ROCK FIREBALL COLUMN by NANATETSU Vol.72

 諸君、お花見を楽しんでおるかあ〜? えっ? テメーこそ酒に溺れて土左衛門のようにのくたばったんじゃねえのかって、黙らっしゃい! 桜の舞いを浴びて飲む酒は極上の味であり、酔えば酔うほど桜は幻想的に見えてきて、“あっちの世界”に連れて行ってもらいたくもなる。 しかし美しい光景、美味い酒のダブルパンチを頂いたなら、更なる美味い酒を求めてシャキッっとするのがロッカーってもんじゃよ。
 じゃが日本には、気楽に立ち寄って極上のロックが聞けるパブはなかなか無いよのお。 花見酒でご機嫌になった後、ご機嫌なライブの二次会ってのはロック輸入国のファンの叶わぬ現状じゃ。 そんな時はオキニのライブ盤をひっぱり出すしかないじゃろう。
 近頃はロック界も商魂逞しく、「これぞ最後の決定版!」ってな感じで次から次へと未発表音源が発表されて我々ファンを振り回してくれとるが、どれが決定版なんじゃか分かりゃしない! ここはわしが、ロッカーたちの花見酒の二次会用ライブ盤を決定しとかにゃらんな。 まあ酔いどれ気分で、もちろんシラフでも構わんが、わしのセレクトしたスペシャルなロック・ライブ盤を吟味してくれ! 4月は学業でも仕事でも新しい年度の始まりでもあり、パープルのノーマル・パンツでメカシこんでロケットスタートを飾るに相応しい気分にしてくれることは間違いないぞ! 北のけしからん国が三段式ミサイルロケットを日本上空に向けて発射しおったので、こうなったら不穏な空気を一掃するべく三段式の3倍の9連発でいくぞ!


お花見の二次会はロック・ライブ! 春の夜長を彩る痛烈ライブ盤特集

梅も桜もツツジもいらん! ロックするキングがいればそこが天国 !! 

♪Selection-1 68カムバック・スペシャル/エルヴィス・プレスリー

 まずは酔いざましの一発! コイツを聞けば(観れば)、それまでの酔いは吹っ飛んで景気よくオネエサマにニューボトルをオーダーしよう!  世界中のファンが待ち望んでいた68年のエルヴィス復活ライブじゃ。 全米TV放映時の視聴率は、な、なんと70パーセントと聞いておる! それでも「なんで100パーセントじゃねえんだ!」ってイチャモンつけたってまだ興奮が収まらないカッコ良すぎるエルヴィスのお姿と歌が堪能できる。
 このライブはエルヴィスの復活という意義以上に、イギリス勢に占領されたアメリカのポップ市場の失地挽回という絶対的使命つうか、絶大なる期待を何百倍ものスケールにして果たしてみせたエルヴィスの底力を証明した金字塔的パフォーマンスじゃ。 THE-KINGのアイテムにも、この時のエルヴィスのスピリッツが息づいておるのじゃ!


悪名高き囚人どもを唸らせた唯一無比の監獄ライブ!

♪Selection-2 ライブ・アット・サン・クエンティン/ジョニー・キャッシュ

 エルヴィスの劇的なカムバックで湧いていた頃、ジョニー・キャッシュ御大は何をしとったかというと、あの有名な刑務所で囚人どもから拍手喝采を浴びておった! 
 その話題性はもとより、ジョニーのテンションが凄い! 逮捕歴7回っつう、フダツキのワルだったジョニーに言わせりゃあ、「ハンパなことやってちゃ、囚人どもを満足させることはできねえんだよ!」っていつものようにシブい声でシャウトしたことじゃろう。
 しかもじゃ。 「余計なコト口走ったら、タダじゃおかねえぞ!」と、一部の看守たちは終始銃口をジョニーに向けていたっつうから、その緊張感の強さ、それを払いのけるための演奏のスゴミは、そりゃあもうタダゴトじゃないってことじゃ! どうせならジョニー自身がブチ込まれておる間にレコーディングやライブをやれば、もっと盛り上がっておったじゃろう!
 冷静になって振り返ってみると、囚人の慰問を元囚人のロッカーにお願いするとは、アメリカという国の懐の深さ、独特のユーモアのセンスが分かるのお。 


ブラック・ミュージックの真髄極まれり!

♪Selection-3 セックス・マシーン/ジェームス・ブラウン

 警察沙汰となりゃあ、ジョニー・キャッシュに引けを取らないブラウン殿。 なんせポリスとカーチェイスをやらかして・・・なんてことはどーでもええが、とにかくどこまでも“熱い”このお方、「ソウルの帝王」「ファンクの神様」等など、エルヴィスに負けず劣らない称号で讃えられおるが、ライブを選べと言われりゃあこれじゃろう。 ジャケ写は左とん平さんみたいじゃがな!
 ブラック・ミュージックの神聖さ、オゲレツさ、カッコよさ、ダサさ等を全部ひっくるめて「これでどおだあ!」っつうボリューム満点、ドタマの血管キレまくり!の出来栄えじゃ。 こいつは酔いが回ってから聞くように。 シラフできくとスゴ過ぎてわしは酔えんのじゃ。 ウケ狙い見え見えのヒップホップやラップなんぞをヘラヘラやっとる黒人を見ると、首根っこひっつかんで座らせてコイツを聞かせたくなる!
 

