8鉄風 ROCK COLUM by 8TETSU Vol.188

天然色のアドバルーン 昭和の東京



とりあえず、池袋の古い写真でもご覧ください。昭和29年、1954年です。

昭和29年「池袋」 駅前、ヤミ市、映画館、ガード、商店

東京に昔から住んでいた方なら池袋でなくても、ああ懐かしいという感覚にとらわれるはず。
こういう町が広がっていた、かつての東京。

町並みだけでなく、行きかう当時の車、人々の服装、なにもかも今とは大きく異なります。
こんな町並みは今は東南アジア諸国に行ってもあるかないか、といったところでしょうか。
ああ、懐かしいと感じた方はたぶん60代、70代あたり。
わたしの生まれる7年前の画像ですが、まあそんなに違わない。大きく変わっていったのは、
1964年の東京オリンピック以降です。
まあ、わたしもずいぶんと歳をとったものです。
なにせ、昭和~平成~令和と生きてきたんですからね。



もうひとつ、こちらはわたしの出身地、千代田区の記録フィルムで昭和31年(1956年)。
当時日本在住の外国人の方が撮ったもので、皇居が中心に撮られていますが、
麹町方面になるともうわたしの生まれた街なので非常に強く訴えかけてくるものがあります。

昭和の東京 高画質カラー映像 昭和31年(1956年)


おしゃれな車ばかり!でも当時はこれがスタンダード。
1960年代車を持っていたこともありますが、なにせいまの車と違って運転が難しい。
すぐに壊れるし。
よくあんなの乗ってたよなあ、と思う。

そして、空に浮かぶアドバルーンが懐かしい。
路面電車とともに、この時代の街を象徴しているように思います。
ボンネットバスも走っている。
フィルムが当時の色なんですが、記憶の中の街もこの色なんですよね。
そんなこと現実にはありえないんですが、たぶん、うちに残っていた8ミリ映像もこんな色なので、
記憶が実際に見た風景とフィルム上の風景をごちゃまぜにしてるんでしょうね。



次は、時代が少し進んで1960年代後半の東京。
短く音もありませんが非常に綺麗な画像に修正されています。

1960年代後半の日本 HD高画質 1964年東京オリンピック後


こちらは、外国人の方が撮った庶民の暮らしを描いた記録映画、1966年。
まるで子供のころの台所にタイムスリップしたみたいな錯覚にとらわれます。
お茶碗から鍋、食器棚にいたるまで、なにもかも見覚えがあるのです。

Everyday life in bygone days in Tokyo, 1966 昭和東京


さらに進んで1970年代。かなり現在のイメージに近くなっていたように感じます。
銀座のホコテンとか懐かしい。高度成長期から抜けるのが1970年ころ。
すでにイタイイタイ病などの公害を中心に弊害部分が目立ってきて、自省に入っていく時期です。

イケイケではない、安定期だったともいえますね。
しかし、東京の街そのものはどんどん変わっていきました。
1971年の京王プラザホテル本館を皮切りに、新宿住友ビル、KDDビル、新宿三井ビルなど、
超高層ビルが林立。西新宿の大開発(副都心)ができたのもこの時代。
原宿のまだ同潤会アパートにちゃんと住人がいた時代ですね。

Tokyo Landscapes 1971 // 1980




さて、懐かしさというより、歴史ものとしての凄い映像を最後にご紹介。
かつてNHKで放映した、1917年の大発見フィルムのデジタルカラー化プロジェクトの抜粋映像。

カラー映像で蘇る東京の風景 Tokyo old revives in color


1923年、関東大震災をとらえた貴重なフィルム。


そして1944年、東京大空襲。とうとう焼け野原に。


東京の歴史は、疫病、災害、戦争とともにありました。
街というのは常に闇と再生の物語を伴います。
現在、東京をはじめ、全国各地で新たな疫病が流行していますが、
過去100年を振り返っても一度に数十万人が亡くなる事態はあったのです。
救いがあるとすれば、このフィルムの中にいる人々の笑顔。
焼け野原で遊ぶ子供や必死で復興にとりくんだ大人たちの笑顔でしょう。
過去はいろいろなことを教えてもくれるのです。





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