ROCK FIREBALL COLUM by NANATETSU Vol.27


 メジャーリーグで活躍中のマツザカ君が所属するレッドソックスの地元ボストンでは、彼は「DICE-K」とネーミングされておるようじゃのぉ〜。 ファーストネームDAISUKEと、奪三振の略式表現「K」を巧みに組み合わせたアメリカ人らしい、実にシャレのきいたネーミングじゃな。
 ところが折角のこのシャレも、日本では単なるダシャレとしか思われていないようなんじゃ。 先日もどっかのスポーツ番組のアホなアナウンサーは「なんでサイコロなんですかねえ・・・」なんて無知なアナウンスをしておったゾ。 分かっとらんな〜。 華のTVアナウンサーからしてこのザマじゃ。 まあフィフティーズ・ファンの諸君の中にはそんなタワケモノはおらんとは思うが、ここは一発、マツザカ君の今後の大ブレイクを祈願して、この七鉄が今一度「ダイス(サイコロ)」つうアイテムをきちんと説明してしんぜよう。 マツザカ君の活躍によっては、ダイスは2007年のシンボル・アイテムになるかもしれんぞお〜。 THE-KINGのラインナップには、ダイス・アイテムは既にぎょうさんあるぞ。 ついに時代がTHE-KINGに追いついたってことじゃなっ!


Hey, Everybody ! Come on Tumbling Dice !!
 フィフティーズ・シンボルの重要アイテム“ダイス” に込められた真相を探ろう!

                             


 ダイス(サイコロ)というブツは、誰でも“カラ〜ンコロ〜ン”“チンチロリ〜ン”と手軽に扱えるギャンブル・アイテムというイメージがフツーじゃ。 しかも世界どこに行ってもダイスはあるので、なかなかアメリカン・フィフティーズのイメージに直結しないのではないじゃろうか。 
 その一方では、世界各地の古代遺跡から様々な形状のダイスが出土されていることで、その発祥起源、原型がいまだに解明されていないミステリアスな物体でもあるのじゃ。 なんでも、原始時代に動物の骨で作られたダイスも出土されているらしいぞ。 う〜ん、原始人もギャンブルをやっとったんか? いや占いに使っとったんじゃろうか??  
 まあ誰が何の目的で最初に作ったのかなんてことはカンケーなく、結局は世界共通のギャンブル・アイテムとして長い歴史を積み重ねて来たってのがダイスの実態じゃ。 じゃがアメリカの場合だけは、ダイスに対する一般的な認識のされ方ってのがかなり異質なんじゃのぉ。

 それはやはり1950年代から始まったのじゃ。 何も「クラップス」や「バックギャモン」といったダイス・ゲームが50年代にアメリカで大流行したって訳ではない。 一種のフィフティーズ・マジックとでもいうか、それまでのギャンブルのシンボルから、当時のイキな若者たちの感性によって、ダイスはいわばスリリングなチャレンジ精神のシンボルに生まれ変わったのじゃ。 「見果てぬ夢」への限りなき憧れ、自由を愛する燃え上がる男心がダイスというアイテムに投影されたのじゃ。 物本来の意味合いや魅力を、ちょっと見方を変えて特殊なニュアンスに変異させてしまう、アメリカ人特有の遊び心の仕業じゃな。

 ではなぜダイスのイメージが50年代になって劇的な変貌を遂げたんじゃろうか? それは50年代の若者たちが“home sweet home”という合言葉に代表される、故郷や家族への強い愛情よりも、ホームタウンを離れて見知らぬ土地へ旅にでるロマンや開拓者精神の方に強い憧れを持つようになったからじゃよ。 もちろんその背景には、ロックンロールの出現という大事件が深く関係しておる。
 いつの時代も若者は、自分のスピリッツをシンボライズするアイテムを求めるものじゃが、50年代の先鋭的な若者にとって、その代表的なアイテムがダイスになったんじゃな。 人生つうものを、自分の力だけではハンドリングできないスリリングでミステリアスなローリングと捉える彼らは、転がり続けてどんな目が出るか分からないダイスは、自分たちのスピリッツにピッタリだったのじゃ。
オッホン!
◆memo◆
 ダイスが大胆にあしらわれたレコード・ジャケットというのは案外少ない。

 上の写真は、わしが知りうる限り、もっともダイスが大きく、デザインとして美しく使用された「クラップス」をモチーフにしたダイス・デザインの傑作ジャケット。
 70年代に活躍したブリティッシュ・ブルース・バンド、バッドカンパニーのセカンドアルバム「ストレイト・シューター」じゃ。(74年発表)

 ちなみにバッド・カンパニーのヴォーカリストであるポール・ロジャースは、エルヴィスと並び評されるほどの稀代の名ロック・ヴォーカリスト。 フィフティーズ・ファンも要チェックじゃ。


