NANATETSU ROCK FIREBALL COLUMN Vol.111

虚しきは二世ロッカーの少なさよ!?
直系の才能が育たん土壌に、ロックの未来はあるのか!

先日バッド・カンパニーなる、70年代に全盛時代を謳歌していたブリティッシュ・ロック・バンドの日本公演に行ってきたぞ。 このコーナーでも度々紹介しておる、天才ロック・シンガーのポール・ロジャースのバンドじゃ。 場所は昭和女子大学のキャンパス内にある音楽ホールの人見記念講堂。 女子大に足を踏み入れるなんざもう何十年振りであり、この日のためにゲットしておいたThe-King製ナッソースーツでキメキメしたわしは、キャンパスを闊歩するお嬢様方に片っ端から声をかけまくった! そしたら「きゃあ~オジサン! そのスーツどこで買ったのお~? ステキステキ!!」ってお嬢様方に取り囲まれてしまった! ってなわけないじゃろうがっ! 残念ながら土曜日の夕方が開演時間で、女子大生なんざ歩いておらんかったわい!
 いやいやそのコンサートでだな、意外なシーンに出会ったのじゃよ。 とにかく久々にポール・ロジャースの生ヴォーカルが聴ける!ってんで、それだけでハイになっとったわしは何の下調べもせんで出かけたんじゃ。 そしたら前座として、ポールの倅であるスティーブ君が約30分間の弾き語りを披露したのじゃ。 親父さん譲りともいうべき素晴らしい歌唱力とブルース・フィーリングは、もはや親父さんよりも70年代ロック的じゃった。
 まあわし以外の観客はポッカ~ンとしておったようじゃ。 多分、目の前で熱唱しておる若者が誰だか知らん者がほとんじゃろうな。 わしはふと考えてしまったよ。 「ロック界で有名な二世ロッカーって少ないの~」 おるにはおるが、親父さんを越えられなくとも、成功を収めたと言える二世君ってのはほんと数少ないもんじゃ。
 ロックの歴史も半世紀を越えたんじゃから、そろそろ1950、60年代に活躍したロッカーのお孫ちゃんたちがシーンの前線に出てきてもおかしくないのじゃが、三世どころか二世すらの話題もこれまでは稀じゃ。 ここはひとつ、わしにお付き合いただいて、数少ない「二世ロッカー君」に思いを馳せてみよう。 


◆スティーブ・ロジャース◆

 まずは冒頭で引き合いに出した彼じゃが、ブルース・ロックを歌わせたらロック史上No.1!とまで称されておる親父さんのポールにはまだまだ及ばんが、素質はピカイチじゃよ。 これが親子二代にわたる直伝の凄みじゃ。 偉大なる親父さんも、こんな優秀な倅がいるんだからさぞかし嬉しいじゃろう。 でも大変に失礼ながら、ビジュアルが親父さん同様に冴えないんじゃ、これが!? 親父さんは、圧倒的な歌唱力でロックスターの座を勝ち得たんじゃから、スティーブ君も今後歌唱力に益々磨きをかけて、ロック史に親子そろってその名を刻してほしいものじゃ。
 ちなみにスティーブ君は、ボアというバンドで既に数枚のアルバムを発表しており、ボアには妹のジャスミンもヴォーカリストとして在籍しておった。 スティーブ&ジャスミンの兄妹のお母さんは、日本人のマチコさんじゃ! どうか頑張ってもらいたいもんじゃ。


◆アーロ・ガスリー◆
 
 ロック・ファンが「二世ロッカー/ミュージシャン君」を最初に意識したのはこの人じゃろうな。 カントリー界の巨星ウディ・ガスリーの倅のアーロ君じゃ。 1969年に日本でも公開された映画「ウッドストック」の中に登場して、名曲「ロサンゼルスにやって来て」を歌った雄姿はなかなかクールじゃった。
 「ロサンジェルスにやって来て」は、当時流行のヒッピー的流れ者生活をロマンチックに歌ったナンバーで、全米でもスマッシュ・ヒットを記録。アーロ君は映画「アリスのレストラン」の主演にも抜擢されたもんじゃった。 またこの曲によってアーロ君はほんの一時期全米の大学生の間では、ロック界のニューヒーローとして人気を博しておった。


