ROCK FIREBALL COLUM by NANATETSU Vol.97



七鉄より「アイスランド/イギリス地方」へ愛を込めて?!
33年前、七鉄青年が初めて見た「ロック第二の本場イギリス」の現実!

 
 アイスランド島の火山噴火で、イギリス全土の空港が一時閉鎖になるなど、ヨーロッパ方面の空のダイヤがパニックっておるようじゃな。 久しぶりにイギリスが気になったもんで、ロンドン在住35年の旧知の友とスカイプで話す機会となったんじゃ。 ヤツとじっくり話すのは10年振りぐらい。 「七鉄さん、アンタ初めてロンドンに来たのはいつだっけ?」から始まって、まあ昔話つうか「昔ロック話」に花が咲いたワケ。
 わしがエドワードをまとって初めてロンドンを訪れたのは1977年。 その時は火山じゃなくて、ロンドン・パンクが大爆発!した時じゃ。 それからロンドンには数回行ったが、ここ10数年はご無沙汰しとる。 長い空白期間がそうさせたのか、つい日本にいる友人と話すノリで「ロンドンも随分変わったじゃろう!」と言ってしまった。 ヤツは大笑いしながら「おいおい、マジでボケたんじゃないの! イギリスは、あの頃とちっとも変っていないよ!」

 そうじゃった。 わしとしたことが何たるイージーミス! 大英帝国の文化、習慣ってのは、19世紀にはがっちりと出来あがっており、100年、200年程度の経過では変わらんのじゃよ。 もちろん内部にはインターネットを始めとする「文明の利器」が入りこんどるが、文化と生活の基本はそうは簡単には揺るがんのじゃ。
 ではわしがこの目で見た、現代とほとんど変わらない、33年前のイギリスとはどんな国だったのか? 毎日、毎晩ビール飲みまくってレコード探して、ライブスポットをチェックしてのロック三昧は言うに及ばんが、それよりも当時わしが受けた「カルチャー・ショック」や「お笑い失敗談」の方を披露するので、リラックスしながら読んでくれ〜。



■episode-1 とにかくビールと紅茶が美味い! 
 

 イギリスはビールが美味い! 常温で飲んでも美味いから堪らんわい!! 都会でも、田舎町でもどこでも、昼間から気軽にビールをひっかけられるパブがあるので天国じゃ!!!大ジョッキのビールをチビチビとやりながら、お隣さんと延々とダベルのが、イギリス紳士風ご近所付き合いじゃ。
 また紅茶の美味さもハンパじゃない! しかも安い!! わしはイギリスから帰国した後、日本で売られている紅茶が不味くて飲めんかったぐらいじゃ。 土産でもっとも喜ばれたのも紅茶じゃった。 ピストルズのジョン・ライドンも「イギリスはクソったれな国って歌ったけど、紅茶だけは美味いな」と語っておったのは有名じゃ。

 しかし、どっかの田舎のパブに嫌なバーテンがおったな。 わしはビールの他に、現地女性に教えてもらった「クレメデミント」というグリーンのミント系カクテルにもハマったんじゃが、最初は発音が悪くてバーテンに通じない。 その内わしが必死の発音でオーダーする度に周りがゲラゲラ笑い出すのじゃ。 要するにバーテンは分からないフリをしていたのじゃ。 ニッポン人をなめんじゃねー!



■episode-2 ロックはどこ? パンクはどこ?
 

 イギリスといやあ、ビートルズとローリング・ストーンズから始まって、ブリティッシュ・ロックという文化を生んだ国じゃ。 ましてわしが初めて訪れた時はパンク・ブームだっただけに、旧ロックとパンクとがロンドンの街中でどんな感じで色分けされておるのかと、胸をワクワクさせながら飛び込んだもんじゃ!
 ところがじゃ。 ロックはおろか、パンクの臭いすらどこに行ってもせんのじゃ。 ロンドン全体が、ヨーロッパ伝統の石造文化の旧態然としたストリート風情で統一されており、
ヤング・カルチャーがおいそれと入りこむ余地などまったく無い!
 これには参った! 「ロンドン中にパンクの炎が燃え上がりウンヌンカンヌン〜」なんつうのは、過剰なマスコミ報道に過ぎず、わしら日本人は勝手に勘違いしておったのじゃ。 当然ツンツン・ヘアーにカミソリや安全ピンをアクセにしたパンク・キッズなんてどこにもおらんかったよ。
 大きなレコード屋に行っても、ロックもパンクも何ら特別扱いされておらず、これまた拍子抜け。 その代わりと言っては何じゃが、スーパーマーケットなんかで、紅茶やスナック菓子の隣の棚にビートルズのレコードが売られていたりするのじゃ。
 ある程度時間が経過してから気がついたのじゃが、要するにこれがイギリス流なのじゃ。 
ロックは完全に庶民の生活の中に溶け込んでおるから、今更必要以上に崇めたり、飾り立てたりはしないのじゃ。 奥ゆかしいというか、クールというか、「さすがは紳士の国は違うのお〜」と感心したもんじゃ。


