8鉄風 ROCK COLUM by 8TETSU Vol.59
                                                                                                                            
「楽器8鉄の頑固自慢」

                               
 こんにちばんわんこそば!
頑固8鉄、略して、頑八です。3年H組ガンパチ先生と呼んでください。(古)

さて、今回は、楽器にまつわる個人的な話をふたたびとりあげてみます。
すでにお亡くなりになったか、もらわれていったか、今は持っていない楽器のほうがはるかに多いのですが、現在持っている楽器と併せて紹介します。

えー、いうまでもないですが、楽器は道具です。
そうはっきり割り切っているというより、これまでの楽器との接し方を振り返ってみると、そのような発想で接してきたという気がします。
物がなんであれ、思いやり、思い入れをもっていて、「捨てるに捨てられない」という人、たくさんいると思うんですが、僕は「もう使わないや」「壊れちゃった」となると、いともカンタンに捨てたり、あげたりしちゃいますから。 それは楽器に限りません。だから、物持ちなようで意外に少ない……というより、もし「捨てない人」だったら、今頃は貸し倉庫が必要な状態かもしれません。

思い返してみると、実に様々な楽器を手にしてきたんですが、現在でも保有している物以外は、記録をとる習慣もなく、思い出すのが大変です。
もともと機種やメーカーすら無頓着で、自分の持ち物なのに、知らなかったり、忘れたりしています。 「物にも気が宿る」なんて聞いたことがありますが、なんだか、あまりに冷たいような気もする歳なんでしょうか、なんとか思い出せる範囲で、今は亡き楽器たちの想い出を取り混ぜつつ、記してみます。 (ジャンルごと、できるだけ時系列にしてあります。)なお、楽器の評価、みたいなつもりはありません。あくまでこういうものは個人の好みなので、誤解なきようお願いいたします。

アコースティック・ギターズ

1. アカデミー・ギター(1950年代・日本製)(廃棄)

最初に手にしたのが、「アカデミーギター」。どういう由来のギターなのか、詳しいことは知りません。ごく普通の、12フレット接続のナイロン弦ギターでした。父が、これでいつもサラサーテのジプシー音楽を弾いていました。
いわゆる「クラシックギター」一般にいえることですが、この手のギターは構造上、耐久性に欠けるため、がんばっても長年良い状態を保つということは困難です。僕が、手にしたときには、もう相当ガタがきており、その後もネックが目に見えて倒れてきてました。それでも、このポンコツで、基礎からサラサーテまで、父に教わったことは確かです。
数年前、とうとう寿命が完全につきたように鳴らなくなり(ブレイシングが全部ガバガバにはがれてきたんだと思います)、修理にかかる金銭と手間暇を考えると大変なので、粗大ごみ送りとなった次第です。

2. トーカイ・キャッツ・アイ CE400(1974年・日本製)(廃棄)

父に買ってもらったはじめての自分のギター。「戦前のマーティンD-28の忠実な復刻!」というようなうたい文句だったと思います。「オール単版」が唄い文句で、スゲーナー、なんて思ってましたが、うっかり、落として、サイドに大穴が開いた際、よく見たら合板でした(笑)。
なにしろ、12歳くらいでしたから、何を買えばいいのかよくわからず、当時、よく家に来ていたギターのうまい従兄弟に選んでもらったものです。銀座の山野楽器で買った覚えがありますね。当時4万円で、ケースが7000円くらい。ケースは従兄弟が買ってくれました。
まあ、これは実によく使ったギターで、こうしたフラットトップ系の鉄弦ギターで弾くような音楽(フォーク、カントリー、ブルーグラス、ブルーズ、ロカビリー)は、10代の頃に、全部これで覚えたし、大学のブルーグラスサークルでもこれを使っていました。ただし、同じバンドのメンバーが、本物のマーティンD-28を持っており、「ステージではこれを使え」と貸してくれたもので、ライブハウスやコンサートの本番で使っていたのは、マーティンです。
だんだん、ネックのよじれが目立ち始め、ネックの塗装もばりばりとはげて、たまに手につきささるようになってきたのですが、数年前、ブルーグラスバンドを再結成(なんと半年もたずに解散)したとき、同じバンドのメンバー全員から「これはもはや楽器ではない」と評されてしまいました。確かに低音側がべこべこした変な音になってきてましたね。そこで、マーティンのD-1を泣く泣く購入(マーティンは好みじゃないんです)、これは古道具屋にあげちゃいました。粗大ごみにするとカネ取られるから……(笑)。
ちなみに、後に、バンド仲間で知り合いになった大先輩が、実は、このギターの企画立案者ご本人であることが判明。なんといいますか、縁、というのは不思議なもんです。

