ROCK FIREBALL COLUM by NANATETSU Vol.24


 先日後輩から嬉しいプレゼントがあった。 訳あって少々仕事を手伝ったんじゃが、その礼の品が届いたんじゃ。 まず酒! わかっとるねえ〜♪ 紅芋焼酎とかで季節限定醸造の希少品じゃ。 そしてシャレたことに絵画の展覧会の招待状も添えられておった。 その展覧会とは、今月7日から開催される「モディリアーニと妻ジャンヌの物語展」じゃった。 
 実はわし、このモディリアーニという20世紀の巨匠の大ファンなんじゃ。 その独特の画風がわしの感性にフィットしたことはもとより、そのアートに対する真摯な姿勢や悲劇的な生涯が多分に古典的なロッカーのイメージそのものであり、風貌も実にイイ男なんじゃな。 過去2回にわたって一流映画スターを配して伝記映画が製作されとるほどじゃ。 諸君の中には、画家とロッカーってのがイメージとして一致しない輩も多いことじゃろう。 そこでロッカーよりももっとロッカーらしかったイタリア人画家、アメディオ・モディリアーニの生涯を紹介してしんぜよう。 絵画に興味がなくとも、ロッカーなら必ずモディリアーニという人物に興味を持つことは間違いなしじゃ!


悲劇的に逝った画家。 
時は20世紀初頭、ロックン・ロール誕生よりもはるか前に
ロッカー的ポリシーをもった男がいた!

“エコール・ド・パリの貴公子” アメデオ・モディリアーニ


 
まず、モディリアーニってのはどんな画家だったのじゃろうか。

酒とドラッグに浸りながらも芸術活動をバク進。
その作品は常識や歴史を覆すような超先鋭的なものばかり。
己の信念は絶対に曲げず、安易な儲け話には耳を貸さない。
それゆえにビンボーはしてはいるが、画壇からは驚異と羨望のまなざしを浴びる。
やたらとハンサムで、貴婦人から娼婦までモテにモテまくる。
そんな真実一路の人生の唯一の理解者は、同じ画家でもある心優しい美人妻。
しかし妻の献身的な支えもむなしく、栄光を知らずに36歳の若さで夭折する。
残された作品は死後何年も経って世界中で評価される・・・。

 これはモディリアーニの伝記映画「モンパルナスの灯」で描かれておった本人の生涯じゃ。 どうじゃ、諸君。 一度はこんな生涯に憧れたことがあるじゃろう。 ロック版のカッコいいってことのひとつは、こーいうことではなかったかのお〜。 左上の写真は現存する唯一の正装写真らしいが、時代を越えてTHE-KINGのナッソーまで颯爽と着こなしてしまいそうな、気品と男のダンディズムが漂っておるのお〜!

 「しかし所詮は映画の中で描かれた生涯だろう」って早合点してはいか〜ん! この映画のストーリーってのが実はほとんど事実だったんじゃよ。 映画はモディリアーニの死後30年たった1958年に公開されたが、モディリアーニの知人たちや妻ジャンヌの遺族は、この映画に一切クレームをつけなかったという。 多少の脚色以外はほぼ真実であり、モディリアーニの崇高な芸術精神の真髄が描かれた秀作という評価が下されたことはあまりにも有名じゃ。 

 驚くのはまだ早いぞ、諸君。 映画の凄まじく劇的なストーリーが事実というだけでも仰天ものなのに、モディリアーニの生涯には、さらに強烈なエピローグ(終章)が用意されておったのじゃ。 夫の死に絶望した妻ジャンヌは、夫の死後二日後に後追い自殺をしてしまうんじゃよ。
 モディリアーニとジャンヌのカップルは、まさに20世紀版「ロミオとジュリエット」であり、今なお「夫婦愛の物語」が展覧会化される“究極の愛のシンボル”となったんじゃ。 もうどーしようもなくカッコよく、美しく、そして悲しい人生だったんじゃな。 このお二人は一緒に埋葬されとるそうじゃが、こういう運命のカップルにこそ、G-HORSESHOE-RINGをペアで捧げたいもんじゃ。


 映画「モンパルナスの灯」でモディリアーニに扮するのは、当時のヨーロッパ映画界でも最高の二枚目俳優と評されたジェラール・フィリップ。 妻ジャンヌを演じるのは、後に知性派の大女優となるアヌーク・エーメ。
 ではモディリアーニのライフスタイルや信念を曲げないカッコよさにじ〜んとくるシーンをいくつかご紹介しよう。。
 
