8鉄風 ROCK COLUM by 8TETSU Vol.46 |
バンドマンのファッションチェック! オゥ、コーヌ、ヴァン、ワァ! ポワッ!と出てきた、ますますインチキ臭いオジサン、頑固8鉄です。 さてさて、みなさんも、子供の頃、親から、「身だしなみを良くしろ」といわれたはずです。 たいてい、色気づくと、流行り廃りに敏感になり、「これが良いのだ」と決めつける親のセンスが異様にカビ臭いものに思えて「ざげんなよ、じじい! こんなん着れっかよ!」なんてチンピラみたいにすごんだりする時期があるもんなんですね。 「身だしなみ、なんてしゃらくせえ! 俺は自由なんだあああっ!」 って言いたかったんだろうけど、論理的に考えるとそんな世間も自由もどこにもありませんよ、という当たり前のことに、いつか気がつく。 で、大人になってみると、いつの間にか、外出するときは、ほとんどがサラリーマンの制服である紺の背広、休日はジャージやトレーナー。 あげくのはてに、「ダッサダサだぜえ〜!あんな風には絶対にならねえぜ!俺はなっ!ふんっ!」なんてバカにしてた、かつての自分のオヤジとほとんど同じゴルフファッションで、のこのこと、郊外の打ちっ放しに出かけていったりして。 ま、みんながそんなわけではないけれど、そういう人、多いんじゃないかなぁー。特に不況だ不況だと言われる昨今、もう、絶対に多いはず。きっとそうに違いない! などと書きながら、500円のTシャツのまま家でゴロゴロ寝っ転がって、ゲームしたりしてるわたくし自身がそういう人なわけですけども・・・。 えー、さて、そんな中、誠に勝手ながら、わたくし8鉄が、とりわけ気にしているのは、音楽野郎たちのファッションなわけです。 だって、ステージに出たり、ライブハウスに出たりするのに、寝間着で・・という人はいないだろうし、 ペナペナの安物スーツ、という人もいないだろう。(故意にそういう演出をする場合はありますが。) まあ、安くてもペナペナでもいいから、せめて「ヨソイキ」(古語)な雰囲気で出て欲しい!と思うわけであります。 だから、やっている音楽のタイプに合わせて服を選ぶセンスとか、着こなしとかが、とてもとても気になる。下手すると音楽そのものより、ずっと気になる。もおのすごおく気になります。 ダサいなと思うと、もう見る気も聴く気もしなくなるというのが正直なところ。まあ、そんなに音楽が好きじゃない、ってことかもしれませんが・・。 仮にサラリーマンだって、ステージに出るときくらい多少は「おお!」と思えるセンスで出て欲しい。 例えば、古いジャズやドゥーワップ好きのわたくしとしてのお勧めは、「ごく普通のテイラードのスーツ」。いわゆる「地味なフツーの丸の内スーツ」だって、センスよく選んで、タイやチーフ、帽子など、小物で工夫すれば、ちゃんと使える。特に色とか、素材感までトータルにコーディネートできれば、ベスト。映画のキャラではありますが、全身、モヘアとウールの真っ黒スーツルックで超イケてた「ブルース・ブラザース」なんてのもいましたね。 そんな金も時間もないのだあっ!と言われる多忙なビジネスマンなどは、袖丈とシャツの袖口からの出方(ジャケットのほうがシャツより袖が短いのが正装)とか、パンツの丈の調整具合(ダブル長めだと50‘S白人音楽系、シングル短めだと60’S黒人音楽系)など、 いろいろと着こなし方を工夫するだけでも、全然違います。 バンドやグループなら、おそろいの衣装にするともっといいけど、経費として勘定して割りに合わないほど高いものでなくったって、探せばちゃんとあるらしい。ライブ活動をしているアマチュアミュージシャンの友人から聞いた話ですが、今でも東京の浅草あたりは、その手の店の宝庫らしい。 ショールカラーのタキシードなんか比較的安価でそろえられるのだそうです。 ちょっと話が戻って、また回顧話になりますが、僕らの世代は、若いころの流行から言うと、長髪、ベルボトムのヒッピーファッション(というか、フォーク音楽路線)のちょっと後だと思います。 僕が10代後半、バンドを始めた頃(1970年代後半)は、ちょっとお洒落な人の間では、アイビーが流行っていた。当時の花形雑誌、ポパイなんかでは、アイビーとウエスタンがよく特集されていた覚えがある。 第2次ブームみたいに、リバイバルしていました。 このころすでに、どっちも第一次ブームの頃より本格的なもので、ありあわせのものや、バカ高い輸入ものでなくても、質のよい国産がたくさん用意されだしていたように思います。 しかし、ファッションの流行は、とにかくサイクルが速くて、すぐに変わってしまう。 僕のような苦学生の貧乏人は、いちいち流行を追いかけていたら、とてもじゃないが金がもたないので、自分で気にいったスタイルを固定させてしまう必要がありました。 