ROCK FIREBALL COLUM by NANATETSU Vol.29



 「もしもぉ〜し」っと言いたいところじゃが、わしはまだまだ実にバカンスに忙しい身じゃ。 外地で奮闘する旧友を訪ねまわっとるので、移動距離はハンパじゃないし、各地で想定外の歓迎を受けとるぞ〜♪ そして訪れる街の数だけ新しい出会いもあり、それが旅を続ける最大の原動力なんじゃ!
 新しい出会いといえば、そのきっかけの大半はわしのナッソー&ピストルパンツじゃ。 当然お相手はフィフティーズ&ロック・カルチャー愛好者が多いが、今度ばっかりは、何故か「ベトナム戦争体現者」という特異な経歴の持ち主が多い。 「類は友を呼ぶ」とは言うが、わしは戦地体験も無ければ、ましてや戦争賛成者でもタカ派(戦闘的政治思想派)でもない。 これは旅の神様がわしに“何か”を感じさせ、それを諸君に伝えよとおおせられているとしか思えんのじゃ。
 そこで今回は、とびきり印象的な新しい出会いを諸君に紹介するので、戦争や平和、そしてロックやファッションというものが一人の人間の人生に与える強い影響つうものを感じてもらいたい。 どうかビールでも飲みながら楽しんでくれたまえ。  
 



七鉄は旅先で考えてる その二
戦争と平和とロック・ファッション〜七鉄のオシャレは友を招く!


エディコクラン
出会いその1 フラップ・シューズ編
             〜“果てしなき戦い”に生きる元戦場カメラマン

 「グレイトな飲みっぷりじゃのお〜」
 「オレの足が吹っ飛ぶ前に、そのイカシタシューズを履いてみてえ」
 ヤツとの出会いは、こんな会話じゃった。 排気ガスが充満した大都会のオープンバーで、真っ昼間からビールをチェーサー代わりにしてウイスキーをあおり続けておった元戦場カメラマンじゃ。 「俺の中の戦争はまだ終わっちゃいねえ」ってことで、今ではボランティアで東南アジアの地雷撤去活動をしているらしい。
 わしの足元を飾るフタ付きが、自分の足がいつ吹っ飛ぶかも分からないヤツの恐怖をしばし忘れさせたってことじゃ。 それだけではないぞ。 フラップシューズの機能性(動き易さ、耐久性)のスゴサもバッチシ見抜いておったぞ! さすがは機動力が勝負の元カメラマンじゃ。 ホンモノはホンモノを知るってことじゃ。 しかし「ロックってのは、戦場での恐怖に耐えるために精神を高める劇薬だった」というコトバが悲しかったのお〜。



出会いその2 ピストルパンツ編〜戦争の遺産を再生する片腕の工場長

 「オマエさんの(ピストル)パンツに合うヤツも探してやろうか?」
 ヤツは灼熱の片田舎の市場で巨大な衣類の山と格闘しておった。 わしは、右腕一本でスゴイスピードで服をピックアップするヤツの芸当に見とれておったんじゃが、いつの間にかわしのパンツをしっかりチェックしておったのじゃ。
 ヤツがピックアップしていた服は、デザインはいいがビッグサイズのものばかり。 それらのサイズ直しをする縫製工場の経営者兼工場長っつうのがヤツの正体じゃった。 戦地で左手首から下を失ったらしいが、この仕事は自らの戦場体験へのオトシマエってとこなんじゃろう。 儲かってはなさそうじゃが、イキな生き方だとわしは感動した! 工場長だけあって、わしのナッソーやピストルパンツの縫製具合まで素早くチェックして「グレイト!」を連発しておったぞ! 「日本のロックファンはこんなゼイタクなファッションをしているのか! いい時代になったもんだ・・・」。
 ヤツの昼休みに二人でビール1ダース空けた。 別れの挨拶はやっぱり、
「飲みすぎに注意しろよ」 「お互いにな!」。 


