ROCK FIREBALL COLUM by NANATETSU Vol.43

 予想通りと言うべきか、ジェームス・ディーン・モデルの「レブルジャケット」の完成度の高さが評判になっておるようじゃのお。 諸君は分かっておるのお〜。 わしからもあらためてお礼を言うぞ。 
 ジェームス・ディーンはエルヴィスが最も憧れていた映画スターであり、後発の数多くのロックスターにも崇拝されておった。 50〜60年代の映画は「娯楽の王様」であり、映画スターがロッカーに与える影響つうもんが絶大だった時期じゃ。 そういう意味では、当時の映画はブルースと同様、ロックの親父的な存在と言えるじゃろうな。 当時の映画スターのスピリッツがロック・スピリッツの原型とも言えるし、それが「レブルジャケット」にも宿っていたという訳だ。 こーいう肝心なところを見逃さなかった諸君に、やっぱり拍手じゃ。
 さて、ロッカーたちに強烈な影響を与えた映画スターは、なにもジェームス・ディーンだけではないぞ。 ロックカルチャーをもっともっと深く理解するためにも、ここはどうしてもロッカーに人気の高かった映画スターをご紹介したくなるというもんじゃ。 古典映画が続々とDVD化され、インターネットを通じて手軽に安価でレンタル出来る時代じゃ。 ロックの歴史に影響を与えた映画スター、名優を知っとっても損はないぞ!


ロックスピリッツの原型ここにあり!
フィフティーズ・ロッカーが憧れた映画スターたち


◆ロバート・ミッチャム
 ジェームス・ディーンがロッカーたちにとって表街道的スターだったのに対して、反対に裏街道的スターとして密やかに、それでいて絶大に愛されていたのがロバート・ミッチャムじゃ。
 貧しい家庭に育ち、年端もいかぬ内から全米を放浪しながら肉体労働で食いつなぎ、映画界にデビューする前はプロのボクサーだったロバート。 この壮絶な下積み時代もロッカーをほうふつとさせるものがある。
 また違法ドラッグ所持で逮捕された際の裁判で、「下らないモラルを押しつけるな、ドアホッ!」と裁判官に口走ったというから、ロッカー的資質をもった男なら誰でもシビレルところじゃろう。
 そして人気の決定的な要因は、「世界一インモラル
(不謹慎、非道徳的)な輝き」と言われたその目つきじゃった。 いつも眠たそうで、かったるそうで、それでいてどこか挑戦的な眼差し。 世の中をナメ切ったというか、達観したようでもあるこの眼差しだけでロバートはスターになったといってもいい。
 また「スーツはパリッと着ろ」が当たり前の時代に、ミョーにラフに着こなすそのセンスも実にクールじゃった! う〜ん是非ともラフに「ナッソー」を羽織っていただきたかったのお〜。



◆マーロン・ブランド
 50年代のROCKESの生態を描いた映画「乱暴者」で主演をはった、諸君もよくご存じのマーロン。 わしのこのコーナーでも一度紹介したことがあったな。 ジェームス・ディーンのような儚さ、脆さと正反対にある、逞しくて豪快な男のシンボルとして輝いていた大スターじゃ。 また「欲望という名の電車」では、肌着を普段着のようにまとって肉体美を誇示し、これが後の若者のTシャツ文化を作り上げたと言われておる忘れがたき名優じゃ。
 50〜60年代のシリアス映画には、「真っ正直に生き過ぎて、やがて世の風潮に潰されてしまう男」のハナシがようあったが、そんな不条理なんざぶっ壊して男一匹荒野を行く!なんて役柄がマーロンにはよう似合ったもんじゃった。
 76年公開の「地獄の黙示録」では、ベトナム戦争部隊を離脱してカンボジアのジャングルで闇の帝国を築き上げるカーツ大佐を演じたが、それはある意味でマーロンのパブリックイメージの集大成じゃった。


◆エーリッヒ・フォン・シュトロハイム

 まだ「無声映画」だった1910年代の映画黎明期から、製作者、監督、俳優、脚本家、編集者、美術監督としてマルチタレントぶりを発揮した伝説的な人物じゃ。
 映画の内容なんかよりも、映画そのものが大変に珍しくて話題になった時代から、脚本の内容、映像の細部、出演者の演技に徹底的にこだわりまくった鬼才と言われており、彼の作った映画は「あ〜おもしろかった」では絶対に終わらせない社会に一石を投じる芸術作品だったようじゃ。
 また俳優としては、何故だか悪役ばっかりの印象が強く、しかもなかなか死なない憎たらしい悪役が多く、「映画館の中でもっとも憎まれた男」「嫌われ者として世界一愛された男」なんて呼ばれておった。 ロッカーはもとより、反社会的な芸術作品を目指す連中には神様みたいな存在じゃった。
 エーリッヒ大先生は1957年にお亡くなりになっており、エルヴィスの登場によってロックが爆発的に広がっていった時代のアメリカを知らんのじゃ。 恐ろしいくらいニヒリストの反逆者的アーティストだっただけに、彼の目にロックという音楽がどういう風に映ったのか聞いてみたかったもんじゃのお〜。