だから、流行を追わない、我が道を往く男!・・のフリして、実は一張羅で着たきりスズメの、ボンビーなバイト男、というのが実態。で、何を基準にしたかというと、よくある話だが、好きなミュージシャン。わたくしの場合は、ロカビリーとかドゥーワップ、R&Bだった。 原宿竹下通りにあった某古着屋で買った50‘Sなシャツなど、ぼろぼろになるまで着たものです。 そんな中で一番あこがれたのが、50年代アメリカンファッション・スタイル。ナッソーはもう言うまでありませんし、その他特に、コンポラ(コンテンポラリー)と言われるスタイル、分かり易く言うと、フランク・シナトラがハリウッド映画でしてたようなシルエットのスーツスタイルがすてきに見えた。 また、ロカビリーは確かに、皮ジャンだというイメージがありますが、当時のバイカーファッションから来ているもので、実際の50年代のミュージシャンに流行ったファッションではありません。 わたくしは、安く手にいれた赤いジャンパーにデニムで、気分にひたっていたものです。 あと、ウエスタン系も目立ってましたが、当時紹介されていた主流は、かなり派手な刺繍入りカウボーイシャツや、ツートーンのウエスタンブーツなど、これは40〜50年代のアメリカのカントリー&ウエスタンのミュージシャンが実際に好んだスタイルでした。こんなのは、ミュージシャンの先輩から結構お古をゆずってもらえた。 ブルーグラス音楽はもっと渋くて、モンローやフラット&スクラグスなど、白いスーツにカウボーイハットで、スマートにかっこよかった。 オールドタイミーな格好良さ(1930年代くらいの感じ)がすでにありましたね。 わたくし、そういう「渋いダンディーな音楽家」というイメージを夢みていたのですが、アマチュア音楽活動を本格的にはじめた80年くらいには、周囲を見ると、ロカビリーは皮ジャンの人ばっかりだし、ブルーグラスの人々に至っては、ほんっとに、汚いジーパンで長髪の人が多かった。 一体これは何なんだ?と思ったものの、「郷にいればなんとやら」で、金もないし、自分も何時の間にか安売りベルボトムなジーンズを履いて草履履きで喫茶店をうろうろしていたりして、なんだか情けない感じでありましたなあ。 しかし、ある程度年期が入ってくると、これまで、たまにいくライブハウスとか、知り合いとか見てきて、「一体、こいつらは見せてナンボだという感覚があるのだろうか?」と思うこともありました。 なんで90年代に入っても、トレーナー&ジーンズ以外着ないんだ?とか、思うこともしばしば。 大きなお世話だと言われるに決まってますから、余計な詮索はしませんが、そういうヒト、話をしてみると、「いかにも芸人風なファッションははこっぱずかしくて嫌だ」とか「普段着で気をつかわないファッションというのもファッションのうちなんだ」なんていう人も結構いました。一応「服装には気をつかわないというポリシー」を持っていたりする。 もう、そうなると、その人の考え方ひとつなので、他人がとやかく言うことでもないんですが、見かけが好みじゃないと思ったら、たいてい、音聴いてもやっぱり「音も好みじゃない」ことは多かったと思います。 まあ、いずれにせよ、服は所詮、服に過ぎないのも確かで、一番肝心なのは、人間そのもの。 どんなに安物の服を着ていても、ダサい格好をしていても、なぜか格好いい人もいる。 服を選ぶ前に健康的なカラダを維持するほうが大切、なのは言うまでもありませんし、もし 健康が運悪く損なわれている方であっても、気の持ちようが肝心、というのも、誰もが知っているとおり。 ミュージシャンともなれば、その次に肝心なのが、音楽そのものなのは当たり前ですが、やっぱり人前に出る以上、「身だしなみをよくしなさい!」というのも、これまた、当たり前なことであります。 逆に、どんな高価で素晴らしい服でも、着ている本人がその服にこだわりがなければ、「寝間着」と同じです。 値段、スタイル関係なく、どんな服だろうと、こだわりを持って着こなせば、それはなぜか他人から見ても格好良く見えるものではないでしょうか。 せっかく手に入れた服を、単なる寝間着のようなもの、にしない手はただひとつ、あなたの愛着、こだわりのみなのです。 THE KINGの服もまた、底知れぬこだわりを持ったスタッフが作り上げ、そして、こだわりを持ったお得意様方が着ることによって、初めて「活きた服」となっていきます。 「オレこんなジャケット羽織てえ!!」 あなたのこだわりを是非、THE KINGのスタッフにもお届けください。大常連様ともなると裏でオーダーメイドをこなして・・・なんて言っちゃうとマズイでございまーす。 |
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