 そして時代を圧倒したロック・スターたちの軌跡やライフスタイルが、まさに転がり続けるダイスのようでもあったことも、ダイスのフィフティーズ・イメージ化に拍車をかけたんじゃ!
 ロックってのは、約束された将来の小さな幸せに背をむけて、人生の新しい刺激と夢をつかもうとする若者のための新しい音楽じゃ。 MTVもインターネットもない50年代では、ロッカーたるものはまず故郷を後にして、明けても暮れても見知らぬ土地でライブを行うことが、たったひとつの成功への方法じゃった。
 だから、途中でギブアップすることもある。 酒とオ○ナに溺れて道を外れることもある。 野垂れ死ぬことだってある。 一夜明けたら大スターへの道が開けていたってこともある! 修行の途中で何が起こるか分からない、一寸先には闇も光もある、それが当時のロッカーのライフスタイルだったのじゃ。
 やがてロックやロックスターの影響力がアメリカ全土に拡大するに従って、ダイスはフィフティーズ・アイテムとともに、重要なロック・アイテムのひとつに仲間入りしたって訳なんじゃ。 そしてそのダイスに込められたフィフティーズ&ロッカーのスピリッツは現代でも健在であ〜る!

 ではついでに、わしの私論、独断もかましておこう。 50年代はヒーロー&ヒロインがぎょうさん登場した時代でもある。 それはロックスター、映画スターといった人間のヒーローだけではなくダイスシルバーネック、男性ならロケットやキャデラックなど。 女性ならダイヤモンドや豪華な衣装など、スケールの大きい“ブツのヒーロー”たちも続々と登場した。 ヒーローは庶民の生活を限りなく刺激し、また人生を激しく左右する。 ギャンブルに例えれば、 ヒーローはシューター(ダイスの投げ手)であり、庶民はシューターの腕前によって出される目が変わるダイスじゃ。 庶民の命運はヒーローの手の中にあったってことじゃ。 そんなヒーローと庶民との関係性、時代性のシンボルとしてダイスが着目されたんじゃろうと踏んでおるが、諸君、どうじゃろう? 今度渡米した際に、「大亜米利加音楽歴史研究協会」のミスター・イシアタマ名誉理事長に伺ってみるので、その報告を心して待つように!


 ここまで読んでいただいた方なら、マツザカ君の「DICE-K」の真意をお分かりじゃろうな。 ダイスが引用されたのは、単なるシャレではなく、「コヤツはどんな目を出すか、何をしでかすか分からない、スリリングでミステリアスなジャパニーズだ」という大いなる期待が込められておるのじゃっ! マツザカ君を応援しに渡米する熱心なお方は、是非応援アイテムとしてTHE-KINGのダイス・アイテムを身につけていくように。  薬指にはホースシューリング、更に胸元にホースシューペンダントをかませば、天下無敵じゃっ! マツザカ君においては、パーフェクトゲームとか大記録の達成間違いなしじゃ! もちろん、ダイス・アイテムを持参した諸君自身の人生にも、輝かしい刺激と夢が待っておる! 



七鉄の酔眼雑記

 「DICE-K」に込められた真意からフィフティーズ・スピリッツの一端に迫った今回。 賢く好奇心旺盛な諸君のことだから、バッチリ理解してくれたことじゃろう! そんな諸君の聡明な感性に敬意を表して、「DICE」の次の「K」の方もついでに説明しておこう。
 「K」っつうのは奪三振の略語のようじゃが、正式には文字ではなく記号じゃ。 ベースボールのスコアブックに三振を書き表す際、縦線1本、その右上から縦線に向って斜線1本、右下からも斜線1本、計3本の線で描かれる。その形がアルファベットの「K」に似ているのが所以じゃ。
 さて、ノモ君やマツザカ君の奪三振ショー、イガワ君の本名(慶=けい)など、メジャーの日本人投手は「K」と縁が深いが、そもそも奪三振が一般的に「K」と呼ばれるようになったのは1984年からじゃ。 ニューヨーク・メッツに突如彗星のごとく出現したドワイト・グッデンという剛速球投手が驚異のハイペースで三振のヤマを積み上げることに熱狂したファンが、「K」と書かれたボードをぎょうさん振りかざして応援したことが始まりじゃった。
 同年春、わしはアメリカ東海岸ほっつき歩きの旅をしとったが、不運にもグッデンが登場するわずか二週間前に帰国してしまったので、歴史的な「Kの熱狂」とはすれ違いじゃった。 今月末からの旅は、いっちょマツザカ君のいるボストンまで足を伸ばすかのお〜、ってその前に大酒で資金が底を尽いてしまうかもしれん・・・。 
 いずれにせよ、いよいよ一週間後は日本を出発じゃ。 次回はインターネットっつう便利なシステムに乗っかり、旅の空からお目にかかろう。 では諸君ゴキゲンヨウ、じゃ!

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