ROCK FIREBALL COLUMN by NANATETSU Vol.89


2010年好転祈願〜華麗なる復活、起死回生、一発大逆転をもたらしたカムバック・アルバム集
 ワタシはコレで最前線に復帰しました!
(七鉄の人生訓付き)

 

 最近になって知ったんじゃが、21世紀の最初の10年は「ゼロ年代」というらしいな。 新世紀最初の10年にしちゃあ、あったんだか、無かったんだか、よく分からん言い方じゃのお。 まあその「ゼロ年代」最後の今年ほど「元気の出ないニュース報道」が多かった年も、ちょっと記憶にないのお。 でも気にすることはないぞ。 ニュースなんてのは、良いことも悪いことも大袈裟に言うもんであり、テキトーに聞き流しておけばええんじゃよ!
 まあ悪いことはみーんな忘れて、強引だろうが何だろうが、ニッポン人として清々しい気分で新年を迎えねばならん。 まあTHE-KINGの新作ナッソーをぜ〜んぶゲットしておけば何の問題もなくよい新年がやってくるってもんじゃが、さらにわしからダメ押しの一撃を贈らせてもらおう! スランプやブランクが長かったロッカーが、「まだまだオレは健在だぜ!」ってことをファンに知らしめた逆襲のストレートパンチ!というべき復活の名作アルバムじゃ。 2010年が諸君にとって素晴らしく好転することを願ってお届けするぞおー!
 「復活」の名盤と言えばエルヴィスの「カムバック・スペシャル」が名高いが、当時のエルヴィスは「ロックをお休みしていただけ」であって、スランプでもブランクでもなかったはずじゃ。 厳密に言えば「カムバック(復帰)」ではなく「原点回帰!」じゃ。 そこで今回はロッカーの存在自体が世間から忘れ去られる直前に放ったともいうべき一撃!を列記していくぞ。 2010年の諸君のジャンプ・アップ!を祈願してお送りしよう!



■ブラスト・オフ/ストレイ・キャッツ
 

 ストレイ・キャッツ最初の解散の原因は諸説様々だが、あれは要するに「ブライアンに才能があり過ぎたこと」なんじゃ。 色んなベテラン・ロッカーや有名プロデューサーがブライアンの抱え込みを図り、ブライアン自身がうんざりして、一時期シーンから撤退することを決意したからじゃ。 「やっかましー! オレの好きにさせろー!!」ってトコだったんじゃろうな。(ブライアン以前にも、ブルース・スプリングスティーンやトム・ぺティも同様の被害にあっておる)
 レコード会社との契約上、仕方なく発表したといわれる「ロック・セラピー」を除けば、実に6年ぶりにストレイ・キャッツを再結成して放った一撃! それが本作じゃ。 「オレの才能はオレ自身が使う!」とばかりに、ブライアンのプレイは以前の作品よりも活き活きと暴れまくっておる! 世間的にも評価を決定的にした傑作じゃな。 
「周囲がうざけりゃ、おとなしくなるまで待て!」 じゃ。 短気やヤケは禁物ってことじゃ。


■マディー・ウォータース・ブルース/ポール・ロジャース

 ブルースロックを歌わせれば天下一品! その抜群の歌唱力で長年メシを食ってきたポール・ロジャースの大スランプは80年代後半から90年代初頭。 何をどう歌っても「古臭いんだよ・・・」と言われていたもんじゃが、ポールはついにトチ狂ったのか、さらに時代を逆行してブルースの大御所マディー・ウォータースのカヴァーアルバムを発表。
 落ちぶれた元スターのとんでもない暴挙!と思われたが、バックにはジェフ・ベックからブライアン・セッツァーやスラッシュまで、新旧の名ギタリストをズラリと揃えて、彼らのプレイの上でポールは王様のようにブルースを熱唱! これがウケにウケて、ポールはシーン最前線に見事にカムバック! 
達人の開き直りほど恐ろしいものはない! 凡人の開き直りは周囲の失笑を買うだけなんで要注意!


