8鉄風 ROCK COLUM by 8TETSU Vol.179 |
ブルー・クリスマス もう12月も後半というか年末というかもういくつ寝るとお正月というか。 こんな季節、日本でも昭和半ばくらいからはクリスチャンでもないのにクリスマスをお祝いする風習が根付いてますね。 わたし、小学校から中学校にかけて教会に通ってましたが、クリスチャンだったからではなくて、 タダで英語を教えてくれる牧師さんがいたから。 洗礼うけますか?とか言われましたが、とんでもない!と逃げました。 信心のかけらもない、悪鬼のようなガキだったのでそんな恐れ多いことはできません。 さて、そんなヘンテコな馬トラだかトラウマだかを持っているわたしも、アメリカンな古いクリスマスソングは大好き。 ビング・クロスビーのホワイト・クリスマスとかを家の中で縄跳びの縄の持ち手のところをハンドマイクに見立てて、 エンターテイナーの真似をして遊んでいたヘンタイ親父、じゃなかった、ヘンタイなオコチャマだったんですけどね。 ビングみたいにかっこいい白人になりたい!と思ってもいました。 どっから観ても「平たい顔族」なんで、一瞬で諦めて、フランク永井でも目指すか!と思ったこともあります。 もちろん、今ではすべてをあきらめておとなしく田舎の引き籠りジジイをやってますからご安心を。 さて、そんな、アメリカでよく親しまれているクリスマスソングのひとつに「ブルー・クリスマス」があります。 ありますよね、ブルーなんとか。ブルー・マンデーとか、ブルーライト・ヨコハマとか (違ブルー・クリスマスは、ビリー・ハインズとジェイ・W・ジョンソンが書いたクリスマス・ソング。 最初の録音は、カントリーのドイ・オデルで1948年のことでした。 ドイ・オデル盤 スチールギターがふわおーんとかいってるのどかな感じのカントリースタイルで、 小さな編成によるコージーな演奏です。 続いて出たのが、同じくカントリーの大スターだったアーネスト・タブ盤。 こちらは、1950年のビルボードカントリー&ウエスタンチャートの1位になっています。 アーネスト・タブ盤 なんつか、ヘタウマな歌、というかなんというか、まあ、この人「俺、歌ヘタだから。」って認めちゃってる人なんですが、 そんなんカンケーねえ!ってくらい売れた人。観た感じも田舎の偏屈親父みたいなのに。 さらに、日本でクリスマスソング、といってすぐに連想するオーケストラの流麗なアレンジを施したものの 最初のものが出ました。ウーゴ・ウインチェスター・オーケストラのもので、 ビルボード・ディスクジョッキー・チャートの9位。 続いて同じ感じの、ラス・モーガン・オーケストラ盤が、ビルボード・ポップチャートの11位にまで上がります。 ラス・モーガン・オーケストラ盤 ちなみに、ラス・モーガンは、You're Nobody till Somebody Loves You(ディーン・マーチン 1960年)の作者。 最初の録音はミルス・ブラザース(1954年)ですが、のちにマーチンがヒットさせました。 両者が顔を合わせたショーの動画があるので、ご覧ください。 面白いディノとミルスの掛け合い: たぶん、一番知られているエルビス盤は57年のクリスマスアルバム向けに吹き込まれたもので、おなじみのジョーダネア ーズがコーラスを担当。64年にやっとシングルが出て、これはイギリスで11位を記録。その後、68年のカムバックス ペシャルでも演奏したので、そちらで知った人も多いかも。 エルビス盤(1957年) エルビスが歌うと、エルビスになってしまう。当たり前か。かなり個性的なので、この人が歌うとどんな歌でも 「エルビスもの」になってしまうあたり、すごいですな、超一流どころというのは。 64年には、ビーチ・ボーイズ盤も出ましたが、その後もたくさんのアーチストに支持され、 カヴァーされつづけて現在ではスタンダード、古典になってますね。 さて、この中で、特筆すべきなのは、アーネスト・タブ盤。 タブはテキサス・トラバドー (テキサスの吟遊詩人として知られる歌手、作曲家で、カントリー・ミュージックの パイオニアの1人。『Walking the Floor Over You 』(1941年)でもって、ホンキートンクスタイルを有名にした人です。 この人については、またいずれ。 |