3. モーリスギター12弦(1980年代・日本製)(売却)

これは、拾ったものです! 拾った、というより、近所の豆腐屋のオヤジが、粗大ごみに出そうとしてるところに出くわして、「捨てちゃうならちょうだい!」と言ってもらってきたもの。
「12弦」というのは、全く僕の趣味にはない代物なので、絶対に買うことはない! と思っていましたから、ラッキー! と思ったものです。残念ながら、ホントに趣味じゃないことが手にいれてみてはっきりしました。ほとんど使うことなく(若干、多重録音でマンドリン代わりに使った程度)、間もなく、売ってしまいました。

4. マーティンD-1(2000年・日本製)(売却)

マーティンのD-1は、欲しい!というより、バンドで必要になって買ったという感じが強く、なんとなく愛着がわかなかったせいか、割合すぐに手放してしまいました。
まあ、ホンモノのD-18や28ではなくて、廉価版ライン(日本製)だったので案外気軽に手放してしまって、最近まで持っていたことすら覚えていなかったという・・・。
「天下のマーティン」がお気に入りになるのはいつの日なのでしょう・・・。

5. チャキ・ピック・ギター P-1(1970年代・日本製)(売却)

これも、もらいもの。友達から、使い勝手がわからないので、あげるといわれてもらってきたアーチトップ(ピックギター)でした。憂歌団の内田勘太郎愛用で有名なモデルです。吾妻光良さんも使ってました。
実は、この友達も買ったわけではなくて、なんと粗大ごみ置き場に捨ててあったのを拾ってきた。あちこち、塗装がはげたり、見かけはあまりよくありませんでしたが、大きな音でよく鳴りましたし、演奏上不都合な故障は全くありませんでしたね。こういうものを捨ててしまうとは、なんてもったいない! と思い、随分いじって遊んだものですが、実はすでにギブソンのアーチトップを持ってましたので、なんとなく、こっちがメインというわけにはならなかった。
とても気にいったのですけど、チャキのギター全部に言えることなのですが、ロングスケール(弦長が長い)なんですね。どうも、これは僕には扱いづらいので、何となく疎遠になって売却しました。

6. エピフォン・オリンピック・マスタービルト(1939年アメリカ・オリジナル)(売却)

 こちらは、現在も持っているギブソンL-50とほぼ同じスペックなのですが、当時ギブソンの最大のライバルだったニューヨーク・エピフォン(その後ギブソンに買収されて、現在はギブソンのセカンドラインになっています。)の機種が欲しくなり、買ったものでした。
 なにしろ、30年代のギターとはとても思えないほどの頑健さ。音色が硬めで、コードカッティングには良いのですが、ソロではバッキバキの音色。なんかこう、硬派過ぎて、オイロケが足りないんじゃないか・・とか、わけわかんないことを思っていたときに、たまたま楽器店で見た中国製のイーストマンがすごいいい音なのを知り、それを手に入れたくて売却。

7. イーストマン・ピック・ギター(2004年中国製)(売却)

