NANATETSU ROCK FIREBALL COLUMN Vol.109


はよう出さんかい日本版DVD! 
 日本語版DVD化が待ち遠しいロック映像作品集!!


 今年は夏から冬へほとんど直行だというな。 秋はほんのチョコットしかないらしい。 それならば、短期集中型のロケット・アクションで「食欲の秋、酒欲の秋を堪能するぞ!」と勢い込んでいたというのに・・・。 実は病院の外科に世話になるハメになってしもうてなあ~。 背中に二か所、合わせて15センチほどメスを入れられたんで、当面は外出や酒をほどほどにせんといかんのじゃ。
 別に両脚もがれたわけでもないが、なんかこう、テンション上がらんな~。 せっかく新作イタリアン・カラーシャツを4種類全部ゲットしたというに、お部屋の中で静かにせなあかんなんて拷問じゃ~。 The-King渾身の新作は、今月いっぱいはクローゼットの肥やしとしながら、時々手にとってニンマリするしかなさそうじゃ。
 ちなみに背中に傷を入れられたのは病院のセンセーのメスであって、決して酔っ払いのおヤクザさんに日本刀で切りつけられたわけではないぞ! わしゃあ、昔っからケンカするなら素手でやっとるわい! エルヴィスの映画みたいにのぉ~♪

  しかし外出&酒が制限されるのが、こんなにも辛いとは。 お部屋ん中で悶々としててもシャ―ナイんで、過日購入したものの開封すらしてなかった「ビデオ・キャプチャー」でVHSビデオのデジタル編集に取りかかることにした。 よーするに、アナログの映像作品をビデオ・キャプチャーを通してデジタル化するわけで、こういうジミな作業はこんな時にしかしないもんじゃしな。
 手持ちのVHS作品の中には、わしの知らぬ間にDVD化されておるもんもあると思われるので、そこら辺をネットやら資料やらでチェックすることから始めていくと、結構楽しいもんじゃ。 と同時に「これってまだDVDになっとらんかったのか!」と驚くことも多々あり! どうもわしは、ファッションはThe-Kingをはじめとする最新情報をいち早くチェックしとる反面、音楽ソフトの方はチェックの精度が甘いからのお。 まあ災い(手術)転じて福と成すってことにしといて、毎日せっせとデジタル化作業をしとるVHS作品の中から、一刻もはよう日本版DVD発売が待望されるもんを紹介しよう!


■エルヴィス・ワン・ナイト・ウィズ・ユー/エルヴィス・プレスリー■
 
 ご存知1968年クリスマスTVスペシャル番組じゃが、う~ん意外や意外。 これがまだDVD化されとらんかったとはのお。 ひょっとしてわしが知らんだけか? 少なくともこの作品単体での日本版DVDは無いはずじゃ。 要するに“泣く子も黙る”「カムバック・スペシャル」の中に含まれておるが、この部分だけのDVDがあってもわしはいいと思うぞ。 超クールなエルヴィスが拝めるとはいい難いが、プライベート・コンサートのような、エルヴィスとその仲間、さらにオーディエンスとの交流を観ることができるし、ミュージシャンとしての“キング”の素顔の一端を楽しめるんだから、星の数ほどある企画盤の中でも人気が低いはずはないんじゃがの~。
 あらためてネットで色々調べてみたんじゃが、この作品に対するレビュー(視聴者のコメント)も非常に少ない。 これも納得いかんなあ~。 「パーカー大佐の強引な企画であり、エルヴィス本人は乗る気ではなかった~」なんつう類の噂も聞いたことない。 ヒッピー文化に飲みこまれ気味のロックシーンとは別次元で新たなるスタートを切ったキングのお姿は崇高だし、キングを信じ切っているファンの姿にも品性を感じることもあるぞ。


レット・イット・ビー/ビートルズ■
■25×5/ローリング・ストーンズ■

 エルヴィスのお次は、ビートルズ、ストーンズからも、DVD化が待たれる作品を紹介しよう。
 「レット・イット・ビー」じゃが、恐らく唯一DVD化されてないビートルズの公式映像作品じゃろう。 何度もDVD化のニュースが伝わってくるものの、いまだに実現しておらんな。 オノ・ヨーコさんからクレームが入るのじゃろうか。 確かにこの映画の中でヨーコさんはビートルズの邪魔をしているように見えなくもない・・・ってカンケーねえかな? 
 それともアップルビルの屋上ライブの演奏状態が良くないからか? わしはあのロンドンの寒風を吹き飛ばす様な粗っぽい演奏を映画館で観た時、「あぁ、ビートルズってやっぱりロック・バンドだったんじゃのお」と感動したもんじゃが・・・。
 「25×5」はストーンズのデビュー25周年の1988年に製作された歴史映像集じゃ。 ピックアップされたライブ映像やメンバーのインタビュー内容が素晴らしく、編集内容も申し分なし! 長く活動するバンドの歴史を追った映像作品の模範となるべき名作とわしは思っとるんじゃが、DVD化されることはついになかったな。 
 ストーンズの歴史は現在はデビュー47年目。 3年後の50周年には本格的な歴史モノがDVDになるんじゃろうが、そうなったら本作品のようなVHS1本分の長さじゃ収めきれんじゃろう。 コンパクトな収録時間による名作はやはりコレじゃし、コレ以降の22年の活動には大きな事件は少ないから、ストーンズの魅力が凝縮されたコレがファンには必要なのじゃ!