■スティール・ホイールス/ローリング・ストーンズ
 
 「ストーンズ解散」の噂が最大に膨れ上がったのは80年代後半。 「今度こそ間違いなく解散・・・」なんてマスコミの報道にも慣れきっていた頃、全ての雑音を吹っ飛ばすような会心の新作「スティール・ホイールス」が登場! 合わせてワールドツアーも敢行され、めでたく初来日公演も行われたもんじゃった。
 本作のわしの印象は「随分まるく収まった演奏じゃな〜」じゃったが、楽曲そのものが傑作が多くてオキニの1枚となったもんじゃ。 80年代のストーンズは、とにかくミックとキースがののしり合ったり、腹いせにソロアルバムを出し合ったりばかりしていたもんじゃが、そんな
長年のわだかまりを捨ててガッチリとタッグを組んだ勝利 がこの作品じゃよ。 やっぱり、この2人のパートナーシップあってのストーンズじゃ。


■クラウド・ナイン/ジョージ・ハリスン

 元ビートルズとはいえ、90年代の声を聞く頃にはジョージ・ハリスンの名はシーンから消えかかっておった。 そんな時に突然発表された傑作アルバムがこれじゃ! 誤解を恐れず言い放てば、ソロ時代のジョージの持ち味とは、ジョン&ポールの広大なる作曲パターンの隙間ともいうべき、少々ニヒリスティックな、そして時にはむせ返るようなヒューマニズムじゃった。 そこに固執するジョージは自分で自分の首を絞めているような感じもあったもんじゃ。
 じゃが本作は、ビートルズ時代を懐かしむようなカドがとれた大人のリラックス・ポップスに仕上がっており、エリック・クラプトンらの一流のゲストたちも最善と思えるサポートをしておる! 
過去は変えられない事実として素直に見つめる心 が生んだとも言える作品じゃ。


■レインボウ・コンサート&461オーシャン・ブールバード/エリック・クラプトン
 
 ギターの神様クラプイトン最大の危機は70年代前半。 過度のドラッグとわし並みのアルコール摂取により廃人寸前となっていたと言われておる。 そんな折、「クラプトンを死なせるな!」と、数多くのロック・フレンズが集結してクラプトン復活コンサートを企画。 それが「レインボウ・コンサート」じゃ。 
 この時のクラプトンのデキは今一つじゃったが、これがきっかけとなってレイドバック・スタイルの傑作「461・・・」を発表。 クラプトンはイメージチェンジにも成功して、見事にカムバックを果たしたのじゃった。 「友人は何にも代え難い人生の財産」 を地で行ったクラプトンじゃ。


■フー・エルス/ジェフ・ベック

 
お友達に支えられたクラプトンとは対照的に、ひたすら孤高の道を歩んでいるのがジェフ・ベック。 1974年ソロ転向以来、アルバム発表のインターバルがやたらと長かったジェフは、新作ごとに「カムバック」と言われた珍しいタイプ。 じゃが本当の「カムバック」は約5年ぶりに発表された本作じゃ(1999年)。 発表後すぐさま日本公演も実現!女性セカンド・ギタリストの起用にも驚かされたもんじゃ。
 ギターサウンドの存在感は全盛時のままであり、昔からのファンは大喜び! じゃがリズムセクションのパターンやボリュームは明らかに21世紀型であり、
真のオリジナリティはいかなる時代の推移にも通用する ことをものの見事にみせつけてくれよった! 本作以来、全盛期よりも活動がアグレッシブになったのは周知の事実!

 
■L.A.M.F./ジョニー・サンダース&ハートブレイカーズ

 かつてモノホンのロッカーは「存在そのものが表現」と言われた時代があったもんじゃ。 その系譜の最後に立っているのがジョニー・サンダースじゃろうな。 ピストルズよりもクラッシュよりも、骨の髄までパンクロッカーじゃった。 「時代がどうした」「世間がどうした」ではなく、サウンドとしてのパンクをやらなければ生きてはいけないロッカーじゃった。
 ニューヨーク・ドールズ時代の線香花火のような小さな栄光以来、久々にその存在をシーンに刻み込んだ傑作アルバムがこれじゃ。 しかしあくまでもパンク好き、モノホンのロックが好きな者しか分からない、コダワリの極致で生まれた傑作 であり、93年に死んだジョニーのこの世の置き土産ともいうべき逸品。


