8鉄風 ROCK COLUM by 8TETSU Vol.156

 テキサス・ギターの神様 クラレンス“ゲイトマウス”ブラウン



ゲイトさんとロイ・クラーク。スーパーギタリスト2人のテクが爆裂します。
ゲイトさんが、「ブルースマン呼ばわり」を非常に嫌っていたのがよくわかる。とても楽しそうなゲイトさん!
「俺は、テキサス音楽をやってるんだ。ブルースミュージシャンとか言うんじゃねえ。」



いきなり、かっとびの動画で始まる頑固ワン鉄ですわん。
ゲイトさん!芸人さん!本当はゲイトマウスさんですが、これもあだ名で、
クラレンス“ゲイトマウス”ブラウンさんです。
やー、かっちょいいですなあ。ゲイトさん。昔、日本に来たとき渋谷のライブイン(だったかな?)でコンサートがありまして、かぶりつきで観ましたね。まあ、ギタリストとしては鬼ですから、すごいのはわかってましたが、
なにより凄いのは、そのメヂカラ、ですね。
あの顔は恐いです、はっきり言って。こんなにニコニコしてませんでしたし。ひたすら、ド迫力で「おら、てめえら、ききやがれよ!」みたいな顔して、クールにふん!って感じで弾きまくる芸人、もとへ、ゲイトさん。
不良だ、このおっさんは不良なんだあああ、と思ったものです。
特に印象に残っているのは、怒った事です。ベース奏者が一音だけミストーンを出しまして、(もちろん誰も気がつかないんですが、のちに判明)ゲイトさん、ベーシストをぎろりとにらんで、「クビにすっぞ、おら。」と言ったかどうか誰も聴いてませんが、そんな顔でにらんでいたのが忘れられません。鬼だ、本当に音楽の鬼なんだ。。。。。
とずっと思っていたのですが。なんですか、この動画のだらしないズヘヘヘ笑顔は。
まあ、相手が名手ロイ・クラークなんで、互角勝負だから、楽しかったんですかね。
楽屋裏で、フィドルを弾いて上機嫌な動画、というのも後にtubeで観ました。結構、ニコニコおじさんなんだ、
そうだったんだあああ、などと思うようになったのは、tubeでたくさんの動画が観られるようになってからです。
なあんだあの不良ぶりはステージングだったのか、とも思いますね。逆が吉本の芸人さんたちで、ステージから立ち去るときはすでにむっつりしてますもんね。なんどか生で観てるので、「プロだなー」と思いましたです。わたしなんか、どこでも変わらず、「ただのバカ」で通ってしまいますから、アマチュアですなあ。
さて、そんなゲイトさんは、1924年生まれ。ルイジアナ州ヴィントンで生まれ育って、鬼のようなかっこいい革新的ギタープレイでブルースを演奏したもんだから、さあ大変。本人はそんなつもりじゃないのに、「ブルースマン」呼ばわり?される始末。実際に、彼はどんな楽器でもどんな音楽でもこなせるだけの実力があり、ケイジャン、カントリー&ウェスタン、ジャズなど幅広く、「俺が気に入ったものはなんでもどんな楽器でもやっちゃうんだもんね。」といわんばかりに活躍するのです。
1924年、テキサス州との州境で生まれた人なんで、テキサス独特の音楽もルイジアナ独特の音楽もなんでも聴いて育ったんでしょうね。お父さんはカントリー・フィドラー。テキサス北部はウエスタンスイング、ジャズ、ブルースが盛んで、ルイジアナにはさらにケイジャンやザディコ、さらにニューオリンズの王道ジャズが、近隣のテネシーはカントリー、ケンタッキーはブルーグラスなどなど、アメリカ南部音楽の宝庫です。
1947年マックスウェル・ディヴィスのオーケストラをバックに4曲をレコーディング。すぐにピーコックへ移籍して、ビッグバンドを従えたテキサスジャンプブルースと今は称されるようになっためちゃくちゃかっこいいギターインスト"Okie Dokie Stomp"を出してしまったので、「ゲイトさんは鬼ウマブルースギター」とイメージが出来てしまうきっかけになりました。



1960年代はあまり音楽をやらず、ニューメキシコ州に移住して保安官代理をしていたらしい。あのカウボーイファッションはそのころから。本物の保安官代理だったのだから当然といえば当然か。
1970年代になってはじめて、初のヨーロッパ・ツアーをはじめ、76年にはアメリカのレーベルMusic Is Medicineより、アルバム「Blackjack」をリリース。デビューから29年経って発表したこのアルバムが、本国でのデビュー・アルバムというわけで、時代がやっとゲイトさんに追いつきだました。
とうとう、81年のアルバム「Alright Again!」がグラミー賞を受賞。しかし、肺がんに侵され、2005年8月29日、アメリカ南部を襲ったハリケーン・カトリーナで自宅が全壊してしまい、その僅か12日後、避難先のテキサス州オレンジで、81歳でなくなりました。
それにしても、なんですね。もうひとつ、ちょい専門的ですが、気になるのは、あのカポ。ギターのキイを変えるときに使うカポタスト。普通、ブルースの人とかロックの人は、カポー使わないイメージですが、ゲイトさんは11カポとかしてました。なんでしょうね、するってえと、そのヘッド側の10フレットくらいはいらない、わけですね。邪魔だからのこごりでちょん切っちゃえばいいのに、なんて、そんなことご本人に言ったら、ものすごくメヂカラでにらみ殺されそうですが、「へっへっへっ!だろー?俺もいらねえんじゃないかと思うんだ!どひゃひゃひゃ」なんて大笑いしそうな気もします。不思議カッコイイ、ゲイトさんのお話でした。




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