ROCK
FIREBALL COLUMN by NANATETSU Vol.87


言葉がロックを名曲にした!ロック史上に輝く、シンプル&スーパーな忘れがたき名タイトル


 前回は今年の日本流行語大賞候補(?)の「政権交代」にかこつけた「ロックバンドの政権交代」のオハナシをさせて頂いた。 こうなったら、オバマ新アメリカ大統領初来日記念!ではないが、アメリカの流行語大賞にもご登場願おう! それはオバマ大統領の「Yes We can !」じゃろうな。 シンプルで分かりやすくて大衆を鼓舞する力強いお・こ・と・ば。 この一言でオバマさんはアメリカの人民の心をガッチリとつかんだといっていい。 そこでロック版「Yes We can !」を探してみよう! 曲の善し悪し以上に、歌詞のワンフレーズがとてつもなくインパクトがあるヤツじゃ。
 ここ10〜20年のロック/ポップスの歌詞は、THE-KINGのサイドゴア・シューズならびに新作エドワードやダブル・フラップ・パンツのようにビシッと一発でキマルようなフレーズがない! 何だかノーガキが多過ぎてまどろっこしい! 聞いておると「三流政治家の答弁じゃねーんだから、イエスかノーかはっきりせえ!」とちゃぶ台をひっくり返したくなるようなのが多い。 明日のビッグ・ロッカーを目指しておる諸君は、これからご紹介する必殺!のワンフレーズを読んでちいとばかりお勉強してほしいぞ!


♪〜 
(I can get no) Satisfaction !  サティスファクション/ローリング・ストーンズ 

 「満足出来ねえ!」 これに勝るロック必殺の一言は無いじゃろう! 若モンが抱える訳の分らん爆発寸前のエネルギーを言い当てており、さらに何故ロックをやるのかって疑問にどストレートで答えた最高に胸のすく一行じゃ。
 曲が大ヒットしている最中、ミック・ジャガーは「あなたは満足してますか?」との問いに対して、「セックスにおいてはお陰さまで! 金銭的には努力中だよ」とこれまた気の効いた回答をしてインタビュー会場を湧かせておったな。 ただし「40過ぎても“満足出来ねえ”なんて歌ってたらアホだぜ!」と言いながら、現実としては50過ぎても歌わざるをえなかったな。 地位も名誉も大金も手に入っても満足出来ねえだとお〜? う〜ん、スーパースターの悩みってのは深いんじゃろうな。
 そう言えば、「オレはジョン・レノンやミック・ジャガーと同じロックン・ローラーだ」と称しておる内田裕也氏は、かつて東京都知事選挙に立候補した際、街頭演説のショッパナにこの曲を演奏しておったな。 政策案はともかくとして、演奏曲はグッド・セレクション!と拍手を送ったもんじゃ。


♪〜 Blowin' the wind !   風に吹かれて/ボブ・ディラン
 

 ロック詩人としてその名も高きディラン。 最初にアメリカ中の若者の心をつかんだのはこのフレーズじゃ。 今の日本人にはピンとこないフレーズじゃろうが、60年代中期には大いに流行した言葉じゃ。
 「新しい風が吹くのを待っている」「時代の風に乗っている」「風まかせの生活を送っている」などなど色々な意味にとれるが、主義主張や生活スタイルが異なる若者たちの実態をすべてひっくるめて「風に吹かれている」という表現にまとめてみせたのじゃ。 この名フレーズを大声でシャウトせず、淡々と語るように歌われるのがまたかっこええ。 デカイ声でわめけばいい、と思っておる連中には真似の出来ない芸当じゃ。


♪〜 Light My Fire !  ハートに火をつけて/ドアーズ
 
 カッコいいラブ・ソング、いやセックス・ソングの代表的フレーズはこれじゃ。 この曲が発表された1967年当時、まだわしは英語の理解力が乏しくて「私の火(My Fire)を明るくしろ(Light)ってどーいう意味なんじゃろう」と悩んでおったのが今となっては懐かしい!
 「Fire」には情熱とか情欲みたいな、また「Light」には性的欲望の爆発みたいなスラング的意味合いがあり、よーするに強烈なセックス表現なんじゃな。 だけど一見スマートな言葉を使っておることがウケにウケタってわけじゃ!あまりにも有名なイントロのオルガンとともにロック史上に残る名フレーズじゃ! さすがはロック詩人ジム・モリソン!って褒めたたえたいところじゃが、実はこの曲を書いたのはギタリストのロビー・クリーガー。 ♪〜Come on baby light my fire, try to set night on fire!Yea〜 (さあベイビー、オレのハートに火をつけろ!夜通し燃え上がるんだイエ〜イ!)