■ ジーザス・クライスト・スーパースター ■


 ミュージカル映画をもうひとついってみようか。 こいつは19世紀に活躍したクラシック・ピアニスト、フランツ・リストの生涯をコメディータッチで描いた作品(1975年公開)。 リストは昔学校の音楽室に肖像画があったじゃろう! 主演はザ・フーのロジャー・ダルトリ―。 「クラシック・ピアニストの生涯なんざロックとカンケーネーだろ!」と言われそうじゃが、リストというお方は、音楽家の演奏会が女性ファンの絶叫で占領されるっつう現象を初めて巻き起こしたピアニストであり、それは現代のロックスターのコンサートの原型なのじゃ。 「マニア(熱狂的ファン)」という言葉自体も、リスト熱狂者のための造語として生まれたのじゃ。
 何かとお堅いイメージの強いクラシックにも、その歴史の中には現代のロックと同じ現象があったことを、風刺漫画風というか、ギャグエロっぽく描いたこの作品は実にオモロイぞ~♪ 是非DVDの美しい映像で、前世期の貴婦人たちとイケメン・ピアニストとの熱狂ぶりを観てみたいものじゃ。

■フィルモア最後の日■
 
 上記の「ジーザス・・・」とか、この作品の日本版DVDがまだ無いという事実は、「やっぱり日本のロック・カルチャーの深度はまだまだじゃの~」とエラソーに思ってしまうのじゃ。 わしのコーナーで何度も書かせてもらっておるが、「フィルモア」とは1960年代末期に繁盛を極めたアメリカの代表的なロック・コンサート会場であり、そのオーナーのビル・グレアムは長きに渡ってロック界のビッグ・プロモーターとしてシーンに君臨した人物じゃ。
 この作品は1971年に閉鎖したフィルモアのラストコンサートの模様と、ビル・グレアムのフィルモアでのラスト・ワークをドキュメンタリー・タッチで追った映画じゃ。 ロックが巨大ビジネスとして大企業家の手に渡る直前まで、ロッカーとファンとの間で真のコミュニケーションが成立していた最後の時代を支えておったのが、フィルモアでありビル・グレアムだったのじゃ。 そのラストディを描いた映画じゃぞ。 なんで日本盤を出さんのじゃ、バカモノ! きちんと紹介出来るヤツがおらんなら、わしがやったるわい!と、ついシャウトしたくなる作品であ~る!


■チェルシー・ガールズ■

 ニューヨークの伝説的ポップアートの巨匠アンディ・ウォーホール制作映画の初の一般公開作品(1966年)じゃ。 当時はロックの新しい風潮をクリエイトするべく、アンディを中心としたアート・ファクトリーがニューヨークで形成されており、この作品には「ニューロックの地下マグマ」の息吹が感じ取れる・・・とカッコよく言いたいところじゃが・・・実は、当時のアーティストの根城だったチェルシー・ホテルの住人たちの生活模様が不気味なほど静かに描写された作品じゃ。 チェルシー・ホテルと言えば、あのシド・ヴィシャスが恋人ナンシーを刺殺した場所としても有名じゃがのお。
 映画「チェルシー・ガールズ」は、永遠のポップ・アイコン(アイドル中のアイドル)であるイーディ・セジウィック嬢や、NYのロッカーの憧れの姫ニコ嬢の初々しいお姿を拝むことが出来る貴重な作品であり、VHSすら発売本数は極少数じゃったのでDVDによる再販への期待値が異常に高いのじゃ。
 わしはこの作品のVHS製品すら見たことがない。 わしがもっとるのは、アメリカの知人がダビングしてくれた英語版の古い家庭用VHS。 もはや画像が乱れっぱなしのひどい劣化状態なんで、はよう何とかしてもらいたい。 「ロックの熱いビートの後遺症に悩む年代になったら、この作品の真意が分かるに違いない」とは、当時アンディの取り巻きの一人じゃったヴェルベット・アンダーグラウンドのリーダー、ルー・リードの言葉じゃ。
 (※写真は、イーディが出演した最後の映画「チャオ・マンハッタン」のパッケージ。 ネットでも「チェルシー・ガールズ」のパッケージは見つからんかったのでご了承願いたい)



