話をするわな。 ここじゃよ、ポイントは! そうやってロバートはいつも自分を身ぎれいにして、腹もいっぱいにしてから、別のイイ女を物色するんじゃな。 物欲しげな目をギラギラさせとる男にゃ、イイ女はなびかんってもんじゃろう! わしも分かってはおるが、実践は難しい・・・。 


◆Point-4 悪魔伝説をもてあそんだ不届き者!?

 ロバートが「悪魔に魂を売った男」とされるのは、短期間で驚異的なギターテクニックを会得したからじゃが、どうやらロバートはこの「悪魔伝説」ってのを自己アピールのために大いに利用していたフシがある。 そりゃ「オレさあ~一生懸命練習してさあ~」なんてブルよりも、一言「なあに、悪魔に魂売っただけさ」って言い放った方が断然クールだし、神秘的なオーラを身につけることができるな。 「キャー!ホントー? スゴ~イ!! で、魂ってえ~いくらで売れたのお?」なんてパープリンギャルは当時はおらんかったじゃろうし。
 ロバートの歌詞の中にもこの“悪魔”ってのがよお出てくるし、まだまだ迷信深い人が多かった20世紀初期の時代じゃから、ロバートの“悪魔の策略”にひっかかった者も多かったじゃろう。 そしてこの悪戯は、おそらく女性を魅了することにも繋がることをロバートは知っていたのじゃ。 一生綿花を摘んで貧乏にしていることしか生きる道のなかった黒人社会の中では、その中で当たり前に生きている男性には、もはや女性は夢を抱くことが出来なかったに違いない。 黒人女性が時には「神」や「宗教」すらも信じられんようになっても責めることはできんじゃろう。 そこに 「神/宗教」とは真逆の世界観をもった男、つまり「悪魔」の危険な香りを放つ男が現れたら、そりゃ~イチコロ! マイッチングじゃわな! そこまでヨンダ上でロバートは「悪魔伝説」を身にまとっていたに違いない! 現実にあくせくしておる男に、女はロマンを感じないものじゃ!
 

◆Point-5 ハイセンスに脱皮を遂げた、疲れを知らぬ旅ガラス!

 さてと、パーツに沿って検証してきたロバート・ジョンソン「モテモテ伝説」じゃが、やはりトドメ!は、誰も適わなかったと言われるギターの腕前、そして全身から発せられていた都会的なハイ・センスなオーラが女どもを夢中にさせたのじゃろう。 左の残された唯一の全身写真は1935年の撮影じゃが、この雰囲気とセンスは1930年代の黒人ではありえな~い!
 プレスが効いたタイトなスーツ、きちっと開かれたネクタイ、チョイトはすに被ってみせるトップハット、鋭角的に差し込まれた胸ハンカチーフ、唾液でテカらせた(らしい)革靴、そして足を組んでずり上がった場合を想定して裾直しをしたようなパンツの丈。 そしてハイカラな身なりとは正反対に、年季が入ったように見える無数の擦り傷を走らせたギブソンL-1。 ブルースよりも先に市民権を得たジャズシーンの黒人ミュージシャンでさえも、ここまでクールにはキメられなかった!
 このハイセンスは、遠く離れた大都会まで網羅していた旅稼業の賜じゃろう。 故郷ミシシッピのド田舎とは別世界の文化、習慣、人々の美意識、価値観を数多く見聞した果てに身についたもんじゃろうな。 畑仕事が大嫌いじゃったロバートは、少年時代から大人たちの集まる「社交場」へ潜入しておったらしいから、別世界、非現実世界を観る目は常人よりも遙かに肥え、吸収力もまたバツグンだったのじゃ。