♪〜 All Right Now !  オールライト・ナウ/フリー

 All Right(オールライト)ってのは「ぜ〜んぶOK!」ってことであり、「こっちは準備万端だぜ! お前ら用意はいいか?!」ってな感じで今も昔もロックコンサートのMCでは頻繁に使われておる。 それだけにこの「All Right」を歌詞の中でインパクトある使い方をするのは難しいってもんであり、まあ「Yea!」「Oh Yes」同様の一種の合いの手、効果音的に使われるのが関の山じゃった。
 ところが1970年、全米では無名のイギリスの若手バンド、フリーがこの曲によって「All Right」を光り輝くフレーズとしてキメてみせたのじゃ。 彼らは当時のロックシーンでは異例の、メンバー全員が20歳そこそこという若年のバンドじゃ。(昔はみんな苦労して這い上がって来たから、20歳でも老けた顔しとるがな) そんなガキどもが先人が成し得なかったシンプルなカッコよさのお手本を完成させてしまったのであ〜る。 今ではロックの古典的名曲として名高い曲じゃ。


♪〜 No Fun !  ノー・ファン/イギ―・ポップ

 ではここで、メジャーではないが超カルトというか、パンクロック・ファンの間だけで、まるで「教典」のタイトルのように扱われておるフレーズを一発! 「ノー・ファン」ってのは、直訳すると「おもしろくねえ!」であり、要するに「やってらんねえ!」ってことじゃ。 パンクロックのゴッドファーザーとして、今でも崇められておるイギ―・ポップが、1969年にストゥージ―ズのヴォーカリスト」としてデビューした時に書いた曲のタイトルじゃ。
 70年代後半に爆発したロンドン・パンクの連中は、誰もが自分たちの基本精神としてこの言葉を愛用したのじゃ。 人によっては、今だにセックス・ピストルズの曲、フレーズと信じとるようじゃが、本家本元はイギー・ポップじゃぞ。 まさにパンク・スピリッツそのものをシンボライズした名フレーズじゃ。
 余談じゃが、この曲はイギーのステージには欠かせない一曲にもかかわらず、わしが観たイギー初の日本公演(83年)ではプレイされなかったんじゃよ。 実はこの日、途中から客席の最前列にいた女の子をステージに上げてしまって終始イギーは上機嫌のパフォーマンスになってもうて、「ノー・ファン」どころか「ハッピー、ハッピー」だったのじゃ。 結局イギーはこの女の子を連れて帰国してもうた! 偉大なる元祖パンク野郎も、やはり一人の男性だったのじゃ。



♪〜 Like a Virgin !   ライク・ア・ヴァージン/マドンナ

 時代を一気に駆け上って84年、世界中を騒然とさせたこのフレーズ「処女のように!」。 一般的には口に出すのもはばかれる言葉をうら若き美人シンガーが堂々と歌っちゃったんで、それはもう大変な衝撃だった。 「〜のように」ってことは「〜ではない」ということじゃし、フツー女性がそんなこと言うか! 楽曲的にも優れていたので、あっという間にヒットチャートのトップまで登りつめてしもうた
 この曲をステージで歌う時、マドンナは必ずウエディング・ドレスでキメて、腰をくねらせながら聴衆に向かってこう問いかける。「私と結婚する?」。  すると聴衆から大歓声が返ってくる。「イエ〜ス!」。 コンサートの様相も随分と変わったもんじゃのお〜と、わしはマドンナの見事なパフォーマンスに感心したもんじゃった。 また下着をモチーフにしたコンサート衣装や、プロモクリップでは覗き部屋のストリッパーを演じたり、女性の性的魅力をオゲレツにならないギリギリのラインで踏みとどまって表現するマドンナは、まさにニュータイプのヒロインじゃったな。
 ただ強いて言えば、そのラインを踏み越えたお姿を見たかったというのが本音だったが、それじゃただのエロジジイではないかドアホッ!
 

♪〜 Born In The U.S.A !  ボーン・イン・ザ・USA/ブルース・スプリングスティーン

 マドンナのワクワク・ドキドキ!「ライク・ア・ヴァージン」旋風が吹き荒れる一方、全米ではもうひとつのキーワードが人々の口から念仏のように語られておった。 それが「ボーン・イン・ザ・USA」。 読んで字のごとし「オレはアメリカに生まれた!」ってフレーズは、アメリカ人にとってはあまりにもストレートで当たり前のことじゃが、これがザ・ボスと呼ばれたブルースの口から出ると、意味合いが俄然違ってくるようじゃのお。 「うぉ〜そうだった。 大事なことを忘れていたぜ!やるぜオレは!!」となったようじゃ。 また時折しも大統領選挙の真っただ中にあり、候補者レーガン、モンデール両氏がいずれもこのフレーズを演説に使ったほどじゃ。 同名アルバムは何と84週間(約1年4カ月間!)もトップ10にランクされる歴史的大ヒットとなったのじゃ。
 ブルースには若かりし頃「Born To Run」(「突っ走るために生まれた」という意味。 邦題は「明日なき暴走」)という名フレーズがあり、これも労働者階級の若者たちに絶大な支持を受けたもんじゃった。 「Born」(生まれる)というフレーズを使って、人間のスタート地点や根本的なスピリッツを再認識させるワザに長けたブルース、ザ・ボスと呼ばれるに相応しいロッカーじゃ。