貴重なエピフォン・オリンピックまで売って、購入し、その音色の素晴らしさ、つくりの素晴らしさに感嘆。アメリカ製品だったら、10倍はしそうなスペックなのに、18万というはさすが中国製品。
しかし、なんでなんでしょう・・私が飽きっぽいからでしょうか、馬鹿だからでしょうか、なぜかこれも何かが気にいらない、なんかわからんが何か足りない!!!と思うようになりだして、結局売却することに。今思うと、エピとこれは、手放さないでいたほうがよかったなあ、と後悔。

8. ヤイリ「ラグ-2」(1988年・日本製)(譲渡)

これは、80年代に、自分で作ったバンド用として買ったギター。
小さなサイズのフラットトップが必要だったんですが、新品で、マーティンのシングルOより小さいやつは、ヤイリで作っていたこれくらいしかなかったのです。値段もお手頃で4万円。同じバンドメンバーのギタリストとおそろいで買ったものです。
気にいっていたんですが、「小さいギターはやはりギブソンだよなあ・・」とか、またまた、ヘンな病気みたいに新しいギブソンギターを購入。そんな時、今度は従兄弟の息子から、ギターをやってみたいので、なにか欲しいといわれて、あげちゃいました。

9. ギブソンL-1(1992年・アメリカ製復刻版)(売却)

ブルーズやラグタイムなどの専用で重宝しそうなものをさらに探しているうちに出会った素敵なやつ・・・だったはずなのですが、これがたいしたもんではなかったのです。
当時、最初に出たL-1復刻版だったのですが、まさかホンモノに遭遇するとは思いもしなかったのです。

10. ギブソンL-1(1929年・アメリカ製オリジナル)(売却)

前の復刻版を手に入れてから10年を経て出会った、そのホンモノのL-1は、戦前のモデルなわけで、全く、復刻版とは音が違うのです。
ま、3倍くらいの大きさで鳴る、と思えばよし。復刻と称するものは、形は同じようなもんですが、まったく別物。くそ高いだけでぼったくりやがって!!と腹立ち紛れに、ホンモノに買い換えたのでした。「なんて素晴らしいんだ!ホンモノは!」とたいそう気にいっていたのですが、結局、金銭的事情により、泣く泣く手放すことになり、売却しました。ああー、これはもったいなかったなあー。

11. モーリス・デュポン(1994年・フランス製)(売却)

これは、非常に変わった、ジプシースイング(ジャンゴ・ラインハルト)専用のギターで、フランスセルマーが戦前に作っていた「マカフェリ」の完全復刻版、といっていいものです。当時、本当によく出来たマカフェリ(ホンモノは世界中に300本しかない)の復刻というのは、これしかなく、デュポンさんという職人さんがひとつひとつ手作りで作っていたものです。
なにしろ、ジャンゴそのものといっていいような、素晴らしい音色、信じられないほどの軽さ、芸術品のような品格、すべてがヨーロッパ的で、かなり高額であったものの、頑張って入手したものです。
しかし、やればやるほど・・・・あとは語りたくありません・・・。
そう、ジャンゴ・ラインハルトの音楽以外、使い道がないのです。そして、そのジャンゴは歴史的天才で、わたくしは天才ではない、という当たり前のことに気づいたわけ。
それに、1本1本が一人の手作り、というのは、やはり当たり外れが大きいのかもしれません。気候もずいぶん違うし、板が薄く、作りが軽くて、デリケートなギターなので、保管が難しい。ネックのソリがひどくなる一方で、手のほどこしようがなくなり、結局、大掛かりな修理になることが分かった時点で売却。難しいですね、こういうのは。

12. ギブソンL-50(1953年・アメリカ製オリジナル)(所有)

さて、これは、今でもわたくしの手元にある、一番の愛用ギター。
最初に買った「高額ギター」であり、「ヴィンテージギター」だったのですが、もともとはギブソンの廉価版に類する「安物」であります。
それでも、その廉価版特有の軽さ、素朴さ、そして何より、独特の音色がわたくしの好みにどんぴしゃとはまり、これだけは一度も手放すことを考えずに、我が家の顔となっております。