 その一  モテまくるモディリアーニに街の女たちが次々とモデルを申込んでくるが、彼は言い放つ。 「俺は似顔絵屋じゃない。 画家だっ!」

 その二  
ある時化粧品の宣伝ポスターに作品を起用したいという要請があり、待望のギャラが入りそうになるが、その要請をあっさり断る。 「俺は化粧品を売るために絵を描いているんじゃないっ!」

 その三  
酒を飲むと必ず新しいアイディアが浮かぶのか、酔った眼差しで鏡を見てつぶやく。 「さあこれで新規巻き返しだっ!」。 そして鏡に酒をグラスごとぶちまけるっ! (わしはこのシーンを真似しすぎて、何度グラス代を請求されたことか!) ちなみにわしの場合はいいアイディアは浮かばず、グラスを投げるだけのヤケ酒じゃった・・・。
 
 またその特異な画風ゆえに、作品も人格も社会には理解されない胸がつぶれそうになる悲哀のシーンも数多くあるんじゃ。
 これらのストーリーがほとんど事実という予備知識をもって鑑賞すれば、誰もが心臓が凍りつくような衝撃を受けるだろう。
 さらに信じられないことじゃが、映画の主役をはったジェラール・フィリップまで、映画公開直後に病死するというハプニングが起こっておるのじゃ。 一体モディリアーニってのは、天使なのか、悪魔なのか・・・。


 モディリアーニの生きた20世紀初頭という時代は、ヨーロッパの画壇で新しいブームが巻き起こり、若い画家たちが伝統的画法やテーマに背を向けて新しい世界をごぞって追求した時代じゃった。 それはフランス・パリのモンパルナスやモンマルトルに集まった芸術家たちのコミューンから生まれ、その活動とブームは「エコール・ド・パリ」と称されておった。
 「エコール・ド・パリ」の渦中の若き芸術家たちは、酒とドラッグと娼婦に酔いしれるボヘミアン的生活を好みながらも、芸術活動においては革新的な作品を次々と生み出していったんじゃ。 モディリアーニってのはその中でもとびきりすごい才能をもち、映画になるような生涯を送った伝説的な画家じゃった。
 

 どうじゃ、モディリアーニってのはすごいアーティストじゃろう。オッホン!  興味をもったら映画のDVDを入手したり、展覧会に駆けつけてみるのも結構じゃが、その前にイタリアンカラーのシャツをゲットせよ! 昨年公開されたジョニー・キャッシュ先生の「ウォーク・ザ・ライン」に描かれた夫婦愛も感涙モノじゃったが、アーティストとして真摯に生きることの凄まじさ、高すぎる愛の純度、というポイントに絞って観ると甲乙つけ難いデキじゃぞ!
 じゃがモディリアーニの不健康な
活習慣ばっかりマネせんようにな! そんなタワケモンにはジャンヌのような運命の女性は現われんぞ! マーガレット嬢に逃げられっぱなしのわしのようになるのがオチじゃわいってことで、諸君、実りある“芸術の春”を過ごしてくれ〜い。


七鉄の酔眼雑記


 豪放磊落ならぬ“豪咆酒乱”のわしのイメージとは裏腹の「絵画ネタ」で迫った今回のコーナー。 「野郎、ガラにもなく気取りやがって」なんて思う輩はまさかおらんだろうが、〆は諸君も大いに注目しているであろうボストン・レッドソックスの“マツザカ”ネタとしておこう。
 先日マツザカが早くもメジャー初勝利をあげたのお。 まあそれはさておき、わしは冷静に予想して、今年のマツザカの成績は13〜14勝とみた。 ノモ(1年目13勝)のようなウイニングショットがなく、またイシイ(1年目14勝)のような変則投法でもないが、直球と複数の変化球とを独特のセンスで使い分けるバランス感覚があるので、まずはノモ、イシイと同格の数字を挙げてみた。
 じゃが数字以上にわしがマツザカに期待しとるのは、メジャーリーグで真っ向勝負する姿じゃ。 日本人特有の器用さや俊敏性で「アメリカ」をかく乱するのではなく、マツザカはデカいメジャーリーガーとがっぷり四つの勝負が出来る数少ないオーソドックスな日本人プレイヤーだからじゃ。
 別にノモのフォークやイチローのテクニックが物足りないと言っているわけではないんじゃ。 ノモやイチローのアメリカ人にはない日本人の個性が認められた今こそ、「アメリカ」をもっともっと納得させるために、力と力の勝負に勝ってもらいたいんじゃ。 この部分ではヤンキースのマツイが悪戦苦闘しているだけに、マツザカには投手という側から再チャレンジしてもらいたい! 何勝したとか、三振をいくつとったとかよりも、胸のすくような豪快な勝負を期待しとるぞお〜。


GO TO HOME