8鉄風 ROCK COLUM by 8TETSU Vol.65
                                                                                                              
 ミュージシャンと帽子


 どうも!みなさん、おひたしぶり大根!とりあえず生レモンハイね!の、8っつあん、みなさまの頑固8鉄です。
水星に大事なフラップシューズを忘れ、宇宙人にこんなゼイタクなシューズは10万年早い! って取りにもどって帰ってきたら、だいぶ涼しくなっていて、しばらく凍っていたのですが、少し、溶けてきました。

 さてさて、ミュージシャンだから帽子をかぶる、というわけではありませんが、なぜかミュージシャンは帽子が好きな方が多いようです。
1930年代から1950年代あたりの紳士たちはみな帽子をかぶるのがマナーであり、ごくごく普通に帽子をかぶっていたのだと思いますが、時代の反逆児的に、ロック音楽とともにロックファッションが出てきてからは、なぜか、「ロックンローラー、帽子かぶらない」(代わりに帽子みたいな髪型してますが・・)という感じになったのかもしれません。リーゼントスタイルの髪型を帽子が崩すからしなかったからかもしれませんね。
そのロック音楽そのものも、2010年の今では、「年寄りの音楽」。(ホントですって!)
当の50年代ミュージシャンたちも、昔、自分たちがあこがれた、20年代のブルースマンや30年代のジャズマンとと同じように、帽子をかぶっている写真をよく見かけるようになりました。(リーゼントはさすがにできる人はいないでしょう・・ま、ヅラという手もありますが。)

さてさて、理屈はさておき、ちょっと面白い、USAのフォーラムサイト「FEDRA LOUNGE」というのに、加入しておりまして、誰かが「ミュージシャンと帽子」というスレッドを立てたのをいいことに、それをちょいと利用させていただこうと思います。

まあまあ、こうして写真を並べてみると、実に重厚なメンバーばかり。ベテランの貫禄、というか、ある程度の年配にならないとかもしだせないダンディズムの極みというか、そんな気もいたします。

 

まずは、ダンディーなフェドーラのお方がふたり。アルゼンチンタンゴの巨人、←カルロス・ガーデル、そして、イタリアオペラ界の怪人、じゃなかった、神様、エンリコ・カルーソー。→
どちらも、まるで絵みたいなダンディーな紳士。これぞ、フェドーラ帽子のお手本ですね。


なお、いわゆる、フェドーラは、クラウンの形によって、最もクラシックな「Cクラウン」、丸天(ポークパイ)など、さまざまなバリエーションがあり、中折れ(天井に島がないタイプ)は「ボルサリーノタイプ」という一種に過ぎません。実際、イタリアのボルサリーノ社のフェドーラはほとんど中折れタイプになっています。





                こちらは、30年代のジャズの元祖のひとり、ファッツ・ウォーラー。
ショート・ブリムのボウラーハットがいい感じで決まってます。帽子だけみると、とんねるずのノリタケみたいですけども・・。
ちなみに、ボウラー(またはダービー)というのは、「西部を征服した帽子」と言われています。
多くの人は、西部劇の影響から、ステットソン(カウボーイ・ハットの代表)だと思っているようですが、現実は、ボウラーが主流でした。映画でいえば、ボウラーは「チャールズ・チャップリンの山高帽」として有名。もともとはイギリス発祥で、ジェームズ・ロック・ハッター店がボウラー(製造社名)に発注したのが最初です。


はい、こちらは、ちょい、古い人。50年代アイドル!めずらしい帽子姿!
といっても、こちらは映画のワンシーン。リック・ネルソン、「リオ・ブラボー」(ハワード・ホークスの名作西部劇)の勇姿。そうですねー、50年代といえば、やっぱり西部劇が大流行。ウエスタンのミュージシャンはみんなこんな感じの格好でステットンのカウボーイハットをかぶってましたな。