13. ギブソンLG−2(1954年アメリカ製オリジナル)(所有)

売っては買ってを繰り返して、結局フラットトップギター(普通のフォークギターね)が何もなくなってしまったので、やはり、好きなギブソンでそろえよう、と思ったのですが、新しいギブソンはなんか違う、というか、名前がギブソンなだけで昔のものとは別物のようだ、ということをL-1で学んだわたくしは、思い切って、ビンテージ・ギブソン入手に再チャレンジ。しかし、JやSJといったドレッドノートのビンテージ・ギブソンは60万以下で入手はほぼ不可能。あまりにでかいギターが好きじゃないわたくし、一回り小さくてしかも大きな音でよく鳴るLG−2の良い状態のものを発見し、やっとゲットいたしました。以後、我が家の「万能選手」ギターとして活躍しております。

14. スーパートーン・パーラー・ギター(1910年代・アメリカ製オリジナル)(所有)

これは、ある国産ギター専門の中古楽器屋で偶然発見したものです。
なんか、大変にうすっぺらな、小さな、おもちゃっぽいギターなのですが、めったやたらと古めかしい「supertone」のラベルといい、ただならぬ雰囲気を持っており、由来がよくわからないながらも、ちゃんとリペアされて完璧にプレイアブルな状態にあることを確認したわたくしは、その場で衝動買い。
あとで調べてみると、1910年代くらいから、40年代まで、おそらくハーモニー社の工場で作っていた、通信販売用の安物、「スーパートーン」であることが判明。
で、音が、とにかく軽くて、でかい。そして、楽器自体が紙のように軽い。ブルースやラグタイムなど、フィンガーピッキングで弾くのにこれほど適したギターには初めて出会った、という感じです。
戦前の小さいボディのマーティンに匹敵するくらい、といったら言い過ぎでしょうか。
1917年にわずか3ドルだった、スーパートーン・ギター。名器でもないし、コレクターもいませんが、完全な状態で残っているだけでも素晴らしいのではないでしょうか。

エレクトリック・ギターズ

15. ヤマハCE700(1976年・日本製)(売却)

電気ギターなんですが、ギブソンのES335そっくりのコピーでしたね。 これが、僕が自分でカネを稼いで購入した最初のギターです。18歳だったと思う。
最初に自腹で買ったのが、アコースティックではなくて、エレキだという当たりに僕の素性が見えてますね(笑)。なんで、ハードロック全盛の時代に、わざわざこんなのを選んだのかというと、チャック・ベリーが愛用していたからです。
当時、チャック・ベリーかフラニー・ビーチャー(ビル・ヘイリーズ・コメッツのギタリスト)が好きだったのですが、ビーチャーがよく使っていたギブソンレスポールも本物のES335も、僕にとっては高価すぎたし、第一、1950年代の古いモデルですから、売ってもいませんでした。それで、お手ごろ価格(7万円)のこれにしたわけ。
少し、バンドで使ったこともありますが、ギターをやってみたいという友達に売ってしまいました。なんか別のことでカネが必要だったんだと思いますが、忘れてしまいました。

16. ヤマハSG-70(1972年・日本製)(売却)

これは、従兄弟のものだったんですが、もう使わないからやるといわれたので、もらってきた。ヤマハの有名な電気ギターモデル、SGシリーズのひとつです。ソリッドボディに、ふたつハムバッキング式のピックアップがついてるやつで、珍しく全体がナチュラル仕上げになっていました。
なぜか、驚くほど弾きやすく、おまけにえらくいい音がしてたのですが、いかんせんギブソンのエレキ系で、重すぎ。音じゃないんですよ、楽器そのものの重量の話です。
重いギターがいやで、先のセミアコも売ってしまったくらいですから、これも持って歩くのがいやで、自宅でだけ使っていました。まあ、30代の頃、ロカビリーバンドのサポートをしたときや、自宅で多重録音をしたときには、随分活躍してくれたものです。
どこといって悪いところもなかったのですが、もっと軽いエレキが欲しくなり、おもちゃみたいなダンエレクトロに買い換えて、これは中古として下取り処分しました。たった7000円でしたが、もとがタダだから……(笑)。