出会いその3 ホースシューリング編〜姿無きヒットメーカーとその情婦
 しこたま飲んでタクシーでホテルへ帰るある夜、閑静な住宅地の中に突然小さなバーの看板とジュークボックスのライトが飛び込んできた。 住宅地にバー? 飲み足りなかったわしはタクシーを途中下車して立ち寄tってみると、そこは20畳くらいのフィフティーズ風のバーじゃった。 行き場を失ったような老紳士が二人、黙ってバドワイザーを飲んでおる。 
男は黙ってサッポロビールってとこなんじゃが。 BGMはエルヴィスの「リコンシダー・ベイビー」じゃホースシューリングった。
 オールドスタイルのジュークボックス、家具、道路標識、ポスター、雑誌、ビール缶、ネオン管で店内はびっしり。 その数もディスプレイのセンスもタダ者の仕業じゃない。 ママに尋ねると、オーナーは元ベトナム戦士で、73年代に痛烈な反戦歌としてナンバーワンヒットとなった「ビリー・ドント・ビー・ア・ヒーロー」のバンドメンバーらしい。
 やがてママはオーナーとの思い出話を語り始めて泣き出してしまった。 どうやらこれだけの品と店を慰謝料にされて捨てられたらしい。 「それ、成功の印だったわね。 彼もしてた・・・」そう呟いたママの視線の先はわしのホースシューリングじゃった。 日本人の来店はわしが初めてだと言ってウイスキーを1杯ご馳走してくれたママ。 いつの日か、彼女にペアのG−ホースシュー・リングを捧げる男が現われることを祈ろう!


ナッソージャケット
出会いその4 ナッソージャケット編
   〜戦争特需の街で生き残ったギターマン

「金はねえが、こいつがチップじゃ!」
 わしが自分のナッソーを気前よく譲った場末の老ギタリスト。 着古したGジャンの襟にはりついているネイビーバッヂが鈍い光を放っておった。
 太平洋側に位置する都市には、ベトナム戦争の特需で突如として賑わい、その流れで今も観光地としての生命を保っている場所が点在しておるが、そんなある街の小さなライブハウスにヤツはいた。
 マニアックな演奏だからかどうかは知らんが、わしが偶然入店した時は客はたったの3人。 でもプレイは相当イカシテおった。 フラットピックと自分の指を同時に使いながら、すさまじいテンションでプレイしておった。 ヤツはわしのナッソーに目ざとく気づいて休憩時間に近づいてきおった。
「オメエさん、ロックってのを分かってんのかい?」
「分かんねえけど、アンタが“戦場のジョニー・キャッシュ”だったってことぐらいは分かるぜ」
「ヤロウ! 口だけは達者だな」(笑)
「今夜はわしのためにしっとりとジミー・ロジャースをやってくれ」
ヤツがプレイしてくれた「エニー・オールドタイム」はTHE-KINGのナッソー5着分くらいの輝きがあった!
 ※ジミー・ロジャース〜1940年代から活動していたカントリー・シンガー。 「エニー・オールドタイム」は1930年代に書かれたと伝えられている。




七鉄の酔眼雑記  「バンガンスムニダア〜♪」

 旅から旅へ、友また友、のバカンスレポート。 紹介ついでに、今回の旅の出会いの中で最大のサプライズになるであろうネタも明かしておこう! なんと!、わしは北朝鮮の謎の美女軍団「喜び組」に遭遇したぞっ! いかにわしが有名人とはいえ(笑)、“偉大なる将軍様”と称される人物に招待を受けた訳ではな〜い。 最近の北朝鮮は、外貨獲得政策のひとつとして、多少の国交がある国でレストラン事業を展開しており、わしは偶然にもそのお店に足を運んでしまったということじゃ。
 そこには接客とショータイムのために、あの「喜び組」が派遣されておったのじゃ。 元々の美貌もさることながら、約一時間に渡って披露された彼女たちの歌、踊り、楽器演奏はオミゴト! 朝鮮半島伝統のにごり酒「マッコリ」にハマって浴びるように飲んでいたわしも、彼女たちの全身から発せられる鍛え抜かれ、研ぎ澄まされた美のオーラに、杯を忘れて見とれてしまった。
 その筋に詳しい友に言わせると、彼女たちは「喜び“C”組」ぐらいらしい。 A組、B組は将軍様とその側近者や賓客の接待に忙しく、海外事業に派遣されるのはC組、つまり3軍レベルの美女らしい。 3軍でもこの美しさ! んじゃあ〜1軍ってのは一体どうなっとるんじゃあ〜!!

 しかしのお〜、英語で話しかけたら、伏目がちに「英語はあまり話せません」と答えた彼女たち。 本当は「話すことは許されておりません」なんじゃろう・・・。 世界は広く、人間は自由であるはずなのに、彼女たちはどこへ行っても「籠の中の鳥」なんじゃ。 厳しい監視の目から逃れることは出来んのじゃろう。 あの美しさに自由というスピリッツが加わったらどんな輝きを放つことになるんじゃろうか。
 ショータイムの一曲目「バンガンスムニダ」(お会いできて嬉しいです)でのあまりにも美しいハモリ。 その奥底に宿る、恐らく彼女たち自身も気が付いていない深〜い悲しみを聞いてしまったわしであった。 次回はそぉっと「サマータイム・ブルース」とか「ハウンドドック」とかのCDを進呈してみるかのお〜。

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