 どうじゃ。 言葉の持つスゴミってもんが少しは分かってもらえたんじゃないかのお。 近年の日本ではジャリタレによるブログブームもあって“言葉遊び”みたいのが大流行しており、英語と日本語を合体させた“ノリ”と“ウケ”だけを追求したワケわかんない言葉が大氾濫しておる。 理解出来ない単語があっても辞書になんかのってないから始末が悪い! 年寄りをなめとんのかあ〜こらあー!
 まあ言葉遊びも楽しいには違いないが、下手な小細工をせず、発するタイミングと本来の意味とを取り違えなければ、シンプルな言葉でさえも大衆のハートを直撃することが出来るのじゃ。 さらにイカシタサウンドに乗っければ鬼に金棒じゃ。 これもまたロックという音楽のスバラシ〜イ魅力であることをどうか忘れんようにな! まあそうは言っても名フレーズなんてもんは、言葉でもサウンドでも、そう簡単には生まれてはこないもんじゃ。 ロッカーの名に相応しい普段の努力を怠らんようにな。 そう、身だしなみじゃ!新作エドワードやダブル・フラップ・パンツでキメておけば名フレーズは自然と湧いてくることを約束しよう! 




七鉄の酔眼雑記
  〜猫博士・七鉄より

 癒しのキャラとして、最近では猫の人気が上がっているようじゃな。 猫のオモシロ動画もたくさんアップされており、見ているだけで心がほんわかとしてくるのお。 実はわしの実家では、わしが物心ついた時からずっと猫を飼っておってな。 一番多い時で4匹もおった。 その4匹とも大変な長寿であり、年上の猫から順に19歳、15歳、16歳、19歳まで長生きしたんじゃ。 猫で15歳以上といやあ人間の100歳ぐらいに当たるそうで、これは家族全員で“正しくかわいがった”証拠じゃろうな。 だからこのわしはちょっとした猫博士でもあるのじゃ、オッホン! 諸君の中にも猫を飼っているとか、これから飼ってみようかと検討中の輩がおるかもしれないので、猫博士・七鉄から猫の正しいかわいがり方をちょっと伝授してしんぜよう。
 まず子猫の時のしつけ方の基本じゃが、叱る時に頭を叩くのは絶対にNG。 臆病な性格になってしまい、なにかと飼い主の機嫌を伺ってストレスを溜めてしまい、健康状態が悪くなるぞ。
 次に食事じゃが、よくかわいさ余って人間の食事よりも高級な魚や肉を与えるおバカな飼い主がおるが、あれは猫の健康にとって逆効果。 あの小さな身体の中の食物消化機能は人間よりもはるかに低いので、高い栄養素はただのコレステロールになってしまうからじゃ。
 食事の基本をもうひとつ。 身体が小さいから食事は1日1回ひとかたまりのキャットフードで十分だろうと早合点する者が案外多いが、これは大間違い。 猫は少量の食べ物を1日3〜4回づつあげるのがいい。 これが面倒臭いのであれば、猫を飼う資格はないぞ。
 最後に、どんなにかわいくても、恋人と同じで時にはうざくなるもんじゃ。 そんな時「猫は犬と違って自分の都合のいい時だけすり寄ってくるからムカつく」と思う事じゃろう。 そして「犬は人に付くというけど、どーせ猫は人じゃなくて家に付くって言うし・・・」となる。 「猫が人ではなくて家につく」ってのは単なる迷信であり、飽きっぽい飼い主の都合のいい言い訳じゃ。 猫だって正しくかわいがってあげれば飼い主を信じて守ってくれるぞ! 有名な「化け猫伝説」ってのも、元々は殺された飼い主の仇を討とうとした従順な猫のオハナシなんじゃぞ!
 とにかく、まずはペットをおもちゃ感覚で扱うことは絶対禁物であり、ひとつの尊い生命と責任を持って向き合うということを忘れんようにな。 そのためにも、正しいかわいがり方を学ぶことが必要じゃ。 飼い主のそうした真面目な姿勢があってこそ、ペットは家族の一員となれるのじゃ。



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