17. ダン・エレクトロ(1990年代・韓国製復刻版)(売却)

フツーのソリッドボディエレキもみな売ってしまって何もないので、なにかないとなあ、と思っていたとき、目にしたのが、50年代の通販用安物の代表、ダンエレクトロの復刻版。
なにしろ、ボディは木ですらなく、(メゾナイト、という木屑を固めたようなもの)、ボディサイドには塗装どころかビニールシートが貼ってあるという、すごい代物。それなのに、なんで復刻?というと、これがある種の名器だからです。
ハードロックギターの父、リンク・レイが愛用したおかげで、ジェフ・ベックの愛器となり、ハードロックといえばダンエレクトロというくらいの時代があったのです。
さて、わたくしの持っていた韓国製ダンエレもなかなかクセのある、だけど、十分にド迫力なギターだったのですが、エドワーズを手に入れたので使わなくなり、売却となりました。

18. グレッチ6120(2008年・日本製復刻版)(売却)

さて、ロカビリーといえば、グレッチ!
じゃあない、そんなことはないんですけども、クリフ・ギャラップ的なことをすると確かにハマるし、なにより優れたジャズギター、カントリーギターでもあるグレッチ6120、一度は買ってみようと思っていたのでした。
実際にあれこれ試しながら使ってみると、ものすごくクセがあるギターなのは評判通りで、まあ、はっきりいって、わたくしには扱いづらい、弾きにくいギターでありました。国産復刻版でも高額ではありましたが、押入れに入ったきりにするのはかわいそうなので、売却することに。

19. エピフォン・ゼファー・デラックス・レジェント(1953年アメリカ製オリジナル)(所有)

ジャズといえば、エピフォン!
とばかりはいえないのですが、相当、ジャジーな音なのも確かで、その馬鹿でかいド迫力ボディはまるで、ブラジルのボインボインのダンサーのようで、どうしても魅かれてしまいます・・。
なんのかんのいって、これは、オリジナルのまま(すなわち、相当ひどい状態のポンコツ)を安く買って、修繕を重ねてきた経緯もあり、そう簡単に売ってしまうわけにもいきません。
なによりも、その甘い、ジャジーな、「チャラーん」とコードを鳴らしただけで幸せになれる、素晴らしい音色は捨てがたい、名器であります。

20. エドワーズ(2009年・日本製)

もともと、フェンダー系のエレキが不得手なわたくし、ソリッドギターならレス・ポールだなあと思ってはいたのですが、重いし、高いし、音色もいまいち好みでないと長年思っていました。
それが勘違いだとわかったのは最近のこと。
50年代のゴールドトップモデルなどに搭載されていたp−90というシングルコイルピックアップ付きの初期モデルは、59年から始まったダブルコイルPU(ハムバッカー)搭載モデルとは全く音色の違う別物だったのです。
しかし、ゴールドトップは、ギブソンの復刻版が50万もするという、なんだかわけわからんほど高額なギター。相変わらず重いし・・。
そこで出会ったのが、日本製のバッタも・・失礼、コピーモデルのエドワーズ。
ひところ、わたしらが子供のころの日本製コピーものってホントにチープで、悪いイメージが付いてまわっていますが、最近のは本当によく出来ている。
下手すると、ホンモノのギブソン社よりよくできたコピー。現在のギブソンは、昔のギブソンをコピーしているわけですから、よく考えたら同じなわけです。
そういうわけで、エドワーズは、現在、家にある唯一「ホンモノでないギター」なのですが、それでも実用品としては、ホンモノとなんら異なるところがない、素晴らしいギターだと思います。

