ROCK FIREBALL COLUM by NANATETSU Vol.35

 ブルースウェードをかました、わしの特注サングラスをようクリックしたの〜、諸君 。 どうじゃ、「アルコールの秋」をエンジョイしとるか! 前回ウイスキー・コラムを書かせていただいたが、「オールド・ブッシュ・ミルズ」はいかがなものだったかの〜♪ 老いぼれ頑固ロック・ジジイに騙されたと思ってトライしてみてほしいぞ。
 この勢いで今回も「酒」といきたいのはヤマヤマなんじゃが、五感と第六感がもっとも冴えるこの時期にやっぱりロックネタは外せんよのお。 「エルヴィス30回忌」を偲んだ後だけに、今度はまだまだ現役でロックしとる者、それもエルヴィスから強〜い影響を受けたロック・シンガーのハナシをかましてしんぜよう。 わしが聞いてみて「これは明らかにエルヴィスが師匠じゃ」と思えるシンガーたちじゃ。 声が似ているとか、同じような曲を唄っているとか、そういう「モノマネ大将」ではなくて、歌のスピリッツの中にエルヴィスが宿っとる方々じゃ。
 ロック・シンガーでエルヴィスの影響を受けていないなんてヤツは無きに等しいが(そんなのはロック・シンガーとは認めん!)、今回はメジャーなシンガーをセレクトしてみたので、ぜひ一読してみてくれ〜い。 エルヴィスが後のロックシーンや後輩たちに与えた影響っつうもんがよく分かるってもんじゃ!



グレイト・ロック・シンガー列伝 その1
“ロック・シンガー・エルヴィス”の聖域に近づくことを許された者たち

 
 ●ポール・マッカートニー
 な、なあ〜にい〜?とノッケから驚いたお方もいるじゃろう。 それは甘くてソフトなポールのパブリック・イメージにとらわれておるお方じゃ。
 モノマネ大将的シンガーは今回のセレクトから外すとしたが、このポール・マッカートニーだけは別じゃ。 エネルギッシュなエルヴィス、しっとりとしたエルヴィス、ハツラツとしたエルヴィス・・・ポールのノドにかかれば何でもOKなんじゃよ。 エルヴィスだけではなく、エディ・コクラン、バディー・ホリー、リトル・リチャードなんかのモノマネも天下一品! どんなタイプの曲でもバッチリと唄いこなしてみせるマルチなシンガーとしての才能は、エルヴィスのモノマネを追求しているうちに出来上がったといってもいい。 ジョン・レノンの証言によると、ポールは20歳を迎える前に完ぺきにエルヴィスのコピーが出来たそうじゃ!
 2003年に大規模なアメリカツアーを敢行したが、既に60歳を超えているというのに、縦横無尽な唄いっぷりはまったく衰えていなかった。 スゴイシンガーじゃよ、ポール・マッカートニーってお人は。 なおビル・ブラック先生のウッドベースはポールが所有しているらしい。 わしに譲ってくれ〜い!
 ではビートルズ最後の野外演奏のシーンから、ポールのロック魂が爆発した曲をチェックしてみてくれ。



●ヴァン・モリスン
 60年代中期にアイルランドからデビューしたロック・バンド「ゼム」のシンガー。 
 この人の声量はロック史上でも有数であり(わしの大シャウトよりもスゴイ!)、ブルースをエネルギッシュに唄いまくるスタイルは60年代の白人シンガーでも最高峰じゃ。 「エルヴィスみたいに何でもしなやかに唄えないからこういうスタイルになった」と本人は謙遜したコメントを残しているが、なかなかどうして、ハイテンションのブルース・ロック・ヴォーカルじゃ。
 もしエルヴィスが“お金大好きカネゴン状態”のパーカー大佐と出会うことがなく、おカタイ「ロック道」を追求していたら、ヴァン・モリスンのように唄っていたんじゃないじゃろうか、と思わせることがあるほど、彼のヴォーカルにはエルヴィスのロック・スタイルの原型みたいなもんをビンビン感じるのじゃ。
 そのキャラは、かつては大酒飲みだったという以外は結構おカタイ方のようで、エルヴィス式ロックの原型を追求する音楽スタイルは今も変わらない。 ロック・ファッションの原点、王道を真摯に追求するTHE-KINGのスタイルと同じってもんじゃ!ついでに、THE-KINGの取り巻きとしてわしもついでに加えておいてくれ〜なんてことはともかく、ヴァンの歴史に残る熱唱と言われておるザ・バンド解散コンサートにおけるゲスト・パフォーマンスをご堪能あれ。



●ジム・モリスン
 60年代後半にロサンジェルスからデビューしたザ・ドアーズのシンガー。
 そのカリスマ的なキャラクター、超文学的な歌詞、演劇スタイルのパフォーマンスが有名じゃが、ジムはフェイバリット・シンガーにエルヴィスを挙げておる。 しかし表面的な唄法にはまったくエルヴィスの影がちらついておらんのじゃ。 ジムがエルヴィスから受けた影響とは、肉体の内側にある生態リズムと、肉体の外側から入ってくる音楽のリズムを一致させて唄うという神業的な唄法じゃ。 エルヴィスがシンガーとして絶好調の時は、エルヴィスが意図的にロックを唄うのではなく、ロックの神様がエルヴィスの肉体と声に乗り移っている、とまで思えることがあるが、ジムがエルヴィスを目指していたのは、まさにこの部分じゃった。
 じゃが元々文学的、哲学的な志向の強かったジムは、「ロックスター」であることを強引に捨て去ってしまいおった。 それはまたエルヴィス・レベルのシンガーとしての極みに到達するチャンスを拒否したことでもあったのじゃ。 惜しいのお〜。 
 ドアーズのサウンドっつうのは、ロックの歴史の中でも同類のバンドは見当たらない摩訶不思議な世界であり、聞いたことのない方は最初は面食らうので、もっともポップなナンバーをセレクトしてみたので体験してみてほしいぞ。



