8鉄風 ROCK COLUM by 8TETSU Vol.39
                                                                                                                                                                                                                                         

 
UKULELEな音楽

 みなさん、こんにちわさびづけ!頑固8鉄です!
さてさて、もう季節はすっかり夏に向かってまっしぐら、でありまして、わたくし頑固8鉄も、空豆は農家から買い占めるわ、ビールは昼間から飲みまくるわ、すっかり「へろへろな日本の夏の縁側オヤジ」まっしぐらな生活を送っております。
そんな夏には、たぶん、ウクレレ抱えて、ワイキキのビーチでパツキンギャルと楽しんじゃってるオジサマだっているんだろうなあ、、いいなあ、、、などとつらつら思いつつ、今回は、ウクレレに思いをはせてみたいと思います。

 さて、わたくし、2002年くらいに、「メディパックス」というバンドを作りまして、3,4年ほどライブをして回ったことがあるのです。これ結構面白かったなあ、と勝手に思ってるんですよ。一言で言うと、「昔の浅草演芸風のジャズ歌謡バンド」という感じ。



 今のわたくしがドゥーワップ・グループ、「ザ・ジルコンズ」でやっているように、メディパックスでも昭和歌謡などもやっていたら、もろに演芸系として浅草あたりに出演できたと思うのですが、実際には、レオン・レッドボーンだの、戦前のジミー・ロジャースだの、エメット・ミラーなんかの曲が中心で、通好みというか、マニアック過ぎたかもしれません。
いずれにせよ、「昔の音楽を昔の楽器編成で演奏」という点では、メディパックスは、まさに、いかにも昔っぽい、ロカビリーなどよりずっと以前の、1930年代あたりのサウンドを目指していて、結構うまくいったと思います。
「昔の」といえば、南こうせつの神田川だってサザンの「勝手にシンドバッド」だって昔ですが、その親の世代が若い頃くらいの昔さ加減だったのです。



 楽器編成はウクレレと唄(「ヴォーカル」なんていうより「唄」というほうが感じが出る)、ピック・ギター、ウッドベイス、フィドルというシンプルなもので、わたくしの若い頃からの仲間、ブルーグラスやその周辺の音楽を長年プレイしてきているおじちゃんたちでやっていました。
まあ、わたくしが作って運営していたバンドなのですが、ステージで私が担当していたのが、ウクレレ。これが、とても面白い代物なので、ちょっと紹介しますね。

 ウクレレというのは、大変メジャーな楽器で、「ふだんはロカビリー・ギタリストだから、ウクレレは弾かないけど、家の中に転がっているなあ。」なんて人も多いんじゃないでしょうか。
「ウクレレ=安い=おもちゃみたいな楽器=シンプルで誰でもカンタンに出来る」という感じ。
「ウクレレ=ハワイアン=昭和1ケタ以前生まれの年寄りの音楽に使用する楽器」という見方もありますね。 少なくともわたくしが子供のころ(昭和40年代)は、そういう風に思っている人が多かったし、ウクレレ=牧伸二師匠の爆笑漫談、というのも一般的でした。



 ところが、21世紀に入ってからは、偉大なウクレレ奏者、ハーブ・オオタさん(牧師匠の音楽仲間でもある)の影響が世界に行き渡ってきていて、「ウクレレ=実は何でも出来る万能楽器=実はとてもテクが要求されるクラシック、ジャズギター並みの高度な楽器」という認識が広まって久しいのではないかと思います。
「実は、とても奥の深い楽器でこんな超絶テクが云々……」なんてことが、インターネット上においてもいやになるほど紹介されているので、ここではその手のうんちくは書きません。面倒なので。
しかし、なんといっても、「こんなに軽くて小さい重宝な万能楽器はない」ということにつきる。これだけは今も昔も変わらずにそうではないか!と思うのです。
見かけのわりにはどんな複雑なコードも出せますし、クラシックギター並みのソロもとれますし、和音も楽理的にも分かり易いし、一緒に唄も歌えるし、値段も安いし、持ち運びに便利だし〜というわけです。



 私が初めて買ってもらった楽器もウクレレでした。たしか7才くらいだったと思います。 もちろん、最初に覚えたのは「きらきら星」です(笑)。
そのとき、一緒に買ってもらった教則本は、今でも重宝しています(コード一覧がある)。
そのウクレレ(もちろんフェイマス)は、数年でネックが倒れてしまい、ゴミ箱行きとなりましたが、基本はガキの頃に全部覚えたと思います。
あまり複雑なことはしたことないので、オオタサンスタイルのソロなど研究しないと出来ませんが、僕にとって、ちょこっと弾く分には、これほど意識しないで弾ける楽器はありません。
その後オオタさんのビデオを見て、驚愕しましたが、その華麗な音楽以上に印象に残ったのは、ウクレレに対するコメントです。

「やっぱりウクレレの一番いいところは、軽いこと(笑)」(ハーブ・オオタ)

というわけで、重い楽器を苦労して運び、スタジオで巨大な電気機材と格闘し、複雑なギターコードにうんざりしてきた経験の多いロック系ミュージシャンの方などは、「ウクレレの素晴らしさ」を再認識する方も多いのではないでしょうか。