◆ネルソン兄弟◆

 フィフティーズ・ミュージシャンにも二世君、しかも双子がおったな。 そう、リッキー・ネルソンの双子の倅たち、マシュー&ガナー・ネルソンじゃ。 二人は実質のユニット・バンド「ネルソン」を結成。 ご覧の通りの(→)甘い顔立ちと美しいブロンドのロン毛がトレードマークじゃった。

 華やかなルックスゆえに、単なるアイドルバンドとのイメージが強かったが、さすがはリッキー・ネルソン直伝の才能の持ち主。 1990年に発表されたデビュー・アルバムはキャッチーでメロディアスなハードロックであり、見事に全米No.1に輝いたものじゃ。 日本の女の子たちにも人気が高く、原宿だか渋谷だかに「ネルソン・ステイション」なんつう専門ショップがあったもんじゃよ。 そこの女性店長はミ○タちゃん!ってわしはなんでそんなことまで知っとるんじゃ!


◆ザック・スターキー◆

 言わずとも知れたビートルズのリンゴ・スターの倅じゃよ。 今んとこ、ビートルズの二世さんの中では最も成功を収めておるじゃろうな。 オアシスのメンバーの時は華々しかったし、その後ザ・フーの第3代ドラマーにもなったもんじゃ。 初代キース・ムーン、第2代ケニー・ジョーンズはともにロック史に輝く名ドラマーじゃが、ザック君もキース、ケニーにひけをとらない素晴らしいドラマーじゃ。 二年前のザ・フーの日本公演で、わしはそれを確信したもんじゃった。
 親父さんは一時期深刻なアル中になってもうて、ロッカー仲間たちが「リンゴを救え!」とプロジェクトを結成したもんじゃが、ザック君にはどうか同じ轍を踏まんでほしいもんじゃ! とわしが言っても説得力ないのお~失礼しました!


◆ジュリアン・レノン◆
 
 ビートル二世君をもう一人。 最近はジョン・レノンとヨーコさんの息子ショーン君が音楽活動を始めたらしいが、わしは1984年にデビューしたジョンの前妻シンシアさんとの息子さん、ジュリアン君に期待しておったんじゃ。 そう、ビートルズの名曲「ヘイ・ジュード」のモデルくんじゃ。
 「どうせ僕はビートル・ジョンの息子さ。 何をやったって親父の七光りって言われちまうんだ」みたいな、若さに似合わない老成感というか、達観的けだるいエモーションが音楽に滲み出ており、デビュー作「ヴァロッテ」は今でもわしの愛聴盤じゃ。 1993年には日本のアニメーション映画『遠い海から来たCOO』にメインテーマ「CHILDREN OF THE WORLD」を提供したり、90年代までは充実した活動をしておった。 が最近はどうしているんじゃろうか。 独自の枯れたポップセンスを持っておると信じておるんじゃが・・・。


◆ジェイソン・ボーナム◆
 
 ザック・スターキーと並ぶ、二世ロック・ドラマーがおるぞ。 レッド・ツェッペリンのドラマーじゃったジョン・ボーナムの倅、ジェイソン・ボーナム君じゃ。 ツェッペリンのすさまじい実存的なドラミングは親父のジョンにしか出来ない偉大なる芸当じゃったが、そのジョンが亡くなってツェッペリンがやむなく解散した時、熱狂的ファンからは「ツェッペリンの再結成は、ジェイソンが成人するまで待て!」とまで勝手に期待されておったもんじゃ。
 ジェイソン君を招き入れてのツェッペリンの再結成は実現せんかったが、ジェイソン君はジミー・ペイジをはじめとする数々のオールドロッカーの復活アルバムやライブでドラムを叩き続けて、それなりの名声を獲得しておる。 親父さんのプレイが空前絶後だっただけに、比較されて過小評価されてしまうのは可哀想なところじゃが、今や絶滅しつつある親父さん型ドラミングを未来に継承していける希少な存在じゃ。