 諸君のまわりでもおらんか? 長期の遠方出張を終えて帰ってきたら、以前とは見違えるように輝いているヤツ、もしくはすっかり擦り減った感じになっちゃったヤツが。 ロバート・ジョンソンは明らかに前者であり、旅がロバートを磨き続け、そのロバートに惚れた女が更にロバートを磨いていたんじゃよ。 わしも長旅から帰ってきたらパワーアップするクチじゃが、そのわしをオネーサマが磨いてくれるということは・・・アンマないな。 
 「人生至る所に青山あり!」とは中国の古い格言じゃ。 「故郷に落ち着くだけが人生ではない。 あらゆる所にチャンスはあるから、故郷を出ておおいに旅をしなさい」ってことじゃが、まさにロバート・ジョンソンはそれを地で行き、土地土地の女を魅了し続けた伊達男だったのじゃ! 諸君も男を磨き、それを更に女に磨いてもらうためにも、今年をおおいにThe-Kingアイテムをまとってストリートに繰り出したまえ! 「きゃ~ス・テ・キ」なんて言われてもニヤつくことなく、一言「悪魔と・・・」じゃのおて、「The-Kingと契約した!」でキメてまえ!


七鉄の酔眼雑記 ~坂本竜馬とJ.F.K

 昨年のNHK大河ドラマ「竜馬伝」、諸君は贔屓にしておったか? わしは飲み会の関係上(笑)、どうしても“飛び石鑑賞”になっておったが、一年を通して気になっていた番組じゃった。 殊更に視聴率が高いわけではなかったらしいが、若者の間では、主演俳優の福山様の魅力以上に、主人公の生き様、人物像が久しぶりに話題になった大河ドラマじゃったらしい。
 主人公・坂本竜馬の生き様とは、簡潔に言えばじゃな、危機に瀕している祖国の将来のために私利私欲を捨てて新しい時代を築き上げることに生涯を捧げたってことじゃろうな。 こういう人物に現代の若者たちが共感を覚えるってのはとても健康的な傾向じゃと思うぞ。 「不景気」「就職難」といった恵まれない状況に対してだな、「時代が悪い」「国が悪い」「会社が悪い」って他責ばっかりにして、自分はなあ~んもしようとしない怠け者でいるよりは、「竜馬伝」を観て少なからず感銘を受けて、「危機の時代こそ、みんなが一致団結して新しい時代の局面を作る」って思考が芽生えてくるならば、わしは大いに拍手を贈りたいところじゃ。

 坂本竜馬を思う時、わしの脳裏に甦ってくるキョ―レツな言葉があるのじゃ。  
「祖国があなたに何をしてくれるかを尋ねてはなりません、あなたが祖国のために何をできるか考えて欲しい」
これは今から丁度50年前、1961年1月に第35代アメリカ大統領に就任したJ.F.ケネディ、そうJ.F.Kの就任スピーチでの名言じゃ。 ゴールデン・フィフティーズが終わりを告げたこともあって、新しい幸福の時代を模索していかなければならなかった当時のアメリカ国民に対して発した「願いの言葉」じゃ。 決して幸福な時代ではないからこそ、「手をとりあって全体幸福路線でいこう!」ってことじゃな。 J.F.Kの求めた国民像と、竜馬の生き様とは基本的な部分がしっかりと一致しておるではないか!
 今の日本の政治家の中で、こんな事を言い放てる人物がおるじゃろうか。 「国政」どころか、「陣取り合戦」「足の引っ張り合い」にしか見えてこないんだから、いるわけねーじゃろうな。 ならば、わしが!じゃなくて、竜馬の生き様に共鳴した若者に未来を託そう。 そしてJ.F.Kの様な後世に残る名言をかまして、この国を先導してもらいたいものじゃ。

 ちなみにJ.F.Kのポリシーは「ニュー・フロンティア・スピリット」(新開拓精神)と言われたものじゃ。 現代の憂国の若者にもピッタリのポリシーじゃな。 そして諸君の中には、更に深い部分にロック・スピリットがあり、それを支えておるのがThe-Kingブランドのファッションでもあるのじゃ! そこんとこを忘れずに、今年も突っ走って頂きたい!よろしゅ~♪



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