■ハート/ハート

 最後は女性ロッカーの華麗なる復活作品で〆としよう! アン&ナンシー美人姉妹がフロントに立ったハートの全盛時代は70年後半。 骨太のロックセンスと適度なポップ感覚とをもった、なかなかエエバンドじゃったが、80年代になると人気は急降下。 美人と言えども顔だけでは食えなくなった(?!)。
 そこで彼女たちの前に登場したのが、当時名プロデューサーだったロン・ネビソンじゃ。 ロンがピックアップした外部の作曲者による佳曲を80年代風の華麗なアレンジでカヴァーし、ファッションも個人的なコダワリを捨ててモダン・スタイルに様変わり。 ロンのお人形ちゃんバンドになったとはいえ、アルバムは起死回生の大ヒット! 完全に息を吹き返した彼女たちは、やがて一皮むけたオリジナル曲でもヒットを飛ばすようになって完全復活! 先輩のアドバイスは素直に聞こう! を身をもって示した復活劇じゃった。

 少々エラソーに、復活のための教訓めいたことを付記させてもろうたが、原因はどうあれ、ロッカーをカムバックさせたアルバムというのはどれも気分爽快な内容じゃ。 ビビビッ!ときたヤツがあったら是非トライしてほしいぞ! 「ノリやメロディがいい」だけではなくて、もっともっと真剣にアルバムと向かい合っておれば、たった1枚のロック・アルバムから生きる糧までも学ばせてもらえるってことじゃ! その場限りの安物の滋養強壮ドリンクとは違うぞ。 必ずや諸君を心の底から元気付けてくれるであろう! 
 では来年の諸君とTHE-KINGの活躍を祈願してメリー・クリスマス&ハッピー・ニュー・イヤーじゃ!





七鉄の酔眼雑記


 THE-KINGと諸君のお蔭で、わしのこのコーナーも「100回」が見えてくるまでやらせてもらっておる。 本当に感謝の一言に尽きるってもんであり、一年の終わりにあたり、あらためてお礼申し上げる!
 友人、知人から時々聞かれることがある。 「オマエさんは何を伝えたくて書いているんだい?」 そして「昔っから理屈っぽかったオマエさんにしちゃあ、随分と単純明快で、毎回はしゃいでいるじゃないか」とな。 「はしゃいでいる」だとお〜?・・・確かにそうかもしれんな。 もしも聞き苦しい(読み苦しい?)部分があったら、どうか許していただきたい。 わしが諸君に伝えたいことは、ただひとつ。 「モノホンのロックを知って、聞いて、元気になってもらいたい!」ただそれだけじゃよ。
 アントニオ猪木の「元気があれば何でも出来る!」 アニマル浜口の「気合いだ気合いだ気合だあ〜」 中畑清の「野球は元気ですよ!」のようなノリを追及しとるわけではないが、ロッカーに辛気臭い雰囲気は似合わん。 ロッカーは部屋に閉じこもっていても何も始まらん。 モノホンのロックのエネルギーを心身にため込んで、THE-KINGのアイテムでキメてストリートへ繰り出すのが、ロッカーとして正しいあり方であるとわしは心底確信しており、その確信の強さのほんのわずかでも諸君に伝えたい! そういう信念をもって書いておるので、これからもどうかお付き合い願いたい。 後々になって、「このイカしたナンバー、そう言えば七鉄とかいうロックジジイが絶賛してたよな」みたいな感じでわしの存在を思い出してくれたらなおヨロシ! 続けている甲斐があるってもんじゃ。

 CDショップ、レンタルショップに行っても、ほんの一昔に比べると、洋楽ロックの占有スペースがほんとう〜に小さくなってしもうた。 悲しいかなそれが現実じゃ。 わしらロッカーはこのままマイノリティ化(少数派化)の一途をたどることになるんじゃろうか、と不安にならないこともない。 でも不安になったからといって、部屋に閉じこもるか、好きなもん同志でお互いの心を暖め合うようなことはしとうないぞ! 不安だからこそ、声を大にして信念を語る! 来年もこの意気で突っ走るんで、諸君よろしゅう頼むぞ!

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