◆ウイルソン・フィリップス◆

 「ロッカー」と言ってしまうのは無理があるが、「二世ポップス・スター」となれば、彼女らがもっとも有名かもしれんな。 ビーチボーイズのブライアン・ウィルソンの娘カーニー&ウエンディと、ママス&パパスのフィリップス夫妻の長女チャイナが結成した女性コーラス隊ウイルソン・フィリップスじゃ。
 「サーフィンUSA/ビーチボーイズ」と「夢のカリフォルニア/ママス&パパス」の二世の合体じゃぞ。 1990年のデビュー時は、それだけで全米は話題騒然となり、シングル3枚はたて続けに全米NO.1じゃ。 さすがは血統証付きはスゴイ!毛並みが違う!!ってなもんで、女性コーラス・ポップスには興味のないわしも、「ポップスの歴史が二周り目に入ったんじゃな」とちょっとした感慨があったもんじゃ。 でもセカンドアルバムがそこそこ売れて以降は自然消滅じゃったな~。 21世紀になって再結成アルバムを出したものの、デビュー当時の勢いはなかったのお。 でも写真(→)の通りのセレブなベッピンさんになられておるようなので、女性としてはお幸せなんじゃろうな。


◆ジェイコブ・ディラン◆

 知っとるかいのお? ボブ・ディランの倅じゃ。 2006年ぐらいまではウォール・フラワーズなるロック・バンドのリード・シンガーじゃった。 ジェイコブ君のエライところはだな、パパちゃまのお金と名声のお世話にはならず、小さなカフェでの演奏から地道に活動を始めて、デビュー8年目にしてようやくウォール・フラワーズのアルバム「Bringing Down the Horse」を大ヒットさせた苦労人であることじゃ! このアルバムは600~700万枚のセールスを記録し、親父さんのもっとも売れたアルバム「血の轍」(1975年)のセールスの3倍を記録したそうじゃ。
 ウォール・フラワーズは既に解散しており、ジェイコブ君は現在地味なソロ活動を続けておる。3年ぐらい前だったか、ジョージ・ハリスンの倅ダニーと二世ロッカー共演をして、ジョン・レノンのトリビュート・ソングを録音しておる。 まあ音楽性よりも、その頑固に自己哲学を貫くところがもっとも親父さん譲りであるだけに、近い将来「大きな一撃」をかましてくれるんじゃないか?と期待のもてるキャラじゃ。 


 「ロック歴史百科事典」の掲載に値する「二世ロッカー」の顔ぶれとしてはこんなもんかいのお~。 やはり少ないもんじゃ。 金銭的成功に限れば、
エアロスミスのシンガー、スティーブン・タイラーの娘リズ・テイラーがおるが、彼女はハリウッド女優じゃから番外編的存在じゃ。 
 しかし何故に成功した二世ロッカーってのは少ないのじゃろう。 数少ない成功者も、華々しいのはデビューの時だけで後が続かん場合もある。 考えてみれば、昔のロッカーの成功というのは「一大成り上がり物語」が多かったもんじゃ。 しかし二世くんってのは恵まれた環境で育ってきたワケじゃから、「そんな甘ちゃんが成功するはずがない!」とも言われておる。 う~ん、果たしてそうなんじゃろうか? スゴイ才能ってのは、死ぬほど努力したら必ず獲得できるものではないし、親から受け継いだ直系、直伝の純度の高い天性の才能こそ、大切にされるべきなんじゃなかろうか。
 まあこの辺の深い考察はまた回をあらためてツッコムとしてだな、とりあえず既に受け継いでいたり、ゲットしているグレイトな才能やアイテムは、身内から始まって、より広い世界へと惜しげもなく披露することじゃな。 誰が見ていて、誰が感動していて、誰が受け継いで行ってくれるかわからんもんじゃ。 それがグレイトな才能やらアイテムやらが時代を越えていくもっとも正しい道のりなのじゃ。 まずは迷うことなくThe-King製ニューアイテムをゲットして披露するようにな!   



