NANATETSU ROCK FIREBALL COLUMN Vol.103

 「ジャケ買い」後編じゃが、思い出すままにアトランダムに並べているようで申し訳ないな。 何かテーマを決めたりして選出したいところじゃが、何せこの猛暑でアタマハタラキマシェ~ンってのは冗談じゃ。 新作イタリアン・カラーシャツのクール・ビューティな魅力で、アタマはハッキリしとるわい! さっそく羽織ってストリートに繰り出したいところじゃが、強烈な暑さで昼間はついつい書斎に閉じこもり気味。 だからあらためてレコジャケ・チェックを丹念にしたんじゃが、所有している音楽ソフトの枚数がチト多過ぎて、おいそれとテーマを設定できんのじゃ。 どうかご了承下され。 でも「ジャケ買い」の思い出を頭ん中でたどっていると楽しいもんじゃ。 わしは遠い昔に愛聴したレコードを久しぶりに聞き直しても、サウンドそのものにあらためて衝撃を受けてしまうんで、当時の思い出までフィードバックしてくるってことはあんまりないんじゃ。
 しかし「ジャケ買い」の記憶探索をやっとると、「あの頃はよお飲んどったのお」(今も変わらんが)から始まって、「あの頃は、あーだった、こーだった」がたくさん蘇ってきて、おセンチになったり、ニヤニヤしたりして、これはタイムマシンに乗っておるようなもんじゃな! 
 その「ジャケ買い」も、音楽ソフトがCD化されてからは、あんまり無くなったもんじゃ。 なんせジャケットが小さくて迫力に欠けるからのお。 CDしか知らない世代の音楽ファンは、おそらく「ジャケ買い」の体験がレコード世代よりも少ないんじゃないかいのお。 そう考えると、わしらはいい時代に音楽ファンになれたってことじゃな! ではあらためて、「レコード万歳!」と叫んでから後編に入るとしよう!!



そのジャケにピン!ときたら「グッド・ロッキン・アルバム」
                             ~後編界


★ Part-6  良い勘と悪い勘と続けて的中! ★
●「ワン・ライブ・バジャー」「ホワイト・レディ」/バジャー■


 まずは、穴熊(バジャー)と名乗る、ヘンなネーミングのバンドからいくか。 「ワン・ライブ」の方のジャケのデザインは、70年代の英プログレのレコジャケを数多く担当した名匠ロジャー・ディーンじゃ。 過去と未来、自然と都市、現実と空想など、様々な相反するファクターを織り交ぜた幻想的な水彩画風タッチ・・・って、もう止めておこう。 わしはそんなに好きではなかったんじゃ。 でもわしの友人には、ロジャーのジャケというだけで無条件に買い集める輩も結構おったよ。 画集が発売されるほどの人気ぶりじゃったな。
 ロジャー嫌いのわしの場合、ジャケの魅力だけで手が伸びた唯一がコレじゃ。 「墨絵みたいな彩色」に惹かれ、才能をエラソーに誇示しないクールなプログレを連想したんじゃな。 ところがレコードを聞いてみたら全然プログレじゃない! 正統的なブリティッシュ・ブルース・ロックを、楽器の職人たちが随所にキメのプレイをかましまくるライブ盤じゃった。 しかもこれがデビューアルバムっつうから驚いた! デビュー盤がライブってのは当時は前代未聞!! スバラシキB級ブリティッシュロック・サウンド!
 「いい出会いをしたもんじゃあ~」と喜び、と同時に、自分の「ジャケ勘」を褒め称えたもんじゃ。 セカンドの入手も心待ちにしておったが、こちらのジャケは(→)「なんか紙芝居の絵みたいなヘンテコなセンスだな~」と思うたら、音の方も・・・。 悪い勘まで当たってしもうたよ。 


 Part-7  ジャケット文明開化時代に見過されていた、早過ぎた超名盤! ★
●「アゲイン」/バッファロー・スプリングフィールド

  ロックのレコード盤市場が、シングル盤からLP盤に本格的に移行していったのは、1960年代の後半じゃった。 しかもクラシックやジャズに対抗してだったのか、ロックのLP盤のジャケットはやたらとド派手!なもんが多かった。 デザインする側も楽しくてしょうがなかったんじゃろうが、サイケデリック調、アニメ調、ポップアート調・・・っつうか、あらゆる美術的画法の百花繚乱、いや粗製乱造か?! 来る日も来る日も極彩色飛び交うジャケとにらみ合っておったわしは、「よお七鉄、今日も色盲検査か!」なんて友人にからかわれたもんじゃ。 色盲検査とは言いえて妙、あっぱれじゃ!
 んで色盲検査のある最中に見つけて、「ほぉ、これは悪くないセンスじゃな」と思うたのがこれじゃ。 描かれておるのは天国だか理想郷だか分らんが、白色を効果的に使った構図や、彩度を落とした色使いに「安らぎ」を感じたんじゃろう。 それにどこかヨーロッパの香りもするのお~ということで、迷わずゲット。
 ところがサウンドは「安らぎ」なんか感じておる場合ではなく、とんでもない革新的な内容じゃった! アメリカのルーツ音楽を、ジャズ風、クラシック風、民族音楽風などに自由奔放にアレンジして、驚異的な実験ロックの世界じゃった! 同時期に発表されたビートルズの大傑作「サージェント・ペパー」よりも、わしはこっちを狂ったように聞きまくったもんじゃ。 スティヴン・スティルス、リッチー・フューレイ、ニール・ヤングといった後のアメリカン・ロック界を背負って立つ名ロッカーの若き日の勇姿がここにある!