ウクレレ

21.フェイマス・ウクレレ(1960年代・日本製)(廃棄)

続いては、ウクレレですが、これは、どれよりも先に使っていた、最初の楽器といっていいもの。たしか、7歳の誕生日に買ってもらったものだったと思います。これで、「コードで伴奏」とか弦楽器でソロを取る、というのをはじめて覚えたのです。
メーカーは誰も覚えてないのですが、多分、フェイマス。子供の荒っぽい扱いにもなんとか5年くらい耐えたのではないでしょうか。
しかし、ネックが倒れてきて、ある日、なんとか自分で修理しようとネックとボディの隙間にボンドの先をつっこんだとたん、木っ端みじんに。これいらい、僕は絶対に自分で楽器の調整や、修理をしなくなりました。

22. カマカ・ウクレレ(1980年代・ハワイ製)(売却)

カマカは、昔、比較的安価で入手できたハワイ製ウクレレで、人気のとおりよく出来ていますが、どうもいまいち好みでない。見かけがワイルド過ぎます(別にヘビメタなウクレレというわけではない)。民族楽器的な外見だけでなく、音も硬いし、あまり好みでないので、壁飾りと化していました。やがて、ナカニシに買い替えることに。

23. ナカニシ・ウクレレ(1980年代・日本製)(売却)

ナカニシは、ホンモノのマーティンより見た目が豪華な、世界一優れたマーティンのコピーモデルといっていいでしょう。
音色も気にいっていて、バンドでもいつも使っていたのですが、表面板がすこし落ち始め、フレット音痴になってきてしまいました。これは、やがて駄目になるなあ・・と、修理費との見合いで結局売れるうちに売ってしまうことに。
ウクレレはあまり中途半端なものを買わないほうがいい、ということを知りました。

24.マーティン 2M (1920年代・アメリカ製)(所有)

20年代のマーティン2M。まるで羽のような軽さ。何か持っていることを忘れてしまうほど軽い。そのくせ、めったやたらとでかい音が出ます。見た感じもエレガントで、気に入りました。
こんなに古いのに、まったくゆがんだり、音が狂ったり、おかしなところがひとつもないまま、現在に至っているので、かなりびっくりしています。
さすが、ヴィンテージ・マーティン!やっぱりハンパじゃない名品です。
まあ、「ウクレレはおもちゃじゃない! 優れた楽器だ!」と言いますが、持ってみるとやっぱりおもちゃみたいだなあとは、正直思いますが(笑)。

バンジョー

25. ピアレス 5弦 バンジョー (1970年代・日本製)(譲渡)

次は、バンジョー。17歳くらいのときに、ブルーグラスを聴いて、やっぱりやってみようと思ったのが、5弦バンジョー。ピアレスの一番安いやつを買って、トライしようとしたんですが、なにせ難しい。
大学に入ってからは、他にうまい奏者を見つけて、自分はギター奏者になったので、すっかりやる気をなくしてしまいました。他人がうまけりゃまかせておけばよい、というのが、僕の発想ですから。先輩が欲しがっていたので、売ってしまいました。

26. スリンガーランド・メイベル(テナー・バンジョー)(1920年アメリカ製)(売却)

なぜでしょう、わたくしはたぶん、バンジョーという楽器に魅かれるのに、演奏者には向いていないのでしょうか。せっかくオークションで入手した素晴らしいディキシーランドジャズ用のテナーバンジョーだったのですが、どうしてもうまく弾けず、だんだん疎遠になってしまったところに、「欲しい」という方が現れたものですから、譲ることにいたしました。

ベース

26. フェンダージャパン・ジャズ・ベース(1990年代日本製)(廃棄)