さて、そんな「ウクレレな音楽」というのは、どんなものでしょう?
日本と違い、アメリカの方は、ウクレレというと、まず、連想するのが、この人。



 「ウクレレ・アイク」(クリフ・エドワーズ)1930年代〜1950年代に活躍したヴォードビリアン(日本でいったら「寄席芸人」)。映画界でも有名なので、エノケンみたいなもんかな。「雨に唄えば」のオリジナルを唄った人、ディズニー映画「ピノキオ」で「星に願いを」唄った人だといえば、分かる人は分かるでしょう。
僕は日本人ですが、「ウクレレな音楽」というのは、「ウクレレ・アイク」の世界でした。
というのも、子供のころからオフクロに洋画に連れ回されたせいで、古いハリウッド映画のウクレレ・アイクが気にいっていたんです。
最近の本格的なウクレレアンは、ハーブ・オオタマナー全盛ですが、僕はウクレレ・アイクがいい。

 ヴォードヴィルというのは、古くはあきれたボーイズ、トニー谷をはじめ、日本でもポピュラーだし、アメリカのホンモノをちょっとインチキ臭くいじってみたらどうかなということで、企画したのがメディパックスだったわけです。
というわけで、「ダンディでインチキな、ださくてかっこいい、ノスタルジックな寄席芸風おじちゃんバンド」目指してがんばってみたのですが、4年ほど前に、流れ解散となってしまいました。
いつか、機会があれば、また、やってみたいなあ、と思う、そんな楽しさ溢れるバンドでありました。

 さて、ウクレレな音楽、以下はちょっとしたオマケの冗談のつもりで。



1.ウクレレな格好について

ウクレレといったら、ハワイアン! やっぱり、男ならアロハ、女ならムームーだろ!! というのが一般的で、確かにそのとおりですが、「ウクレレアイク派」からいったら、やっぱりタキシードです。タキシードに合うデザインのウクレレといったら、やっぱりマーティン!という感じもしますね。
まあ、ウクレレですから、その気軽さ、かわいらしさ、素朴さからいって、どんな格好でも構わないと思います。
ただし、ひとつだけミスマッチな格好があります。それは言うまでもなく、ヘビメタです(笑)。
僕は、家で、パジャマのままウクレレをいじってることが多いですが、鏡で見るととても似合っている。他の楽器では、なんかヘンなのに、ウクレレだけはぴったりハマります。実は、パジャマが一番似合うのでは?などとも思う今日このごろであります。

2.ウクレレなおしゃべりについて

なぜかウクレレを持っていると、あまり堅い話をしたくなくなります。一度、職場にウクレレを持っていき、放課後に残業中の女性の前で弾いてたことがあるんですけどね、「もう、だめ! すっかり仕事やる気がなくなったわ……。」といって居眠りをはじめてしまいました。
家でもウクレレを持っていると、「ぼかあ、しあわせだなあ〜」という、加山モードになっていき、しまいには自分が居眠りをはじめてしまいます。「今度の保険の支払いがあ……」とかかみさんと実務的な話をしていても、ウクレレを奏でながらだと、「ところで、そんなことよりバナナでも食うかあ……」なんてほうに話がずれていってしまいます。
ステージでもそうです。イナズマなエレキなんかもって出ていると、「ふん!」ってな雰囲気で、しゃべってしまいますが、ウクレレを持ってると「いやあああ、こんちゃあああ」と間延びしてしまうんです。恐るべし! ウクレレパワー!! 人格まで変わってしまうかもしれません。

3.ウクレレな男

「ウクレレな男」っていうと、有名ミュージシャンではハーブ・オオタ、高木ブー、牧伸二……といったところがすぐ浮かびますが、皆同じようなイメージを持ってることに気がつきますよね! 「なんかあ、のんびりしてるよねえええ」「なんか温かい人そうだねええ」「なんかあ、ペーソスがあるよねえ」といったところでしょうか。
もっとも、真っ黒なブルーズマンが、私生活ではめちゃめちゃオチャメな人だったり、とろけるような2枚目イケメンのジャズsジンガーがマフィアだったりすることもあるので、実際はわかりませんけども。

4.ウクレレと食い物

ウクレレは、なにか食べたり飲んだりしながら、弾くのが似合います。管楽器をやっていると、食べながらというわけにいきませんし、デカいサイズの楽器だと、食事のじゃまです。
ギブソンのL-5もってラーメン喰ってるとやっぱり違和感がありますよね。ロックギタリストやブルーズマンだと、チキンサンドとか似合いそうだし、演歌歌手なら寿司と言った感じですが、ウクレレは喰うもの選びませんね。そばから、ステーキまで、すべてにはまるし、ますますおいしくなりそうです。

5.ウクレレとダンス

僕はダンスは出来ませんが、ウクレレとダンスはとてもよく合います! だいたい、本家本元のハワイアンがそうですもんね! それに、アメリカ本土のウクレレ・アイクだって、やっぱりラインダンスフィーチャーでしたね。
ウクレレは、弾きながら唄うだけじゃなくて、踊ることも出来ますよ。ギター弾きながら踊る人も、サックス吹きながら踊る人もいますが、でかくて重いと相当体力が必要です。ウクレレくらい軽くて小さいと、体の小さい人でも、子供でも大丈夫!

6.ウクレレと年齢

これは、まじで素晴らしい点だと思うのですが、ウクレレは年齢も性別もまったく選びません! 3歳から300歳まで、男からおかまちゃんから女まで、すべてにフィットします。しかも、比較的容易に覚えられて、弾くことが出来る。やっぱりウクレレは偉大な発明といわざるを得ません。

というわけで、ウクレレをいじっていると長生きできること間違いなしです。
みなさんも、是非一家に一台、ウクレレをお試しください。

 あ、もちろん、グゥイングゥインにカッコイイ、THE KINGのピストルパンツも一家に1本は必ず常備してくださいませ!

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