■episode-3 ナイト・クラブだけが、パンクスの縄張り

 じゃあ、世界の音楽情勢を一変させた!と報じられていたパンクおよびパンク・キッズたちは何処におるのか? それは夜の小さなライブ・ハウスの中だけなんじゃな、これが。 パンク・バンドが出演するナイト・クラブはそれなりの数があったから、そこだけが彼らのコミュニティーだったってワケ。
 しかしイギリスって国は、昼間からビールが飲めるパブは多いが、夜は大体23:00ぐらいでピシャリと閉店するから、ライブでハイになったロッカーとかパンクスが夜中に騒ぐ場所なんざ、そんなに無いのじゃ。 みんな、かわい〜く「部屋飲み」でもやっとったんじゃろうな。 街全体がエンターテイメント舞台と化している“不夜城”のニューヨークとは雲泥の差じゃよ。

 これはヨーロッパ全土に共通していることじゃが、ヨーロッパ人はまず何よりも古い伝統を大切にするんじゃな。 新しい文化やムーブメントは受け入れられるものの、決して伝統を覆すような扱いはされんのじゃ。
 じゃから、
新しいファッションや音楽が流行っても、あくまでも「取り扱い建物や店舗の中」だけであり、決して表通りの伝統ある統一感を損なわないように配慮されるのじゃ。 見方によっては、新しいファッションや音楽が箱入りで大事にされているとも言えるが、アメリカ式ド派手なプロモーションってのに慣れている日本人には最初は頼りなく見えるものじゃ。

 ここまで読んで、イギリスのヤング・カルチャー事情にがっかりしたかもしれんが、これが事実じゃ。 だけどお次は、「さすがロックの本場!」といえる事実をご紹介しておこう。


■episode-4 フツーの若者たちが当たり前にロック談義


 ロンドンから列車に乗って郊外に出かけた時のことじゃった。 2人づつ向かい合わせに座る列車のシートで、わしの目の前に座ったフツーの若者2人が、車窓を眺めながらのんびりとこんな会話を交わしておった。
 「そう言えばサ、○○に□□が新メンバーで加入したらしいね」 「ああ、ニューアルバムではハードロックに戻るってさ。 △△も特別参加でサイドギター弾いているらしいよ」ってな話じゃ。
 わしはこの光景に唖然としたんじゃ。 だってわしらが日本でロックの話をする時は、それなりの格好と目つきをしたロック野郎を相手にして、それこそ人生の一大事!みたいに構えていたからじゃ。 わしらにとって重大な話を、まるで幼馴染同士の茶飲み話のノリでやられたもんじゃから、うらやましい〜の何のって!
 まあこんな会話は街の喫茶店、大学の学食(安いからよお行った!)、ショッピングストリートでも頻繁に聞こえてきおった。 これがロックが生活の中に溶け込んどるということか!とわしはカルチャーショックを受けたもんじゃ。


■episode-5 テレビでロックスターが観れる!

 憧れのロッカーたちの母国に行っとるんだから、彼らがテレビに登場するのは当たり前じゃが、当時はMTVも映像作品も無かった時代じゃ。 それなのに、
ロックスターの動く姿がテレビでフツーに観られるんだから、そりゃあ日本人はコーフンするわな!
 実はだな、最初はスゲ〜違和感があったもんじゃ。 バラエティみたいな番組のゲストにロッカーが出て来て、「それではここで、ゲストの○○に演奏していただきましょう! 曲は□□です!」なんて作り笑顔の司会者に紹介されるんじゃよ。 わしはズッコケ・ムードじゃったよ。 
 でもやはり「動画」の魅力には勝てんかったな。 我が麗しの女性シンガー、ケイト・ブッシュ嬢や、オキニでありながら日本では無名じゃったシン・リジーの動画は初めて観ることが出来たし、デビュー当時のダイアー・ストレイツやホワイトスネイクの貴重な映像も印象に残っておる。 パンク連中は大人たちに敬遠されておったので、ほとんどTVでの単独出演は見かけなかったのお。
 
 しかし逆に失望したパターンもあるぞ。 当時日本で大人気だったレインボウのドラマー、コージー・パウエルが子供向けの番組でドラムを叩き、笑顔でペラペラしゃべり、子供たちとパイ投げ合戦やっとったのには幻滅じゃった。 コージーは日本では「男がシビレるミスター・ロック・ドラマー!」みたいな硬派なイメージで報道されておったから、こういう番組は観ない方が良かったなと。 


■episode-6 “タカリ”の民イギリス人(?!)