 
●ポール・ロジャース
 60年末期から80年代前半まで、フリー、バッド・カンパニーというブルースロック・バンドで活躍したシンガー。 当時はロッド・スチュワートと並んで、ロック・シーン最高のシンガーという称号を与えられておった。 それだけに、世代の違いを越えて、エルヴィスとポールがお互いをどのように評価しているのか非常に気になっていたが、ついにその類の発言はどちらからも聞けんかったな。
 ポール・ロジャースというシンガーは、黒人ブルースの世界から“ブルース魂”を譲り受けたような、白人ばなれしたフィーリングの持ち主であり、つまりシンガーとしての原型はエルヴィスに近しいのじゃ。 そして泥臭い黒人ブルースを最高にクールな白人フィーリングをもって、新しいスタイルに変換してみせるスタイルもエルヴィスと同じじゃ。
 在籍したバンドのキャラは地味で、ロック史上に残る名曲は多くはないが、それでもレコードは70年代のアメリカで売れに売れおった。 黒人ブルースと白人ロックの絶妙なブレンド具合がアメリカ全土の心をつかむ!というエルヴィスが築いたヒットメーカーのたたき台を正統的に受け継いだ数少ないシンガーじゃ。
 ポールに憧れる若いロッカーはいつの時代も後を絶たないが、それを証明するようなライブ演奏をご紹介しよう。 若手ロック・ギタリストがぎょうさん共演しとるぞ。 その中に我らのブライアン大アニキもおるぞ!



●リンダ・ロンシュタッド
 お一人だけ女性シンガーにもご登場いただこう。 70〜80年代はロック界の「ミス・アメリカ」とまで言われて全米で愛された歌姫じゃ。 
 リンダもまた、前述のジム・モリスン同様、生態リズムと音楽のリズムを一致させて唄う至難のエルヴィス・ロック・スタイルがデキル希少なシンガーじゃ。 少女の頃は、「ラブ・ミー・テンダー」を部屋でこっそり聴きながら○○○○をしていたというほどエルヴィスに惚れこんでおったそうじゃ。 絶頂期の歌いっぷりは、リズム・アンド・ブルース、カントリー、ブルーグラスなどのアメリカン・ポップスのあらゆる香りに包まれており、まさにアメリカン・ポップスを唄うために生まれてきた“選ばれたシンガー”であることがよ〜く分かる。 
 ちなみに下積み時代のリンダは、ジム・モリスンとほんの一時期恋人関係にあったらしい。 「オレのエルヴィス、アタシのエルヴィス・・・」なんつってエルヴィス談議をしたんじゃろうな。 ウラヤマシ〜。
 そう言えばエルヴィス・フリークとして「アタシが男だったら、絶対ナッソーを着てステージに立ったわ!」なんてコメントがあった。 今もお元気でご活躍のご様子じゃから、THE-KINGのサイトをチェックしてくれていたら嬉しいのお〜。
 では最後になるが、リンダがエルヴィスとともに憧れていたもう一人の偉大なるシンガー、ジョニー・キャッシュ御大とTV共演した貴重な映像がこれじゃ!

●ガンコ七鉄
 つまりわしじゃあ〜。 夜毎ピンクのネオン街で大シャウトをかましておる、このわしじゃ!

 今回はここまでにしておくが、まだまだいるぞお〜。 時代順に紹介していったら、ロカビリーが新しいかたちとして登場する70年代末期まで達するまでにかなりの時間がかかるってもんじゃ。 エルヴィスをキングと崇拝して、正しく真面目に影響を受けたロッカーは数知れないのじゃ。




七鉄の酔眼雑記   

 突然の朗報が入った!このわしに海外の某都市をアテンドしてくれ、という依頼じゃ。 飛行機代も宿泊代も飲み代も依頼主モチという、フリーランスの身には夢のような頼まれごとじゃ。 もちろん仕事がらみの依頼であり、五泊六日の中でのかなりのハードスケジュールを要することになりそうなんじゃが、なにはともあれ、約一週間ほど日本を離れてのお仕事ってことじゃ。
 ちなみに依頼のあった翌日、「ところで七鉄さん。 やっぱり酒代は半分だけモチます。 飲みすぎたりされるとこっちが困るんで・・・」とすぐに訂正を入れられてしまったわい。
 この依頼主、実は酒もタバコも賭け事も一切やらないチョー真面目人間。 ついでにコーヒーもジャンクフードも要らない人生を送ってきたんだそうじゃ。 そんなお方がナンデ毎晩、毎晩、ロックと嗜好品漬けのわしなんかにこんな大盤振る舞いをして下さるのじゃろう・・・。 う〜ん、なにやら緊張してきたが、わしと正反対の生き方を貫く人ってものに触れるいい機会でもあるので、失礼ながらちょっと観察させていただこうかな。

 前回の旅では免税店で酒が買えない!っつう大ハプニングがあったが、今度は大丈夫のようじゃ。 ちゃんと旅行代理店に確認しておいたからのお。 航空会社も日本航空なので、久しぶりにフライト中に日本酒のお燗をつけてもらおうかの〜。
 その昔、はじめて飛行機の中でお燗を頼んだら、フライトアテンダーに「こんなことをお願いされたのは初めてです」って驚かれた覚えがある。 今度はついでにお酌もお願いしてみるかのお〜! いやいや、モラルに厳しいご時世じゃから「機内セクハラ」とかで訴えられたりなんかしたら・・・なんてくだらないことを考えていないで、「飲みすぎないスケジュール」を立てにゃいかんので、ひとまずこれにて失礼!じゃ。

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