ミスター・トラブルメーカー、ジム・モリソンの最狂酒乱ライブ

♪Selection-4 ライブ・イン・ボストン/ドアーズ

 ステージでの警察騒動にかけちゃあ、ドアーズのシンガー、ジム・モリスンがロック史上No.1じゃろうな! 警官侮辱罪でステージ上で逮捕されるわ、猥褻物陳列容疑や禁止用語連発でステージで警官ともめるわなにやらの連続で、一時は全米のほとんどの州でドアーズはシャットアウトされ、モリスンはFBIからつけ狙われていたほどじゃ。 すべてモリスンの異常に高すぎる知性と常識を逸脱した飲酒癖がもたらした半計画的な暴動のせいじゃ。
 残念ながら(?)警官との騒動になったライブ音源はいまだに日の目をみておらんが、泥酔でぶっ倒れる寸前状態のステージならこれじゃよ! ロック・ヴォーカルになるか酔っ払いのたわけた大シャウトになるか、その境界線を綱渡りするモリスンのヴォーカルは尋常じゃねえな、こりゃ。 この傍若無人なシンガーを必死に支えるドアーズのプレイも、まさに鬼気迫るってなテンションじゃ!うぉ〜酔いが回り過ぎる!!


警官も尻ごみした、ビートルズ最後の雄姿

♪Selection-5 ルーフトップ・ライブ/ビートルズ

 ついつい、権力に刃向かうおっそろし〜オハナシを続けてしまったので、ここらで胸のすくようなヤツを一発。
 「ルーフトップ・ライブ」とは正式なライブ盤にはなっとらんが、ビートルズが映画「レット・イット・ビー」の映像用に、なんの告知もせずに突然大都会ロンドンのビルの屋上で演奏をおっぱじめた前代未聞のライブじゃ。 ビートルズ最後の屋外ライブでもあるのじゃ。
 当然街中は大パニックとなり、大群衆とともに警官も大勢やってきてビートルズに厳重警告! それでもビートルズはお構いなしにプレイを続け、周囲は大喝采で演奏もヒートアップ!! 相手がビートルズとなりゃあ、警官もおじけづくのか、黙って見守るしかないっつう痛快な映像じゃ。 このライブの模様は「ビートルズ・アンソロジー」の中で断片的に観ることができるぞ! 

ここら辺で健全路線に戻るとするかのお〜。 やっぱり酒もロックも楽しくやらんとな〜♪

「このライブ盤は、“出直し”記念ってとこだぜ」(キース・リチャーズ談)

♪Selection-6 ゲット・ヤー・ヤー・ヤズ・アウト/ローリング・ストーンズ

 キースに言わせると60年代中期までのロックのライブは、「ステージに出て二、三曲プレイして女の子を騒がせて、あとは逃げるだけ」だったそうじゃ。 確かに、言い得て妙じゃ。 そんな狂乱にピリオドを打ち、しっかり演奏してオーディエンスをしっかり楽しませるのが以後のロック・ライブってことじゃな。 ロックに新しい時代の到来を告げたのがこのアルバムってことなんじゃろう。
 確かに、70年代以降に続出する優れたライブ・アルバムのさきがけになったのがこのアルバムという印象があるのお〜。 キースが尊敬するチャック・ベリーおじちゃまの作品、「キャロル」「リトル・クィーニー」もいいノリじゃ!


「俺の娘にロックってもんを教えてやりたかったのさ」(ミック・ジャガー談)

♪Selection-7 フーズ・ラスト/ザ・フー

 
「ロックバンドなんて、バカバカしくていつまでもやってらんねえよ!解散だ、解散!!」とカッコいい捨てゼリフをマスコミに叩きつけて敢行された82年のザ・フーのラストツアー。 ミック・ジャガーも愛娘を連れて観に行ったらしいぞ。
 「バカバカしい」と言っておきながら、バンド史上サイコー!のパフォーマンスをザ・フーは見せつけてくれたもんじゃが、その模様がふんだんに収録されたのがこのアルバムじゃ。 ユニオンジャックを燃やすことで、バンドの最後のアクションをシンボライズしたジャケット・デザインもカッコ良すぎじゃわい! 余談じゃが、昨年末の再結成日本公演では、このライブ盤以上のパフォーマンスを見せてくれて、わしはノックアウトされたぞ!