電気ベースです。フェンダーといっても、フェンダージャパンですから、5万円と安価。多重録音をするために、どうしても必要で入手しました。
ベースは演奏法を覚えるのが大変というものではないので、なかなか楽しかったのですが、電気系統が数年でイカれだしましたね。だんだん、ノイズがひどくなり、とうとう、まともに音が出なくなった。結局、面倒くさいので、粗大ゴミに。電気モノ、特に、ベースというのは、どうも不憫な代物ですな。

サックス、クラリネット、トランペット

27. C.Gコーン10M(アルト・サックス・1930年代アメリカ製オリジナル)(売却)

これは、思い返すと、もっとも惜しいことをした楽器です。30年代に作られたコーンのサックスは、今のモデルでは決して出ない音色をもっており、それにあこがれて買ったのです。25万もしました。ところが、いかんせん、アルトです。アルトを聞く趣味そのものがなかった。好きなジャズサックス奏者は、全部テナーです。
テナーは吹いていて、持っていたので、アルトを買ったのですが、これが間違いのもと。いろいろアルトを聴いてみても、これだ! と思うものがない。結局、楽器そのものが好みでないのだ、と気がついたわけです。30年代のモデルは、まだ発展途上なので、演奏性能も悪く、なかなか思ったとおりになってくれません。
もう、手放そうかと考えていた矢先、先に述べたようなブルーグラスバンド結成の話があって、マーティンとトレードしてしまいました。マーティンは11万ですから、14万の損失。よく愛用した、ということなら、まだ納得できますが、ほとんど使えなかった。これが店頭に出たときは、再び25万の値札がつき、即売れてしまったので、ずいぶん損をしたような気分でしたね。これいらい、管楽器は、テナーサックスにしぼり、他には手を出さないことにしました。
今になって考えてみると、飾り物になってもいいから、持っていたほうがよかった、と思うようになりました。それほどアンティークとして美しい名器でありました。

28. ヤマハ・YTS−61(テナー・サックス・1970年代日本製)(廃棄)

テナーは、でかい、重い、うるさいという、三重苦を背負った楽器ですが、なんといっても音色が好きですし、もうプレイ歴が長く、テクニックそのものは慣れていますので、手放せません。サックスは、ある意味、実に精巧な機械であり、ちょくちょく故障するので面倒ですけど。
これは、30年以上活躍してくれたのですが、とうとう寿命、というか、大掛かりな修理が必要な状態になり、新しいものに買い換えたほうが得、ということで廃棄することになりました。
この当たりは徹底的に使い切った中古車と同じですな。

29. カドソン T920(テナー・サックス 2009年・中国製)(所有)

ヤマハの代わりに、なんとか、セルマー(サックスの最も有名なメーカー)と思っていたのですが、最近はどうやら相当事情が変わってきており、プロもアジア製を愛用する時代になっているのだそうです。
これも実際に鳴らしてみて、「セルマーだったら100万くらいのモデルでしか出ないような音」をちゃんと出してくれる、と思ったので、思い切って入手することにしたものです。これのおかげで、いままで、できなかった曲がなにげなく出来てしまった。
これはショックでした。なんだ、楽器のせいだったのか・・・なんで苦労したんだろう・・と思うことがあるにつけ、「楽器ははじめから安物を買ってはいけない」とますます思うようになりました。

30. ビュッフェ・クランポン イヴェット(ソプラノ・クラリネット・1970年代ドイツ製)(所有)

これは、かれこれ30年も前に、友人にもらったもの。その友人も、質流れをタダ同然で引き取ったものでした。
これは初心者向け(子供のブラバン向け、と書いてある)のプラスチック管なのですが、クランポンのプロ仕様を買うと、50万ですから、タダとはえらい違い。
ちゃんとチェックしてもらったところ、まったく修理など必要がなく、そのあたりはさすがクランポンブランドだけのことはあります。
マウスピースをバンドレンのものに換えただけで、相当、いい感じの音が出るようになったので、まだまだ当面はこれでいくでしょう。

31. ヤマハ・トランペット (1990年代日本製)(売却)