★ Part-8 ジャケットはかく語りき! 「ライブ・サーキットこそ我らが命」 ★
●「モーニング・アフター」/J・ガイルス・バンド

 ムサイ男どもが肩寄せ合ってホテルの一室にたむろするフォト。 なにやらホモセクシュアルな感じもするが、どうやらライブ・ツアー中の憩いのひと時が撮影されたプライベート・フォトじゃろう。 カッコいいライブ・ショットもええが、わしはロッカーたちのこういうオフ・ステージの写真も大好きなんじゃ。 エルヴィスの数ある写真集でも、オフ・ステージの写真中心の構成モノの方がいろんな発見があるし、見ごたえもあるからのお。
 それでこのジャケットじゃが、ライブ盤でもないのに「ツアー中の写真を掲げるってことは、ライブ命!を座右の銘にしとるからではないか?」と勝手に解釈してゲットしたところ、まさに慧眼!(自画自賛してどうする!) ライブの連続でのし上がってきたことを証明するような、R&Bの古典的エッセンスが凝縮された純度200パーセントの屈強のロックン・ロール・アルバムじゃった!
 以降のアルバムは無条件で買い続けたもんじゃが、わしの周りでこのバンドを聞いとるヤツはほとんどいなかったのお。 そして「ジャケ買い」をしてから13年後、1985年にJ・ガイルス・バンドは解散してしもうた。 きらびやかなMTV全盛時代なんざを生き延びるつもりはねえっ!とばかりの結末のようで、わしはその潔い解散劇に密かに拍手をおくったもんじゃ。


★ Part-9 ジャケットはサウンドほどに物を言う! ★
●「ニューヨーク・テンダベリー」「イーライと13番目の懺悔」/ローラ・ニーロ


 雨が降ろうが槍が降ろうが、飽きることなくレコードショップに日参しておったわし。 当然、気分がハイな時もあったし、ダウンしておる時もあった。 個人的な理由で目茶苦茶ダウンしていたある日(単なる二日酔いじゃったかな?)、自分よりももっとヘヴィーな精神状態で作られたヤツを聞かないと救われんな・・・という時に見つけたのがこの2枚。 「この女性、わしよりずっと苦労してそうじゃのお~」と直感したもんじゃ。 目にした瞬間に、いてもたってもいられなくなってしもうて即買いしてしもうた。
 そして「ニューヨーク・テンダベリー」から先に針を落としたが、つぶやきとパワーヴォーカルとが交互にやってくるような、あまりにも狂おしい超個人的ブルースにわしは打ちのめされた! 伴奏のほとんどがしめやかなピアノだけなんで、もうわしだけに唄ってくれておる(訴えられておる)と錯覚するほどのドストライクな迫力は、わしのチンケな悩みなんざ吹っ飛ばしてくれよった! 哀しみが哀しみを救う・・・うまく言えんが、そんな1枚じゃ。 
 「イーライ・・・」の方は、「ニューヨーク・・・」の裏盤という感じで、ジャケに写る憂いを帯びた伏し目がちな表情が物語るように、超情熱的な女性のつつましやかな一面を感じるような、スロー・ブルースの静かな恐怖が漂う佳作。 
 余談じゃが、93年の初来日公演はには、長い間通信教育を受けていた憧れの女性教師に会いにいく気分で出かけたのじゃが、まるでビヤ樽のように太ってしまっていたローラに閉口・・・神は時には残酷なことをするもんじゃ。


★ Part-10 三つ子の魂百まで! ジョン・レノン・ロックの真髄、神髄 ★
●「心の壁、愛の橋」/ジョン・レノン
 
  ジョン・レノンの様な超ビッグ・ロッカーの作品に対して「ジャケ買い」もへったくれもないところじゃが、わしはジョンのソロ・アルバムって、最初の「ジョンの魂」以外は全然興味なかったんじゃよ。 政治がどーした平和がどーしたヨーコ大好き!って、わしにはカンケイねーじゃった。 不思議なもので、ジョン・レノン級の情報でさえも、興味がなくなるとまったく耳に入ってこなくなるもんじゃ。
 そんなある時、このジャケを見て衝撃が走った! インディアンが馬にまたがり銃を構えている絵は、ジョンが少年時代に描いたらしいんじゃが、タッチや色使いとかじゃなくて、わしが驚いたのはその構図じゃ。 
 普通、子供がこういう絵を描く時は、走っておる馬を横向きに描かんか? それがまっ正面から描かれており、見ておる者に銃が向けられておる構図じゃ! この恐ろしいまでに攻撃的な絵に、「このアルバムは間違いなし!」とわしは踏んだ!
 結果、予想は大的中!絶対にジョン・レノンしかデキない、聞く者の心のひだに食い込んでくるへヴィーなバラードとロックン・ロールが凝縮した、わしにとってはジョン最高傑作の1枚となったのであ~る!


