8鉄風 ROCK COLUM by 8TETSU Vol.306

ロックのルーツ~ ビル・モンローに代表されるブルーグラス音楽

みなさん、こんにちは。頑固8鉄です。
今回も前回までに引き続き、ロカビリー、ロックンロールの先祖となった音楽のうち、
ビル・モンローに代表されるブルーグラス音楽を振り返ってみましょう。

厳密にいうと、ブルーグラスは演奏スタイルでもジャンルでもないといわれています。

それは、ブルーグラスバンドの重鎮だったジョン・ダッフイがそう証言しているからです。
「実は、自分たちはブルーグラススタイルで演奏しているけど、ブルーグラスじゃないんだよ。
なぜかというと、ブルーグラスというのは、ビル・モンロウと彼のブルーグラスボーイズの音楽をいうからだ。

あとは、フラット&スクラグスとスタンレイ・ブラザースがいるくらいだ。」

ブルーグラスはケンタッキーのアパラチア地方伝統の民謡、
マウンテンバラッドをビル・モンロウのように演奏することをいうのですね。
本物のブルーグラスというのは、その地の本物の伝統継承者ということなのでしょう。

ロカビリーの始祖であるカール・パーキンスは、黒人ブルースマンのジョン・リー・フッカーの
ブルース曲をビル・モンロウ風に演奏するところからスタートし、ロカビリー・スタイルを確立しました。

エルビスはモンロウのブルームーン・オブ・ケンタッキーをメンフィスの
ビールストリートブルースミュージシャンのように演奏し、ロカビリースタイルとしました。

1 Bill Monoe & His bluegrass Boys - Lawhide



ビル・モンロウのドライブがかかったブルーグラスが
ロカビリーに与えた影響は大変大きなものがあります。

そんななかから、マンドリンのインストで有名なロウハイド。モンロウの
フィドルゆずりのマンドリンスタイルは、カール・パーキンスのギタースタイル、
ダブル・ストップ、コードソロ的プレイなど、大きな影響を与えていると思います。


2 Bill Monroe & His Bluegrass Boys - Blue Moon Of Kentucky



エルビスのレコードを聴いたオリジナルのビル・モンロウは、
逆コピーし、エルビス風に途中からビートを変えてブルー・ムーン・オブ・ケンタッキーを演奏し、
ブルーグラスがロカビリーをとりいれたりもしています。


3 Lester Flatt And Earl Scruggs - Ballad Of Jed Clampett(Theme From The Beverly Hillbillies)



ビル・モンロウのブルーグラスボーイズ出身のふたり、ギターのレスター・フラット、
バンジョーのアール・スクラグスは自分たちのバンド、フォギー・マウンテン・ボーイズを結成。

ヒット曲とは無縁の民謡会で、唯一全国ヒットとなったこの曲で一躍有名になりました。
なお、スクラグスは、5弦バンジョーをスリーフィンガーで弾く
独自の奏法を発明、これがブルーグラス音楽最大の特徴となりました。


If I Should Wander Back Tonight - Foggy Mountain Boys



エルビスなど、ロカビリーブームの到来を受けて、
ロカビリーっぽくアレンジしなおして演奏された彼らの十八番です。

当時のブルーグラスファンには不評だったそうですが、
なかなかかっこいい出来栄えです。

5 How Mountain Girls Can Love - The Stanley Brothers



ビル・モンロウの歌い方から、「ハイロンサムサウンド」と称されるブルーグラス唱法。

もうひとつ有名なクリンチマウンテン出身のこのブルーグラスバンド、
スタンレイ・ブラザースのドライブのかかったハイロンサムサウンドのこの曲は、
すっかり古典となっています。


6.Roscoe Holcomb



最後に、ハイロンサムサウンドの元祖をご紹介しましょう。

アパラチアン・マウンテン・バラッドの第一人者、ロスコウ・ホルコム。
1912年生まれですから、ビル・モンロウと1歳違い。

この人は、あとから「発見」された人で、昔から変わらずギターとバンジョーで
弾き語りをするフォークミュージシャンでしたが、
50年代後半からじわじわと浸透したフォークリバイバル運動の中で、
はじめて全国的に知られるようになりました。

のちのボブ・ディランをはじめとしたフォークミュージックに
大きな影響を与えたばかりでなく、
ブルーグラス音楽前夜のオリジネイターとして記憶されるべき人であります。


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