上記のアルトを手に入れる数年前に、トランペットに挑戦してみたくなり、衝動買いしたことがあります。まあ、気まぐれだったので、なんとか音階程度とれるところまではいきましたが、「これは大変だなあ」とあきらめて、あっさり売り払いました。
金管は性に合わないということを確認するために手にいれたようなものですね。非常に安価なモデルだったので、その点は、失敗しませんでした。

キイボード

32.コルグ・デジタル・シンセサイザー (1990年代・日本製)(売却)

さて、これは結構大きい買い物でした。20万。デジタルシンセというのは、どうも「器具」というカンジのものでありまして、楽器というカンジが最後までしませんでしたね。それでも、ワンマン多重録音では、大変な活躍をしてくれました。
まあ、楽器として思い入れがあるわけではなく、ホントに純粋に道具だったので、多重録音をしなくなってからは、カバーをはずすこともめったになくなり、でかくて邪魔なので、売り払いました。たったの1万円でした。

アコーディオン

33. ホーナー エリカ(2000年代中国製)(売却)
34. ホーナー コロナU(G.C.F)(1980年代西ドイツ製)(所有)
35. ホーナー コロナU(F.Bb.Eb)(1980年代西ドイツ製)(所有)
36. ホーナー コルソ・デラックス(1980年代西ドイツ製)(所有)

すべて、ホーナーのダイアトニックで、コロナ2(3ロウ、リード)がキイ違いで2台、コルソデラックス(2ロウ、3リード)が1台、、合計3台あります。
ロウ、というのは、右手側メロディ用のボタンキイの列をいい、リードは、ひとつの音に対し、何枚のリードがセットされているかを示します。
これは、あまり、馴染みのある人が少ない楽器ですし、説明するとややこしくて煩雑なので、割愛しますが、実は、これ、手放すことが出来ません。
「いい楽器だから」というのもありますが、それより、「引き取るところがない」というのが本音。
今は、実は、業界の事情により、アコーディオンの中古売買というのは、日本ではほとんどないんです。修理が出来る、ほとんど唯一の名職人が引退してしまったために、調整をしてから売る、ということが出来なくなったためだそうです。


ずいぶんといろんな楽器を手にしたものの、やはり縁というか相性というか、手元を離れていくものも多いですね。手元に残ったのは、やはり、一番愛着があるものだからだと思います。
最初に言ったとおり、わたくしは楽器は道具だと思っているので、実際のところ、こんなにあっても、一度に弾けるわけでもないし、かつて、自宅で毎日多重録音をして遊んでいたときには、結構活躍してくれたものも、ほとんどはケースに入ったままになっていましたから、どんどん手放してしまった、という感じでしょうか。
そんななかで、一番手にしていることが多いのは何かというと、ギブソンのL-50というアーチドトップアコースティック。いかにもギブソンな、生の温かみのある音色が気にいっています。
音が好みだというのもありますが、なんといっても、実用的に優れている。うまいこと、僕に合ってるんだろうと思いますが、こんなに弾きやすいギターはありません。あとは、独奏にあっている、基本的に家でひとりで弾くのに一番楽しい楽器、ホーナーのアコーディオン、でしょうか。

楽器というのも、あるところには山ほどあるもんで、あとは巡り合わせの問題。「物」ではありますが、「人」と同じで、出会いもあれば別れもあるわけね。
たくさんの「物」、「楽器」とつきあってみて、結局一番いい女、じゃなかった、楽器はどれか? なんて考えるのも楽しいことです。
「一番よくはないけど、一番馴染んでいる」とか、「少し馴染めないけど、楽器としては最高!」とかいう具合に考えてみると、なるほど、よく人が言うように「楽器とのつき合いは異性とのつき合いに似ている」のかもしれません。
やあ、しかし、こうしてみると、よく買ったけれど、よく手放したんだなあ、と改めて思います。
単なる浮気モノじゃねえか、とか言わないように!ま、確かに浮気モノだけどさっ!

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