8鉄風 ROCK COLUM by 8TETSU Vol.303

世界一美しいラテンバラード5選

江古田の伝説的人物、平野実さんは、1986年ごろ、
彼の店「クランレコード」で、ラテンのLPレコードに囲まれていました。

その向かい側には、わたしも座っています。

テキサスのアコーディオン奏者、スティーブ・ジョーダン日本公演を実現した人、
ということだったからか、コンフント、テックスメックスの人の
イメージでとらえている方が多いのですが、
彼の音楽趣味も知識も情熱ももっとずっと幅広いものでした。

メキシコのマリアッチ、ソン・ハローチョ、パンチョスのボレロ、アヤラ・バエズに
代表されるパラグアイガラーニャなどなど、平野さんから教わったことはとても多いです。

今でも、昭和的な、60年代の日本の香りもするパラグアイ・ガラーニャ音楽が好きですが、
当時のレコードをかけるたび、そんなことを思い出します。

早世だった平野さんが亡くなってから久しいのですが、
最近手に入れたラテンの古いLPレコードをかけていたら
ふとそんな懐かしい思い出に浸ってしまいました。

そんな思いを伝えるには、音楽を聴いていただくのが一番。
そんなの聴いたことないぜ、あまり興味ないなあ、
という方も少しだけお付き合い願えれば、新しい世界が拡がるかもしれません。


1 A Mi Pueblito Escobar - Betty Figueredo



パラグアイの偉大な作曲家、作詞家、音楽家だった
エミディオ・アジャラ・バエズの「ア・ミ・プエブリート・エスコバル」(エスコバルの丘)。

パラグアイを代表する大歌手、ベティ・フィゲレドバージョン。
youtubeでこんな音楽が聴けるとは、すごい時代になったものです。
この歌は、望郷の歌なのですが、「母の歌う子守歌が風に舞う、あの丘に帰りたい」と
いう詩も素晴らしい。

風に舞う、というのが情景が目に浮かぶようで、すごいなあと思います。


2 Mi Dicha Lejana - Ginette Acevedo



こちらは、同じくバエズの傑作、「ミ・ディチャ・レハーナ」を
歌うチリの大歌手、ジネット・アセベドのバージョン。

この昔っぽいアレンジが郷愁を誘う素晴らしいバージョンです。
これが収録されたアルバムも傑作。

日本では「遥けき恋路」として知られる歌。
遠くにいる恋人を歌ったものですが、遠い異国に暮らしながら
初恋の人を想いつづけた作者バエズの実人生を
わずかな言葉で昇華したような壮大な歌です。


3 María Elena-Nat King Cole



マリア・エレーナはロス・インディオスのギターインストが日本でも有名で、
ロックファンもライ・クーダー版で知っている人が多いラテンの古典的名曲です。

作者はメキシコのロレンゾ・バルセレイタ。
歌ものとなると、最も知られているのはアメリカの大歌手、
ナット・キング・コール版かもしれません。


4 Contigo - Trío Los Panchos



5 Sin Ti - Los Panchos

1959年の初来日以来、日本でも安定した人気を誇っていたパンチョス。
もともとのオールド・ファンは、「トリオ・ロス・パンチョス」で覚えておられると思います。

メンバーがころころ変わるため、名前だけ生き続けている印象はありましすが、
安定して素晴らしい、メキシコを代表するユニットのひとつです。

ボレロの名曲といえば、コンティゴとシン・ティ
。コンティゴといえばパンチョスであります。

余談ですが、わたくし、「ドン・ガバチョス」という、
メキシカンなコミックバンドを企画したことがありますが、実現せずじまい。

また、取り組んでみようかなあと思ったり。
なんか面白いことしたいなあと思いつつ、これらの感動的な音楽を聴くたび、
自分のバカさ加減を恥じてみたり、こもごもであります。

では、また、次回!
アディオス、ムチャーチョス!

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