ROCK FIREBALL COLUM by NANATETSU Vol.19
|
〜ロッカーたちの意外な素顔〜 ロック・ミュージシャンは「ウルトラ・シリーズ」が大好き! |
「ウルトラ・シリーズ」とは、諸君もご存知のウルトラマンとかウルトラセブンの特撮ヒーローシリーズじゃ。 「ロック・ミュージシャンがウルトラマンのファンだとお?」と諸君もおおいに首をひねることじゃろうが、この際だから360度首をひねっておきたまえ! この話を聞かせてくれたのは、今から10年ほど前、わしがアジアの某国をほっつき歩いている時に、偶然知り合った某大金持ちのS氏じゃ。 その国でも有数の資産家の長男であるS氏は、1960年代の初頭に日本に留学した後、日本のテレビ番組制作会社に特別就職したそうなんじゃ。 その会社とは、ウルトラマンを生み出した円谷プロダクションじゃった。 S氏はウルトラマンをはじめ、多くの怪獣や宇宙人の制作、撮影現場で長らく仕事をしとったそうじゃ。 |
やがてS氏が帰国して20年近くが経過した後、S氏の祖国に大バブル時代が到来し、海外のビッグなロックミュージシャンを招致するようになったらしい。 既に個人的に「ウルトラシリーズ」の大コレクターになっていたS氏はロックミュージシャンが来訪した時のメインアテンダーを担当し、お土産として試しに「ウルトラ・シリーズ」のビデオやグッズをぎょうさん用意したところ、意外や意外、大変に喜ばれたそうなんじゃ。 更に一度そのブツを手にしたミュージシャンたちは、その後何度もお忍びでS氏を来訪し、やたらと同様のブツを譲り受けていたというんじゃな。 S氏に言わせると、ロックミュージシャンたちは、主役のウルトラマンやウルトラセブンよりも、むしろ地球を破壊する怪獣や、侵略する宇宙人の方を俄然贔屓にしていたというから、これは何ともおもしろい話ではないか! ちょっと想像してみたらどうかの。 ライブで大観衆を湧かせたロッカーが、実は自分の部屋の中では怪獣が街をブッ壊すビデオに胸をときめかせているなんて、こりゃ〜何とも痛快じゃ。 じゃがよく考えてみると、事の真相はそんな単純な図式でもなさそうじゃ。 そこでわしが思い出したのは、ウルトラセブンの脚本を数多く書いていた故・金城哲夫氏という当時の超売れっ子シナリオライターが、脚本の中に、ある知られざるキャラクター設定をしていたと当時密かに噂されていたことじゃ。 |
|
それは、地球を侵略するためにやってくる宇宙人というのが、一般人もしくは金城氏の故郷である沖縄の人間。 そして宇宙人の侵略を受ける地球人は、権力側、体制側の人間、もしくは本土の人間という設定じゃ。 そして宇宙人が地球を侵略しようとする元凶は、科学を過剰に進化させて宇宙を強引に支配しようとする傍若無人な地球人であるということでもあるんじゃ。 破壊、侵略しようとする側には、彼らなりの列記とした理由があり、そうしたストーリーの根底をロックミュージシャンたちは見抜いていたということなんじゃろうか。 なにやら「ウルトラ・シリーズ」とロックミュージックとの共通点が見えてきそうじゃな。 大人じゃなくて若年層から火がつくというパターンも同じじゃ。 既成概念に息をつまらせ、新しい価値観、生き方を提唱するロッカーたちが、怪獣や宇宙人に肩入れするのも分かるってもんじゃ! 振り返ってみれば、キング・エルヴィスだって、メジャーデビュー当時は世間様から「悪魔だ!」「クレイジーだ!」ってやり玉にあげられ、快進撃を続けるエルヴィスは、大人から見れば街をブッ壊す怪獣と同じように見えたんじゃろう。 出来上がったものをブッ壊すってのは、ロックの原初的な魅力じゃ。 怪獣や宇宙人の活躍(?)を通して、ロッカーたちはロック本来の魅力を思い出していたのかもしれん。 また、正義を守るために闘っているのはウルトラマンやウルトラセブンではなく、実は怪獣や宇宙人の方であるとロッカーたちの目には見えたんじゃろう。ロッカーには新しい正義があり、それを貫くことは古い正義と闘うことじゃしな。 しかしまあ、日本語のセリフやストーリーが分からなくても映像だけでそこまで理解してしまう優れたロッカーの感性ってのはやはりタダモンじゃないのお。 |