 冒頭で紹介した在ロンドンの日本人の友人とお茶していた時のこと。 ストーンズが一面の現地の音楽新聞を肴にしてダベッテおると、初老の紳士が話しかけてきおった。 「キミたちは日本人かいのお? 我々の国の音楽が好きなんじゃな! オーサンキュー!!」から始まって、約1時間ぐらいストーンズがデビューした当時の話をしてくれたんじゃ。 「さすが本場じゃ! ご老人にもロックファンがおるんじゃな!」とわしは感謝感激しておったが、友人はニヤリと笑ってこう言った。 
 「ハハハ、タバコ欲しかっただけなんだよ。 よくある手さ。 こっちが何も知らないと思って、テキトーな事言ってたんじゃないの?」。
 そのご老人は「ソーリーソーリー」と断りながらも、わしのタバコを3本ぐらい吸っておった・・・。 ロックをエサにまんまとクワサレテしもうたのじゃ。 「七鉄くん、これから見知らぬ人にタバコねだられたら、“最後の1本しかない!”って言えよ」と友人はアドバイスをくれた。 確かにイギリスはタバコが高くて、以後も見知らぬ人によおタカラレタもんじゃ。
 パブでも同じような事がよくあったのお。 ビール飲んでいい気分じゃから、自然とロックの話題になる。 そうなったら、タバコ・ジジイみたいなのがよく寄ってきては話に参加して盛り上げてくれるが、オチはいつも同じじゃった。 
「もっとオレの話を聞きたいだろう? じゃあ一杯おごってくれよ!」

 

 
結局イギリスには二か月ほど滞在したが、今思うと残念なのは、何の変哲もないジーンズの上下にコロンボ刑事みたいなくたびれたロングコートでイギリスへ行ってしまったことじゃな。 現地風ファッションは現地で調達すべしじゃ!なんてカッコつけていたんじゃが、レコードとビールで資金が無くなってもうたあ〜。 
 よく「お前はジャーナリスト(新聞記者)か?」と聞かれたもんじゃ。 すかさず「ノー! アイム・ロッカー!」と返したが、あんまり信用してもらえんかったなあ〜。 あの時今回のような鮮度抜群のエドワードでキメていたら、ロンドン・ロッカー、パンクキッズ、テディボーイたちに一目置かれていたのにのお〜。古着屋で入手したクテンクテンのエドワードじゃなぁ。 まだ日本人旅行者も少ない時代だったし・・・なんて過去を惜しんでもしょうがない! 行くか、久しぶりにイギリスへ! アメリカン・フィフティーズ・フレーバーのTHE-KINGブランドが、ヨーロッパでも賞賛されることをこの身をもって証明してこんとな!
  



七鉄の酔眼雑記
 〜七鉄の「イモにいちゃん体験記」

 七鉄の「イギリス初見参!記」はいかがだったかのお。 ついでと言っては何じゃが、イギリス滞在中の食事事情も記しておこう。 というのも、丁度今我々を悩ましておる「価格高騰による野菜不足」を乗り切るためにも読んでほしいのじゃ。
 わしはイギリス滞在中は、ロンドンから電車で2時間ぐらいの学園都市ケンブリッジの一般家庭にホームステイしておったんじゃが、この国は元々野菜類が高くて、食卓に野菜が出されたことはまずなかった。 「野菜が食べたい!」とステイ先の奥様に訴えたら、「バカモノ!高いからノー!!」 とあっさり却下されてしもうた。 「この国は晴天の日が少なくて日照時間も短いから、野菜が育ちにくくて・・・」とか何とか奥様は理由を述べておったな。 「要するにジャップなんざに食わせる野菜はねえ!ってことか! この英吉利婆(イギリス・ババア)めが!」と悪態つき返してやったってのは冗談じゃよ、冗談。
 そして野菜の代わりにだな、来る日も来る日も出されたのがイモじゃった! フツーにふかしたりイモ、炒めたジャーマンポテト風イモ、フレンチフライ、マッシュポテト、ハッシュドポテトなんかが、味付けや具材を変えるなどして必ず食卓にお目見えするんじゃな。 気がついたらわしはこれにハマっておった!
 イギリスのイモは美味いんじゃ! おまけに腹もちはいいし、わしは毎回きれ〜いに平らげるもんだから今度は奥様からお褒めの言葉をいただいたもんじゃ。 「ロックの本場を見聞する」なんて友達には御旗を掲げて日本を出発しておきながら、実はイギリスで「イモにいちゃん」をやっとったってわけじゃよ!
 そんな懐かしい思い出が「野菜危機」の現在に蘇ったもんじゃから、わしは久しぶりに「イモ三昧」をしとるぞ! イモにはビタミンなんとかがたくさん含まれとるし、美肌効果もあるので女性にもおススメじゃ。 マッシュポテトなんかは料理に手間がかかるが、一度に大量に作っておけば、保存もきくし、ひき肉、魚のほぐし身、グリーンピースなど、具材のバリエーションも豊富じゃよ。 値段の変動が少なく、栄養たっぷりで腹もちのいい「イモ」で、「野菜危機」の季節を乗り切ってくれ〜い。 かえって健康状態が良くなるかもしれんぞ!
 

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