例えば、ブルーグラスの神様、ビル・モンロウ。
まるで体の一部のように、いつもカウボーイハット姿。逆に、かぶってないモンロウを観たことがありません。もしかすると、本当に頭がこんな形に・・・・な、わけねえよな。
ちなみに、カウボーイハットってのは、たいてい、良質なのは、ビヴァーのフェルトで出来てるんですが、なんでかっていうと、雨風。日よけの傘代わり。丈夫であることが肝心。
ウール、なんて柔なもんは、すぐによれるし、やぶけるし、なにより縮むんですよ。特にフェルトは。どうしてパナマ以外の高級帽子がラビット・ファーやビーヴァーなのかというと、もともとフェルトになりにくい素材のため、特殊技術でフェルトにしてしまいさえすれば、縮みが非常に少なく、狂いがでないんだそうです。
特に、野外生活ばかりしていたカウボーイの国、アメリカでは、帽子は下手をすると命にかかわる重要な実用品だっただけに、分厚く、硬く、そして、頑丈に出来ているのです。





あ、話がどんどん帽子マニアな方に言ってしまいましたが、さて、お次は、やはりカントリー&ウエスタンから、マール・ハガード→。この写真では、カウボーイハットではなくて、フェドーラをかぶっていますね。
おなじみの←ウイリー・ネルソンは、なにか麦わらのようなさりげない帽子が良く合っている。飾らない素朴さが、ステキなおじさまですな。


アメリカ、ジャズ界はごく自然にみんな帽子姿、っていうイメージですが、実際60年代までは、ごく普通に、普段から帽子姿でありました。
最初は、30年代の大作曲家、スターダストを作ったあのホーギイ・カーマイケル。
ななめにオデコを出した形でかぶる、いわゆる「あみだかぶり」で、ピアノを弾く姿が粋。
さらに、ビッグバンド界の巨匠、デューク・エリントン。渋いスーツもかっこよく決まっていますが、帽子はホンブルグ型でしょうか。ヨーロッパ伝来の高貴な感じがよく似会う紳士ですね。



続いて帽子で有名、といっても過言ではない、帽子がトレードマークみたいなジャズマン二人。
ひとりは、レスター・ヤングで。有名なポークパイをかぶっている。
もうひとりは、セロニアス・モンク。モンクのほうはもっと極端にショートブリム(つば部分が狭い)パイ型で、ジャズマンというと、アメリカでは、今でもポークパイ、という印象が強いらしいのは、主にこのふたりに影響でしょう。

 

さて、ぐっと時代が新しくなって、ロックギターの、スティーヴィー・レイ・ヴォーン。といってもすでに故人ですが、この人はマカロニ・ウエスタンでリー・ヴァン・クリーフがよくかぶっていた、通称「リンゴー・ハット」で有名。もともとは、西部開拓時代の伝説的アウトロー、リンゴーキッドがかぶっていたとされる帽子で、現在でも、アメリカのレネゲード社が製造しているはずです。

 

グリーンのベロアフェルトの紳士は、ドクター・ジョン。50年代のロカビリー時代も、マック・レベナック名で活躍したミューオルリンズ・リズム&ブルーズ・ピアノの名人ですが、現在でも現役で大活躍中。



さらに、現在、帽子といったら、もう、この人しかあり得ない!という人が、レオン・レッドボーン!
ドクター・ジョンの友人でもありますが、戦前からタイムマシンでやってきたような、蓄音機声の怪人は、やはり、モンテクリスティ産の、ちょっとくたびれたパナマ帽に白いスーツで決まり!であります。


   



 さてさて、あげればキリがありませんが、世界の音楽家に帽子愛好家が多いのは事実。
おしゃれといったら、ナッソー!というのは人として当然ですが、「日本人だからなぁー」なんて恥ずかしがるのも意味ないので、ここはひとつ、帽子にも目を向けてみませんか?
THE KING、ハンチングキャップだけでなくて、ハットも作ってくれないかなー、などと勝手に期待しつつ、今回はこれまで!





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