◆ジャン・ルイ・トランティ二ァン

 50〜60年代のアメリカとフランスとは、芸術活動において絶対にお互いを認めない子供のような論争をしておった。 映画の世界もまた然り。 そんな状況において、アメリカ人にも人気のあった数少ないフランス人俳優がこの人じゃ。
 お金持ちの成功者でも暗〜い人生の落伍者でも、甘い二枚目でもブ男でも、会社員でもスポーツマンでも、そして大衆映画でもカルト映画でも、どんな役柄でも見事にこなす圧倒的な演技力がアメリカ人にも認められたっつうこっちゃ。  またフランスの国民的なミュージシャンであるセルジュ・ゲインズブールを介して、ジャン・ルイはアメリカン・ロックを愛好するようになったと言われておる。
 03年公開の「歌え、ジャニスのように」では、実娘であり女優のマリーが伝説のロック・クイーンのジャニス・ジョプリンのコピーに熱を上げる主婦を好演。 ロック愛好家である親父さんの教育がよろしかったようじゃ!


◆ダニエル・ダリュー
 
男優ばかりだとこのページが少々むさ苦しくなるかもしれんので、ここは紅一点マーガレ・・・ではのうて、絶世の美女にお一人登場していただこう。 その見目麗しきお方の名はダニエル・ダリュー。 今でもフランス映画史上最高の美女と讃えられておる。
 全盛時代は30〜40年代じゃが、世の男性を絶句させるような美貌ゆえに世代を越えて出演作品は上演され続けた。 あまりにもアメリカ男性の間で話題になるので、「なによ、あんなのは白痴美(美しいだけで頭カラッポ)じゃない!」と女性たちから嫉妬されていたほどじゃ。
 アメリカにはモンローという絶対的なセックス・シンボルがおったものの、まあ上記のロバート・ミッチャムをひいきにするような、ちょっとひねくれたヒップな輩はモンローよりダニエル嬢を好んでおったな。
 因みにわしは、断然ダニエル派じゃ!


◆おまけ : ヴァル・キルマー
 お一人ぐらいは新しめの俳優さんにも登場してもらおうかのう! ドアーズのジム・モリスンの生涯を描いた映画「ドアーズ」において、ジムに扮した熱演がアメリカのロッカー連中に大変な評判になったヴァル・キルマーじゃ。  ここ最近のビッグ・ロッカーの伝記映画はかなりレベルの高くなってきたのお〜。その中でも「ドアーズ」は別格じゃ。
 口パクではなく、ヴァル自らがドアーズの曲を完璧に歌っていることもあり、その演技はまるでジム・モリスンが乗り移っているようなド迫力じゃった。 ドアーズに詳しい筋からの情報によると、クランクインの前夜、ジムの亡霊がヴァルの夢枕に現れて「ひとつ、よろしく頼むぜ」と語りかけたという・・・。




七鉄の酔眼雑記   

 どういう訳だか、今年の新春は来客が多くてのお〜。 「七鉄もそろそろお迎えがきそうだから、今のうちに顔でも・・・」ってことでもないじゃろうが、皆様お酒ご持参!の来訪であり、おかげ様で08年もどっぷり酒に浸りながらのスタートじゃあ〜!
 いやあ〜たまりませんなあ〜なんじゃが、お客様方々がわしの書斎に入ると必ず「何ですか、これ?」って目に留めるブツがある。 昨年末に何となく衝動買いしてしもうた「大人の塗り絵」じゃ。 どーせなら「大ロック歴史百科」とか「ここまでやるか!フィフティーズ研究」なんつった自慢の蔵書に興味を示してほしいのに、皆さん揃いも揃って「大人の塗り絵」じゃ。
 どうやら「大人と塗り絵? 七鉄と塗り絵?? ついに頭イカレタか!」って疑われているのかもしれんな。 え〜い、ほっとけ! わしの亡き母上は画家じゃぞ!ってカンケーねえが、これは脳みその活性化対策なんじゃ。 しかも色で遊ぶことは視力の回復にもつながると聞いておる。 効くか効かんか分らんような安物の○○回復ドリンクなんざよりも健康的で能動的ではないか。

 いやいや「大人の塗り絵」をあなどってはならんぞ。「ミレー/落穂拾い」「ゴッホ/星空のカフェテラス」「コロー/シャルトル大聖堂」などの世界の名画をマニュアルに従って何色にも塗り分ける作業は、飲みながらやっとると、なかなかどうして巨匠になった気分になるんじゃよ、これが。 
 諸君、要は気分じゃよ、気分。 いつもの大シャウトでビッグロッカー気分になるのもええが、08年は塗り絵で世界の巨匠気分ってのもやってみたいんじゃ。 人生ひととき勘違い!にヴァリエーションを加えて今年も突っ走るぞお〜。

GO TO HOME