キング・エルヴィスによってロックがブレイクした50年代、ウルトラマンが登場した続く 60年代という時代は、物質的に豊かになり、若者たちとロックをはじめとした新しい表現手段が表舞台で活躍することの出来た最初の輝かしい時代じゃ。 じゃが、その新しい表現手段に世の中の若者が浮かれる中で、本当に優れたロッカーってのは、「このままいったら、地球は終わりだ、人類は終わりだ。 だからオレたちは立ち上がるんだ!」ってコズミック(宇宙的、未来的)な視点で表現していたんじゃ。 恐らく当時のロッカーたちは、日本の「ウルトラ・シリーズ」という表現は知らなかっただろう。 じゃがその時代の遺伝子を受継いだ新しいロッカーたちが「ウルトラシリーズ」に魅了されているという事実は、ロック・ミュージックと「ウルトラシリーズ」のメッセージが共通していたことを何より物語っていると言っても差し支えないじゃろう。 ホンモノのロックってもんは、オレとオレの愛する彼女だけではなく、未来のブラザー&シスターまで幸福にするためのメッセージがあってこそゴキゲンなビートをつむぎ出すってことを、わしはアジア放浪中に遭遇したS氏による「ウルトラ・ロック談義」によって実感した!という訳であ〜る! ちなみにこの話をS氏から聞いた時、わしはまたまたロックミュージックの真髄を悟った! とジコマンして大いに盛り上がり、S氏の国のネオン街で飲みまくったことは想像に難くないじゃろう! でも怪獣のように暴れまくったかどうかは・・・そんなことまでは覚えておらんわいっ! 旅の恥はかき捨てじゃあ〜。 |
七鉄・雑記編 「ガンコ七鉄」コーナーにウルトラマン登場!? っつうなんとも意外なスタートに面食らった諸君もいたことじゃろうが、どうじゃ、楽しんでもらえただろうか。 実はわしも「ウルトラ・シリーズ」は好きなんじゃよ。 ちゃんと観たことのない人にとっては子供だましのC級アクション映画と同じなんじゃろうが、どっこい、ストーリーを吟味していくと、ハヤリのSFやノンフィクションよりはるかにレベルの高い、地球と人類に対する警告という名のメッセージの強い極めて予言的な作品ばかりなんじゃ。 意外といえば、わしもつい先日意外な体験をした。 このわしが珍しく接待を受けるという夜があり、しかも場所は今ハヤリの「キャバクラ」御殿。 この七鉄、いい年こいておおはしゃぎ! 「うおっほほ〜い! 今夜もおおいに飲むぞお〜」と気勢を上げたまではよかったんじゃが、テキトーに指名したキャバ嬢が、な、なんとロックンロール・ピアニストをやっとったんじゃっ! 最初はわしに話を合わせてくれているのかと思いきや、彼女シッテルシッテル、わしは驚いてしまった。 しかも歓談はヒートアップして、純粋な音楽談義から、エルヴィスの好きな食べ物は何? カールのお父さんの身長は何センチ? なんてとこまで質問攻めを受けてしまったんじゃ!!! 接待して下さったスポンサー殿の顔には「こんなとこでロックの話なんかしないで下さいよ」って書いてある。 スポンサー殿のアキレタ視線とキャバ嬢の矢継ぎ早の質問に、さすがにわしは途中から飲めんようになってしもうてのぉ〜。 しかしそのキャバ嬢はついに必殺の質問をわしに浴びせた。 「クラシックは譜面を再現すればいいけど、ロックってそういう音楽じゃないでしょう? ロッカーは死んだらその生の声は誰も再現出来ないでしょう? どうしたらロックの真実を未来に伝えていけばいいの?」 いやあ〜わしは、自分の年齢の半分にも満たない小娘の発言にノックアウトされてしまったわい。 その後、翌朝明け方まで某洋楽カラオケ店でわしの大シャウトが炸裂したのは言うまでもない! 彼女のシンプルでスルドイ疑問に答えるには身体をはるしかないって訳じゃ。 これぞ七鉄流キープ・オン・ロックンロールじゃ! さぁ〜て変則ハンドがきいた鋭いNassau羽織って、いつもの隅のボックスシートに腰を下ろすとするかのぉ〜諸君もわしに負けんよう、キープ・オン・ロックンロールしてくれいっ! |