 2回に渡ってお届けした、七鉄の「ジャケ買い」の思い出バナシ。 良い思い出ばかりを書いて、まるでタコのパウル君ばりの予知能力の持ち主みたいに語ってしまったな。 じゃが 「ジャケ買い」で幸せな思いをするのと同時に、それなりの無駄買いもしとる! ジャケに惹かれて買ったら、サウンドの方はバツってパターンじゃ。 じゃがわしの場合は、失敗例よりも成功例の方が確率がかなり高かったことは事実じゃな。
 でも不思議なのは、確かにアルバイトをいくつも掛け持ちしながら資金を作ってはいたが、決して潤沢な額ではなかったはずなのに、ナンデ昔は「ジャケ買い」なんて生活を脅かす危険な行為が続けられたんじゃろう。 当時から酒はよお飲んでいたし、ファッションにも気を配っておった。 GFとデートの時は空威張りしてよお奢っとった。 それに一人暮らしで生活費はそれなりにかかっていたわけだしのお。
 やっぱり、好きなことに注ぐ情熱ってのは、不可能を可能にしてくれるもんじゃのお~。 情熱があれば何でも出来る! 情熱に更なる火をつけるためにも、まずはイタリアン・カラーシャツで身支度整えてグッドロッキンせよ! The-Kingのアイテムにおいては、失敗例はなく、衝動買いしても、更なる衝動、感動がひたすら待っておるぞ!!  



七鉄の酔眼雑記 ~お相撲さんも色々と大変じゃが・・・

 スポーツ観戦大好きのわしじゃが、当然大相撲観戦(鑑賞)もかなり年季が入っておる! だから、野球賭博問題で現在開催中の名古屋場所がテレビ鑑賞できんのは、非常に残念じゃ。 「野球賭博」ねえ・・・この件に関してはわしはノーコメントとしておきたいが、この事件を機に相撲界全体を大粛清するらしいので、そっちの方でちょいとばかりお願いしたいことがある。
 ひとつは、お相撲さんにもっとインタビューの受け答えの勉強をしてほしいぞ。 取り組み直後で息が上がっている最中の勝利インタビューは楽ではないだろうし、迷惑なのかもしれん。 でも、いつまでたっても「一日一番集中するだけ」「自分の相撲を取り切るだけ」ばっかりじゃ。 中には聞かれたことに対して「よく覚えてません」ってのも多い。 こんなアホな受け答えがまかり通っておるのは相撲界だけじゃぞ、バカモノ! プロ野球選手やJリーガーがそんなこと言ってみい。 それこそ「アホバカマヌケetc」と白痴呼ばわりされるぞ。 相撲協会よ、外部有識者とやらに頼んで、まずはマニュアルを作ってやれ、マニュアルを!
 それからもうひとつ、こっちが本命じゃ。 昨年の夏場所開催中じゃったか、山の手線の中でわしは異様な光景を目にした。 それは着物姿の若手お相撲さん3人がドテッと座席シートを占領しておったのじゃ。 3人とも身長185センチ、体重150キロくらいで、こんなん3人が座ってしまうと、座席シートはもう5~6人分くらいは埋まってしまう。 しかも両腕を組んで両足をめいっぱい広げてエラソーにふんぞり返っておる。(ように見えた)
 時刻は夕方の5時くらいじゃったので、車内はそれなりに混んでおったが、その巨体三縦列行為に乗客は呆れ返っており、そして怯えておる様子じゃ。 お相撲さんとはいえ我々と同じ人間だし、「電車に乗るな!」「乗るなら座るな!」とは言えん。 しかし土俵を降り、一般社会に入り込んだらどういう風に見られてしまうのか、それを自覚してほしいものじゃ。 それが「人気商売」に携わる特殊な人間に課せられたエチケットではないじゃろうか。 ひょっとしたらファンかもしれん一般人を威嚇してどうする!
 「テメーら、ノーミソまで筋肉なんじゃねーのか」と、ムショーに腹が立ったわしは、3人の力士の正面に座って思いっきり睨みつけ、注意をしようかどうしようか、そりゃ~迷ったぞ。 でも腹が立った時って、良い言葉が浮かんでこないもんじゃ。 考えあぐねておる内に力士3人は降車しおった。 その途端、他の乗客は安心したような顔で、彼らが占領していたシートに座り始めたのじゃった。
 わしが相撲界の「いい加減さ」「だらしなさ」を肌で感じ取った忘れられない一日じゃったが、こういう基本的倫理教育をこれからの相撲協会にはしっかりと実行していただきたい。 貴乃花理事は「相撲道の教育」とよく言っておられるが、その前に「相撲取りとしての正しい姿勢」を教えなさい!




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