日本のハードロック・ブームの夜明けをもたらした硬質な岩石ライブ

♪Selection-8 ライブ・アルバム/グランド・ファンク・レイルロード

 遠い昔のお話じゃが、一部の古いロックファンの間で語り草になっている「ロック喫茶」が70年代前半の新宿にあったんじゃ。 その名は「ソウルイート」。 コーヒー1杯、ビール1本で延々と店内にたむろする長髪不良ロック青年の溜まり場じゃった。
 そこで一番人気がこのアルバムじゃったな。 わしもたまに出入りしとったが、時々不届きもんがおってのお。 深夜にもなると酔った勢いで小競り合いや場違いなナンパをやらかしておったが(わしじゃないぞ!)、このアルバムがスタートすると騒ぎは収まったもんじゃった・・・。 泥臭くてもの悲しいブルース・ライン、へヴィなリフ、パワフルでシンプルなドラム・・・ああ我が青春(?)の思い出深〜い一枚じゃ。


 我らがブライアン兄貴のウルトラ・スーパー・パフォーマンス!


♪Selection-9 ライブ・イン・ジャパン“ジャンピン・イースト・オブ・ジャワ”
  /ブライアン・セッツァー・オーケストラ
 まずは、ブライアン兄貴50歳の誕生日おめでとう! ストレイ・キャッツ時代から、ブライアン兄貴のライブ盤はどれも大変に評判がよろしいようじゃ。 これは2001年の来日公演のライブ盤じゃが、来日中にブライアンのグラミー賞受賞が発表されるというサプライズ!があり、ご本人にとっても忘れがたき公演じゃな。
 熱心なファンによれば、ブライアンのロック色とオーケストラのミックス具合が丁度良い時期なんだそうで、そのご意見にはわしも大いに賛成じゃ。



 お花見の二次会用にと目論んだつもりが、いつの間にやら“北のミサイル”をふっ飛ばさんばかりの9連発ロック・ライブ盤特集になったが、どうじゃ、エネルギーは充電できたかのお〜。
 諸君は知らんじゃろうが、その昔ロック界には「ライブ盤を出したバンドは音楽性が変わる」という定説があったのじゃ。 つまり「今まで応援してくれてサンキュウ・べリイマッチ! これからはオレたちゃ新しい道を行くぜ!」という転勤の挨拶状のような役割がライブ盤にはあったのじゃ。
 しかしロック史に残る偉大なライブ盤ってのは、自らの活動に新しいエネルギーを注入するべく渾身の情熱を込めて制作されていたことがこれらの作品でよお分かるってもんじゃ。 さあ、充電のための酒宴は終わり、カンフル剤としてのブツも揃った。 ネクストはこの春のメイン・アイテムであるパープル・パンツのゲットじゃ。 紫(パープル・カラー)の夜明けがもっとも美しいこの季節、輝かしいシーズンカラーのパンツで一日を駆け抜けるべし!   
 





七鉄の酔眼雑記
 

 この年になって、まさかこんなことが!ってな喜びを感じておるので、ちょいとしたためさせてもらおうかのお。
 わしは表向きはバンカラ・ロッカーを気取るために(?)「料理はしない」ことにしておるが、実はここ2、3年は健康のために出来るだけ自炊をしておるのじゃ。 そのお陰なのか、わしの作る料理が人様からお褒めの言葉を頂いておるのじゃよ、オッホン!
 遊びにいらした方々に時々手製の料理をふるまうことがあるのじゃが、「七鉄さん、おいしい!」と、しかも概して女性客から褒められるもんじゃから尚更嬉しい!! 年寄りを元気づけようとする、心優しいお嬢様方の外交辞令と謙虚に受け止めてはおるが、不味いものを美味いという人間はおらんじゃろう。
 なんら特別のもんをお出ししておる訳ではなく、正直なところ「美味しい」と言っていただける理由が分からんかったが、ひょっとして?と思い当たるところがあった。それは「塩」と「器」と「仕入先」じゃ。
 
 わしの料理は塩コショウや醤油ベースのシンプルな味付けだけに、塩はちょっと高価な「岩塩」を使っておる。 普通の食塩よりはまろやかなコクがあり、素材のうまみを引き出す岩塩の方が効果は高いじゃろうな。
 次に「器」じゃが、なんとか焼き、なんとか塗りなんつう由緒正しき器ではない。 100均にもあるような瀬戸物じゃが、それでも温かい料理は盛る前に予め器を温めておく(冷たい料理の時は冷やす)という最低限の心遣いはしとる。
 そして素材の仕入れ先じゃが、これもどこそこの特産品なんて高級素材を取り寄せてはおらん。 肉は肉屋さん、魚は魚屋さん、野菜は八百屋さんで買っておるだけじゃ。 鮮度の良さや味を殺さない切り分け方なんかは、大型スーパーさんより専門店さんの方が優れておるからじゃ。

 まあこんな感じで、料理の基本の基本のまた基本の部分を守っておることが、人様の食欲をかき立てたのかもしれんな。 「芸がないうちは基本を磨け!」とはこのことじゃな。 モノホンの芸を取得できるまで生きておれるかわからんので(笑)、せめて基本だけはこれからも大切にしようと思うとる。 七鉄の料理を味わいたい方は大歓迎じゃよ、諸君! 特に酒持参の方には、ワンランクアップした素材でもてなすぞ!(笑)


GO TO TOP