番外編~■限りなく透明に近いブルー(邦画)■


 最後に日本映画を1本。 これは1971年度芥川賞を受賞した村上龍の同名小説が原作。 小説の中では、当時のストーンズやらドアーズやら、ドラッグやら乱交やら、ロック(もしくはロック・ライフ)のダークな部分が存分に暴れまくっておったが、さすがに映画ではそれを描き切っておるとは言い難い。 その分、主演クラスの俳優さんたち(三田村邦彦、中山麻里他)の「何故激しくロック・ライフに溺れていくのか」っつう若者の心の葛藤を表現する熱演がなかなか素晴らしいとわしは思うぞ。
 原作が古典的な作品を除けば、映画とその原作ってのは切り離して楽しんだ方がよい場合が多いもんじゃが、この作品に関しては「映画を観たら必ず原作を読みたくなる」と思わせる、前向きなフラストレーションを与えてくれるのじゃ。 ロック・ファンなら映画も小説も、是非体験してもらいたい作品じゃ。 


 使ってみて初めて分かったんじゃが、「ビデオ・キャプチャー」ってのは、期待していたほどVHSの画質は上がらんわい。 まあアナログ・データをデジタル化して「長期保存が可能」という価値以上の成果はなさそうじゃが、酒を制限されとる現在のわしの「遊び相手」として今しばらく世話になるしかないのお。 あ~早くおNEWのイタリアン・カラーシャツをまとってお外で暴れたい! 飾っておくだけでは、目の保養、じゃなくて、目に毒じゃあ~! 
 The-Kingファッションでキメて外出すれば、新しい仲間も増えて新しい情報が入ってくるし、当然わしが知らんかったDVD化ニュースもゲット出来るかもしれんしな。 わしが「お外で暴れる」ってえのは、そーいう目的もあるんじゃぞ。 もちろんネオン街のオネエ様と仲良くなりやすいってのもあるがのっ! とは言うものの、The-Kingの新作を見せられた今、この秋のロックファッション・ダービーのスタートダッシュは諸君に任せてあるからわしとの差を広げておきなさい! でも傷が完治する冬には追い抜いておるからな!
 


七鉄の酔眼雑記 ~5日と続かなかった12年ぶりの禁酒

 体調の善し悪し、金の有無に関わらず、酒だけは切らすことのない毎日を続けておるわしじゃが、先日実に12年ぶりの禁酒をするハメになった。 背中の皮膚の内側に老廃物や皮脂が溜まり固まってしまい、こぶのようになる粉瘤(ふんりゅう)というデキモノを摘出する手術をしたのじゃ。 しかもひとつはピンポン玉ぐらいの大きさになっており、手術時間は2時間近くもかかった。 そして、傷口が痛んだり、縫合部分の回復が遅れたりしないために、「10日ぐらいは酒を飲んではいかんぞ!」とご年配の執刀医からキツ~いお達しが出てしもうたんじゃ。
 もう目の前が真っ暗になった!とはまでは言わんが、手が震えたりイライラする禁断症状が出るのが怖くなったもんじゃ。 しかし意外や意外、ちょっと寝付きが悪く、睡眠も浅くなった気もするが、禁断症状は一切なかったぞ! まだアル中ではないんじゃな!とミョーに安心したもんじゃ。
 しっかしドタマにきたのは禁酒令を出した執刀医じゃよ。 傷口の消毒のためにほぼ毎日通院しておったんじゃが、4回目の消毒の時は別の若い外科医だったので、そぉ~と聞いてみた。 「あのぉ~いつ頃から酒はいけまっか?」 そしたらそのセンセーは「え? 飲みすぎなければ全然構いませんよ」ときた! ぬわにい~、全然いいだとおー!? くっそぉーザケンナヨあの老いぼれヤブ医者め!!と、その晩は早すぎる快気祝いをしてもうた!
 5日ぶりの酒は、ウマイッ!タマラン!! ビール大瓶2本をソッコーで空け、お次は最近ハマった韓国焼酎「チャミスル」くんじゃあ~! ボトル1本をぺロリと平らげてさあー2本目じゃ!となったところで、背中の傷口がドックン、ドックン痛み始めた。 こうなったら全ては後の祭り。 酒を切り上げ、冷水をガブ飲みしたり、水シャワーを浴びるなど、体内の酒を薄める等の沈痛に努めたものの、結局一晩中痛みをこらえるハメになってもうた。
 翌日5回目の消毒に行くと、この日は執刀医が消毒を担当。 「アンタねえ・・・もう飲んじゃったのか。 傷口が真っ赤だよ」と呆れられてしもうた。 そして「一目見てアンタが酒好きだと分かったから、少々大袈裟に禁酒を通告しといたんだよ。 再手術になったらアンタの不注意なんだから実費(保険無し)になるかもしれないよ!」とまあシカラレタ、シカラレタ。 更に今後も飲酒を続けていると、どんどん麻酔が効きにくい体質になっていき、手術の時は益々厄介になるとまで脅かされてもうたよ。 トホホ。
 やっぱり年寄りの言うこと、お医者様の言うことはしっかりと守らないといかんな~と久しぶりに猛反省したわしじゃが、痛みが消えたその日の夜からは再び飲み始めた。 しかしさすがに“生き物のように背中を這いずり回る”前日の痛みの体験が忘れられず、自然とビール2本で止まってしまっておる。 要するに美味しくないんじゃな、おそるおそる飲んでも。 あー



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