8鉄風 ROCK COLUM by 8TETSU Vol.89
                                                                                       
              
             ラテン音楽の夕べ

 こんばんは、ベサメムーチョ8鉄です。
ラテン音楽、っていうと、なんとなく、夕べ、っていう言葉がすぐに出てきます。そんなタイトルのライブイベントがあったんだか、そんなラジオ番組があったんだか、覚えてませんけど。
20年くらい前には、夏に日比谷野音で、よくラテン音楽フェスティバルが開かれて、ルベン・ブラデスだのルベン・ブラデスだの、ルベン・・あれ?歳のせいかなかなか思い出せないが、昼間っからビール20杯くらいかっくらいながら、踊りまくってた記憶がありますね。
まあ、夜のサンバでも昼のフォルクローレでもいいのだけど、わたくしは、夕べっていう雰囲気が似合うラテン曲が好みなんですよ。
なんかおっさんの昔話になってしまいそうなんで、ま、この辺で。
ここに記したのは、ラテン好きな人にはよく知られている曲なのですが、あまり一般的というわけでもないので、ちょっとだけ、ご紹介してしまいましょう。

マリア・エレーナ(ロレンゾ・バルセレイタ)

「マリア・エレーナ」は、1932年に、メキシコの作詞作曲家ロレンゾ・バルセレイタによって書かれた歌曲。北米ヒット版の歌詞は、ボブ・ラッセルの作詞です。マリア・エレーナは、ラテン系の女性では大変に多い名前ですが、この唄で歌われたマリア・エレーナは当時のメキシコ大統領、エミリオ・ポルテ・ギルの奥さんです。
バルセレイタは、1898年の生まれ。作詞作曲家としてだけでなく、映画俳優としてよく知られる人物であったそうですが、マリア・エレーナが世界的大ヒットになった2年後、感染症(コレラ)により、わずか45歳で亡くなっています。
メキシコの楽譜出版社ピアー・ミュージックから発表されたこの曲が最も最初に使用されたのは、インストルメンタル版で、1935年のアメリカ映画「ボーダータウン」(主演はポール・ムニとベティ・デイヴィス)。翌年1936年には、歌唱を伴ったヴァージョンがメキシコ映画「マリア・エレーナ」で使用されました。
その5年後の1941年、アメリカのビッグバンド、ローレンス・ウエルク楽団によるレコード吹き込みがオーケーでなされ、同年のジミー・ドーシー・オーケストラによるデッカ吹き込みがビルボード1位(その後17週間独走)に。
そして、1958年、我が国でも有名なブラジルのギタートリオ、ロス・インディオス・タバハラスによるギター・インストルメンタル版が大ヒット。1963年に再度6位まであがるリバイバル・ヒットになり、20世紀を代表するラテン楽曲のスタンダードとなりました。
また、1972年には、ライ・クーダーがアルバム「ブーマーズ・ストーリー」でギター版を吹き込み、ロック音楽ファンの間でもよく知られた曲となっています。


アディオス・ムチャーチョス(フリオ・セサル・サンデルス)

1928年に、フリオ・セサル・サンデルスによって書かれたタンゴの名作です。
しかしながら、世界的にもっとも有名なヴァージョンは、英語版の歌唱を伴ったもので、1951年にルイ・アームストロングが流行らせました。これは、「アイ・ゲット・アイデアズ」というタイトルになっていて、ご存じの方も多いと思います。
しかしながら、本国のアルゼンチンで有名なのは、不世出のタンゴ歌手、カルロス・ガルデルのヴァージョンです。
もともとタンゴという音楽は、19世紀末に、ブエノスアイレスで生まれたダンス音楽で、歌はあまり重要視されてはいませんでした。今日でも、タンゴといえば、バンドネオンとバイオリンのダンス音楽のイメージを持つ方がほとんどだと思います。しかしながら、ガルデルは、1910年代からその美声と歌唱力で、大きな影響力を持つタンゴ歌手となり、世界ツアーを行ったり、イケメンぶりを活かして、映画俳優として人気を博したりしました。しかし、1935年、コロンビアで、飛行機事故に遭い、亡くなっています。

ラ・バンバ(伝承歌〜ソン・ハローチョ)

よーく知られているのは、1958年、メキシコ系のリッチーさんちのヴァレンス君がヒットチャートに持ち込んだ初期のロックソング・ヴァージョンです(ビルボードで22位)。
次にヒットしたのは、1987年で、ヴァレンスの伝記映画「ラ・バンバ」の中で、ロス・ロボスが歌ったヴァレンス版のカヴァー・ヴァージョン。(ビルボード1位)。
もともとは、メキシコのベラクルスで300年以上昔から歌われていた伝承歌。ベラクルス独特の演奏スタイル「ソン・ハローチョ 」の代表的な歌曲のひとつで、バイオリン、ハープ、ハラナ・ハローチョ、ギターなどで演奏されます。元々が大変にダイナミックで迫力のある演奏なので、ロックの創世記にアレンジしやすかったかもしれません。


 ミ・ディチャ・レハーナ(エミグディオ・アヤーラ・バエズ)


誰なの? このおとっちゃんは!なんて言ってはいけませんよ。1940年以降今日まで、南米のいろいろな国の歌手によって唄われ、ラテンアメリカ全域にわたるスタンダードとなっている名作「ミ・ディチャ・レハーナ」。
作者のアヤーラ・バエズは1917年にパラグアイで生まれました。この作品は1940年に書かれ、翌年の1941年、アルゼンチンのブエノスアイレスに於いて、フェリックス・ペレス・コルドーゾが録音しヒットになりました。
アルゼンチンでは、当時、バエズの名前が出ることなく、パラグアイの曲であることも公にされずにヒットした経緯があるそうですが、今日では、パラグアイ・アルパ(ダイアトニック式ハープ)を使った演奏スタイル「ガラーニャ」の代表曲のひとつとして定着し、各国で親しまれています。
ラテンアメリカ圏だけでなく、かつては、60年代にアメリカのヒット歌手ニール・セダカも吹き込んでいますし、今日の日本でも、上松美香さん(アルパ奏者)の演奏で有名。こちらは、「遙けき恋路」という粋な邦題が附けられています。
初恋の人に書いた「今は遠く過ぎ去った忘れられない幸せの日々を思い起こし、悲しみに暮れる心を救うのは、遠くへ行ってしまった君への想いだけだよ」という、恋と望郷の切ない唄。バエズは、ふるさとパラグアイから遠い、アルゼンチンで人生を送りましたが、80年代に帰郷し、1993年に、この唄のモチーフとなった初恋の人の傍らで生涯を終えたのだそうです。「遙けき恋路」は、一生涯をかけて叶ったのかもしれません。

ラテンらしい情熱的でピュアーな音楽は、いつ聴いても素敵です。さて、情熱的でピュアーといえば、エルビスもそうでしたし、THE KINGもそのものズバリ!であります。
これから、夏に向けて、ラテンもロックもビールもオイシイ季節がやってまいりますが、2012年の夏もTHE KINGは楽しい夏の思い出つくりを応援して新作をどっかんどっかん打ち上げ花火のごとくリリースしますよ!(ね?そうだよね?えっ、違うの? 今回でおしまい?? ) ま、いいや!  いや良くない!!

わたくしのようにここでコキゲンに買い物をしましょうね! アディオス、アミーゴス!

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