七鉄の酔眼雑記 ~探偵稼業にも時代の波

 「類は友を呼ぶ」ってのは間違いのないようで、日頃から親交のあるわしの友人は、圧倒的に「自由業者」さんが多い。 要するに真面目なサラリーマンさんが少ないというこっちゃ。 その中で、職業も人柄も話しっぷりももっとも興味深いと思われる人物の一人に、サンフランシスコで私立探偵をやっとるもんがおる。 「探偵」と聞くと、ハードボイルドな世界を連想してしまうが、彼に言わせると「探偵っつってもさあ~、所詮は浮気調査ばっかりでさあ~ぶゎははははは!」なんだそうじゃ。 こやつ、わしと歳は大して変わらんが、ことビールの消費量はわしの3倍じゃ! なんたる鋼鉄の内臓じゃ、まったく。
 そんな彼がいつにも増して面白くて、ためになる話をしてくれたので、ちょいと披露しておこう。 「浮気調査」ってのは、世の中の景気の変動や流行に関係なく、いつの時代も「隠れたドル箱稼業」じゃったらしい。 しかしそれも最近では報酬額が下落しているというのじゃ。

 何の調査であれ、報酬額算出の基準は費やされる時間じゃが、最近の「浮気調査時間」は以前の半分ぐらいになったらしいのじゃ。 それもこれも、依頼者が愛する者の「浮気の疑惑」ではなくて、既に「確信」をもって探偵事務所の扉を叩くからとか。 つまり「疑惑」を「確信」にするための「素行調査からの依頼」が少なく、「現場の確認」に近い段階からの依頼ということじゃ。 そのために報酬額が以前の半額ぐらいになってしまうと、その友人は苦笑しておった。
 何故そんなことになったのか。 浮気人とその相手とが、ネットワークを通して繋がっておる場合が多いからという。 ネットワークシステムの中には、まったく関係のない第三者も、やっとる者同士のやりとりを自由に閲覧できる場合があるから、愛する相手の「浮気」を疑う者はネット上の痕跡から確かな浮気の匂いを嗅ぎ取ることができるそうなんじゃな。 わしのような古い人間は、「それはのぞきという犯罪行為じゃろう」と思ってしまうが、ネット上では簡単に出来てしまうらしいのお。
 わしは探偵さんにひとつお尋ねした。「ネットワークでつながっておる者はそんな危険性を知らないのか?」と。 答えはこうじゃ。 もちろん利用者は個人情報の流出には十分に注意するものの、やっぱり「色恋沙汰」が絡んでくると脇が甘くなりがちで、どこかでボロが出てしまうらしい。 「浮気と復讐は蜜の味」とはいうが、もはやその蜜も濃厚な味ではなくなったんじゃのお~。 何処のだれがどいつの行動を監視しているかわかったもんじゃない。 う~ん恐ろしい時代じゃ。
 実はわしだって浮気はしとるぞお~。 でもそれはだな、未体験の酒についつい手を出してしまうってことじゃ! 諸君も色恋とネットには気を付けるようにな! いつ、誰が好ましからざる請求書を突きつけてくるか分からん時代じゃぞ。 邪(よこしま)な気分になったら、ロックとThe-Kingブランドじゃよ。 ロッカーとして正しい道へと連れ戻してくれるぞ! そうやって自らをガードしていくしか安心して暮らすことは出来んようじゃ。




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